質問第一四四号
国家公務員宿舎を活用した離職者への緊急的支援に関する質問主意書
右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。
平成二十一年四月二十三日
小池 晃
参議院議長 江田 五月 殿
国家公務員宿舎を活用した離職者への緊急的支援に関する質問主意書
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昨年来、経済危機と不況を理由にした大企業の派遣切り・非正規雇用切りが大量に行われている。政府発表では六月末までに十九万二千六十一人もの労働者が仕事を失うとされ、離職に伴って会社の寮や借り上げアパート等を退去させられる人たちも急増している。
政府は住居喪失者のための貸付制度を設けてはいるが、要件が合わない人たちは新たな住居を確保することもできず、住所が確定していないために仕事に就くこともできないなど、深刻な事態が推移している。
舛添要一厚生労働大臣は、離職者のための緊急住居確保対策として雇用促進住宅などの活用とともに、昨年十二月財務大臣に対して、国家公務員宿舎を活用した離職者への緊急的支援を要請した。財務省は十二月二十六日に、財務省理財局長名で「・・・関係地方公共団体が離職者に一時的に住居を提供する場合においては、関係地方公共団体の要請に基づき、貸出可能な国家公務員宿舎(合同宿舎)を緊急的に使用させることができるとし、別添のとおり財務局長等に通知したので了知されたい。ついては、各省庁においても現下の厳しい経済状況や雇用情勢を踏まえ、所管の省庁別宿舎について同様の取扱いにより適切な対応を図られたい。」との通達(財理第五三八〇号)を発出した。しかし、これまで活用できる国家公務員宿舎の全体の規模や利用実態は明らかになっていない。緊急策として政府が行っている空き宿舎活用の状況は広く周知されるべきであり、とりわけ離職者に対しては、速やかに効果的に知らされ、遅滞なく活用されることが必要と考える。よって以下の通り、政府に質問する。
- 一
- 離職者への国家公務員宿舎の利用を促進するために、政府が現在どのような広報活動を行っているか明らかにされたい。
- 二
- 貸出可能とした国家公務員宿舎の省庁別・都道府県別利用可能宿舎数及び四月二十日現在の離職者の入居戸数を明らかにされたい。
- 三
- 初期費用の有無を含め、使用者が支払う使用料金の上限・下限額及び平均額について明らかにされたい。
- 四
- 離職者の国家公務員宿舎の利用に関し、その空き室状況や利用料等の周知と活用促進について、地方公共団体または各省庁まかせにすることなく、政府として責任をもって行うべきと考えるが、政府の見解を示されたい。
右質問する。
答弁書第一四四号
内閣参質一七一第一四四号
平成二十一年五月一日
内閣総理大臣 麻生 太郎
参議院議長 江田 五月 殿
参議院議員小池晃君提出国家公務員宿舎を活用した離職者への緊急的支援に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
参議院議員小池晃君提出国家公務員宿舎を活用した離職者への緊急的支援に関する質問に対する答弁書
一について
国家公務員宿舎を活用した離職者への緊急的支援については、要望のある地方公共団体に対して国家公務員宿舎の使用許可を行い、当該地方公共団体において離職者への貸出しを行うものであり、政府としては、貸出し可能な国家公務員宿舎について、関係地方公共団体に直接情報提供を行うとともに、ホームページへの掲載や報道発表を行っているところである。
二について
関係地方公共団体に対して情報提供を行った貸出し可能な国家公務員宿舎の省庁別・都道府県別の戸数は、財務省所管の合同宿舎は七百七十五戸であり、その内訳は、北海道に百二十三戸、青森県に四十戸、岩手県に三戸、宮城県に七戸、山形県に三十一戸、福島県に十三戸、茨城県に百八十七戸、群馬県に七戸、埼玉県に六戸、千葉県に五戸、東京都に五戸、神奈川県に六十二戸、新潟県に七戸、福井県に六戸、長野県に一戸、岐阜県に二十三戸、静岡県に五戸、愛知県に十五戸、滋賀県に十七戸、兵庫県に二十四戸、和歌山県に五戸、広島県に四戸、山口県に四戸、徳島県に八戸、香川県に七戸、愛媛県に十七戸、高知県に六十戸、福岡県に十戸、佐賀県に十二戸、長崎県に十二戸、熊本県に一戸、宮崎県に四戸、鹿児島県に三十八戸、沖縄県に六戸であり、内閣府所管の省庁別宿舎は八戸であり、その内訳は、東京都に五戸、沖縄県に三戸であり、総務省所管の省庁別宿舎は、千葉県に三戸であり、法務省所管の省庁別宿舎は五戸であり、その内訳は、長野県に一戸、鹿児島県に四戸であり、財務省所管の省庁別宿舎は百五戸であり、その内訳は、千葉県に四十三戸、東京都に五十六戸、福岡県に三戸、熊本県に三戸であり、厚生労働省所管の省庁別宿舎は二百戸であり、その内訳は、北海道に二戸、青森県に五戸、岩手県に七戸、山形県に二戸、千葉県に二十三戸、東京都に四戸、新潟県に九戸、富山県に二戸、石川県に六戸、山梨県に一戸、長野県に四戸、三重県に四戸、滋賀県に八戸、京都府に五戸、大阪府に十五戸、兵庫県に十八戸、和歌山県に十一戸、鳥取県に八戸、島根県に二戸、岡山県に三戸、広島県に四戸、山口県に三戸、徳島県に一戸、愛媛県に十八戸、高知県に八戸、福岡県に二戸、佐賀県に四戸、長崎県に九戸、大分県に二戸、宮崎県に五戸、鹿児島県に五戸であり、農林水産省所管の省庁別宿舎は三十八戸であり、その内訳は、北海道に一戸、秋田県に二戸、福島県に二戸、茨城県に二戸、長野県に二戸、静岡県に一戸、和歌山県に一戸、岡山県に六戸、長崎県に二戸、熊本県に十戸、宮崎県に二戸、鹿児島県に七戸であり、経済産業省所管の省庁別宿舎は三十九戸であり、その内訳は、北海道に二戸、愛知県に三戸、大阪府に十九戸、広島県に十五戸であり、国土交通省所管の省庁別宿舎は九十八戸であり、その内訳は、北海道に三十二戸、青森県に六戸、岩手県に八戸、宮城県に七戸、秋田県に四戸、山形県に二戸、福島県に二戸、茨城県に一戸、栃木県に六戸、千葉県に二戸、東京都に一戸、新潟県に五戸、愛知県に六戸、広島県に三戸、愛媛県に七戸、高知県に六戸である。
このうち、平成二十一年四月二十日現在の入居戸数は三戸であると承知している。
三について
入居する離職者から地方公共団体が徴する使用料等については、当該地方公共団体において決定されるものであるが、地方公共団体より宿舎に係る使用料として国が徴することとしている金額は、平均額で約一万二千百四十四円であり、最高額四万八千円から最低額千九百四十円までとなっている(いずれも平成二十一年三月現在の一戸当たりの月額)。
四について
政府としては、貸出し可能な国家公務員宿舎について、関係地方公共団体に直接情報提供を行うとともに、ホームページへの掲載や報道発表を行っているところである。一方、貸出し可能な宿舎の空き室状況や使用料等の周知及びその利用促進については、使用料等の条件等は地方公共団体において決定されること、当該地域の事情や各宿舎の管理状況等を踏まえて対応していく必要があることから、関係地方公共団体及び関係省庁等が連携しつつ、地域において適切に行っていくべきものと考えている。