小池あきらは6月22日東京介護プランを発表しました。
東京介護プラン
「安心できる老後へーー東京の深刻な介護の現状を打開する緊急提言」
老後不安のなかで、介護は国民の切実な関心事です。厳しい家族介護で苦闘している人たちにとって、緊急に解決が求められている重大な課題です。
東京をはじめ首都圏ではいま、人口の高齢化が急速に進んでいます。とりわけ東京では、戦後の高度経済成長期に地方から移り住んできた人たちが年を重ね、2025年には高齢者は340万人を超え、都民4人に1人が65歳以上の高齢者となる超高齢社会が到来します。介護体制の整備は待ったなしです。ところが東京では、特別養護老人ホームも、グループホーム、小規模多機能型施設(通いと泊まりができる施設)も整備状況は全国最低水準です。介護の人材不足も深刻で、訪問介護事業所の廃業が相次ぎ、介護体制の維持・存続さえ問われる深刻な事態に直面しています。
大もとにあるのは、歴代政権がおしすすめてきた「構造改革」路線による介護給付費抑制策です。安心できる介護体制をつくりあげていくうえで、社会保障費削減から拡充路線に転換させることが不可欠です。同時に、東京の著しい基盤整備の遅れや人材不足の原因となっている用地確保への支援、全国一の人件費水準や物価高などが正しく反映されない介護報酬の抜本的改善が求められています。大都市東京では、ひとり暮らしや高齢者夫婦だけの世帯が多く今後も増加が見込まれます。この実情をふまえた施策も重要です。
介護保険制度施行10年にあたり、今回、日本共産党国会議員団が実施した介護実態調査(2010年4~5月)の結果で、こうした問題点と解決方向があらためて明瞭になりました。
私は、誰もが安心できる介護体制を確立するために、東京の深刻な介護の現状を打開する緊急重点政策を提言し、実現へむけて都民のみなさんとご一緒に全力をあげます。
■「特養ホームに入りたいのに入れない」という声にこたえます!
特別養護老人ホームを緊急増設 「5ヶ年計画」で待機者解消にメド
東京の介護施設不足は深刻です。特養ホームの待機者は4万3千人を超え、群馬県渋川市の無届けホーム「たまゆら」火災では、行き場のない東京の高齢者が犠牲となりました。
日本共産党国会議員団が実施した介護調査でも、東京の深刻な実態が浮き彫りになっています。特別養護老人ホームの待機者が特養ホーム総定員数の2倍を超える区があります。待機者解消について「見通しがない」との回答は6つの区にのぼり、その他の区もすべて「分からない」との回答でした。多くの自治体が、先行きに不安をかかえ、危機感にかられています。
国に施設整備目標を引き上げさせ、「5ヶ年計画」で待機者解消へ全力をあげます。
東京で介護施設整備のネックとなっているのは、人件費・物価高などによる運営コストが大きいことにくわえ、高い土地代です。この問題の解決に全力をあげます
・特養ホームなどの土地取得費にたいして国庫補助制度を創設します
・国が利用していない国有地が東京23区と多摩地区をあわせて東京ドーム約500個分あります。地域の身近なところに、特養ホーム、グループホーム、小規模多機能型施設などを整備するために、国有地・公有地などの活用を積極的にすすめます。国有地の所在地・面積等の情報を自治体や住民が手に入れやすいよう改善をはかります
・UR公団住宅や公営・公社団地、そして民間マンションなど、都内に多い団地の改修などにあわせて、高齢者介護施設の併設をすすめます
・特別養護老人ホーム建設にたいする国庫補助を復活させるとともに、小規模施設建設むけの国の"補助単価"を実態に応じて引き上げます。一般住宅などを改造してケア付住宅などを提供するとりくみを支援します。
■「住みなれた家で介護を受けながら住み続けたい」という願いにこたえます!
「介護とりあげ」をストップ、高齢者の生活支援を充実
ひとり暮らしの高齢者、認知症の高齢者をはじめ、高齢者が地域で安心して暮らしつづけられるよう、地域ケアの充実・推進をはかることも重要な課題です。
そのために、在宅介護の要である訪問介護事業所への支援を拡充し、24時間365日の
訪問介護サービスの普及をあとおしするなどの対策をつよめます。
国が推進してきた「介護給付適正化」の名のもとで、東京でも、同居家族がいるという理由で食事支援などの「生活援助」が利用できなくなる事態が各地で生まれました。高齢者の生活と尊厳を守るにふさわしいサービスを十分に提供できるようにすべきです。
・日本共産党は、ローカルルールといわれる自治体の「生活援助」切りすてについて、関係者の運動とむすんで国会で政府の責任を追及し、この結果、厚生労働省は、数度にわたって自治体に適正な運営にあたるよう通達をだしました。この趣旨の徹底をすすめます。
同居家族がいても、就労などの実態をふまえ、調理・洗濯・掃除などの「生活援助」が利用できるよう法令に明記します。「院内介助」を介護保険の給付として明確に位置づけます。気分転換のためのヘルパーによる散歩同行を認めるよう国の基準を明確化します。
・給付抑制のしくみになっている要介護認定を廃止し、現場の専門家の判断で提供できるようにします。支給限度額の見直し・廃止をすすめます
・ ひとり暮らしや高齢者のみ世帯などのために、安心・安全の地域ネットワークづくりをすすめます。緊急警報装置やケア付住宅の整備・促進、高齢者の見守り・支え合いなどの住民のとりくみを、行政が責任をもって支援することも必要です。
■介護労働者の待遇改善をとの願いにこたえます!
東京の人件費、物価水準などを反映した介護報酬へ抜本改善
介護の人材不足は大きな社会問題になっていますが、とりわけ東京は深刻です。介護職の有効求人倍率は2.40倍で全職業の0.55倍を大きく上回っています(09年度)。
日本共産党の介護調査では、訪問介護で7割の事業所が「人材不足」と回答し、東京の事業所から、「募集しても人が来ない」、「サービスの依頼があっても、応じられない」などの声が数多く寄せられました。介護の人材不足が高齢者の生活にも重大な影響を及ぼしはじめています。
最大の原因は、介護保険施行10年の間に、介護報酬が2度も切り下げられたことにあります。政府は2010年度に介護報酬を3%引き上げ、「介護職員処遇改善交付金」を発足させましたが、深刻な事態を解決するにはまったく不十分です。
くわえて東京の場合、全国一の賃金水準や全国一の物価高などが介護報酬に反映されず、実態に合わない低い介護報酬がおしつけられてきたことが大きな問題です。
日本共産党は、介護の人材不足と事業所の経営危機打開へ全力をあげます。
・介護職員の賃金を月4万円引き上げます。そのために公費を投入する措置を講じます。
・介護報酬の見直しは、加算や対象職員を限定するというやり方ではなく、介護報酬の本体の底上げをはかります。
東京で、介護施設・事業所経営の悪化の原因になっている地域区分ごとの単価に人件費比率をかけあわせるという介護報酬決定のしくみは撤廃します。23区でも、多摩、島しょ部でも、全国どの地域でも実態にふさわしくなるように引き上げることが重要です。
・介護施設の人員配置基準を利用者3人に職員1人(3対1)から2対1以上へと改善をはかります。
■「お金がないため介護をうけられない」という人をなくします!
介護保険料・利用料の減免制度を国の制度として確立する
「食費負担が重くて、デイサービスをやめた」「利用料が高くて特別養護老人ホームに入れない」など重い利用料負担に悲鳴があがっています。介護保険料負担も深刻です。低い国民年金、リストラ、失業など都民の貧困化がすすむなか、改善は急務です。
日本共産党の介護調査では、「重い負担を理由にサービスの利用を抑制している人がいる」と7割を超す事業所が回答してきました。民主・自民・公明の3党が2005年に介護保険法を改悪し、食費と居住費の全額自己負担化を導入した責任が厳しく問われなければなりません。
日本共産党は、重い負担を理由に介護が受けられない事態をなくすため全力をあげます。
・国の責任で所得の低い人にたいする保険料・利用料の減免制度をつくります。東京の多くの自治体で保険料・利用料の独自減免制度が実施されていることは、この課題が住民の切実な要求であることをしめすものです。
・食費・居住費の全額自己負担化をやめ、元に戻します。特養ホームなどの低所得者むけ「補足給付」の充実やグループホーム利用者などへの家賃補助などをただちにつくります。
■介護の財源に消費税の増税は必要ありません
年5兆円の軍事費にメス、大企業・大資産家への優遇税制をただして確保
介護の基盤整備、介護報酬の引き上げなどの制度改善が、保険料や利用料の値上げにつながらないようにするためにも、国庫負担割合をひきあげることは不可欠です。
介護調査でも、「国民の保険料・利用料負担は限界。国庫負担の増額を」の声が事業所、自治体でも最多でした。日本共産党は、介護保険への国の負担をただちに10%引き上げ、公費負担割合を当面60%まで引き上げます。
民主党は、自民党にならって、消費税を10%引き上げると言い出しました。消費税は、高齢者・国民に重い負担を強いる生活破壊の税金です。しかも、ねらいは福祉のためどころか大企業減税の穴埋めです。絶対に許せません。
日本共産党は、年5兆円にのぼる軍事費や1メートル1億円もかかる東京外環道計画などの浪費にメスを入れ、大企業や高額所得者に応分の負担を求めることで介護の財源は十分に確保できると主張しています。消費税の増税は必要ありません。
介護制度の改善は、介護労働者の賃金をふやし、雇用を生み出すとともに、介護を理由にした離職をなくす、基盤整備は地域経済の振興にもつながるなど、日本経済にとっても「一石二鳥、三鳥」の効果があります。社会保障の充実で経済を発展させる道こそ、21世紀に日本がめざす道です。