特別養護老人ホームなど介護保険施設の整備を抑制してきた国(厚生労働省)の「参酌(さんしゃく)標準」が撤廃される見通しになりました。長妻昭厚労相は「施設に対するニーズが非常に高まっているということで、地方自治体が自由度をもった一定の判断ができるように...そういうような判断にした」(6月11日の会見)と述べ、6月中に閣議決定される見込みです。
自治体が3年ごとにつくる介護保険事業計画の策定にあたって参考とすべき「適正」なサービス量として国が示してきたのが参酌標準です。給付費抑制のために低い水準が示されてきました。現行の参酌標準は、要介護2~5の人のうち介護保険施設などの入所者の割合を2014年度までに1割減らす(41%から37%に)というもの。
日本共産党は、介護保険制度が発足する前から、特養ホームの待機者が解消しない背景に参酌標準という「現実にあわなくなった無慈悲な基準」(1999年12月6日の衆院予算委員会で志位和夫書記局長=当時)があると批判し、抜本的見直しを求めてきました。
今年3月31日には小池晃議員が参院厚労委員会で、待機者が42万人を超す特養ホームなどの整備目標の引き上げを迫り、「参酌標準をこのままにしておいたら、結局、必要な整備量は確保されないということになる」と見直しを要求。長妻厚労相から「次期施設整備計画を論議する中で今の指摘も踏まえた検討をしたい」との答弁を引き出していました。
全日本民医連の林泰則事務局次長は、「参酌標準は介護サービスを抑制する総量規制の一環でした。これを撤廃するのは当然です」と歓迎します。特養ホームが増えない背景には、(1)建設への国庫補助金がなくされた(2)施設給付費への国の負担が減らされ施設をつくるほど自治体の財政が圧迫される(3)介護報酬が低く労働条件が厳しいため人材が集まらない―などの問題があると指摘。「これらを改め、国が責任をもって施設整備を進めるよう求めていきたい」と話します。