装請負流れ変えた厚労省交渉
トヨタ系列の自動車部品メーカー、光洋シーリングテクノ(徳島県藍住町)。この過酷な生産現場に請負会社から送り込まれ、年収200万円前後の低賃金で働いていた労働者二十数人が2004年9月、JMIU(全日本金属情報機器労組)徳島地域支部に結集しました。
労働者たちへの作業指示はもちろん、請負会社の採用面接・解雇までテクノ社が関与していました。請負なのに実態は労働者派遣。職業安定法と労働者派遣法に違反する偽装請負です。JMIU光洋シーリングテクノ関連支部(現在、組合員45人)代表の矢部浩史さん(45)は「労働条件の改善、『テクノ社には直接雇用する義務がある』と繰り返し申し入れました」と振り返ります。
解雇を覆す
テクノ社が「請負だから」「雇用関係はないので交渉しない」と言い張る中、組合は05年12月、徳島労働局に偽装請負を申告しました。しかし徳島労働局はテクノ社に直接雇用を求める是正指導ではなく「適正な請負にする」との姿勢でした。
同年12月末には請負会社(1社)がテクノ社からの撤退を表明、労働者全員に解雇を通知してきました。違法な偽装請負の申告に対する報復は許さないとの新たなたたかいが始まりました。
流れを変えたのが小池さん。年が明けた06年1月18日、厚生労働省交渉に加わった小池さんは「労働者の願いはテクノ社で正社員として働くことだ」と強調して筋の通った行政側の対応を求めました。厚労省は「雇用の安定を最優先に違法状態の是正を求めていく」と約束しました。
矢部さんは「小池さんの交渉で、流れが雇用の安定を守る方向に変わりました。別の請負会社に移籍されることで、なんとかぼくらの雇用はつながりました」といいます。
たたかいは続き、全労連など支援の輪が広がります。日本共産党国会議員団は現地調査や国会質問を繰り返しました。こうした中、光洋シーリングテクノは06年8月、直接雇用することでJMIUと合意しました。
いったんは解雇を通知された人たちが、労働組合のたたかいと、小池さんをはじめ、大門みきし、仁比そうへい両参院議員など党国会議員団の調査と論戦の力で、正社員への道をこじあけることになったのです。
直接雇用は06年10月から始まり、これまで契約社員になったのは87人。正社員にも07年末から毎年登用させ、52人が採用され、組合員の半数が正社員となっています。
待遇改善へ
矢部さんは「さらなる直接雇用を迫り、全組合員が1年近く『団結』のハチマキをしめた時もあります。みんなを正社員にするまでたたかう。非正規労働者全体の待遇改善につながるよう頑張りたい」と決意を語ります。
日本共産党国会議員団は、不安定で低賃金の非正規雇用が増大し、偽装請負など違法な働かせ方が横行する問題を、現地調査や労働者から直接聞きとり早くから告発してきました。07年10月には「偽装請負の根絶と正社員化を求めるプロジェクトチーム」を結成、小池議員はその責任者として奮闘。キヤノン、いすゞ自動車、日亜化学の工場や本社に乗り込みました。
矢部さんは、いいます。「紋切り型の行政の対応に、ぼくらはすぐぷちんと切れます。派遣への規制強化、待遇の改善を求めるぼくらの気持ちをくみ取って、きちんと代弁してくれるのが小池さんです。何回も会っていますが、弱い者、働く者の頼もしい味方です」
(2010年05月05日・しんぶん赤旗)