産所廃業の危機(07年度末)に動く
「小池さんはここにも訪ねてくださいました。とても親しみがもてる方。お茶を飲みながら腹をわってしゃべれて、熱く語り合える人だと感じました。あちこちでそういうことをされているのかなと思い、政治家って、こういう人をいうのかしらと思うんですよ」。こう語るのは、東京都国分寺市の「母と子のサロン 矢島助産院」院長の矢島床子(ゆかこ)さん(65)です。
感動の瞬間
地域に開かれた、家庭的な雰囲気の助産院。開設して20年、3800人を超える赤ちゃんをとりあげてきました。女性の産む力を最大限に引き出し、心と体で産むことを感じるお産が信念です。
矢島さんは、話します。「へその緒がついたわが子を自分の手でとりあげて胸に抱く。『よし、この子を絶対に守っていく』という感動の瞬間。母と子のきずな、新しい家族への思いは、生涯心に残ります。心満たされるお産の現場を広げていきたい。少子化対策、子育て支援は、個人にお金を配るだけでいいという問題じゃない」
矢島さんは、職業に就いてから政治に関心を持つようになりました。身近な地域に豊かなお産の現場を守ろうと、〝偉い人〟のいうことでも納得できないことは「おかしい」と言い続けてきました。
2006年医療法改悪により、助産所は嘱託医師と連携医療機関を確保しないと開業できないと定められました。施行を前に07年3月の参院厚生労働委員会で小池さんがとりあげました。全国で3割の助産所が嘱託医師と連携医療機関が確保できないでいる実態を明らかにし、営業できなくなる助産所がでないよう、国としての対応を要求しました。
1年間の経過措置が設けられていましたが、終了目前の08年3月、小池さんは質問主意書を提出。連携医療機関が確保できず廃業の危機にさらされていた助産所(全国284カ所中27カ所)への対応を政府に約束させました。
ねばり強さ
矢島さんは「小池さんは現場のことをよくご存じです。現場の要求に対応し、すぐに国会で質問してくれます」と語ります。矢島さんは、出産育児一時金の直接支払い制度をめぐる医療機関の負担軽減・適用猶予を実現した小池さんの質問も印象に残ります。
出産育児一時金は、出産した人がいったん医療機関に出産費用を払った後に、医療保険からの払い戻しを受け取る仕組みでしたが、09年10月からは妊産婦の負担軽減のため、医療保険から医療機関等に直接支払う制度に変わりました。医療機関等にとっては実際の出産日から入金まで最長で2カ月待たされることから資金繰りなど経営に影響がでると問題になっていました。
小池さんは、09年9月と今年3月に質問主意書を提出し、医療機関・助産所の負担軽減や制度の改善、制度の適用猶予を繰り返し求め、事態を動かしてきました。現在、来年3月までの猶予期間が設けられています。矢島さんは「うちでも運転資金のため500万円の借金をしました。地域の中小医療機関・助産所をつぶしていっていいのでしょうか。小池さんの粘り強さはすごいと思っています」と話します。
いつも体に触れているなど産婦に寄り添うお産を実践する矢島さんの願いは、国・自治体、地域医療が一体となり、産む女性と子を支える組織づくりです。「国民の底辺をみて歩き、大きく国を変えていく政策を打ち出せる政治家が増えてほしいですね」
(2010年05月20日・しんぶん赤旗)