2009年171通常国会:速記録

母子加算復活法案に対する質疑


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2009年6月25日(木)

紙智子君

 納税者の納得とおっしゃいますけど、多くの世論はどうしてこういうものをほっておくのかというふうになっていると思うんですよ。だから、やっぱり一人一人の実情を見ていただきたいというふうに思うんです。

 それで、次に法案の提出者にお聞きしたいと思います。

 政府は就労促進費で代替措置をとっていると言うんですけれども、それでも二万数千円が一万円とか五千円に減るわけですよ。それによって生活がどうなったということになると、例えば札幌の方で、十六歳になったときにもう支給停止になったと。子供の教育費を確保するために切り詰めるだけ切り詰めて、とにかく本当に自分自身の食べるものを削り、子供にもできるだけ回したいと思うけれども十分に行かないと。で、ある男の子が、そのお母さんの子供が言うそうですよ。進学本当はしたいんだけれども、それは言わずに、お母さん、僕いいよと、いいからねというふうに言われるというんですね。こんなつらい話はないわけです。

 それで、母子加算というのは、一人親家庭であるがゆえに特別に必要な出費を補うためにあったもので、最低生活費に上乗せさせたものじゃないと思うんですよ。そういう意味で、こういうことが子供の貧困にももうつながっていくと、将来の行き先も決めてしまうということは本当に重大な問題だと思っていまして、この点についてお聞きしたいんですけれども、この子供の貧困をずっと連鎖させていくという問題をどう考えるのか。そして、今回の法改正の意義についてお聞きしたいと思います。

委員以外の議員(小池晃君)

 お答えいたします。

 今御指摘がありましたとおり、母子加算の廃止は、母子家庭の子供の就学の機会も奪い、貧困の連鎖を拡大していると思います。

 先ほどより政府からきめの細かい対応が必要なんだという答弁が繰り返されているんですが、それは母子加算の上に更にきめ細かく加算をしていけばいいわけであって、母子加算廃止の理由にはならないというふうに思います。

 母子加算廃止に伴って、今御指摘がありましたように、政府は一人親世帯就労促進費を導入いたしましたが、これは一万円ということで、母子加算二万三千二百六十円の半分にもなりませんし、そもそも今お話があったような病気や障害で働けない世帯には支給をされません。しかも、収入が三万円以下になると五千円に減額されるわけで、この不況の中で解雇が広がっていますけれども、収入の道が閉ざされると行政の助けも打ち切られるという、極めて矛盾した仕組みになっております。この結果、長男が修学旅行に行かないと言っている、高校は卒業させたいと思っているんだけれども、将来が狭まってしまうとか、あるいは生活の不安から高校二年の長男が学校をやめて定時制へ入ろうか悩んでいるという声も寄せられております。

 そもそも今回の母子加算の廃止ですが、消費実態調査を基にして、一般の母子世帯と比較して生活保護費の方が高いからという理由で行われたわけですが、これも先ほどから議論があるように、このデータそのものには様々な問題があって、根拠はもう完全に崩れているというふうに言わざるを得ません。仮に生活保護費の方が高かったとしても、憲法二十五条の最低生活保障の具体化である生活保護水準以下で暮らしている母子世帯が生活保護を受給できていないことこそ行政の怠慢を示しているものであって、母子加算を廃止する理由には全くならないというふうに思います。

 そもそも政府自身が認めておりましたように、母子加算というのは、配偶者が欠けた状態にある者が児童を養育しなければならないことに対応して、通常以上の労働に伴う被服費、片親がいないことにより精神的負担を持つ児童の健全な育成を図るための費用というふうにされていたのであって、貧困の再生産、貧困の連鎖防止が必要というのであれば、まさに母子加算の復活こそ必要だというふうに思います。

 付け加えれば、経済危機対策の中で最も苦しい人を応援することこそ求められる経済対策であって、先ほど九十億円という話もありました。よく言われるように、アニメの殿堂百十七億円ということに使うのが経済対策なのか、やっぱりそういうお金があるんであれば一番苦しい暮らしを強いられている人に使うべきではないか。総事業費一兆円を超えるという外郭環状道路一メートル一億円と、こういったところに経済対策でお金を使うというのは全く間違いであるというふうに思いますので、是非この法案を成立させたいというふうに思っております。

 以上です。

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