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169通常国会 厚生労働委員会 大臣所信に対する質疑

  • 原爆症新基準/原告全員の認定を/小池氏、厚労相に決断迫る/厚生労働委(関連記事)
  • 後期高齢者医療制度/中止・廃止一刻も早く/参院委で小池議員(関連記事)
  • 生活保護/通院移送費は不可欠/小池参院議員、削減撤回求める(関連記事)
2008年4月1日(木)

小池晃君

 日本共産党の小池晃です。

 通告ちょっとしていないんですけれども、先ほど足立議員の質問を聞いて、私も今日たまたま同じような例を聞いたんです。ちょっと紹介したいんですけれども。

 その方は、六十歳の誕生日の直前のいわゆるターンアラウンドで、おととし十一月に来て、それ見たらば自分のかつて勤めていた私立大学の勤務歴が入っていないと。この大学にも問い合わせて私学共済にも確認をして社会保険事務所にも確認して、これ確認されたと。これ、おととし十一月。ところが、またねんきん特別便が送られてきて、全く載っていなかったというんですね。

 だから、先ほどそういう実例を紹介されたら、何かごくまれなケースであるかのような、何百万分の一だというような答弁したんだけれども、実はこれ我が党のテレビでおなじみの穀田恵二国対委員長の実例なんですよ。だから、私がよく知っている人でもう次々出てくるわけですよ、こういうケースが。だから私、本当にこれ、先ほど足立議員は照会しただけで統合していないんじゃないかとおっしゃったけれども、まさにそういう事態になっているんじゃないでしょうか。

 結局、年金の裁定のときまでほっておいて最後に帳じり合わせればいいという、今までそういうことで社会保険庁仕事やってきたわけだけれども、まさにそういう事態が何も変わっていないということなんじゃないですか。

 私、それを強く感じたのは、実は私の家にもねんきん特別便が来たんですよ。これ私の妻の分で、一回しか職場変わっていないんだけれども、その前職八年分の厚生年金が全く消えているんですよ。そんな昔の話じゃないですよ。

 だから、そういう意味でいうと、本当に社会保険庁のやっぱり仕事の仕方というか、これは政策以前のまさに私は実務の問題だと思っていますが、結局年金というのは、最後、年金裁定のときに帳じり合わせると、それまではもう記録がどうなっていても知らない、構わないと。

 そういうことでいえば、先ほど足立議員が指摘したように、それまでにもし亡くなったりしたらば大変な損害が起こってくるし、実際、裁定のときに間に合わずに正しい年金が払われていないということが広がったわけでしょう。

 私、こういう根本問題やっぱり今も変わっていないんじゃないかというふうに思わざるを得ないんですが、どうですか。

国務大臣(舛添要一君)

 また新たにそういう例が出たということで本当に驚いておりますけれども、ちょっとこれは精査をしてきちんと対応したいと思います。

 ただ、まさに、今手抜きをしてもどうせ先の話だと、年金の支払自体がね。それから、裁定も先ほど言ったように最後の裁定でできると。そういうことの積み重ねがずっと来ているんで、これはもう一人一人の職員のモラルから含めてきちんとやり直さないといけないと思いまして、厳しく指導をしてまいります。

小池晃君

 いや、これ職員のモラルの問題というより、やっぱりそういう業務の考え方自体が、これは結局、裁定のときに帳じり合わせるっていうそういう考え方が、私は、いまだに変わっていないから、ごく最近でもこういうこと続いているんだろうというふうに思うんですよ。ここ根本的に見直さないと私この問題解決できないというふうに思っておりますし、何か驚いたとおっしゃるけれども、そんな珍しくないんです、これだけ次々出てくるんですから。本当に深刻な問題だというふうに指摘をしておきたいというふうに思います。これは引き続きちょっとこの問題を取り上げたいと思うんですが。

 後期高齢者医療制度が今日から始まると。これ予算委員会でも私取り上げまして、七十五歳という年齢だけで切り離す世界で例のない制度だということも指摘をしましたが。

 あのとき予算委員会でも、被用者保険の加入者の場合、七十五歳以上の加入者の場合は、七十四歳以下の扶養家族は被用者保険の資格を失って国民健康保険に加入手続が必要になるということを指摘しましたが、こういう手続が後期高齢者医療制度が始まることによって必要になる人は全体で約何人なんでしょうか。

政府参考人(水田邦雄君)

 お尋ねの後期高齢者医療制度の創設に伴いまして被用者保険の被扶養者から市町村国保に移行する方の数でございますけれども、約七万人と見込んでおります。

小池晃君

 七万人。その場合、その扶養家族は自動的に国保加入の扱いになるのか、それとも御自身で加入手続が必要になるのか、お答えください。

政府参考人(水田邦雄君)

 ただいま申し上げました被用者保険の被扶養者が市町村国保に移行する際の手続についてのお尋ねだと思いますけれども、まず事業主から健康保険組合等の保険者に対しまして資格喪失届を提出する。次に、当該健康保険組合等から対象者に対しまして資格喪失証明書を交付する。三番目に、当該対象者から居住地の市町村に対しまして、資格取得の届書に資格喪失証明書を添えて提出をするということによって行われるものでございまして、この手続は、被用者保険の被保険者が、市町村国保に加入したことに伴いまして、会社を退職するというようなことに伴った場合、その被扶養者が市町村国保に移行する場合と同様でございます。

小池晃君

 いや、私は同様でないと思うんですよ。会社を退職して脱退して国保に加入するのと、国が一斉に制度を変えることによって強制的に出される、そういうことを同列に論じることはできないと思うんですね。

 今の説明で分かるように、これは御本人が国保加入の手続をしないと無保険者になっちゃうわけですね。これは七万人の規模で今日発生している可能性があるわけですよ。これ、私は非常に重大な問題ではないかなというふうに考えるんですが、国が責任を持って無保険にならないような措置を講ずるべきじゃないですか。

政府参考人(水田邦雄君)

 当省といたしましては、この手続が円滑に行われるように、二月二十日付けで健康保険組合等の被用者保険の保険者に対して通知を発出しておりまして、必要な作業の確認をいただくようお願いしたところでありますし、また先日でございますけれども、これまで市町村等からの個別の照会に対しまして、先ほど申し上げました手続を原則としながら、事前に相談があった場合には柔軟な対応をお願いする旨お答えしてきたことがございますけれども、これを各保険者に対して改めて周知徹底を図ったということでございます。

小池晃君

 先日といっても、三月二十八日なんですよね、通知出したのはね。それで四月一日でしょ。これでどれだけ対応できるというのか。

 大臣、しかも、柔軟な対応をするって、手続柔軟にしたとしても、あくまで御本人が役場に、市役所とかに行って国保加入の手続をしないと、これ保険からはじき出されるわけですよね。私、国の制度変更に伴うものであるのに、こういう仕事を加入者に責任を負わせるのは筋が通らない話ではないかなというふうに思うんですが、大臣、こういう形で無保険者が大量に出てくる。これ、国の責任で、今のような対策では私は手ぬるいというふうに思うんですが、いかがですか。

国務大臣(舛添要一君)

 これは、市町村の協力もいただき、きめ細かくこれは制度の周知徹底を図り、やはり国民の皆さん方にも協力していただいて、今委員がおっしゃったような保険でカバーできない人を出さないと、そういう方針でやっていきたいと思います。

小池晃君

 国民の協力を得てって、国民からは後期高齢者医療制度にもう大変な怒りの声が上がっているんですよ。そういう中で国民に協力をお願いするって、私、筋違いだと。

 今日資料でお配りしましたけれども、これは一枚目、二枚目に載せたのは、茨城県医師会の病院で配られているチラシなんです。「後期高齢者医療制度に反対し、撤廃を求めています。」と、こういう患者さん向けのチラシです。二枚目には医師会としての方針が出ておりまして、後期高齢者診療料については届出を行わない、出来高払で算定する、研修会も行わないと宣言している。

 青森県などでも同様の方針を取る医師会が出てきているわけで、まさに現場の診療担当者からこういう厳しい声が上がってきている。実施に協力できないという動きまで広がってきている中で、国民には国保加入の手続を、勝手に被用者保険から外すような制度をつくっておきながら、国民には協力を要請する、現場からはこれだけ怒りの声が上がっている。

 大臣、こんな制度をこのまま今日スタートさせて、このまま動かしていっていいというふうにお考えですか。

国務大臣(舛添要一君)

 私は、この制度の理想をきちんと追求すべきだと思います。それは、例えば今まで息子の被扶養家族になっていた人が自分で払わないといけなくなるんで、その保険料の負担という個人のレベルから見ると、それはいろんな問題だということは、御指摘、いろいろな皆さんが言われるとおりでありますけれども、しかし、国全体のこの国民皆保険をどういうふうにして守っていくか、そしてお年を召された方々が治療も介護も含めてどういう形で一番いい医療を受けるようにするか、介護を受けるようにするか、そういう大所高所に立って制度設計をしたわけですから、私はそういう大きな理想は求めていくべきだと思います。

 ただ、いろんな移行に伴う様々な問題がある。これは激変緩和措置をやる。そして、いろんな移行措置をやっておりますから、そういうきめの細かい対応をすることによってこの理想を実現したいと、そういうふうに思っております。

小池晃君

 理想を実現すると言うけれども、実際すばらしい医療がこれで提供されるのであれば、それは反対しません。しかし、この医師会のチラシにもあるように、差別医療になるんではないか。

 これ、予算委員会で私指摘したらば、そんなことは全く考えていないと大臣言ったけれども、これ、「高齢者の医療の確保に関する法律の解説」、いわゆるコメンタールですね、これ厚生労働省の課長補佐が書いている。ここで何を言っているかというと、年齢別に一番医療費が掛かっているのは後期高齢者だと。ここを適正化しなきゃいけない。特に、終末期医療の評価とホスピスケアの普及が大切であると。高額な医療費は、例えば三日で五百万、一週間で一千万も掛かっているケースがある。そうしたケースは終末期医療に多くある。後期高齢者が亡くなりそうになり、家族が一時間でも一分でも生かしてほしいと要望していろいろな治療がされる。それがかさむと五百万円とか一千万円とかなってしまう。その金額は、税金である公費と他の保険者からの負担金で負担する。家族の感情から発生した医療費をあまねく若人らが支援金として負担しなければならないということになると、若人の負担の意欲が薄らぐ可能性がある。それを抑制する仕組みを検討するのが終末期医療の評価の問題である。こういうふうに書いているんですよ。

 私、これ、本当とんでもない話ではないかなと。五百万、一千万の医療を掛けるというのは家族の感情の問題だと。だから、それにこたえるのは、それにお金使うのはやめようじゃないかと、それが後期高齢者医療制度の仕組みなんだというふうに担当課長補佐が本で書いて、これ、コメンタールで、地方自治体みんなこれ買って、これに基づいて業務やろうとしているんですよ。

 大臣が言っている、まさに後期高齢者にふさわしい理想の医療とは全く違う中身がやられようとしているじゃないですか。あなたが言っている差別医療ではない、そんなこととは違うことを実際に法案作成した担当者がそう言っているわけですから、私はこんな制度は許されないと思いますが、大臣、いかがですか。

国務大臣(舛添要一君)

 いろんな観点からの検討が必要だと思います。

 要するに、財政的な観点も国家百年の大計で考えないといけない。私は、だから、難病の方々も救わないといけない。先ほどのオーファンドラッグの話もありましたけれども、本当に高価な薬でも命を救うために使わないといけない。しかし、それはみんなの財政で支えていかないといけない。だから、財政のことも完全に抜きにして話はできません。そういう中で、どういう治療をやり、どういう形で終末期を迎えるのが一番いいのかと、こういうことはきちんと議論をしてきたわけでありまして、そして、患者の家族の感情ももちろん大事にしないといけない。

 そういう中で、例えば過疎の村で、そして非常に高齢化率が高い、そういうところで、もうこれは市町村単位でやったんではとてもじゃないけれどもその保険の運用ができない、ですから都道府県単位でやると、こういういろんな仕組みをしていますし、まさに、負担は一割、高齢者の、しかし四割は若者が支援する、五割は公費で支援する、こういう形で、長期的に見て御高齢の方々がきちんと財政的にもケアできるような体制という国家百年の大計の下にこの新しい制度を入れたわけであります。どうかそこの理想ということをよく御理解いただければ幸いでございます。

小池晃君

 私は、その後期高齢者医療、終末期に全力を尽くすのはまさに無駄遣いであるかのような議論というのは、これは年齢による差別であるし、私は、日本社会の本当にお年寄りを大切にしてきた、そういう社会の根底を揺るがすものであると、そういうふうにつながりかねないものであるということは予算委員会でも指摘したとおりであります。

 今日始まるわけですから、これは一刻も早い中止、撤回ということを求めていきたいというふうに思います。

 それから、あわせて、生活保護の通院移送費の問題を前回質問しまして、大臣は、これ、生活保護の方々が必要な医療を受けられないというような事態を起こさないと答弁された。ところが、今日、資料の三枚目に入れておりますが、実際の現場ではどうかというと、これは静岡市の駿河福祉事務所が出した文書ですが、三番目に書いてあるんですが、今までは公共交通機関を利用していた方はほぼ無条件に支給されていましたが、平成二十年度からは、住所地がへき地であることや検診命令により受診する場合以外は原則として通院移送費が支給されないことになりましたとしているんですよ。

 これじゃ、必要な医療も受けられなくなってしまうんじゃないですか。

政府参考人(中村秀一君)

 お答え申し上げます。

 前回大臣からも御答弁申し上げましたように、今回の移送費につきましては基準を明確にするということで、まず、国民健康保険の給付の範囲の同等のものとして認められるものについては移送費が支給されるということを言っておりますし、それにより難い場合については、身体障害者等で電車、バス等の利用が著しく困難と思われる方などについて例外を認めていると、こういう扱いをいたしているところでございます。

 そういう意味から申し上げまして、今資料の御提出のございました説明は、原則としてと書いてございますけれども、非常に誤解を招きやすいものでございますので直す必要があると考えております。こういったことにつきましては、生活保護実施主体である都道府県及び市の方にもう一度きちんと説明をしたいと考えております。

小池晃君

 自治体側に問題があるように言うんだけれども、これは確かに問題です、こういう表現は。私も問題だと思いますが、現場でどう言っているかというと、待てども待てども、厚労省から一切説明が来ないと、説明会ではもう移送費は出ませんよというふうに聞いたから、だから取りあえずそういう中身で通知出しましたというふうに言っているんですね。これが自治体の声です。

 資料の次、四枚目、五枚目に入れましたけれども、三月二十一日には、埼玉県、千葉県、さいたま市、千葉市、横浜市、川崎市、東京都の生活保護担当課長が連名で意見書出しているわけですよ。これ異例のことだと思います。これは、通院移送費は最低生活保障上、欠くべからざるものであるから、実施の連続性に配慮して、支給範囲の運用については自治体の意見を聞いて慎重に対応せよ、相当の経過期間について配慮せよと。

 私、こういう自治体担当者の声にはこたえるべきではないかと思いますが、いかがですか。

政府参考人(中村秀一君)

 今回の見直しにつきましては、やはり給付の継続性ということもございます。私どもも、現に給付を受けている方もございますので、実施機関に対しましては新しい基準に沿って検討していただくとともに、確かめなきゃならないことなどもあろうと思いますので、そういった意味で、例えば現に受けておられる方の切替えなどについては十分配慮してまいりたいと考えております。

 具体的に言えば、問題になりますのは、例えば指導監査の際に、そういうケース、具体的なケースについて、新ルールが適用されてから切替えまでに若干時間が掛かっていることについて指摘するというようなことについてはないように、連続性については実施している自治体の立場も配慮して進めてまいりたいと考えております。

小池晃君

 実は、今日入ってきた話で、北海道では道庁の担当者が、これ、各福祉事務所に連絡文書出していまして、六月末まで四か月間周知期間を設けるというふうに出しているんですが、これ、今の御説明と違うんじゃないですか。こういうことをやろうとしているんですか。

政府参考人(中村秀一君)

 そのようなことを、私ども、三月に課長会議で御説明しておりますけれども、そのようなことはありませんので、それは何かの間違いではないかと思います。

小池晃君

 私、北海道の道庁の担当者に電話で確認しました。昨日、厚生労働省に二回電話で照会をしたと、その方は。そうしたらば、経過措置として平成二十年六月末までを周知期間として、それまでは従来どおりの扱いだというふうに回答を得たんだと。ところが、今日電話をしてみたら、まるで手のひら返したように、周知期間はもうつくらないという答えだったと。どうしたことかというふうにおっしゃってますよ。

 大臣、こんないいかげんな対応をしているんですよ、自治体に対して、厚生労働省は。これでいいと思いますか。しかも、今日からこれ実施するのに、まだ通知が出てないんですよ、四月一日。大臣、これ確認したところでは、今日、大臣の決裁を得て通知を出すと言っています。決裁は出さないでいただきたい。こんなでたらめなやり方での、まさに生活の最低保障の、セーフティーネットの問題にかかわることを、こんないいかげんなやり方でやっちゃ駄目ですよ。

 大臣、ちょっと大臣に聞いているの。大臣ね、これ、大臣、決裁しないということを明言していただきたい。

国務大臣(舛添要一君)

 今のような経過がどういうことであるか、ちょっと北海道の例も含めて精査をさせていただきたいと思います。

 だから、問題は滝川の、国民がもうこれ驚くような何億円という請求したケースがあった、これはこれできちんと是正しないといけない。したがって、法律に基づいて、ルールに基づいてこうですよということをきちんと通達する、これは厚生労働大臣としてやるべきでありますから、そういうことを含めて、今委員の御指摘の問題についてはきちんと精査をした上でどういう対応を取るか、私は決定したいと思います。

小池晃君

 北海道滝川市の例は現状の行政の誤りですよ、これは。今の基準だってあんなでたらめのことできるわけないんですよ。犯罪ですよ、あれは。だから、そういったことを使って、こういうでたらめなことやっちゃ駄目ですよ。

 大臣、じゃ、今のお話では、この北海道の道庁に対する対応の結論出るまでは通知は出さないと、そういう理解でいいですね。

国務大臣(舛添要一君)

 すべて精査をして考えます。

小池晃君

 こんなでたらめなやり方で、まさに憲法二十五条の生存権にかかわることの重大な変更をやってはいけないということを申し上げておきたいというふうに思います。

 それから最後に、原爆症の認定問題について、前回も御議論ありました。これも四月、今日から新しい基準ということになっているんですが、この基準には大変大きな問題があるということは、与党の議員からも指摘があったとおりであります。

 第一に、与党プロジェクトも全員救済を提言したがんや白血病についてさえ距離や時間の制限があるということ。それから第二に、裁判で判断が確立をしている甲状腺機能低下症や肝機能障害についても積極認定の対象とされていないということ。第三に、個別審査の総合的判断の考慮要素に判定不可能な線量を挙げて、かつ判断の在り方が不明である。こういう問題点があるから、この基準は抜本的に改めなければいけないというふうに思っております。

 今日お聞きしたいのは、集団訴訟の原告の皆さんの救済方針なんです。原告はこれまでの審査方針でこれは却下をされているわけですね。で、裁判に立ち上がった、こういう大きな変化をつくり出してきたその先頭に立ってきた方々であります。私は直ちに認定されるべきだというふうに考えます。新しい基準の前文には、被爆者救済の立場で被爆の実態に一層即してというふうに書いてあるわけですから、これに照らせば、真っ先に救済すべきは私は原告だというふうに思うんです。

 厚労省としては、この原告の皆さんに対してどのように対処していかれるおつもりなのか、お答えいただきたい。

政府参考人(西山正徳君)

 原爆症の認定でございますけれども、当委員会でもいろいろ議論がございました。

 私ども、この三月に審査会の方で新たな新基準を策定をさせていただきました。これに基づきまして、今のお尋ねですけれども、原告の方についても四月から順次新基準の下で審査を行っていきたいというふうに考えております。また、並行して審査をお待ちいただいている方も多数おられますので、併せて迅速化を図りながら順次進めてまいりたいと考えております。

小池晃君

 大臣、原爆のせいとしか思えない疾病を抱えながら被爆の影響はないというふうに却下された方々なわけですね、原告の皆さんというのは。切捨てに怒って命懸けで裁判に立ち上がった方々なわけであります。この見直しの道を開いたのも、まさに原告の皆さんだというふうに思います。こういう方々にまた門を閉ざすということは、私は絶対してはいけないんではないかというふうに考えるんです。

 大臣は、この問題について、政治の知恵が働かないといけないと、政治家としての決断が必要なんだというふうにおっしゃっておりますが、私は、だとすれば、原告の皆さん全員をやっぱり認定する、救済するということは、これは政治の判断で決断すべきことではないかと考えるんですが、大臣、いかがですか。

国務大臣(舛添要一君)

 この問題、再三申し上げていますように、司法の判断とこの新認定基準との食い違いをどうするか、山本委員が先般御丁寧に御質問してくださった点にお答えしたとおりでありますけれども、今までと違うのは、この新しい基準で十倍の千八百人が救われる、もう認定基準に当てはめればすぐお認めします。そうじゃない方々について言うと、個別に総合的な判断を加えて、これはどうであるかということを認定していく。

 そして、過去の一審の判決見てみますと司法の判断が一つでなくて様々基準が違う。だから、この司法の判断だと救われる、こっちだと駄目だというケースもある。この五月に一つ高等裁判所の判決が出ますから、この新しい認定基準を司法の方がどういうふうに判断するのか、そういうこともかんがみながら、私は、積極的に一人でも多くの方を救うべきであって、できればそういう方向を目指したいということで、そして御高齢の方が多くてもう一刻を争っていますので、今、鋭意そういう方向でできるだけ多くの方を積極的に救うんだ、その基本方針で今対応していきたいと思っております。

小池晃君

 いや、私、そういう一般論というか、できるだけ多くって、原告の皆さんに対して、やっぱりとりわけこういう闘いやってきた人たちについて、二度門を閉ざすようなことをしちゃいけないでしょうと言っているんです。それは政治の決断でしょうと。答えてください。

国務大臣(舛添要一君)

 いや、今懇切丁寧にお答えしたように、司法の判断もいろいろあって、新しい認定基準では認められるけれども、司法では逆に認められないということもあるんです。

 ですから、非常にこの議論をしたときに、新しい基準、与党のPTの方だって、待てよと、あなたのその意見だったら、せっかく司法で救われている方が切り捨てられますよ、どうするんですかと、こういう議論も真剣にやりました。そういう議論の上にできるだけのことをやりたいと。

 私は、積極的にできるだけ多くの方を救いたいと、そういう方針で、個々のケースについては個別に総合的に判断する道が残されていますから、それをきちんとやっていきたいと、そういうことを重ねて申し上げておきたいと思います。

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