【Dr.小池の日本を治す!】普天間基地は「無条件撤去」しかない
米軍普天間基地の移設先について、鳩山由紀夫首相は「腹案がある」と繰り返してきましたが、その「腹案」なるものが、名護市キャンプ・シュワブの沿岸に基地をつくることだということがハッキリしてきました。
鳩山首相は「普天間『移設』先は国外、最低でも県外」だと言ってきましたが、これは、民主党の公約ではないと弁明をはじめました。しかし、選挙のときに党首討論で言明したことが政党としての公約でないとすれば、国民はいったい何を基準に政党を選んだらいいのでしょうか。これほど国民・沖縄県民を愚弄(ぐろう)する話はありません。
◆沖縄にも、日本のどこにも「移設先」はない
二重三重に県民、国民を裏切るこのような言動を許すわけにはいきません。
私は、4月25日の沖縄県民大会に参加しました。沖縄の皆さんの地鳴りのような怒りの声を肌で感じてきました。
沖縄県民の願いはもはや明白です。県民大会には、沖縄各地の議員が自民党から共産党まで、まさに党派を超えて参加しました。県知事を先頭に41の市町村長(代理含む)もすべて参加したのです。
鳩山首相は日本の総理大臣です。米国の州知事ではありません。沖縄県民の思い、日本国民の意思を踏まえて、今こそ決断をすべきではないでしょうか。
米軍普天間基地は、さきの戦争で住民が避難している間に、米軍が勝手に土地を接収して、不法に基地にしてしまいました。占領下における略奪や私有財産の没収を禁じる「ハーグ陸戦法規」違反です。戦時国際法を破って不法につくった基地なのですから、「移設先を探さなければ出ていかない」などという権利は米側にはありません。引っ越し費用は自分で出していただいて、引っ越し先は自分で見つけていただいて、荷物をまとめて出ていっていただくというのが物の道理です。引っ越し先を日本のほうで用意しようとするから、どんどん話がこんがらがっていくのです。
◆海兵隊は「抑止力」ではない
鳩山首相は「沖縄の海兵隊は抑止力として必要」といいます。しかし、「沖縄の海兵隊は日本の防衛には充てられていない」(ワインバーガー国務長官、1982年4月)のです。事実、米国が先制攻撃の戦争をするときに、いつもその先頭に立って出ていきました。ベトナム戦争、湾岸戦争、アフガニスタン戦争、イラク戦争、いつでもそうでした。
そもそも米国の海兵隊の実戦部隊は3つの「海兵遠征軍」で組織され、海外に司令部があるのは沖縄の第三海兵遠征軍だけです。その部隊の多くが、いまも世界中に演習などで派遣され、沖縄を不在にしています。日本を守ることと関係のない、侵略のための軍隊ならば、いらないではないか。
◆米国に道理をつくしてものを言う政治こそ
この問題では、米国に"ものがいえない"政治の問題をつくづく感じます。
国連のNPT(核不拡散条約)再検討会議にあたって、日本共産党の志位和夫委員長が共産党党首として初めて訪米しました。それに先立ち米国大使館に行き、ルース米大使に対して、普天間の基地は日本のどこにも受け入れる場所はない、無条件撤去をと主張してきました。
翌々日には鳩山首相と党首会談を行い、そのやりとりを伝えたのですが、首相は「私たちの頭のなかには共産党のようなすっきりした答えはつくれない。ぜひ(そのことを)米国で言ってきてください」というのです。
その後、志位委員長はアメリカに行って沖縄の思いを伝えました。鳩山首相は沖縄に行って米国の代弁をしました。どちらが日本の代表のすべき仕事だったのでしょうか。
日本共産党は決して反米ではありません。米国とは対等・平等の当たり前の関係をつくっていこうではないか、このことを訴えている政党です。
普天間の海兵隊の基地は無条件撤去させる、それを第一歩に、米国に対して正々堂々とものがいえる当たり前の政治をつくっていこう。日本共産党はそのために全力をつくす決意です。
(フジサンケイビジネスアイ 2010年5月24日掲載)
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