鳩山由紀夫首相は7日、鹿児島県徳之島の3町長と首相官邸で会談し、米海兵隊普天間基地「移設」問題で同島への訓練移転を正式に要請しましたが、3町長は拒否しました。日本共産党の小池晃政策委員長は同日の記者会見で、会談について「『移設先』探しは完全に破たんした」と、批判しました。
首相は席上、「海兵隊の連携性があり、(普天間基地のヘリ部隊が)沖縄から遠くに行くのは不可能。機能の一部を遠くないところに移転したいので、徳之島にお願いしたい」と表明しました。
これに対して3町長側は、普天間基地の移設に反対する2万5800人分の署名(島民人口約2万6千人)を提出し、「徳之島の民意は移設反対」(大久(おおひさ)幸助・天城町長)などと述べて反対を表明しました。また、伊仙町の大久保明町長は、「基地をあそこに移す、どこに移すということでなく、軍縮に向かうべきだ」と述べ、政府の「移設先」探しを批判しました。
首相は、「2万5800人の民意を大切にしたい」と述べる一方で、「徳之島の皆さんが考え直してもらえるように努力する」と述べ、徳之島への一部移転に固執しました。
さらに、「今後も意見交換したい。政府案はまだ決まっていないので、決まった段階で説明したい」と述べたのに対して、大久保町長は「これ以上、お会いする必要はない」「島の民意は絶対に変わらない。これからますます、反対の気持ちが強くなるだろう」と拒否。徳之島町の高岡秀規町長らも、「何度会っても平行線だ」と述べ、首相とのこれ以上の会談はないとの考えを表明しました。
会談には、徳之島の3町長以外に鹿児島県の伊藤祐一郎知事、自民党の徳田毅衆院議員らが出席。政府側から平野博文官房長官、松野頼久官房副長官らが同席しました。
鳩山首相は先月28日、徳田虎雄元衆院議員に対して、普天間基地所属の海兵隊ヘリ部隊1000人の移転案を表明しましたが、4日の日米外務・防衛実務者協議で米側が難色を示し、「訓練移転」案が新たに浮上しました。
米側から明確な見解は示されていませんが、軍事的な所要に加えて、「地元の合意」を強く求めています。