企業数の99%、雇用の7割を支える中小企業が生き生きと活動できる社会であってこそ、日本全体も豊かに発展することができます。ところが、この10年あまり、日本は、「強い企業を育てれば日本経済は強くなる」という「構造改革」路線を突っ走ってきました。
政治の役割は一部の「強い企業」を応援することだとされ、大企業への税制優遇や雇用の規制緩和などが行われました。1999年には、日本共産党以外のすべての党が賛成して、中小企業基本法が改悪されました。
そうして、大企業は史上最高益を更新し、97年から2007年までの10年間で、内部留保は142兆円から229兆円に積み上がりました。ところが、日本全体で見ると、雇用者報酬は5.2%減り、国内総生産(GDP)も0.4%しか増えていません。これは他の先進国と比べても異常です。
◆中小企業支援で経済の健全な成長を
「大企業が成長しても、経済全体としては成長しない」-。普通の国ならこんなことはありえません。それが日本で起きているのは、大企業が異常なもうけ方をしているためです。非正規雇用や賃金カット、際限ない「単価たたき」など、労働者と中小企業へのまともな還元を伴わないもうけ方が、「大企業栄えて国滅ぶ」という異常事態を生んでいるのです。
私たちは22日に新しい中小企業政策を発表しました。その柱は、大企業と中小企業の公正な取引を保障するルールをつくることです。これは、単に中小企業を「守る」ためだけではなく、中小企業への適切な還元を通じて、日本経済全体の健全な成長を実現するものです。中小企業支援は、私たちの「成長戦略」の大事な柱の一つです。
誤解が多いのですが、私たちは、決して大企業を敵視しているわけではありません。むしろ、その役割の発揮が、かつてなく求められている時代だと思っています。
人口減少、グローバル化、地球温暖化など、日本は多くの課題を抱えています。中小企業が多彩な役割を発揮するとともに、大企業が大事業体ならではの社会的責任を果たすことは、日本社会にとって必要不可欠です。ただし、個々の企業任せではすみませんから、政治がルールをつくって流れを促進する必要があります。こうしたルールの中で役割を発揮してこそ、大企業も持続的に発展していけると思います
◆リース代支払い猶予を実現
日本共産党は、機械設備のリース料や借り工場の家賃補助など、町工場への緊急支援を繰り返し求めてきました。鳩山内閣は、当初は消極的でしたが、16日にリース業界に対して、「中小企業金融円滑化法」の趣旨を踏まえて、リース料の支払い猶予などに応じるよう「要請」を行いました。リース会社に努力義務を課すものではありませんが、リース料の支払い猶予に道をひらくものです。
町工場の方々の運動と私たちの論戦でつくりだした第一歩であり、引き続き固定費への直接補助をもとめて奮闘したいと思います。
00年以降、全国50近い自治体で「中小企業振興条例」が制定されています。共通するのは、「条例をつくって終わり」ではなく、経営者が主人公となって粘り強い対話と共同を広げ、地域独自の中小企業振興策を実現していることです。
いま鳩山内閣は「中小企業憲章」をつくっていますが、「仏つくって魂入れず」では困ります。幅広い方々との対話と共同を広げて、中小企業を本格的に支援する政治を実現したいと思います。