- 日本共産党国会議員の質問/診療報酬改定/再診料引き下げやめよ/小池氏が要求<(関連記事)
- 小池晃君
日本共産党の小池晃です。
今日は診療報酬のことをちょっと取り上げたいんですけれども、ネットで〇・一九%のプラスということで、これはマイナスだった前回改定に比べればそれは一歩前進だというふうに思うんですけれども、やっぱり率直に言ってこの今の医療の危機を打開する中身ではないし、〇・一九%というのはまあ率直に言うと誤差の範囲の世界みたいな感じだというふうに言わざるを得ないのかなというふうに思うんです。
民主党は、マニフェストで、総医療費の対GDP比をOECD加盟国平均まで今後引き上げていきますというふうにしているわけですが、現政権の任期中はあと一回しか改定はないということになりますし、このままではOECDの平均に到達するのはなかなか困難ではないかと。大体これいつごろ到達させるというようなおつもりでやっていられるのか、ちょっと大臣にお聞きしたいと思います。
- 国務大臣(長妻昭君)
これについては、そのGDP比を目指していくということで、特にその実施年限というのを定めているわけではありません。
- 小池晃君
このペースでは、本当にやはり追い付かないというふうに率直に言って思うんですが。
そもそも、今回の改定が〇・一九%、七百億円のプラスであるということ自体に疑義が出ているわけですね。後発品のある先発品の薬価引下げ分が改定財源に入っていないわけです、これが六百億円分。ちょっと、これはもう一回表明されているんですが、もう一回簡単に、なぜこの費用が改定財源に充てられなかったのか、御説明ください。
- 国務大臣(長妻昭君)
これについては、ジェネリック医薬品の過去二か年の使用状況というのを我々目標値を作っておりますが、その目標に達しなかったということで、その目標に達しない部分全部を製薬メーカーに精算をしていただくという考え方ではなくて、全部ではなくて一定の比率について製薬メーカーに精算をしていただこうということで、その部分についての薬価を当初から下げると、こういうような形で取り組んだわけであります。
- 小池晃君
いや、私が言ったのは、改定財源に充てなかった理由は何ですかと聞いているんです。
- 国務大臣(長妻昭君)
これは薬価差益は御存じのように改定財源に充てるわけでありますけれども、この薬価差益については、これは例えば二年の間に市場価格と実際の薬価と差が出て、その差についてはもうお医者さんとか病院がそれはお金を例えば機器を購入したり建物の修繕にしたり使うという性質のお金だということで、薬価差益はそこに反映をされると。
ただ、今申し上げたのはジェネリック医薬品の普及促進でありますので、ジェネリック医薬品がたくさん使ってもその薬価差益とは違ってそれは技術料に使えないわけでありますので、その部分については、これはもう前の政権もそうでありますけれども、外に出していくという考え方であります。
- 小池晃君
前の政権からそうだったんだ、一貫してやっているんだというふうにおっしゃるんですけど、これ私ちょっとやっぱり納得できないんです、この説明はね。
一貫してやってきたと言うけど、今言ったように前回改定限りの話だったわけですよね、この後発品の節約効果を入れると。しかも、前回改定では薬価を引き下げたわけではなくて、処方せんの様式を変更して、そして後発品の処方が増えるだろうと期待して節約効果を見込む。だから、今回の改定でもそういう部分についてはこれは改定財源に入れていないわけで、今回のこの六百億円分というのはまさにこの薬価そのものを下げたわけですから、前回改定財源に入れなかったものとはちょっと性格が違うだろうというふうに思うんですよ。
しかも、前回は二千二百億円の枠組みがあって、ここで帳じり何とか合わせようということで、二百二十億円分を外出しにすることで言わば三百億円分の改定財源をつくったという意味で、広い意味でいえばこれは改定財源に充当するということになったというふうに見たって私は理屈としては成り立つ話であって、やっぱりずっと今までやってこなかったんだという説明は、私はこれは納得を得られる説明ではないんじゃないかなというふうに思うんですけど、いかがですか。
- 大臣政務官(足立信也君)
前与党側の議員の方々からもいろいろお聞きになられたわけですけれども、私はやっぱり整理して考えるべきだと思うんです。分かっています。
診療報酬改定というのは何なのかと。これは薬価の部分は、薬価差益をなくすということです。診療報酬本体というのは、それぞれの医療行為、判断料等の単価を決めるということです。ですから、あたかも計算式があるかのようなことをおっしゃいますけれども、それはそのときの関係大臣、内閣の方針としてその改定率をどうするというふうに決めるわけです。
ですから、今回のことは、薬価差をなくす薬価の改定部分と、それを診療報酬本体にそのまま持っていくという話になると、今まで前政権が描いていた後発医薬品への置き換えのスケジュール、それまで届かなった、足りなかったと。そのことは、中医協でも支払側委員、診療側委員といらっしゃるわけです。支払側委員は多く払い過ぎたという認識があるわけです。この部分は下げて私は当然だと思って、それを診療報酬本体に反映させるというのは別の話だと私は思います。
- 小池晃君
ちょっと私の質問に答えていないと思うんですね、今のは。ちょっと別の話をしていますよね。
やっぱりちょっと無理があると思うんですよ。この十二月二十二日の中医協総会に報告された薬価部会の改革骨子を見ても、これどう見たって後発品のある先発薬の引下げ分は改定財源にするという前提で組んでいるわけですね。これ......(発言する者あり)いや、そういう考え方だと、今はそういうふうに説明されますけど、少なくとも十二月二十二日の中医協の総会の時点では、厚生労働省としては後発品のある先発薬の引下げ分というのは改定財源と考えていたんじゃないですか。イエスかノーかで答えてください。大臣、お答えいただきたい。
- 大臣政務官(足立信也君)
今の日付で言いますと議員のおっしゃるとおりで、これはその当時検討していた制度の具体的な実施方法についてこう書いていたと。で、二十三日に関係大臣の合意で改定率を決めたということです。
- 小池晃君
だから、一貫してやっていたというんじゃなくて、二十二日の時点では、厚生労働省としてはこれは財源として考えていたわけですよね。それが政府の中の交渉の中で結局変わってしまったと、まさに財務省の手練手管と圧力の中で六百億円の財源が消えてしまったということになるんじゃないですか。
私は何でこんなにこれをこだわるかというと、六百億円分というのは結構大きいわけですよ。これがしっかり改定財源に生かされていれば、後でこれから問題にしますけれども、再診料の引下げ分なんかにこれ充当することできて、十分財源になったわけだし、ほかのところにも回せたはずだというふうに思うんですね。だから私は、これはやっぱりこういう形で、その〇・一九という形の言わば見せかけ上プラス改定だというふうにするんじゃなくて、やっぱりこれはちゃんと財源として取ってこれをしっかり回すべきだったというふうに私は思います。
そういう意味でいうと、これは七百億円のプラスというけれども、結局その六百億円分というのは、まあいろいろと理屈はおっしゃったけれども、少なくとも十二月二十二日まではそれは改定財源だというふうに考えて仕組んでいたわけだから、その時点の考え方でいけば七百億から六百億円引いて結局プラスは百億円にすぎないと。本当に、実態としては本当に実質的ゼロ改定という中身だったんだということは、やっぱり率直にお認めになるべきだというふうに思います。
- 国務大臣(長妻昭君)
これ、〇・一九とかその数字だけ見ると何か小さい数字だというような御議論になるかもしれませんが、この金額で見ていただくと、本体の部分の改定率はプラス一・五五で約五千七百億円プラスになっているわけでありまして、これは前回の改定の四倍以上なんですね。五千七百億円がほとんど微々たるものかというのはまあいろんな価値観があるかもしれませんけれども、その中で、医科には四千八百億円、入院には約四千四百億円、これをプラスになっているところでございますので、そう微々たる数字ではないというふうに考えております。
- 小池晃君
私、冒頭言ったように、マイナス改定に比べればよっぽどこれは前進だというのは言っているわけで、ただ、やっぱり政治が変わった、政権交代だというのであれば、もっとすっきりした形で、こういうことをこんなところで言われないようにきちっとやってほしかったんですよ。
具体的な点数見てもいろいろ問題がやっぱりあって、今医科診療所の再診料の問題言いましたけれども、六十九点に下がったわけですね。マイナス改定続いていますから、診療所の経営も非常に大変なわけです。病院医療も崩壊の危機ですが、診療所も大変です。〇七年の医療経済実態調査では赤字診療所は一七%でしたが、〇九年には二八%に急拡大しているわけで、やっぱりこの地域医療を支えてきた診療所も大変疲弊をしているという実態があるはず。
そういう中で、やっぱり診療所の収入の中では再診料の占める割合は大変高いわけですから、やっぱりこういう形で再診料、六十九点だということではありますけれども、これ下げるということで地域医療に深刻な影響が出るとお考えになりませんか、大臣。
- 国務大臣(長妻昭君)
これは、再診料についてなぜ病院と診療所と違うのかというような考え方があるわけでありまして、それでそれを統一するということで六十九点になったわけでありますけれども、御存じのように、これについて、診療所もそれは夜間など患者さんの受入れに御尽力いただいているところにはそういう地域医療貢献加算というような形でプラスをさせていただいて、それがプラスになると結果としてはその再診料を上回るというようなことにもなるわけでございますので、一概に下げたというわけではありません。
- 小池晃君
再診料は下がっているわけですよね。
その地域医療貢献加算というのが、これがやっぱり私は本当にいかがなものかというふうに思っているんですよ。患者さんに緊急時に連絡先を知らせるとか、あるいは患者さんからの電話などの相談による標榜時間外の対応、つまり夜間対応ができるようにすると、そういうことなわけですけれども、そもそも夜間対応をすることだけが地域医療への貢献なんですか。
- 国務大臣(長妻昭君)
このネーミングですね、地域医療貢献加算というネーミングは、もちろん夜間対応だけが地域医療貢献だというふうにもしこのネーミングが取られるとすれば本意ではないんですけれども、この要件については、これはQアンドAなどでも説明をさせていただいているところでありますけれども、休日、夜間の病院を受診する軽症患者の減少による病院勤務医の負担軽減などの取組を評価をしたものということでありまして、医師による相談が時間外にも受けられることによって勤務医も結果的に負担が軽減されるだろうと、こういうような考え方で設けさせていただいたところでありまして、これだけが地域医療の貢献ではないというのは当然であります。
- 小池晃君
当然だと思うんですよ。ところが、地域医療貢献加算というのは夜間対応で付くというふうになったら、これは受け止められたら困るというけれども、受け止めますよ。やっぱりそういうふうに声上がってますよね、実態として。
私も、この間地域でいろいろと開業医の先生ともお話ししていますけれども、やっぱり地域への貢献という点ではほかにもいろいろやっているんだと。例えば、学校医の引受け、自治体の集団健診、乳幼児の定期健診あるいは夜間輪番制とか夜間診療所への参加という、自分のところでやっていなくてもそういった形で貢献をしていると。
いろいろとそういう仕事をやっているんだけれども、結局夜間対応、いろいろと要件を今議論されているんで、その細かいことについてはちょっと今日議論しませんけれども、しかし、実際に地域医療貢献というのが夜間対応だけで評価されるような仕組みになってしまっていて、一方で再診料が引き下がって今回のような加算ということになると、結局地域の開業医の皆さんが公益活動に参加するということについてこれはやっぱり後退させてしまいかねないような危険があると思うんですが、いかがですか。
- 国務大臣(長妻昭君)
これは、今回新設をしているものもいろいろあるのも御理解いただきたいのは、例えば地域医療の貢献について、退院後早期の在宅患者の医学的な管理に対する評価ということについても新設をしておりますし、地域の救急医療に参加している有床診療所に対する評価というのも新設をしているところでありますんで、あと、先ほどの夜間の体制でありますけれども、例えば、じゃ三、四人のお医者さんが輪番を組んで対応するのはどうなんだとか、いろいろなそれは負担を軽減する対応方法というのもあると思いますので、そういう具体的な要件についてはいろいろ判断がどうなのだという問い合わせも来ておりますので、こちらとしてもその判断についてはQアンドAという形式できちっと説明をこれからもしていきたいと思います。
- 小池晃君
いや、そういうことをされていることは十分承知した上で私言っているんで。ネーミングも大事ですよ。だって、後期高齢者医療制度の怒りというのはかなりやっぱり、実際大臣だって感じていらっしゃるわけでしょう。
私は、こういう形で仕組みをつくっていくということは、本当にその地域の医療、何というか、開業医の皆さん、志くじく、あるいは地域医療の危機に拍車を掛けるということにつながりかねないような部分も、これで全部崩壊するとは言いませんけれども、私はちょっと配慮が余りにも足らない点数ではないかなというふうに率直に言わざるを得ないというふうに思います。ですから、実態の運用も含めて、これは本当に本気で大幅な見直しをやっていただきたいというふうに思います。
是非ちょっと大臣、これ私だけじゃなくて各党から、民主党の議員からも同様の懸念は示されていたというふうに思いますので、予算委員会でも、やっぱりきちんと見直すということを言っていただきたいんですが、どうですか。
- 国務大臣(長妻昭君)
ネーミングについて、地域医療貢献加算ということで、この加算が付いていないと地域に貢献しないのかというようなことではもちろんありませんで、一つの診療報酬にいろんなネーミングがありますけれども、当然そのネーミングの診療報酬が付いていなければそれをやっていないということではないのは、もう当然であります。
我々は、もう来月から新しい診療報酬をスタートするということで考えておりますので、これ検証も必要だということは我々も認識をしておりますので、この診療報酬をスタートさせて、具体的に医療の状況がどう改善されたのかというのもきちっと今まで以上に検証していこうというふうに考えておりますので、今のところまだスタートする前に変えるということは考えておりません。
- 小池晃君
直ちに検証していただいて、柔軟に、新しい政権になったんだから、二年ごとの改定待たずに見直すということも含めてこれは直ちにやっていただきたい。
それから、窓口負担の問題をちょっとやりたいんですけれども、昨日の予算委員会の集中審議で大臣も、国際的に窓口負担高いと。総理はトータルの負担感で考えるべきだというふうにおっしゃっていて、私もそのとおりだと。
トータルで考えれば、例えば国保料、国保税というのは、これは地域によっては四人家族で所得三百万円で四十万円もの保険料取られているところあるんですね。こういう世帯というのは住民税非課税世帯ではないですから、高額療養費の上限があっても月八万百円プラス一%の医療費が掛かってくる。トータルの負担ということでいうと、保険料だけで四十万円超える負担しながら、高額療養費の上限まで行ったら、もうこれはまさに本当に医療を受けられないという事態になっていく。
例えば、高額療養費があるから負担軽減されているんだとおっしゃるんだけれども、住民税非課税でない七十歳以下の在宅酸素療法を受けているような例では、基本的な治療だけでも総点数は一万五千四百五十点。窓口負担三割だと四万六千三百五十円で、こういうケースだと、これは高療の多数該当じゃないから毎月これ掛かってくるわけですね。国保料を払えないで滞納している場合は、この高額療養費支給されても、滞納分に充当されて本人に払われないという自治体が多いんですよ。
そういう中で、やっぱり高額療養費、私たちは三割の負担そのものを下げるべきだと思っていますが、やっぱり高額療養費の上限額をこれ見直す必要があるんじゃないか。これが一点。
それからもう一つは、制限がいろいろ多いんです。複数の医療機関にかかっても、トータルで高療のその上限超えても、一つの医療機関で二万一千円超えなければ合算対象にならないというようないろいろと制限がある、制約がある。
私は、この高額療養費制度について、上限額の引下げと併せて、やっぱりその中身をもっと実態に合わせて負担を軽減する仕組みにするべきだというふうに考えるんですが、大臣、いかがでしょうか。
- 国務大臣(長妻昭君)
この高額療養費については、いろいろそういう議論があって、過去もそういう負担を軽減をしていく措置がとられてきていると思います。一つは、過去十二か月に三回以上高額療養費の支給を受けている方は、四回目の支給に該当するときは更に自己負担限度額を軽減するとしたり、あとは、来月から改めますのは、今まで例えば旧総合病院などにおける自己負担の算定が、診療科単位、つまり診療科ごとに別々に行っているとそれが合算されないということもありましたので、これはもう改めまして医療機関単位で合算するということも取り組もうということであります。
あるいは、このレセプトの電子化というのが推進をすれば、これ自己負担の合算対象基準を、今時点では二万一千円以上という一つの区切りをさせていただいておりますけれども、これも電子化がかなり進展していけば、保険者の余り負担なくその合算ができるということになりますので、そういう進展状況も見ながら検討していきたいと思います。