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- 小池晃君
日本共産党の小池晃です。
村木厚子前雇用均等・児童家庭局長が逮捕されました。
大臣にまず最初に伺いたいんですが、今障害者団体から怒りの声が上がっているんですよ。というのは、当時の障害保健福祉部企画課というのは障害者に重い応益負担を押し付ける自立支援法の法案作成をしていたと、そういう仕事の一方で障害者向け施策を悪用して暴利をむさぼるような団体の手助けをしていたとしたら、これは許せないという声を上げている。私はもう本当にその怒り分かるんですね。
大臣はこうした障害者団体の声にどうおこたえになるか。先ほど午前中に遺憾だというお話はあったんですが、それからやっぱりもう一歩、厚労省として、本当に障害者団体の皆さんからこういう声が上がっている、このことについての責任をどう考えておられるか、お聞きします。
- 国務大臣(舛添要一君)
何度も申し上げますけど、今検察当局が捜査を行っていますんで、事件全体の解明ということは、これは検察当局の御判断、そして様々な法と証拠に基づいて事実を確定してくださるものと思っておりますんで、その結果を待たなければ、いろんな憶測で物を言うことはできません。
- 小池晃君
しかし、やっぱり行政としての責任というのは、これ問われる。
ちなみに、村木前局長の、企画局長、後任の企画局長はどなたですか。
- 政府参考人(木倉敬之君)
後任の企画課長でございます。この後の企画課長は松嶋賢と申します。
- 小池晃君
松嶋賢という人は大ニュースになった人なんですね。国から十億円の補助金を受けていた社会福祉法人の理事長から高級車を受け取っていて、大変な社会問題にまでなったわけですよ。
大臣、二代続けてこの企画課長がこういう大問題を起こしていたとすれば、これは本当に重大、ますます重大だというふうに私は思うので、そういったことについて行政としての責任というのをやっぱり厳しく総括していただかないと、これは障害者施策というのを食い物にしていたということになったとすれば、これは本当に許されないことだと思いますね。大臣、そう思いませんか。
- 国務大臣(舛添要一君)
この事案の全容を捜査当局に解明していただく、その上で適切に判断したいと思います。
- 小池晃君
報道の中では、自立支援法の法案作成の中での事件であって、これは何らかの圧力があったんじゃないか、政治家の関与が背景にあるのではないかと、そういう指摘もされているわけであります。
厚生労働省、官房長、内部調査やられていると思うんですが、政治家からの働きかけという点については、これは調査対象にしているのかどうか、お答えいただきたい。
- 政府参考人(大谷泰夫君)
この省内の調査チームの主眼といいますのは、厚生労働省の行政事務執行の問題点を明らかにしてその再発防止策というものを検討するということを旨としているところであります。
今お話のありました政治家の関与等の問題について、これは先ほどの大臣の答弁と同じでありますが、現在検察当局による捜査が行われている最中でありまして、これについてちょっとコメントすることは差し控えたいと思います。
- 小池晃君
中身を言っているんじゃない。それも調査対象になっていると、内部調査の調査対象でもあるということですね。
- 政府参考人(大谷泰夫君)
こういった点についても調査対象とするかどうかを含めまして、これはその捜査の状況を踏まえて判断してまいりたいと思います。
- 小池晃君
なぜわざわざ書類を偽造までしたのか、何らかの圧力があったのか。これは真相の解明が必要だし、国会の責任が問われているというふうに思いますので、塩田幸雄元障害保健福祉部長を参考人として招致をして、国会の場で真相解明の場を設けることを求めたいと思います。
委員長、どうでしょうか。
- 委員長(辻泰弘君)
御指摘の点につきましては、後刻理事会で協議させていただきます。
- 小池晃君
年金の問題に入ります。
九日の当委員会で私は若年非正規労働者の適用漏れ問題について指摘をいたしましたが、この問題で二〇〇六年度に総務省が行政評価をしております。
資料でお配りしておりますが、未適用事業所数と未適用になっている被保険者の試算、それから適用に関してどういう勧告をしているか、端的にお答えください。
- 政府参考人(関有一君)
この行政評価・監視は、厚生年金保険業務につきまして、適用促進業務の実施状況それから徴収業務の実施状況、さらには中央省庁等改革基本法にも規定されておりますけれども、社会保険と労働保険の徴収事務の一元化の推進状況等を調査したものでございます。
調査結果といたしまして、適用漏れのおそれのある事業所数は約六十三万ないし約七十万事業所あると推定をしております。また、適用漏れのおそれのある被保険者数は約二百六十七万人であると推計をしておるところでございます。
また、適用漏れ事業所の把握の効率的かつ効果的な実施ということにつきまして、厚生年金保険と雇用保険の適用事業所情報の突合したデータを社会保険事務所において常時効率的に活用できる電算システムを構築すること、さらには、電子データによる登記情報の提供を法務省に要請するとともに、当該データを社会保険事務所において常時活用することができるようにするための電算システムの構築を行うことなどの勧告を行っております。
- 小池晃君
総務省は、本来適用すべき事業所の三割、被保険者の七%が未適用だという重大な指摘をしているわけですが、この勧告を受けて、雇用保険と厚生年金の突合データ、常時活用できる電算システムの構築の状況どうなっていますか。簡単に、やっているかやっていないかだけ答えてください。
- 政府参考人(石井博史君)
お答え申し上げます。
この総務省の勧告を受けまして進めている取組、当面のものとそれから中長期的なものとございます。
- 小池晃君
簡潔に。
- 政府参考人(石井博史君)
はい。このデータの効率的使用という件につきましては、平成十八年度から進めております社会保険オンラインシステムの刷新化計画、この中で取り組んで対応するということで現在その作業を進めているということで、具体化はまだしておりません。
- 小池晃君
具体化していないんですよね。それだけ言ってくれればいいんですよ。
検討、いまだに、勧告からもう二年以上たつのに、三年ですね、いつ始めるかも決まっていないと。一方で、社保庁は事業所の適用漏れをなくすために戸別訪問とか職権適用をやっていますが、戸別訪問などによる加入指導件数と、それから適用に結び付いた事業所の数、それから強制適用の件数の年次推移はどうなっていますか。
- 政府参考人(石井博史君)
お答え申し上げます。
さかのぼってどの辺りから申し上げればいいか、ちょっと、私ども......
- 小池晃君
二年で。
- 政府参考人(石井博史君)
二年でよろしいですか。分かりました。
じゃ、十八年度と十九年度という対比で申し上げますと、適用した事業所数ですが、十八年度が一万八百八十三、これが十九年度は六千百九十九、職権適用分が八十七から七十三というふうになっております。被保険者数ですが、十八年度が五万三千八百七十八、これが十九年度、一万三千四百七十と。未適用事業所数でございますが、十八年度が九万七千四百二十七、十九年度が十万四百七十というような数字になってございまして、年金記録問題への対応などの影響を受ける下での実績ということになっているというふうに思っております。
- 小池晃君
適用に結び付いた事業所の数は若干増えているんだけれども、これ全体としては適用事業所数は減っていますし、戸別訪問の加入指導件数も、これは聞きましたけれども減っていますし、職権適用件数も二けたの低水準で来て、更に去年より、〇七年は前年度より減少しているという事態です。
一方で、総務省は六十三万から七十万未適用事業所があるんじゃないかという勧告をしながら、社会保険庁としての把握は極めてこれ不十分ではないか。未適用事業所への加入指導自体は減っているわけですよね。今運営部長は、要するに、消えた年金問題、記録問題への対応があるからなかなか進まないんだということを多分おっしゃったんだと思うんですが、私それは言い訳にならないんじゃないかというふうに思うんですよ。
大臣、これやっぱり、総務省からもこれだけ指摘をされている中で、三年前に総務省から言われたシステムの構築もいまだに始まっていない、未適用事業所対策も進んでいない、立入りの指導件数も職権適用はむしろこれ減少していると。日本年金機構の設立に向けて体制整備すると言うんだけれども、半年切っている中でこういう惨たんたる有様のままでいいのかと。やっぱり、こうした問題を解決しないまま年金機構に年金業務移管するというのは、私は余りに無責任ではないかなというふうに思うんですよ。
やっぱり、直ちにこれ取組を抜本的に強化をすると。もうこれは未適用問題だけじゃない、消えた年金ももちろんそうですが、これを解決するということに政府として全力を挙げると、これがまず先決ではないですか。その取組を是非やっていただかなきゃいけないんじゃないですか。いかがでしょうか。
- 国務大臣(舛添要一君)
先ほど運用部長の方から話ありましたように、年金記録問題でこれ人も取られ、なかなかその加入指導ということもできないような状況にありますけれども。
ただ、すべての問題が片付かないと日本年金機構に移っちゃいけないと、日本年金機構に移れば社会保険庁のことは知ったことじゃないというのではありません。それはいろんな問題が出てくる、それは全部引き継いできちんと新しい機構でもやっていきますので、どうかそこは御安心いただきたいと思います。
- 小池晃君
安心しろと言われても、年金機構への移行の前にしてむしろ取組弱っているんだから、安心できるわけないじゃないですか。それ全部解決しなきゃいけないなんて言ってませんよ。こんなちょっと惨たんたる有様のままでいいのかと私は申し上げているんで、これは駄目だと思います。ちょっと抜本的に取組を強化していただきたい。
それから、最後、要介護認定の問題をちょっと聞きたいんですが、始まって三か月になって、この間、この委員会でも私、取り上げさせていただきまして、実際新しい認定でどうなったのか、資料が手に入りました。北海道の帯広市の、これは帯広市役所からいただいたんですが、五月までの要介護認定の結果、調査対象三百四十八名で、すべてが前回との比較ができる更新申請です。これによりますと、前回の結果と比べて要介護度が上がった人が一八・七%、変わらないという人が五一・一%、下がった人が三〇・二%で、これは全体としては要介護度が前回より下がっているということがはっきり出ております。
それから、分布をこのグラフにしてみますと、特徴として分かるのは、自立という人とそれから要支援の一がこうかなり増えている。それより重度は全体としては減少傾向にあります。要介護五のように増えているのもありますが、特に要介護一が減少が大きいんですね。これ新規じゃないですから、更新申請ですから、要するに、前の申請よりも年は取っているわけですから、一般的に言えば要介護度は重くなってしかるべき人たちであります。ところが新判定ではやっぱり軽度になっている。これ帯広市の行政としてのしっかりしたデータであります。
同時に、帯広市だけを取り上げていると言われるとあれなんですけれども、全国のこの問題に取り組んでいる方のいろいろ話を聞くと、やっぱり共通して軽度になった印象があると、全体として軽度に出る自立の人が増えた、こういう声がたくさん私の元には寄せられております。
大臣、今厚生労働省としても調査をしていると思うんですが、全体として今回の新要介護認定システムによって要介護度が軽くなったと、そういう声が大臣の元には届いていませんか。
- 国務大臣(舛添要一君)
これはまさに帯広の一つの町の事例ですから、これで全体をおもんぱかることはできないと思いました。今、市町村に対してデータを出してくれということをたしか六月十一日にこれは通達も出しておりますので、全部集めて、そういう検証結果を基にしてこれはまた公表したいと思っております。
- 小池晃君
ただ、全体として、大臣、そういう声届いてないですか。私のところだけなんですかね。もうとにかく、軽くなってるぞという声、共通して自治体の担当者からも出てますよ。そういう傾向が出てるんですね。
大臣はこの問題について、これ検証するんだというふうにおっしゃったけれども、これは今経過措置があるからこういう更新申請の方は一応辛うじて前の要介護度になるんですけれども、ただ、実際にお聞きすると、その経過措置知らないために受けられなかったという人も数少なくないんですよ。そういう事態もう出ている。しかも、そもそもこの経過措置は新規の人は対象ではないわけで、この四月から新規に要介護認定を受けた人は、本来よりも、前のシステムよりも軽い要介護度になって、受けるべき必要なサービスが受けられなくなっているという人も出ている可能性もあると思うんですね。
検証を急ぐのはもちろんですけれども、やっぱり必要なサービスがもう、全国調査やっぱり下がっていたと、そうなって、もうこれ必要なサービス受けられなくなっていたということが判明してからでは遅いんではないですか。やっぱりこれ、旧制度にいったん戻して、やっぱり被害出さないような手だてを打った上で、そして新制度の検証をもう一回やり直すということを改めてやるべきだというふうに思いますが、大臣いかがでしょうか。
- 国務大臣(舛添要一君)
もう四月から新しい制度になってますから、それまたひっくり返すとまたこれで大混乱が起きます。ですから、今検証して必要な見直しを行うということで、その方針でやりたいと思います。
- 小池晃君
大混乱が起こるといっても、別に新しいことをやるわけじゃないんです。今までのシステムをやるというだけなんですから、私は混乱はそんなに起こらないと。むしろ、必要な要介護認定が受けられないで今まで受けていたサービスの水準を下げなきゃいけないという人が出る方がよっぽど混乱が出るし、私は、この全国調査の結果で全国で明らかに下がっているということが出たときに、私は厚生労働省としての責任問われると思いますよ。これによって不利益を受けた新規認定の人が大量に出てくると。そのことについて責任取れるんですか。
- 国務大臣(舛添要一君)
すべてはこれ、データを見てからやりたいと思いますし、原点は、要介護度が重くなるより軽くなるというのは治るということですから、そのことを喜ぶということがまず大前提です。
- 小池晃君
それは詭弁です。だって、これは認定制度の違いによってだけ下がるということを問題にしているんです。もちろん、要介護度が軽くなることはみんなが喜びにするんです。制度の変更だけで軽くされてしまう、そういうやり方は許されないんではないかと言っている。
引き続きこの問題取り上げます。