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「これでは、うば捨て山の入山年齢を引き下げただけということになる」。日本共産党の小池晃議員は16日の参院厚生労働委員会で、厚生労働省の高齢者医療制度改革会議で検討されている後期高齢者医療制度に代わる新制度案について厳しく批判しました。
厚労省は同改革会議に、65歳以上の高齢者の全員を国民健康保険(国保)に加入させ、65歳以上と65歳未満では別勘定とする費用負担の試算を示しています。小池氏は、「同じ市町村国保の加入者といいながら、会計は別。これでは後期高齢者医療制度の対象年齢を75歳から65歳に下げただけということになる」とただしました。
長妻昭厚労相は別勘定の試算だと認めたうえで、「これが厚労省の案に決まったわけではない」と弁明しました。
小池氏は、同案では、現役で働いている被用者保険の本人でも、子どもと一緒の世帯で扶養家族の人でも、65歳になれば強制的に脱退させられて国保に移されるのではないかとただし、「後期高齢者医療制度で一番国民の怒りが集中した制度の根幹が変わっていない」と批判しました。
長妻厚労相が、「それは今後の検討だ」とこたえたのに対し、小池氏は「そうした議論は後期高齢者医療の導入前にさんざん行われた。その結果生まれた制度が国民に否定された。直ちに以前の老人保健制度に戻すべきだ」と強く求めました。
小池氏は、後期高齢者医療制度と同時に導入された、都道府県ごとに医療費削減を競わせる医療費適正化計画や「特定健診・保健指導」など「高齢者医療確保法」の枠組み全体を直ちに見直すことも迫りました。
長妻厚労相は「医療の効率化ができる部分は効率化する」と述べ、見直す考えがないことを示しました。
小池氏は、医療費削減の仕組み全体を見直して、医療に対する国庫負担を増やすことなしに、医療の危機を打開することはできないと強調しました。