今年は、介護保険10年目の見直しの年です。法改正に向け、介護保険のあり方を考える取り組みが行われています。そのなかで、日本共産党が昨年2月に提案した要介護認定制度の廃止が共感を広げています。
東京都内で開かれた政策討論会「介護保険法改正に向けて」(12日)では、日本共産党の小池晃参院議員が力説した認定制度の廃止が主催者や会場の共感を呼びました。
討論会を主催したのは「介護保険を持続・発展させる1000万人の輪」。利用者・労働者・事業者・行政など介護にかかわる幅広い個人と団体でつくる全国組織です。同会は3月31日に提言を発表。その柱の一つとして、保険で受けられるサービスの上限を決める要介護認定を将来的に撤廃する方向を打ち出しました。
討論会では、主催者代表の樋口恵子「高齢社会をよくする女性の会」理事長が各党にこの提言への意見を求めました。
小池氏は、自ら明らかにした厚生労働省の内部資料で、要介護認定が給付抑制の手段に使われていることが明白になったと指摘し、「コンピューターによる介護度の判定には合理性がない。もうやめましょう」と呼びかけました。
「必要な介護はケアマネジャーが判断すればいい。そのためにはケアマネジメントの公平性・中立性を担保する必要があります。ケアマネジメントだけで生活していける水準の報酬を確保し、専門性を後押しすべきです」と小池氏が語ると、「うーん」とうなずきながら納得の表情の参加者たち。「それぞれの人にオーダーメードのケアプランをつくり、サービスを提供する決断に踏み出すべきではないか。要介護認定にかけている経費も浮き、一石二鳥三鳥です」との提案に、会場は拍手で応えました。
各党は「試行錯誤でやっていくべき」(自民)、「認定の簡素化は当然」(公明)、「(簡素化の場合も)基準を考えなければ」(民主)、「個々に応じたオーダーメードでやればいい」(社民)などと主張。昨年4月の認定制度改悪に世論が猛反発しただけに、現行制度を是認する政党はありませんでした。
主催者代表の白澤政和・大阪市立大学大学院教授は、「私は要介護認定廃止論者です。ある意味で小池さんと随分近い」と話しました。
小池氏が「要介護認定廃止の方向が大きな流れになりつつあると実感しました」と結ぶと、会場からはひときわ大きな拍手が起きました。