2009年172特別国会:質問主意書及び答弁

社会保険新宿診療所の売却問題に関する質問主意書


質問第一号

社会保険新宿診療所の売却問題に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

 平成二十一年九月十七日

小池 晃

 参議院議長 江田 五月 殿

社会保険新宿診療所の売却問題に関する質問主意書

 全国の社会保険病院(五十三ヶ所)及び厚生年金病院(十ヶ所)は、現在「年金・健康保険福祉施設整理機構」に移管され売却対象とされているが、対象病院の利用者や関係者から公的存続を求める声が相次ぎ、同様の請願も多数寄せられてきた。日本共産党は地域医療体制が大きく立ち遅れた中で、対象病院を売却するのでなく、公的に維持・運営し拡充すべきであると自民・公明政権に繰り返し求めてきた。二〇〇五年六月の衆議院厚生労働委員会の附帯決議では「合理化計画については地域の医療体制を損なうことのないように」とされ、今後のあり方をめぐって今日まで論議が続き売却は行われていない。しかし前政権のもとで、診療所については同じ医療機関にも関わらず次々に売却され、唯一残った社会保険新宿診療所についても、今年八月五日に一般競争入札が実施された。ところが入札者がなく不成立だったことから、総選挙投票日直前の八月二十八日に、年金・健康保険福祉施設整理機構の判断で最低売却価格を当初の三十二億四千五百万円から、その二割にあたる六億四千五百万円も引き下げ、二十六億円での入札公告(受付期間八月二十八日~十月九日、入札日十月二十二日)を再度行っている。ついては、同診療所の入札に関し、以下質問する。

 新宿診療所の最低売却価格について、一回目に三十二億四千五百万円とし、第二回目に二十六億円としたそれぞれの理由・根拠を示されたい。
 今回の六億四千五百万円もの最低売却価格の引き下げは、「拙速なタタキ売り」との批判を免れず、これまで同機構が国会で答弁してきた「保険財政に資すること」という売却方針にも反したものとなるのではないか。
 先の総選挙の際の民主党マニフェストでは、社会保険病院等は削減せず、公的に存続させるとしていた。今回の新宿診療所の入札は中止して、診療所も社会保険病院と一体の扱いとするべきではないか。
 今後、関係者の不安を取り除き、安定した運営を行う上でも、厚生年金病院、社会保険病院、社会保険診療所、社会保険介護老人施設、看護専門学校等の新保有者を、国の責任で早急に決定し、各施設の職員全員の継続雇用についても確保していくべきではないか。

  右質問する。


答弁書第一号

内閣参質一七二第一号

 平成二十一年十月一日

内閣総理大臣 鳩山 由紀夫

 参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員小池晃君提出社会保険新宿診療所の売却問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。

参議院議員小池晃君提出社会保険新宿診療所の売却問題に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの社会保険新宿診療所(以下「新宿診療所」という。)の最低売却価格については、不動産鑑定評価の手法に基づき設定されたものであるが、その詳細については、これを明らかにすることにより適正な入札の実施が困難となるなど、独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構の業務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあることから、お答えを差し控えたい。

二について

 新宿診療所の最低売却価格については、一についてでお答えしたとおり、不動産鑑定評価の手法に基づき設定されたものであり、「拙速なタタキ売り」との批判や「「保険財政に資すること」という売却方針にも反したものとなるのではないか」との指摘は当たらないものと考える。

三について

 社会保険病院等については、現在、地域医療の確保を図る等の観点から、今後の取扱いについて検討しているところである。一方、社会保険診療所については、新宿診療所のみが存続しているが、その譲渡により地域医療の確保に支障が生ずるとは考えられず、その入札を中止して社会保険病院等と同様の取扱いとすることは考えていない。

四について

 三についてでお答えしたとおり、社会保険病院等については、現在、地域医療の確保を図る等の観点から、今後の取扱いについて検討しているところであるが、最終的な取扱いの決定に際しては、「独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構法案に対する附帯決議」(平成十七年六月十五日衆議院厚生労働委員会)も踏まえ、施設に従事する者の雇用にも十分配慮することとしている。

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