2009年171通常国会:速記録

戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法改正案に対する質疑


2009年3月30日(月)

小池晃君

 日本共産党の小池晃です。

 戦没者の遺族に対する特別弔慰金の支給は、遺族の皆さんが受けた労苦から見て当然であります。我が党は、制度創設以来、賛成をしてまいりました。

 個別通知の問題はもう何度か質問がございまして、受給対象者には今回新たに個別に通知するということでありました。

 私、それお聞きしたいのは、その時効問題なんですが、三年の時効があるということを先ほどからも指摘をされてきて、九三年と〇三年の分だけで四百十億円が未払のまま時効になっているわけですね。なぜ時効になったかというと、ちゃんと通知が行かなかったわけで、総務省の恩給受給者名簿とちゃんと照合しておればこれは通知ができたわけで、今回できるということは、今まで何でやらなかったということにもなるわけですよ。

 年金については、これは国のやはり不作為、責任だということで、時効を撤廃するという法律作ったわけですが、この弔慰金、給付金の問題にしても国のやっぱり行政の問題があるし、大本をたどれば、これはあの侵略戦争という間違った国策に犠牲になった方たちの問題であるわけですから、やっぱりこういう事態を放置しておいていいはずないと思うんですね。

 大臣、これはやはり時効を撤廃すべきじゃないかと。先ほど大臣は、法律改正が前に進められればというふうなことをおっしゃったんですが、これは国会でやはりこの法律改正の議論が進むということを、大臣としてはこれは賛成されるというふうに受け止めてよろしいですか。

国務大臣(舛添要一君)

 先ほど民主党のお二方からも御質問ございました。基本的にはこれは国民の総意ですから、国権の最高機関である国会で、例えばこの法律についての時効を決めている条項について改正するということで、それはきちんと議論をすればいい。

 会計法の三十一条との絡みもあります。そのほか国が支給するものについての一般的な会計法上の原則、そしてまた、この法律とほかの法律との平衡。先般、年金記録については、時効を消滅させる議員立法を行いました。そういう形の方向付けというのは、一つのそれは方向だろうというふうに思っております。

小池晃君

 是非、与党の皆さんにも、そういう方向でこの問題を解決する努力をやっぱり立法府としてやるべきだということを申し上げたいと思います。

 続いて、戦争被害の問題で、衆議院の委員会で我が党の高橋議員が東京大空襲の被災者の問題を取り上げまして、大臣は、諸外国ではどうしているのか、ドイツではドレスデン含めてすべて火の海になった、こういう国々どうしているのかと述べられまして、これは、第二次大戦ではナチス・ドイツによって空爆されたロンドン、それから連合軍によってベルリンやドレスデンなどが空襲されたドイツも、各国ともにその国政府が個人レベルまで補償をしております。フランスも補償しています。

 軍人軍属には恩給法や今回のような措置がある。不十分ながらも原爆被害者には被爆者援護法がある。中国残留孤児、邦人の皆さんには支援法がある。何らかの法的支援が、不十分であるけれども、されつつあるわけです。しかし、東京だけでも犠牲者十万人以上と言われる空襲による被害者には何の補償もないわけです。

 大臣、やはり何らかの補償がこれ必要ではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

国務大臣(舛添要一君)

 これこそ非常に難しい問題で、お気持ちはよく分かりますけれども、例えば、私の生まれたところは北九州市で、昔でいえば八幡ですから八幡製鉄所がある。もうそれは毎日のように焼夷弾が上から落ちてきた。たくさん一般の戦災者の方がおられます。こういう方に対してどうするのかということは、それは今、中国残留孤児とか原爆症の方々、特別な事情が、これはそれぞれ説明できる事情があります。

 ですから、東京大空襲含めて全国各地でそういう、例えば焼夷弾によってお亡くなりになられた方々、これに国がどういう形で御支援するのかというのは非常に私は難しいというふうに思います。それはまさに戦争責任論までいって、それは国民全体が財政的にそういう負担をしてでも助けるということであればいいですけれども、非常に難しい問題だということをちょっと申し上げておきたいと思います。

小池晃君

 しかし、法の下の平等ということに照らせば、軍人軍属は補償されるけど民間被害者は補償されないというのはこれは法の下の平等に反すると思うんですよ。

 特別な事情ということでいえば、私、空襲被害者の方からお話聞きました。やっぱり今も恐怖感が残っているというんですよ。今も外出して家に帰るときに、もしかして家がすべて焼けているんじゃないかと心配で脂汗が出るというような原告の方もいらっしゃるわけです。大やけどを隠して生きてきた女性、障害を負っている方も今もいらっしゃいます。苦しみは今も続いているわけです。

 原告の皆さん、これもまた、七十代、八十代、多くは高齢なわけで、今自らの人生、命を懸けて、国の謝罪と補償、犠牲者を追悼する施設をということで裁判も起こされています。私は、これはもうまさに特別な事情に値すると。原爆の被害者と同じようにやっぱり様々な問題抱えていらっしゃる。法の下の平等ということに照らせばこういう人たちにも国としての補償がされるべきだというふうに思いますが、重ねて、やっぱりそういう方向を検討していくと、国としてね、考えていく必要があると私は思いますが、いかがですか。

国務大臣(舛添要一君)

 短めに答えます。

 一つは、歴史の解釈、これは非常に難しい、戦争責任論です。それから、二つ目、私は法の下の平等ではないと思っております。国が徴用して国家のために武器を持たし戦わした軍属と一般の市民とは別だと、法の下には別だと思っております。

小池晃君

 一般の市民も、やっぱり一億火の玉だといって戦争に協力させられたんですよ。空襲が終わった直後に配られた紙には何て書いてあるかと。これね、こういう焼け野原になっていよいよ何もなくなった、これから戦いだ、そういう文書を国が配っているんですよ。私は、軍人軍属だけじゃなくて一般市民だって同じように法の下の平等の下に救済されるべきだと、そういう議論を是非進めるべきだということを申し上げて、質問を終わります。

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