「『いのちを守る』と言うなら、ただちに国保料の引き下げのための手だてをとるべきだ」―日本共産党の小池晃政策委員長は4日、参院予算委員会で質問に立ち、国民健康保険(国保)について、高すぎる保険料が払えず亡くなる人もいるなど深刻な実態も示し、引き下げを厳しく政府に迫りました。
首相「財源確保に努力」
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小池氏は、国保の保険料が所得300万円、夫婦と子ども2人の4人家族の場合、福岡市で年44万8500円、京都市で44万500円にもなることを示し、認識をただしました。鳩山由紀夫首相は「相当高いという実感はある」と答えました。
小池氏は、高い保険料の最大の原因が国庫負担を約50%(1984年)から25%(2007年)に引き下げたことにあると力説。新政権になったにもかかわらず、来年度予算案で保険料引き下げのために新たに盛り込まれた国の予算はわずか約40億円でしかないことについて「ほとんどすずめの涙だ」と批判しました。
小池氏は、保険料を低く抑えてきた自治体の中にも、今春から引き上げる動きがあること、日本共産党は当面、国費4000億円を投入し保険料を1人1万円引き下げることも提案していることを示し、「高い保険料を払い病気になったら医療費の3割は自己負担。こんな高い負担の国は日本だけだ。国庫負担を増やし、保険料引き下げの措置を」と迫りました。
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鳩山首相は、「財政状況は大変厳しいが、財源確保に努力したい」と答弁しました。
さらに小池氏は、高すぎる保険料を払えない人への保険証取り上げと「資格証明書」発行で、病院窓口での医療費負担がいったん10割になる問題を追及しました。
病院に通えず病状が悪化して手遅れになる人や、自殺者も出ている現実。小池氏は、自殺した男性の部屋に残されていた保険料督促状の束を手に、その無念をつきつけました。
そして、保険証取り上げを決めた97年の国民健康保険法改悪に当時の民主党も賛成したことにも触れ、「深刻な事態を引き起こしたことに胸の痛みを感じないか」と、保険証の取り上げをやめるよう迫りました。
長妻昭厚生労働相は、自治体に対し「払えるのに払わないことが証明された人以外には慎重に対処するようお願いしている」と答弁。小池氏は「命を守るべき医療保険の負担が高すぎて命を落とす。こんな国でいいのか。こんなことは二度と起こしてはならない」と重ねて、取り上げをやめるように求めました。
国民健康保険 自営業者、無職の人たちが入る健康保険で2195万世帯、3949万人(2009年3月)が加入しています。保険料は所得、世帯人数、自治体の財政状態などにより決まります。保険料滞納が続くと保険証が取り上げられ資格証明書が発行されます。約31万世帯に資格証明書が発行されています(09年)。