後期高齢者医療制度で、保険料を滞納して保険証を取り上げられ、有効期限を縮めた「短期保険証」を発行された高齢者は全国で2万8203人に上ることが厚生労働省の調査でわかりました(表)。日本共産党の小池晃参院議員の求めに対して同省が19日までに資料を提示しました。
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通常の保険証は有効期限が1年ないし2年ですが、短期証では6カ月、3カ月、1カ月と短くなります。窓口負担は通常の保険証と同様ですが、期限が切れれば無保険状態になります。後期高齢者医療制度の保険料は、多くが年金からの天引き(年金額月1万5000円以上の場合)となっています。滞納者は、保険料を自分で納める必要のある低所得者が中心とみられます。
後期高齢者医療制度(75歳以上)では、特別な事情がなく保険料を1年間滞納した場合、保険証を取り上げて資格証明書を発行することが法律で決められています。資格証明書では、病院でいったん医療費の全額(10割負担)を支払わなければなりません。
「高齢者から保険証を奪えば死に直結する」(08年12月の参院厚労委で小池晃参院議員)との批判を受けた厚労省は5月、保険料の軽減措置を受けている人など低所得者には原則として資格証明書を交付しないよう求める通知を各都道府県の広域連合に出しました。
一方で、保険料取り立ての「対策を効果的かつ効率的に行うため」、短期証交付を「繰り返し行うこと」を求めました。短期証は市町村の窓口で手渡すことを原則とするなど、保険料の納付を執拗(しつよう)に迫るものです。
短期証の発行件数は10月1日現在のもの。最も多いのは兵庫県の4446人。次いで大阪府4150人、広島県1896人となっています。
資格証・短期証の発行中止を求める運動が各地で取り組まれており、宮城・群馬・千葉・東京・神奈川・新潟・福岡の7都県は発行ゼロとなっています。
民主党中心の新政権は後期高齢者医療制度の廃止を明言したものの、新制度ができるまで先送りする動きが表面化しています。日本共産党はすぐに廃止するよう求めています。
発行ただちに中止を
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小池晃参院議員の話 高齢者は病気にかかりやすく、重症化しやすいのですから、正規の保険証の取り上げは生命の危機に直結します。受療権の侵害は憲法25条違反であり、許されません。
短期証の期限が切れて、次の保険証が交付されなければ、事実上の無保険となってしまいます。資格証はもちろん、短期証の発行もただちに中止すべきです。
発行ゼロの都県もあり、たたかいの展望も示されています。資格証・短期証の発行中止を求める各地でのたたかいを進めましょう。そして、このような害悪をもたらす後期高齢者医療制度は即時撤廃に追い込みましょう。