厚生労働省が十六日に発表した国民健康保険(国保)の二〇〇七年度財政状況(速報値)によると、保険料(税)を払えない滞納世帯が約四百五十三万世帯(〇八年六月時点)と加入世帯の20・9%にのぼり、厚労省が把握している一九九八年以降で初めて二割を超えました。
保険料の滞納を理由に保険証を取り上げられ資格証明書を発行された世帯は、三十三万八千八百五十世帯。保険証取り上げへの国民の批判と運動を反映し、前年より千四百三十五世帯の微減。しかし、一一三カ月などの期限付きの短期保険証の発行は前年比7%増と大幅に増えて約百二十四万二千世帯にのぼりました。
資格証明書、短期保険証をあわせると全世帯の7・3%(前年比1・4ポイント増)が正規の保険証を取り上げられていることになります。
一方、保険料の収納率(金額ベース)は90・49%で三年連続アップ。保険料の取り立てが厳しくなっているにもかかわらず、高すぎる保険料のために滞納世帯が増え、正規の保険証を取り上げられる世帯が増える結果になっています。
都道府県ごとにみると、資格証明書の発行率(平均1・6%)は、もっとも少ない長野、沖縄両県が0・1%で、最も高い栃木が4・1%となっています。短期証では山梨、熊本、沖縄の各県が10%を超えています。
国負担増やし引き下げよ
日本共産党の小池晃政策委員長の話 五世帯に一世帯が保険料を払えないのは、保険料が高すぎるためであり、制度そのものに問題があることがはっきりしたと思います。国民の一割近くが保険証を取り上げられているのでは、国民皆保険は実質的に崩れているといえます。一九八四年の国保法の改悪以来切り下げられてきた国庫負担を増やして保険料を下げるとともに、命を脅かす保険証のとり上げはただちに中止すべきです。
資格証明書と短期保険証 保険証にかわって発行される資格証明書では、病院の窓口で、かかった医療費の全額を払わなければなりません。あとから七割の払い戻しを受けますが、滞納していた国保料として徴収されることもあり手元に戻らないのが実情。短期保険証は有効期限が短く、期限切れの度に更新しなければなりません。