日本共産党の小池晃政策委員長が六日の参院予算委員会で行った基本的質疑を紹介します。(Movie)
小池 西松献金の偽装を知っていたのか、小沢氏に説明責任がある
小池晃議員 西松建設の企業献金が大きな問題となっております。法務省に最初にうかがいます。逮捕された西松建設の国沢幹雄前社長の被疑事実を説明してください。
大野恒太郎・法務省刑事局長 被疑者国沢幹雄は、岡崎彰文(西松建設元総務部長)らと共謀の上、西松建設が国会議員の資金管理団体である「陸山会」に対し「新政治問題研究会」の名義で政治活動に関する寄付を行うことを企て、平成十八年十月ころ、「新政治問題研究会」の名義で「陸山会」名義の銀行口座に百万円を送金し、もって西松建設において本人の名義以外の名義で政党および政治資金団体以外の者に対して政治活動に関する寄付をしたというものであると承知しております。
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小池 パネル(左図)に示しましたが、西松建設は、一九九三年のいわゆるゼネコン汚職の際に副社長が逮捕され、有罪となりました。これを契機に、政治家への献金で西松建設の名前が出ないようにと、九五年に「新政治問題研究会」、九八年に「未来産業研究会」を立ち上げました。この二つの団体の責任者は、いずれも西松建設のOBであります。
この二つの政治団体は二〇〇六年に解散するのですが、それまでの間、与野党の政治家に対して約四億七千八百万円もの資金がいっています。資金は、海外でつくった裏金、あるいは社員にいったん会費という形で出させてボーナスで補てんするということが報道されている。つまり、二つの政治団体の名前を使って違法献金を行っていたということになります。
西松建設の公共事業完工高はいくらですか。
小澤敬市・国土交通省審議官 平成十九年度において元請けとして請け負いました公共工事の完成工事高は九百三十六億九千八百八十七万円でございます。
小池 一千億円近いわけです。そのお金がこの二つの団体を通じて政治家に回る。まさにこれは公共事業の無駄遣いにつながるわけですし、税金が献金という形で政治家、政党に還流する。これは許し難い、一刻も早く禁止すべきことであります。
この件で民主党の小沢一郎代表の会計責任者が逮捕されました。一昨日(四日)記者会見が行われましたが、国民が納得する説明はなかった。西松建設からの献金が政治団体からの献金であるかのように偽装されたのではないか、受け取り側もそのことを知っていたのではないか、あるいは西松建設と共同して行っていたのではないか。私たちとしては、小沢代表と民主党に国民に対して説明責任を果たす、このことを求めていきたいと思っています。
小池 二階経産相のパーティー券は、実際は西松が購入したのではないか
二階経産相 知らない、いちいちせんさくしない
小池 800万円もらって「知らない」では国民は納得しない
小池 関連政治団体から資金提供を受けていたのは小沢氏だけではありません。多数の政治家、団体に渡っています。
これ(下のパネル)は二つの政治団体の政治資金収支報告書から作成したものであります。〇四年から〇六年の三年間です。多数の国会議員が二つの政治団体から資金を受けている。これが実際には西松建設からの政治献金ではないのか。小沢代表のケースと同じ疑問が生じるわけです。
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パーティー券についてはどうか。最も多くのパーティー券を購入しているのが、二階俊博経済産業大臣が代表を務める政治団体「新しい波」です。三年間で八百三十八万円に上ります。
二階大臣、収支報告書では「新政治問題研究会」と「未来産業研究会」がパーティー券を購入したことになっていますが、これは実際には西松建設が購入したものではないですか。
二階経産相 「新しい波」というのは私も所属しておる政治グループでありますが、そのグループが開催しましたパーティーにご協力をいただいたものだと思っております。
それは私たちのグループの国会議員やあるいは元国会議員、あるいは秘書、または支援いただく多くの方々がそのパーティーのためにご協力をいただくわけであります。個々の寄付がどういう形で納められたかということについていちいち承知しておるわけではありませんが、正規に政治団体が許された範囲においてパーティーを開いて、それはきっちり政治資金規正法に基づいて報告をしているところであります。
小池 知らなかったと、ちゃんと報告しているんだと。小沢代表と同じような説明をされるわけです。何か調べるのが大変かのように言うけれども、「新しい波」のパーティー券を買っていった政治団体はそんなに多くないですよ。
報告書で調べると、日本医師連盟、道路運送経営研究会など六団体です。問題になっている二つの団体を含めて八団体にすぎない。しかも、その中でもこの二団体は飛び抜けて多いんです。
八百万円ものパーティー券を買ってもらって、何でこれが分からないのか。提供してくれる団体がどういう団体なのか、どういう性格の資金なのか分からないで受け取るのですか。これは、国民から見て納得いかない。どんな団体なのか知らないというのは。そんな説明は、通用しないと思います。大臣いかがですか。
経産相 八百いくらということをおっしゃいますが、それはいっぺんにどこかのパーティーであったというのではなく、われわれのグループの中には、大阪の人たちもおりますし、名古屋の人たちもおりますし、東京の人たちもおります。
それぞれのところでパーティーを開催し、そういうところの集計でありまして、これだけの額を知らなかったのかということでありますが、私は、それはいちいち詳細にわたって存じ上げているわけではありません。
えたいが知れないものを受け取るとは無責任
小池 ちゃんと調べています。「新しい波」の「イン大阪」「イン愛知」「イン東京」。年に三回ぐらいしかやっていないではないですか。一つ一つの規模、ものすごく大きい。全部の報告書見たんです。八団体しかない。そのうち二団体が突出して多い。けた違いです。分からないという説明で納得できますか。
経産相 これは政治団体で、そこに事務局長とかそういう関係者がいて、そういう人たちで運営されておるわけでありますから、私がいちいちその出し入れをチェックしたり、あるいは報告書を検討しているわけではありません。
お話のような事実であるかどうかということはまたよく聞いてみますが、私たちはいちいち、パーティーを開いて大勢の参加者がおいでをいただいた中で、それがどういう人であったかこういう人であったかということをいちいち確認するということはほとんど難しいことだと思っています。
小池 そんなことを聞いていないんですよ。パーティー券を買った政治団体は、八団体しかない。そのうち突出しているのは二団体です。
では、それが西松建設との関係がなければ一体どういう団体だと考えるんですか。八百万円もお金を出してくれている、もうお得意様じゃないですか。そこのことを知らないと言われても、これはだれも納得できません。
経産相 存じ上げないものは存じ上げないのであって、そして関係者にその辺はまた詳しく聞いてみたいと思っております。個別の寄付やパーティー(券)の購入についていちいち今日まで報告を受けておりませんので、私ども、詳細にわたって知るところではありません。
小池 詳細にわたって説明してくれと言っていないんです。根本的なところが、八百万円も買ってもらったところだったら、それが報告いかないというのはおかしいじゃないですか。おかしいと思いませんか、どうですか。
経産相 何とか政治団体と、こういう名前が列挙されておりますが、それについて、これは一体何の政治団体か、だれがやっているのかと、そういうことをわれわれせんさくし、いちいち調べたことはないと、こういうことです。
小池 到底納得できないですね。八百万円ものパーティー券を買ってくれて、一体どういう団体なのか分からない。どういう資金が出てきたのか、もうえたいが知れない。そんなものを受け取るというのは私、極めて無責任だと思いますよ。逆に言えば、分からないで受け取っていたんだったらものすごく無責任な話じゃないですか。
返還するというがどこに返すのか、西松か
小池 二階大臣に聞きますが、西松建設の国沢幹雄前社長とは面識ありますか。
経産相 面識はあります。
小池 同じく西松建設におられた風間森夫さん、神田行道さんとは面識ありますか。
経産相 大変失礼ですけれども、私は面識の記憶はありません。
小池 風間森夫さんは新政治問題研究会の代表です。神田行道さんは未来産業研究会の代表。面識はないと。
面識もないような人が代表者をやっている政治団体が八百万円を超えるパーティー券を買ってくれると。私だったら不思議に思いますが、不思議に思わなかったんですか。
経産相 われわれが、政治献金をしていただいた人とか政治のパーティー券を買っていただいた方、これをすべてオープンにしてしかるべき届けをしておるわけです。いちいちそれをせんさくすることはいたしておりませんが、われわれ、今日こういうふうなことでご議論を呼んでおるわけでありますから、「新しい波」としては、本意ではありませんので、昨日この会派で相談をして全員一致でこれを返却するということを決めて、今法律家と相談をし、その手続きを取ろうとしておるところであります。
小池 返せばいいという問題ではない。しかも、返すと言うけど、二つの団体とも解散したんですよ。ないじゃないですか。どこに返すんですか。西松建設に返すんですか。(笑い)
経産相 だから、今そういう点について法律家と相談する。これは正規のパーティーに、パーティー券を購入していただいたんですから、本来返す必要はないんです。しかし、それでも道義的に、こうした状況の中においてわれわれはやはり返却をするというのが妥当だろうという会派の一致した意見でありますので、私もそれで結構だと、こういうことにしているわけであります。
小池 道義的な問題とは何ですか。
経産相 私は昨日その会議に出ておりません。予算委員会の関係でお昼に開かれた会でありますから出ておりませんが、その会議の模様を報告いただいた方からそういう話をうかがったわけであります。
小池 自民党の派閥というのはこんなにいいかげんなものなんですか。八百万円ものパーティー券を買ってもらって、一体どこのどなたか知らない、どんなお金か分からない、道義的な責任と言われても一体何なのか説明もできない。
小池 政党支部も資金管理団体も右と左のポケットの違い。企業・団体献金禁止を
麻生首相 悪と考えていない
小池 まったく反省がない
自民の政治資金団体が、献金元を西松と同じ住所で届け出ていた
小池 総理は一昨日(四日)の記者会見で、「カネの話が政治に対する不信につながるというのは大変残念なことだ」とおっしゃった。今の二階大臣の説明で不信は払しょくされましたか、国民は納得すると思いますか。
麻生太郎首相 たびたびこれまでもお答えしておりますが、個別の事案について、小池先生、コメントすることはありません。したがいまして、個別の事案についてコメントすることは差し控えさせていただきます。
一般論として申し上げれば、政治団体が法令にのっとって寄付やパーティー券代というものを受け取ることを含めて政治活動を行うということに関しては、何ら問題はないと理解しております。
小池 一般論で済む話じゃないじゃないですか。閣僚の疑惑ですよ。閣僚が代表をやっている派閥の疑惑なんですよ。
しかも、人ごとじゃ済まない。個別事案ではないんです。自民党の政治資金団体である「国民政治協会」は二〇〇三年に「新政治問題研究会」から五百万円の献金受けています。ご存じですか。
首相 存じません。
小池 「国民政治協会」が献金を受けた〇三年の政治資金収支報告書では、「新政治問題研究会」の住所はどこですか。
門山泰明総務省選挙部長 平成十九年七月十一日付に「国民政治協会」から訂正願が出ておりますが、訂正前の住所は「港区虎ノ門一の二〇の一〇」と記載されております。
小池 西松建設本社の住所はどこですか。
小澤国交省審議官 登記事項証明書によりますと、同社の本店の所在地は「東京都港区虎ノ門一丁目二十番十号」となっております。
小池 同じじゃないですか(議場内にどよめき)。総理、一般論で済ませる問題じゃないですよ。「国民政治協会」というのは自民党の政治資金団体です。そこが、「新政治問題研究所」の住所を西松建設と同じ場所で届け出たんですよ。これは、一体の政治団体だと自民党の政治資金団体が認識していたということではないですか。説明してください。
首相 ご指摘の住所の誤りというものにつきましては、寄付をした政治団体、新政治問題研究会が間違った住所を伝えてきたためとの報告を受けております。
小池 そんな説明ではこれは済みませんよ。
だって、西松建設と同じ住所で何の疑問も持たずに総務省に届け出を出したんです。この問題は自民党の問題ですから、他人事じゃないですよ、総理。国民に対する説明責任は、この問題では総理にあるんです。
この問題では民主党にも自民党にも自浄能力が問われていると私ども思います。お互いに疑惑にふたをすることは許されない。
なぜ西松建設と同じ住所で届け出たのか、一体の団体だという認識が当時あったのではないか、このことについてきちっと調査して報告してください。どうですか。
首相 今の段階で細目を詳しいわけではありませんが、詳細について必要であれば党の方できちんと説明させたいと存じます。
小池 必要です。国民が疑惑を持ちますよ。ちゃんと説明してください。もう一回答えてください。
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首相 重ねて申し上げます。
詳細につきましては党の方で説明される、必要であれば、と申し上げました。
小池 必要であります。委員長に申し上げます。西松建設の献金をめぐる疑惑を解明するための集中審議を開いていただきたい。
溝手顕正予算委員長 お申し越しの件につきましては、後刻理事会において協議させていただきたいと思います。
小池 今日取り上げた問題を通じて、やはりこれは疑惑があります。今のような、こんな説明では納得できないですよ。個別にだれが受け取ったか、個々人の名前まで説明しろと言っているのではないのです。極めて大口の目立っている団体が、いったいどのような団体であったか知らない、どういうお金だったか分からないが八百万円もらっていた、国民は絶対にこんな説明では納得できないんです。
根本にあるのが企業・団体献金の問題です。利益追求を目的とする企業が、見返りも期待しないで多額の献金をするわけがないですよ。そういう意味では、必ず企業献金はわいろ性を伴う。ましてや、公共事業受注企業からの献金というのは税金の還流です。なおさら許されないわけです。
民主党の小沢代表は記者会見で、「政治団体からの寄付だと思ったから資金管理団体で受け取った。企業献金だという認識であれば政党支部で受け取ったはず」といいました。
これは結局、政党支部も資金管理団体も「右のポケット」、「左のポケット」ということにすぎないということで、今までの改正が何の規制にもなっていないということだ、と私は思います。
しかも民主党は、二〇〇二年にわが党とともに公共事業受注企業からの献金を禁止する法案を提出しています。〇四年には民主党単独でも提出しています。ですから私は納得できないんです。この間、政治とカネの問題が出るたびごとに規正法の改正が繰り返されてきましたけれども、疑惑は後を絶ちません。
総理、やはり企業・団体献金の禁止、ここに踏み込むべきだと思いますが、いかがですか。
首相 私は、基本的に企業、団体からの献金が悪と考えているわけではありません。
政党本位、政策本位というので、政治というものを目指す政治改革の理念などなど踏まえて、政党および政治資金団体に対しては企業、団体は、資本金などの額に応じて定められた限度額の範囲で献金できると決められております。一方、これら以外の政治家個人、資金管理団体、その他の政治団体に対しては企業・団体献金が禁止をされている。
いずれにいたしましても、政治資金の在り方につきましては、民主主義のコストというものをどのように国民に負担をしていただくのかということで、こういう観点から各党、各会派においてご議論いただくべき問題だと考えております。
政党の堕落もたらす政党助成金は廃止を
小池 全く反省がないと思いますね。この間の「政治とカネ」の問題が繰り返されてきたその根源に切り込むこともできない。しかも、企業・団体献金を禁止するから政党助成金をつくると言ったではないですか。政党助成金、赤ちゃんからお年寄りまで一人当たり二百五十円、総額三百二十億円です。政党助成金を始めるときに、これは企業・団体献金をやめるためだと言ったのに、その禁止には背を向けて政党助成金は受け取り続ける。先日、与謝野馨大臣は、「自ら努力しないで獲得できる政治資金があるのは、政党のある種の堕落を招くのではないか」といいました。まさに堕落だと思いますよ。私ども日本共産党は受け取っていない。これは廃止すべきです。
少なくとも、こういう事態になって、この際、自民党も民主党も政党助成金を返上すべきです。政党助成金を廃止をするという道に踏み込むべきだということを日本共産党はこの場で強く求めて、質問を終わります。