Dr.小池の世直し奮戦記
こんなときに消費税増税? 許せません!
「いつでも元気 2011.8 No.238」より

Dr. 小池の世直し奮戦記/こんなときに消費税増税? 許せません!

 震災の救援・復興の真っ最中にもかかわらず、「消費税増税を」という、とんでもない案が浮上しています。

2010年代なかばまでに10%!?

 最初は「被災地支援のため」が看板でした。しかし「被災者も増税になる」「景気が悪化し復興にもマイナス」などの批判がわきおこると、かわって出てきたのは「社会保障のため」といういつもの看板。政府が急ぐ「税と社会保障の一体改革」の議論を受けたもので、「2010年代なかばまでに消費税率を10%に引き上げる」という具体的な提案までされています。
 しかし政府が提案する「社会保障改革案」には、医療費の窓口負担増や年金の支給開始年齢の引き上げ、生活保護制度の支給額の引き下げなど、大改悪案がゾロゾロ。これでは「改革」が終わってみれば、社会保障の大改悪と消費税の増税だけが残ることになりかねません。だいたい、消費税は導入時も五%に引き上げられたときも「社会保障のため」と言われましたが、社会保障が良くなったためしなどないのですから。

消費税だけ「北欧並み」に

 さらに政府は消費税についてこれまで以上に踏み込んでいます。将来的には「社会保障給付にかかる公費全体について、消費税収を主たる財源とする」と。「消費税の社会保障目的税化」です。
 実はいままでも消費税は名目上、「基礎年金、老人医療、介護の三分野に使う」ことになっていました。しかし「消費税を社会保障に使う」ことと「社会保障の財源は消費税でまかなう」ことは、まったく意味が違います。社会保障の公費負担をすべて消費税でまかなうことになれば、税率一〇%ではとても足りません。果てしない増税に道を開きます。
 確かにヨーロッパには社会保障が充実しており、消費税率も高い国があります。しかし消費税(付加価値税)だけで社会保障の財源を生み出している国はありません。
 たとえば北欧のデンマークやスウェーデンでは、社会保障に対して使われている税金は対国内総生産(GDP)比でそれぞれ二一%、一六%と日本の二~三倍もありますが、消費税は四%余りにすぎません。消費税以外の所得税や法人税など「その他の税」が豊かな社会保障を支えているのです。
 一方、日本で「税と社会保障の一体改革」が実施されても、社会保障に使われる税金は二〇一五年で九・三%(対GDP比)。これはデンマークの半分以下で、イギリス、ドイツ、フランスなどより低い。それなのに消費税だけは四・三%(対GDP比)と、スウェーデンやデンマークに追いつくのです(グラフ)。社会保障は先進国で最低水準なのに、消費税だけは北欧並み。こんな将来像を受け入れるわけにはいきません。

税金のゆがみ、ただしてこそ

 政府がめざす社会保障の姿は「消費税頼み」のゆがんだものです。消費税には、低所得者ほど負担が重くのしかかる「逆進性」があります。社会保障の財源にふさわしくありません。社会保障をよくするには、ヨーロッパのように所得税や法人税などを増やさなければ。大企業や大資産家に対する行
きすぎた減税をあらためて、「能力に応じた負担」を求めることこそ必要です。
 「社会保障」を口実にした消費税増税を許さないために、ご一緒にがんばりましょう!

グラフ

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