生活保護利用者が病院などに通う際の交通費を給付する医療扶助の「移送費」について、厚生労働省が、2008年の改悪でつけた厳しい制限規定を撤廃する社会・援護局長通知を出していたことが、25日までに分かりました。
通知は12日に都道府県知事らにあてて出されたものです。
医療扶助の移送費の支給は、07年に北海道滝川市で起きた不正受給を口実に08年4月、「局長通知」によって、災害現場からの緊急搬送、離島などで症状が重い場合など特殊な四つのケースに限定されました。それ以外は例外扱いとされ、福祉事務所管内の医療機関に限るなどとされました。
通知が出される前から、「生活保護の切り下げになる」「打ち切られたら医者にかかれない」という激しい批判と撤回を求める運動がおき、日本共産党の小池晃参院議員が国会で繰り返し撤回を求めるなどした結果、実施直後に是正期間を設けることになり、「必要な是正の措置を講じる」「一律に支給を認めないといった誤った取り扱いをしない」とする「送り状」が出されていました。
しかし、導入された制限を原則撤廃するものではなく、地方によって運用にばらつきなどがありました。今回の通知は、「認められるべき必要な交通費が支給されない事案等が見受けられた」として、08年の「局長通知」そのものを改正し、そのときにつけられた制限を原則撤廃するものです。
運動の成果
小池晃参院議員の話 今回の通知は、私たちが指摘してきたことが正しかったと政府も認めざるをえなくなったものです。「医療を受ける権利を奪うな」「命綱を断ち切るな」と大きく広がった運動と日本共産党の国会論戦の成果です。
今後は、この通知を周知徹底していく必要があります。日本共産党は今後も、生存権を守るために力を尽くします。
■関連キーワード