私はこういうやり方にやはり社会保険庁、厚生労働省がいかに年金の受給権というのを軽んじているかということがはっきり出ているように思うんです。
それから、その組織的な関与ということについてですが、やっぱり背景にあるのは、やっぱり組織的に、とにかく徴収率を向上させる、その一本やりでやってきた、それがあると思うんです。
ここに私持ってまいりましたのは社会保険庁が作成した滞納処分マニュアル。これを見るとどんなことが書いてあるかというと、例えば、融資が決まらない場合は銀行に確認するんだと。これにより融資が実行されないという心配もあるが、融資がなかなか決定しないということはそれだけ事業所の状況が悪いということだと。銀行に社会保険事務所が連絡したら企業にとっては大変なことになるじゃないですか。それから、旅館やホテルは予約受付用の電話加入権の差押えは効果的であると、こんなことも書いてある。倒産直後は売掛金等の財産が多く存在する場合が多く差押えを行ってもトラブルが発生する可能性は少ないことから保険料の回収には絶好のチャンスである、こんなことも書いてある。
やり取りの例も載せられていて、会社の方から差し押さえられれば会社はつぶれる、社員のことはどうでもいいんですかと聞かれたらば、倒産を意図して行う処分ではありません、結果的にそのような事態に遭遇することはあり得ると思いますが、だからといって処分を見送ると差押えができるとする法律は有名無実化し、行政としては対抗できないこととなってしまいます。申し訳ありませんが、自力で問題解消を図るべく御検討くださいと、こういう対応をしろと。まさに倒産に追い込むようなこういうやり方を具体的に指南しているわけですよ。
私は、こういうことから見れば、結局、この背景にあるのは、これだけぎりぎりぎりぎりもう徴収率を上げるために、もうサラ金まがいですよ、このマニュアルは。こういう形でやってきて、恐らく報奨金なんという話もあったけれども、そういうこともやったんでしょう。とにかく徴収率を上げろ上げろという中でやっぱりこれは生まれてきた。事務局を挙げて徴収体制の強化一本やりという号令が結局国民の年金権はないがしろにすると、年金正しく給付するという業務よりも、徴収率を〇・何%でも上げるということが最優先だと、こういう中で今日の事態がまさに生まれてきた。まさに組織的な社会保険庁全体の体質の表れじゃないかというふうに私は思うんですが、大臣、いかがですか。