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166通常国会 厚生労働委員会 雇用対策法「改正」案に関する質疑/討論/採決

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2007年5月31日(木)

小池晃君

 日本共産党の小池晃です。

 外国人労働者問題についてお聞きをします。

 今回導入されようとしている外国人雇用状況報告制度ですが、これは就労状況にとどまらずに就職、離職のたびに一人一人の氏名、在留資格、在留期間、国籍などを報告し、法務省から求められればこれらの情報を提供するというものであります。しかし、不法就労した本人はもちろんですが、不法就労を承知で働かせた事業者というのは入管法違反で刑事罰に問われる可能性もある。摘発する側の官庁である法務省に情報提供をすることを前提として適正に事業者が不法就労の情報提供を行うというふうに言えるんでしょうか。

政府参考人(岡崎淳一君)

 今回の雇用対策法で考えておりますのは、そもそも不法就労をどうやってなくしていくかということでございます。そういう中で、事業主が外国人労働者の方を雇われる場合には、在留資格上就労が可能かどうか、これを確認していただく、それを届け出ていただくと、こういうことにしたわけでございます。

 したがいまして、不法就労があることを前提に制度を仕組んだということでは当然ございませんで、不法就労をなくしていくと。不法就労をさせてない、あるいは何といいますか、労働者の方が虚偽の在留資格を言ったがために間違って雇っているというような方につきましては、これで罰則が掛かるということもございませんし、そういうような運用もしていかないということにいたしているところでございます。

小池晃君

 情報提供について、厚生労働省の側から、例えばこれは不法就労している者に限るとか、あるいは在留期間が切れている者に限るとか、条件を加えてその運用をすることはこれは可能なんでしょうか。

政府参考人(岡崎淳一君)

 厚生労働省の方としまして、個々の外国人の方の在留資格を確認するすべはございません。したがいまして、私どもの方でどの方のものを出すかということを、その不法就労しているかどうかで確認した上で出すということは恐らくできないんではないかと、こういうふうに考えております。

小池晃君

 要するに、特に条件を付けることもできないし、法務省から求められた場合はこれは拒否権はないということになるわけですか。

政府参考人(岡崎淳一君)

 第二十九条の条文をごらんいただきますと、出入国管理法又は外国人登録法に定める事務の処理に関し、外国人の在留に関する事項の確認のため求めがあった場合でございます。法務省の方からこの条文の規定に当たるという理由を示していただいて、その理由に当たるかどうかを確認の上で提供すると、こういうことでございます。したがって、すべてがということではなくて、この条件に当たっているかどうかで判断していきたいと、こういうふうに考えております。

小池晃君

 しかし、求められればこれは拒否することはできないという仕組みですね。

政府参考人(岡崎淳一君)

 繰り返しになりますが、外国人の在留に関する事項の確認のための求めでございますので、確認のための求めでなければ拒否はできますが、確認のための求めであればこれに応じていくと、こういうことになります。

小池晃君

 やっぱり現実問題としては、法律どおりの運用ということになれば人権を守るような運用というのは最初から排除されているというふうに思うんです。

 大臣、やっぱり、非常に劣悪な労働条件で働いている方の実態をしっかり把握する、不法就労を解消して労働市場の健全化図るということは、これは私どもも否定をいたしません。労働行政がそういう実態の把握ということは、これは必要なことだと思うんです。

 ところが、やはり、こういう法務省への情報提供を前提とするような制度で果たして適正な情報提供がなされ、適正に運用されるのか、きちっとつかめるのかというのは極めて私疑問なんですね。やっぱり、法務省への情報提供ということを前提としないような、こういう報告制度とするべきではなかったのか、御見解を伺います。

国務大臣(柳澤伯夫君)

 外国人については、そもそも就労は在留資格の範囲内で認められるということになっていることは御承知のとおりでございます。したがいまして、現在でも、企業におきましては在留資格を認識した上で外国人を雇用することが求められているわけであります。

 不法就労と知りつつ雇っていない限り、事業主が摘発されるとかいろいろ問題になるということは全くないわけでございまして、法務省に情報提供をしても、そういう意味では適法な就労をさせているというような前提でありますれば、制度の円滑実施に影響がないものと考えられます。

小池晃君

 国家公務員には告発義務もあるわけですし、人身売買などの悪質なケースではきちっと対応できるはずなんですね。新しい報告制度つくらなくても、現行制度でやっているはずだと思うんです。守秘義務があるというけれども、結局、合法的に働いている外国人も含めて、特別永住者は除きますが、すべての外国人の情報を提供する、これはプライバシーの観点からも、行政は不必要な情報を持たないという行政個人情報保護法の趣旨から見ても、これは重大な問題があるというふうに指摘をしておきたいと思います。

 関連して、この法案は合法的に働いている外国人労働者のプライバシーに関する情報まで不当に集めることになっているわけですが、正に、そういう不法就労対策と同時に、ひどい働かせ方をされている外国人の問題の解決が喫緊の課題であると思います。

 昨年、JITCOの問題を私取り上げて改善を求めましたが、外国人研修・実習生制度について、その後どんな対策取ったのか、こういう問題について改善したという点があるのかないのか、お答えください。

政府参考人(奥田久美君)

 外国人研修・技能実習制度につきましては、総合的に今どういう対策を取るかということにつきまして、私ども、内部に学者の方に集まっていただいた研究会を設置をしてまいりまして、中間報告を先般報告させていただきましたけれども、その中には、今後取るべき対策ということで総合的にまとめたわけでございますが、それまでの間といいますか、現在どういったことをやっているかということでお話をさせていただきたいというふうに思うわけでございます。

 委員御指摘のように、外国人研修・技能実習制度におきましては、研修生でありながらいわゆる実質的な残業をさせられていたりとか実習中の実習生が最賃違反の状況にあるとか、いろんな問題が指摘をされてきたわけでございます。

 そういう実態に対しまして、私ども厚生労働省といたしましては、まず、JITCOを通じまして全受入れ機関に対しまして自主点検表というものを配りまして、それを回収をいたしました。現在、その回収結果を踏まえまして、回答してこなかった企業、また回答の内容に問題があるところということを重点的に巡回指導を実施をしているところでございます。

 十九年度におきましては、十八年度は年間で六千件ということでやっておりましたけれども、これを二〇%強件数を増やしまして、七千三百の事業所に入れるように今巡回指導を実施をしているということでございます。

 それから、労働基準監督機関におきます技能実習生に関するいろんな申告等も出てまいりましたので、労働基準監督機関におきましての労働条件の履行確保のための監督指導というものを強化をしているということが二つ目でございます。

 それから、入管当局との連携を強化をいたしまして、お互いにその情報を通報し合うというような形で、それぞれ問題があるところについて是正をしていくということをやっております。その結果、入管当局の方でも、不正行為の摘発といいますか、そういったものについてはかなり精力的に実施をしていただいているところでございます。

小池晃君

 いろいろやっているとおっしゃるんですが、昨年の質問以来もいろんな事例が、相談が寄せられています。

 今年の二月、これは福島県の事例ですが、縫製企業で十六人のベトナム人が働いていた。時給三百円程度で、最賃の半分以下です。しかも、そこから毎月二万円から三万円の労働基準法違反の強制貯金をされている。十六人の労働者、これは企業倒産によって安い給料でさえ不払となった上に、新しい実習先も見付からずに帰国せざるを得なかった事例です。

 それから、茨城県でも、この三月、これ月三万円強制貯金されて時給は三百十二円、これも最低賃金違反。ここは逃亡防止のためにパスポートを取り上げていた。これも受入れ企業が倒産して給与不払、強制貯金の未返還の問題、これいまだに解決していません。

 それから最後、この五月二十五日にも愛知で、トヨタ自動車の下請によってつくられている豊田技術交流事業協同組合、ここが入国管理局から帰国指導と新規研修生の受入れ停止処分を受けました。ここはパスポートを取り上げています。トイレに行った場合に一分十五円罰金取ると。一年目の研修期間は、これは最賃法違反の時給三百円。不払残業もあります。この月六万円にも満たない研修手当から一万円強制貯金、文句言うなら強制送還だと脅されていたというんですね。これ、入管の処分があったために百人余りのベトナム人研修生、実習生がほうり出されていると、今そういう事態になっていて、愛知の労働局にも労働者が訴えております。

 大臣、受入れ企業の倒産あるいは違法行為による処分、こういうことで何の罪もない外国人が研修、実習を途中で打ち切られて路頭に迷う、こういうことは絶対あってはならないんではないか。やはり、今相談が来ている事例も含めて、JITCOや国の責任できちんと対応すべきだと思いますが、いかがですか。

国務大臣(柳澤伯夫君)

 御指摘のような事案につきましては、現在、受入れ団体でその責任において実習が継続できるよう新たな受入先を探しているというふうに承知をいたしております。受入先の企業等が不正行為認定を受けた場合等について、本人に何ら責任のない研修生、実習生につきましては、できる限り当初の計画どおり実習が継続できるようにすることが当然望ましいわけであります。

 このことにつきまして、五月の十一日に取りまとめられました研究会の中間報告におきましても、受入れ企業等が不正行為認定を受けた場合について、他の受入れ企業や受入れ団体へのあっせん等JITCOが積極的に関与することによって、研修生、実習生が帰国することなく研修、実習を継続できるシステムづくりを検討することが求められるとされているところでございます。

 厚生労働省といたしましては、こうした場合に、本人に責めのない研修生、実習生が帰国させられることなく研修、実習が継続できるような仕組みづくりにつきまして、今後、法務省とも連携をしながら検討をしてまいりたいと考えております。

小池晃君

 今紹介した愛知の事例でも、帰国させるぞというふうに脅して違法な労働条件で働かせていたということが報道されています。

 これはいろんな事件にも発展していて、昨年殺人事件になった千葉県農業協会の事例では、高額な研修費を返すためにもっと残業したいと研修生が主張したためにトラブルになったということが要因となっています。この事例でも、受入れ企業が渡航費用などを負担しているにもかかわらず、中国の研修センターが研修生から研修費用を保証金名目で百万円もの現金を徴収していたと。この研修センター、日本の受入れ団体の役員によって経営されていて、研修生と農家の双方から多額の現金を得るためのシステムとなっていたという報道もあります。

 大臣、今も少し言及あったかと思うんですが、やはり高額な保証金を取る、研修費を取る、人権侵害につながるようなケースは、やはり入管行政と監督行政がしっかり連携して摘発、排除していくということが必要だと思いますが、いかがですか。

国務大臣(柳澤伯夫君)

 この御指摘の保証金等の問題につきましても、先ほど申し述べました研究会の中間報告におきまして、送り出し機関による不当に高額な保証金や違約金については、送り出し国政府に対し、その適正化を強く要請することが必要と、そういう指摘をされているところでございます。

 このような営利を目的として高額な保証金等を徴収する送り出し機関や受入れ団体等の存在は、制度の趣旨に反するだけではなく、研修生、実習生に対する拘束的な研修、労働の要因ともなっておりますことから、厚生労働省としても、今委員御指摘のとおり、外務省、法務省とも連携をし、送り出し国政府に対する要請や受入れ団体等に対する指導の強化等、適正化に取り組んでまいりたいと考えます。

小池晃君

 引き続き、地域雇用開発促進法について聞きます。

 これは、地域に居住する労働者に関し、就職の促進その他の地域雇用開発のための措置を講じ、もってこれらの者の職業の安定に資することを目的とするとしているんですが、簡潔に、同法に関する施策の〇五年の予算と雇用実績、お示しください。

政府参考人(高橋満君)

 地域雇用開発促進法、現行の法律に基づきます地域類型、四つございますけれども、そのうちの三類型にかかわる助成金の予算でございますが、平成十七年度は約四十一億円、またそれら助成金による支給実績は約一万二千人となっております。

小池晃君

 一万二千人、そのほかに特別基金からの事業がありますが、これ含めても全国で二万三千人、地域雇用対策としては非常に規模が小さいと言わざるを得ないですね。

 自治体を本当に地域経済活性化させて、安定した雇用を増やして地域に定着する人を増やすというのは、これは更にそれが地域経済の活性化につながるということで非常に大事だと。地方自治体がこの間、企業誘致を盛んにやっているんですが、じゃ、実はそれで安定した雇用が生まれているかというと、そうなっていると言えない実情がございます。

 例えば、コマーシャルでよく出ていますが、シャープの亀山工場、ここは三重県が九十億円の税金を投入して工場を誘致しました。三重県は、一万二千人の雇用効果がある、地域振興になるんだというふうに言って宣伝してきましたが、実際には従業員三千四百人のうち半分が請負中心の非正規労働者です。県内の正規雇用は四年間でわずか二百人規模だと。地元亀山市での正規採用は、これ市議会での答弁で、四年間で二十一人、工場全体の一%にも満たないんですね。余りにも地元雇用効果が低いんです。

 それから、ほかの例では、千葉県茂原市の日立の関連工場、IPSアルファテクノロジ。この誘致では、県市が条例を作って、県が五十億、市が四十億円の補助金を出しました。しかし、正社員の新規採用はゼロ。従業員数千五百二十人のうち正規職員は六百六十名、しかし全員が誘致企業に隣接する親会社の日立ディスプレイズから、その工場から横滑りしただけだというんです。しかも、その日立ディスプレイズというのは、三千五百人から二千二百人に、千三百人の人減らしをしておりまして、異動した六百六十人のほかに六百四十人リストラしていると、こういう企業行動の中で新工場を造られた。

 内閣府の「地域の経済二〇〇五」によりましても、補助金交付の雇用への波及については、製造業の新規求人が増加するというような傾向は見られるのかと問い掛けておりまして、補助金設立年以降を見ると、むしろ寄与度は小さくなる、補助金の効果が明確に現れているとは言い切れないというふうに指摘をしているんです。

 大臣に見解をお伺いしたいんですが、地域の雇用だといって多額の誘致助成金を出して大企業を呼び込んでも、結果として労働者の地元への定着も経済効果も期待できない、あるいは場合によっては、かえってリストラに利用され、マイナスになっている、こういうケースもあるんです。大臣は、率直に、こういう企業誘致策というのは雇用政策から見て好ましいものだというふうにお考えになりますでしょうか。

国務大臣(柳澤伯夫君)

 地域の経済の振興、また特に雇用の確保ということのために各自治体とも企業誘致に取り組んでいるということは、いわゆる地場資本による起業と、あるいは地場資本の企業の発展というものを期しつつも、同時にそういったことに熱心になるという背景は、私は理解できるところでございます。

 その場合に、雇用の形態というものがどうあるべきかということについては、これはもう言うまでもなく正規雇用、正社員としての雇用が増大することが望ましいことはもう言うまでもないと私は考えます。したがって、各地方自治体ともそうしたことを望みながら、しかし実際のその地域の経済あるいは雇用というものを確保するためにいろいろ厳しい選択を迫られているのではないかと、このように考えます。そして、その最終の判断というものは、それぞれの地方公共団体において行われるべきものと考えます。

 しかし、私、この厚生労働行政を預かる立場からは、やはり正社員、正規雇用がそれによって増大することが望ましいということは申し上げたいところでございます。

小池晃君

 望ましいとおっしゃるのであれば、こういうことはどうなのかなと。例えば、京都府が条例で企業誘致の基準に正社員雇用を位置付けるような条例を作りました。これ地元雇用促進補助金というものであります。それまでは正規、非正規どちらでも一人三十万円という助成だったのを、正規雇用の場合は一人四十万円、障害者は五十万円、それ以外、つまり非正規雇用の場合は十万円ということで、その他の助成も含めて一企業当たり上限二十億円という制度なんですね。

 これは、若者たちが運動で正規雇用を増やすということを求めたり、府議会で共産党の府会議員も求めたという経過の中で、今年の二月議会でそういう条例が成立をしています。この条例では、本則に安定した雇用及び障害者の雇用の促進ということを盛り込んだ、これは全国でもこういう目的を盛り込んだのは初めてだというんですね。

 大臣おっしゃるように、自治体の判断だと言いつつやっぱり正規社員が増えることが望ましいということであれば、やっぱりこういう正社員の雇用につながるインセンティブを持つようなこういう自治体での取組事例、こういうものを是非研究していただき、あるいは普及するなど、やっぱり正規雇用を増やすということを明確にした取組を進めるべきではないかと、国の施策にもこういう考え方生かすべきでないかと考えるんですが、大臣いかがですか。

政府参考人(高橋満君)

 私ども、地域において雇用開発を進めていく、またそれを支援していく上で魅力ある雇用機会を創出していくと、こういう意味では非常に大事な点でございますが、私ども、今般の改正におきまして、雇用創造に向けた意欲の高い地域が提案する地域独自の取組を支援する、その際に、地域におきます取組の好事例というものを把握しながら、また他の地域にそれを周知していくということも大変効果的であろうというふうに考えますので、正規雇用の増加に取り組む自治体の例ということも含めて、それぞれの各地域に情報提供に努めてまいりたいというふうに考えております。

小池晃君

 大臣、ちょっと大臣、せっかく大臣って聞いたんだから、やっぱりこういう具体的にこういうふうなやり方って示したんで、こういうのいいと思いませんか。率直に感想をお聞かせ願いたい。

国務大臣(柳澤伯夫君)

 先ほどの答弁を申し上げましたとおり、地方公共団体としてはいろいろな総合的な見地からぎりぎりの判断をしていろんな誘致策、振興策を取っていることは当然だと思うわけでございます。ただ、厚生労働の立場から申しますと、やはり正規雇用と、あるいは正社員というものの雇用が望ましいということを考えているわけでございまして、今のいろいろな全国における取組の中で情報を収集し、いろいろの評価と申しますか、そういったことも随伴的に行っていくということはあり得ることと考えます。

小池晃君

 それから、若者の雇用の問題、前回も取り上げたんですけれども、実はこんな調査があるんです。

 名古屋市立高等学校教員組合というところが高校を卒業してから六年ないし八年後の卒業生の生活状況等を調査した「どうしてる はたらく卒業生」という報告があるんです。これ、十年前にもやって、最近二回目なんですが、ちょうど高校を卒業して六年から八年、二十四歳から二十六歳ぐらいの若者の状況を調査しているんですね。

 この実態調査を見ますと、愛知というのは雇用先進改善地域だと言われつつ、そういうところでも正規雇用の比率は九三年の九一%から、〇四年、七一%に減少しているという結果です。正社員になった卒業生は安心しているかというと、そうでもなくて、残業代出ないという人が三〇・九%、一部しか出ないという人も含めて五七・六%がサービス残業あると回答している。有給休暇がない、あっても取れないという人が十年前の一五%から二九%に倍増。疲れを感じているという人が前回の三七%から八七%へ激増。

 よく七五三現象なんていって、卒業後三年までの離職率が中卒で七割、高卒で五割、大卒で三割なんてことをいいますが、なぜ離職に至るようになっているのか。やっぱり若者の雇用の実態をやっぱりリアルにつかんでいくということは大事なことではないかと思うんですが、そういう意味で、こういう若者の雇用をめぐる実態調査のようなものを厚労省として行うべきでないかと思うんですが、いかがですか。

政府参考人(高橋満君)

 働いている若者が抱える悩みあるいは不安といったような今委員御指摘の点について、私どもとしては統計的な形での意識調査というものは行ってはおらないわけでございますが、ただ、こうした問題に関しまして、在職中の若者が職場における悩みを電子メールというような形で気軽に相談できる働く若者ネット相談事業というものに現在取り組んでおるところでございまして、この事業の中でいろいろ、どういう悩みがあるのかという点を把握をいたしております。

 その相談内容としては、一つは履歴書の書き方等の転職に関すること、それから仕事が合わないといったような仕事の内容に関すること、それから上司や同僚とうまくいかないといったような人間関係に関すること、そのほか労働条件に関することといったような事例があると私どもは承知をいたしております。

小池晃君

 是非、こういう離職の理由などを把握するための調査をしていただきたいということを求めたいと思います。

 最後に、ちょっと通告していないんですが、今朝、新聞報道で年金の例の問題、いわゆる宙に浮いた記録問題で、五千万件について一年以内に調査をするんだという報道がされています。ところが、昨日の衆議院の厚生労働委員会のやり取りを聞く限りでは、柳澤大臣は、一年以内に五千万件やるというふうには答弁されていないと思うんですが、これ、一年以内に、要するに、年金受給権者だけでなく加入者も含めて五千万の記録について全部突合を一年以内に終わらせるということなんですか。

国務大臣(柳澤伯夫君)

 私も総理の答弁の場にいたわけですけれども、いろいろ、私自身の注意力ですべての言葉を全部聞き取るということが十分できなかったということもございまして、総理がそのことについてどのような発言をされたということについては、私、答弁する段階では必ずしも十分把握をいたしておりませんでした。

 したがいまして、私は与党・政府の間で、政府と申しましても具体的には厚生労働省でございますけれども、その間で取りまとめた新しい対応策のラインで答弁を申し上げたわけでございますが、後ほど、総理の方では、一年でこの五千万件の突合を行うということの趣旨の答弁をなさったということも承知をいたしましたので、今後これをどのように私として処理をしていくかということについては検討しなければならないと、このように考えております。

小池晃君

 いや、ちょっと今ので言うと、やはりそういう一年以内にじゃ五千万件全部について処理をするということで、そういう方向で検討して進めていくということでよろしいんですね。

国務大臣(柳澤伯夫君)

 その方向でやらなくてはならないと、このように考えております。

小池晃君

 この問題、本当に国民の深刻な不安の的になっていますので、政府の責任で解決していくことを求めていきたいというふうに思います。

 質問は以上で終わります。

小池晃君

 私は、日本共産党を代表して、政府提出の雇用対策法及び地域雇用開発促進法の一部を改正する法律案に対して、反対の討論を行います。

 雇用対策法は、その目的で、国が安定した雇用の維持を図ることで完全雇用の達成を目指すとし、国の雇用対策を具体化する雇用対策基本計画を策定してきました。今回、雇用対策基本計画が廃止され、今後は進路と戦略など、労働者代表も加わらない経済財政諮問会議など、経済界の要請に沿った雇用対策が決められることになります。

 これは、労働時間の短縮を始め、国が果たすべき労働条件の改善や雇用対策への責任を投げ捨てるものにほかならず、それに代わるという中期ビジョンについても、これまでの閣議決定から厚労省の方針へとその位置付けを後退させるもので、容認することはできません。

 さらに、今回、外国人労働者の雇用状況に関する報告制度が義務化され、公共職業安定所に集約された外国人労働者の個人情報が、法務省の求めがあった場合に提供することが義務付けられています。雇用保険未加入や極端に低い賃金、残業代の未払など、劣悪な労働条件の下に置かれている外国人労働者の無権利状態を改善することは急務の課題であり、そのために外国人労働者の就労実態を把握することは必要です。

 しかし、入管法違反を摘発する法務省への情報提供が前提になると事業者からきちんとした情報が提供される保証がありません。また、外国人労働者にとって自分たちの労働条件を守ってくれる行政である労働基準監督署やハローワークが自分たちを摘発する機関と一体だということになれば、労働行政機関から外国人労働者の足が遠のくことは明らかで、雇用管理の改善や再就職支援につながらず、逆行することになりかねません。

 なお、地域雇用開発促進法改正は、地域類型の再編や助成金の要件を変更するとしておりますが、いまだ深刻な雇用情勢の下で抜本的な地域雇用対策とはなっておらず、安定した正規雇用を創出することも含め、その制度や規模が極めて小さく、効果が期待できるものとなっていないことを重ねて指摘しておきます。

 以上を述べて、討論とします。

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