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165臨時国会 参議院厚生労働委員会「感染症予防法改正案に対する質疑」

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2006年11月30日(木)

小池晃君

 日本共産党の小池晃です。

 法案質疑の前に、本日報道されました生活保護の母子加算廃止の問題について大臣にお伺いをしたいと思います。

 これは、母子加算というのは、一人親の生活保護世帯に対して、子供の健全な育成のためにということで出されている子育てに欠かせない給付だと思います。今、縮小されたとはいえ九万世帯に出されている。私、今の本当にこの経済社会の中で一番深刻な状況に置かれている世帯だと思うんですよ、母子家庭というのは。よりによって、そういう世帯に対する、生活実態、引き続き極めて深刻な中で、これを廃止をするなどということは私、断じて許されないと思うんですが、大臣、いかがなんですか。

国務大臣(柳澤伯夫君)

 この生活保護の在り方につきましては、実は骨太方針二〇〇六、今年は六月だったかと思います、あるいは七月にずれ込んだかと思いますが、この骨太方針におきまして、既に母子加算につきまして就労支援策を講じつつ廃止を含めた見直しを行うこと、それから自宅を保有している者についてリバースモーゲージを利用した貸付け等を優先すること等が盛り込まれておりました。つまり、この段階から既に母子加算について問題提起がなされているわけでございます。これまで、社会保障審議会生活保護制度の在り方に関する専門委員会におきましても、一般の母子世帯との公平性の観点から母子加算の見直しなどが指摘をされているところでございます。

 厚生労働省といたしましては、こうした経緯を踏まえまして、平成十九年度予算におきます対応について現在検討を進め、また具体的な内容及び削減策について現在、財政当局と調整中でございまして、まだその細目について結論を得たというわけではございません。

小池晃君

 結論を得たわけじゃないと言いながら、かなり踏み込んだそういう報告も出されているという話もあった。しかも、一般の母子家庭との公平性ということを今おっしゃいましたけどね、私ね、これは本当ひどい議論だと思いますよ。要するに、一般の母子家庭世帯と生活保護世帯を比べると、一般の母子家庭の生活水準の方が低いから、だから生活保護も下げると。

 これは、一般の母子家庭の生活というのが私は生活保護水準以下になっているという事態こそが深刻なわけであって、私、まず厚生労働省やるべきことというのは、なぜそういうことになっているのか、一般の母子家庭というのが生活保護水準以下の暮らしをせざるを得ないような、今はやっぱり母子家庭に対する支援策が余りにも不十分だと、そこのところをどうするかということをまず考えるべきじゃないですか。それをやらずに、一般世帯との公平性ということでそれを削っていくというのは、私は余りにも乱暴な議論だと思いますが、大臣、いかがですか。

国務大臣(柳澤伯夫君)

 これは、一般の母子世帯、これまあ母子世帯ということですから子供一人の場合を基準に取っているわけですけれども、この消費支出額の平均、これを取りましても、これはもう非常に、全国の平均ということですけれども、これをも上回っているということもございますし、また低所得世帯との比較においてはかなりこれを上回っているというようなことがありまして、要はそうした比較考量の中で、さあ、これをどうしたらよろしいかということを、現在、来年度の予算編成に向けて検討をしている、また財政当局との折衝に臨んでいるということでございます。

小池晃君

 私が言っていること全く答えていないと思うんですが、私は、そういうことを理由にして、一般の母子家庭よりも高いから生活保護も下げるんだという議論自体がおかしいんじゃないのかと。まずやるべきことは、日本じゅうの一般の母子家庭の生活水準というのが生活保護水準以下に抑えられている、やはりその施策の不十分さがあるわけですよ。そこをやっぱり検討するのが厚生労働省じゃないかと。

 これ、昨年度から縮小されたときに、おととし、私はこの委員会でこの問題、撤回を求めました。その当時、見直すのは十五歳から十八歳まででそれ以下は大丈夫だと答弁したけれども、今度はもう全部廃止と、これは許されないと思います。この問題については撤回を引き続き求めてまいりたいというふうに思います。

 それから、法案の方に入りますが、前回、質問の最後の部分について改めてお聞きをしたいんですが、局長、結核を始めとする一類、二類感染症の患者で必要な要件を満たした場合には、自主的な入院であっても入院の勧告という手続を行って、で、公費治療の対象とするというふうにすべきだと思いますが、いかがですか。

政府参考人(外口崇君)

 現行の感染症法及び結核予防法におきましては、感染の疑いがあるとして自発的に受診、入院された方であっても、法に基づく入院の必要があると判明した場合には、改めて法に基づく勧告や命令が出され、これに基づき、勧告又は命令が出された日以降の医療費について公費負担が行われることになっております。

  〔委員長退席、理事阿部正俊君着席〕

 こうした対応は改正後の感染症法においても行うこととしており、引き続き適正な運用に努めてまいりたいと思います。

小池晃君

 引き続き、肝炎の問題について聞きます。

 これ、ウイルス肝炎の拡大の原因として予防注射やあるいは血液製剤が指摘され、B型肝炎訴訟においては最高裁で判決が出ております。この最高裁判決を受けて、肝炎対策について、B型肝炎対策について国はどういう対応をされたのか、お答え願いたいと思います。

政府参考人(外口崇君)

 過去の集団予防接種時に注射針・筒を連続して使用したこととB型肝炎ウイルスに感染したこととの因果関係等が争われた訴訟について、去る六月十六日、最高裁から国の賠償義務、慰謝料を認める旨の判決がありました。国としてはこれを重く受け止め、既に原告の方々に対し判決に従って慰謝料をお支払いしているところでございます。

 肝炎につきましては、何よりも健診の強化など、早期発見、早期治療の促進並びに治療水準の向上によって、感染された方の健康の保持増進及び不安の解消を図ることが最も重要であり、こうした観点から、肝炎対策の充実を図ってまいりたいと考えております。

小池晃君

 判決の五名の原告に限ったもののように今お聞きをしたんですが、この最高裁判決というのはこう言っているんですね。一般に、幼少児については、集団予防接種等における注射器の連続使用によるもの以外は、家庭内感染を含む水平感染の可能性は極めて低かったと。要するに、この五人だけでない話なわけですよ、これは、実態としては。

 お聞きしたいんですけれども、厚労省はB型肝炎の相当部分が集団予防接種による感染の可能性があるという認識をお持ちですか。

政府参考人(外口崇君)

 B型肝炎の感染経路としては、母子感染のほか血液感染等が考えられますが、予防接種による感染者については、これは数についてでございますけれども、医療行為等の記録が保存されておらないということもございまして把握することが困難であり、これについては不明であります。

小池晃君

 そういうね、ごまかしちゃ駄目です。私が聞いたのは、何人いるかと聞いたんじゃないんです。相当数のそういう原因を持つ患者さんがいるという認識を持っていないのかと聞いているんです。

政府参考人(外口崇君)

 予防接種による感染の方がほかにも存在するかどうかということになると、その可能性は排除はできないと考えておりますが、相当数いるかどうかについてはそれは不明であります。

小池晃君

 最高裁判決で、一般的にはそれ以外には考えにくいって書いてあるじゃないですか、水平感染については。それは、母子感染が多いことはそれは医学的にはそうだと思います。しかし、水平感染でかかった患者さんの中のかなりの部分がやはり集団予防接種であると、普通、素直に考えればそういうことになるんじゃないですか。

政府参考人(外口崇君)

 諸外国の例を見ても、母子感染というのは、これかなり数が多いと思います。ただ、その予防接種による感染、どうかというと、もちろんその存在自体はそれは可能性は排除できないわけでございますけれども、繰り返しになりますけれども、具体的にどのぐらいかということについては、これはなかなか把握は困難だと考えております。

小池晃君

 まあ、具体的にどのぐらいかということはともかく、相当数いるということはこれは否定できないんですよ。だとすれば、これは救済策というのは五名ということに限られるものであってはならないんです。

 C型肝炎についても同様の感染あるし、さらに血液製剤による感染の被害が、これ各地の裁判ではすべて原告が勝利をしています。患者さん方は、訴訟手続抜きにして個別賠償しろと言っているわけではないわけですね。例えば、その肝炎を負担上限額一万円となる特定疾病にしてほしいとか、あるいは自立支援医療の対象としてほしいと。私は、その被害から見れば極めて控え目な要求ではないかというふうに思うんです。

 大臣は、私、大臣にお聞きしたいんですけれども、衆議院でこの問題の議論があって、何とか、何か一歩でも半歩でも前進することがあり得るのかどうか、そういった方向での努力はしていかなければいけないというふうにお答えになっているんですね。

 私はやはり、どれだけいるか分からないというふうに言い訳されているけれども、しかし少なくともやはり一定数の患者さんがいることは、これは間違いない。そのウイルス肝炎の拡大に国の責任があるということも、これはもう私は明確だというふうに思うんですよ。だとすれば、やはり努力というのは、患者全体に対するやはり一定の救済ということを含むものでなければならないというふうに思うんです。

 大臣、大臣がおっしゃった努力というものに、そういう肝炎患者に対するやはり救済、全体に対する救済ということを含む、そういう意味でおっしゃられたのかどうか。被害者の方が大変この答弁に期待を掛けていらっしゃいますので、お答えいただきたいと思います。

国務大臣(柳澤伯夫君)

 私、本当に、その場面もそうだし、また、いろいろな場面にそうですけれども、感情的には、気持ちの上ではいろいろなことのお訴えを理解しているということを申し上げるわけです。

 ただ、私も行政の責任者として、これについて公費負担医療制度の対象にできるかどうかということについては、その際の答弁におきましても、非常に難しいと思っておりますということは申し上げております。

 これは、難病と異なって治療法が確立していないわけではないということ、また、結核等の感染症と異なって蔓延防止のために特別な措置を必要とするものでもないというようなことで、要は、公費負担医療制度をそこまで広げていけるかということについては、現状、私も難しいということを申し上げつつも、お気持ちのお訴えがありますから、それについては、私も微力だけれども、先生のそういうお訴えにも照らして努力をしていくというふうに感じているという感想を申し上げました。

小池晃君

 それだけではやはり被害者の方の救いにならないんですよ。

 やはり具体的に、どれだけの、やはり私は、この原告の方だけじゃなくて、やっぱりこれは明らかに、かなりの数そういう国の責任によってやはり広がった患者さんがいるという事態があるわけですから、それに対する救済ということはどうしてもやっていただかなければいけないというふうに思うんです。それを進める上で努力するというふうにおっしゃるのであれば、今そういう努力をしたいというのであればどういう努力が必要なのか。

 私は、是非大臣には、直接被害者の方に会っていただいて、その声を聞いていただきたい。やはり、被害者の方々は本当にその強い願いを持っているんです。私たちの声を抜きにして被害者対策進めないでほしいと、是非声を聞いてほしいと、厚生労働省の前にみんな行って大きな声を上げて、声を聞いてくださいとやっているんですよ、何度も何度も。

 大臣、こういう努力をしてみたい、しなければならないと感じているというふうにおっしゃるのであれば、一体どういう努力が求められているのかについて、是非、直接被害者の方に会っていただいて、お話を聞いていただきたいというふうに思いますが、いかがですか。

国務大臣(柳澤伯夫君)

 肝炎の問題については、現在、司法手続が取られているという側面もございます。そういうようなこともありまして、その問題については、やはり従来とも、これは政府として一貫してそういう態度を取っているわけですけれども、そういった問題について法廷の外でいろいろと話のやり取りをするというのはやっぱり適切でないと、こういう考え方を取っているわけでございます。

 それ以外の患者さんの実情等についてお話を聞くということについては、これは、担当者がお話をお伺いすることによって私も把握をしていきたいと、このように考えておりまして、まず担当者とお会いいただいたらどうだろうかということを申し上げているわけであります。

小池晃君

 それ以外の患者さんという言葉はちょっと聞き捨てならないんですけど、原告と会わないということですか。それはおかしいですよ。

 司法手続で個別の賠償について話をしろと言ってるんじゃない、肝炎総合対策について話をしたいと言ってるんですよ。だとすれば、その中にだって、原告の人だって含まれたって、それは当然でしょう。一番強く願っている人たちですよ。そういう人たちに会って話を聞くということも否定されるんですか。私はそれはいけないと思う。是非、そういった人も含めて、きちっと声を聞くというふうにお答えいただきたいと。

国務大臣(柳澤伯夫君)

 それは、何回言われても、私の今の答弁を変えるつもりはありません。やっぱり法廷で争っていることのその当事者のお話を私が直接聞いて法廷外でやり取りするというのはやっぱり適切を欠くと、このように思います。

 ですから、それ以外の患者さんの実情等についてのお話であれば、これは担当者がまず聞かせていただいて、それを通じて私も把握したいと、こういうことを申し上げているわけであります。

小池晃君

 私は、これだけ被害が広がっているにもかかわらず、やっぱり行政の責任者が直接声聞かないというのは許されないというふうに思うんですよ。努力すると言いながら、やっぱり真摯に耳傾けるということなしには、私はそんな努力は実らないというふうに思いますので、是非会っていただきたいというふうに思います。

 加えて、肝炎のウイルス健診の問題についてもお聞きしたいんですが、これ、肝炎ウイルスの健診については、二〇〇五年の実績で、対象者数比二四・七%です。これはもっと引き上げる必要があると思うんですが、この点についてはどうお考えですか。

政府参考人(外口崇君)

 ウイルス肝炎対策においては、早期発見、早期治療の促進によって、感染者の健康維持増進及び不安の解消を図ることが重要でありますので、検査体制の充実強化が必要であると考えております。

 御指摘の肝炎検査、例えば老人保健事業、ちょうど五年のタームが終わるところでございますけれども、かなりのまだ未受診者がおられますんで、それは老人保健事業、それから健康局の事業も含めて、何とかこの未受診者を掘り起こして検査体制を充実しながら健診率を上げたいと思っております。

小池晃君

 これまで肝炎ウイルス健診というのは老健事業の基本健診と一緒にやられてきました。ところが、これ、さきの国会の法改正で老健事業廃止される、一方で保険者による特定健診の項目は生活習慣病に特化されているという問題があって、このままでは現行の水準から後退するのではないかという懸念がございます。これはどうやっていくおつもりなんですか。

政府参考人(外口崇君)

 平成十九年度をもって、御指摘のように、老人保健事業は廃止されることになってはおりますが、これ以降の肝炎ウイルス検査体制については、これは、この事業が果たしてきている役割と実績を踏まえて、検査体制の後退が生じないよう、今後具体的に検討していきたいと考えております。

小池晃君

 これは、大変根拠のない偏見が強い現状で、特定健診というのはこれは保険者が行う健診になるわけですから、感染の事実が判明すると本人の不利益にもなりかねない。一方で一人でも多くの人が健診をやっぱり受けるということも必要だと。その辺をしっかり踏まえて、これは配慮して進めていくということを求めたいと思います。

 それから、薬害HIV訴訟の和解協議について引き続きお聞きをしたい。

 これ、四月十八日の当委員会で、私は、除斥期間を理由にして和解に応じない問題取り上げました。二名の方がそういうことになっている。一人はわずか四日間です、もう一人は一年余り、除斥期間を経過したということが理由だったんですね。

 私の質問に対して、当時川崎大臣は、これは除斥期間の問題がなければ、通常のHIV感染にかかわる和解の枠組みに沿って対応すべき事案と考えていると、法務大臣とも議論してみたいと答弁されました。その後、大臣はどう対応されたんでしょう。

 ああ、大臣、前の大臣ですから、医薬局長。

政府参考人(高橋直人君)

 除斥期間が問題となっております二つのケースにつきましては、今お話しのとおり、前回の国会におきまして、大臣の答弁後、前厚生労働大臣から前法務大臣にお話をしたところでございます。

 前法務大臣からは、今後、裁判所の和解に関する御見解が示されればそれも踏まえつつ検討していくと伺ったものと承知しております。

 裁判所におきましては、原告に対しまして主張の整理を促しているところでございまして、その結果を今後踏まえまして、裁判所の和解についての御見解が示されることもあり得るものと認識をいたしております。

  〔理事阿部正俊君退席、委員長着席〕

小池晃君

 これ私、いまだに最大の障害は、これは国というより法務省なのかもしれませんが、除斥期間という主張を捨ててないことだと思うんですね。

 九六年の和解の精神は全員の救済だったわけです。除斥期間除斥期間と言うけれども、最終投与から訴えを起こすまで、HIV感染者というのは漫然とその権利を行使しなかったわけじゃないわけですね。知らなかったと、まず。しかも、大変な偏見の中で声を上げることに本当に勇気が必要だったわけですよ。

 私、そもそもこの除斥期間という二十年という期間を当てはめること自体、これ制度の趣旨に反するのではないかというふうにも思うんですね。九六年の和解というのは、これは国の責任も製薬企業の責任も認めている。それにもかかわらず、こういう除斥期間ということを盾に取ってこの二名の方について和解に応じないというのは、私は許されないと思います。

 ハンセン病の訴訟でもこの問題は政治解決がされました。大臣、今回もこれ、私、政治決断を求められているというふうに思うんです。川崎大臣は前向きの対応を表明されて、法務大臣とは対応されました。柳澤大臣、この問題について、私は、どういう姿勢で臨むのか、やはり政治的な決断で解決していく前向きの姿勢を示していただきたいというふうに思うんですが、いかがですか。

国務大臣(柳澤伯夫君)

 除斥期間という法的地位の安定を図るために、客観的にその期間が経過すれば損害賠償請求権が消滅すると、それは被害者側の認識のいかんを問わないという厳然たる制度があるわけです。したがいまして、この除斥期間の問題というのは、正に民法解釈の根幹にかかわる一般的な問題であるというところでいろいろ難しい問題となっているわけでございます。

 したがいまして、今局長から御答弁申し上げましたように、本件につきましては、現在、原告らの主張の再整理が行われているところでありまして、和解を含め、その後のいろいろな裁判所での事態の推移というものもあろうと思いますので、それを注意深く見守ってまいりたいということで、私どもの趣旨を御理解賜りたいと思います。

小池晃君

 いや、これ注意深く大臣が見守ったら解決しないんですよ。やっぱり大臣がしっかり物を言わなきゃいけないんですよ。川崎大臣は動いてくれたんですよ、でも。やっぱり柳澤さん、厚生労働大臣でしょう。そういう法律の四角四面のやり方でいいんですか。だって、私の言っていること、大臣、理解していただけます。

 HIVの感染者の方は二十年訴訟を起こさなかったというけれども、その期間分からなかったわけじゃないですか。あるいは、声を上げることすらできなかったわけじゃないですか。一人の方は、わずかあれですよ、四日ですよ。それを盾にして門前払いをするという態度は、私はこれは絶対許されないと思います。是非再考をお願いしたいと。何か聞くと余計なこと言いそうなのでこれ以上聞きませんが、ちょっと本当にこの問題は前向きに対応していただかないと困ります。是非御検討いただきたい。

 それから、難病の問題について併せてお聞きしたいんですが、何度もこの委員会でも問題になっていますが、五万人という基準で見直しという議論があります。そもそも五万人ということを希少性の基準にする根拠は何でしょうか。

政府参考人(外口崇君)

 特定疾患治療研究事業の要件についてでございますけれども、これは原因が不明で治療法が確立しておらず、患者数が少なく、いわゆる希少性、生活面で長期にわたる支障を来すという四つの要件を満たすことが条件でございます。

 それで、五万人の件でございますけれども、平成九年三月の特定疾患対策懇談会において、患者数の少ない、いわゆる希少疾患に対して研究者の目を向けさせ、研究体制を構築することが事業の目的であることから、希少疾病用医薬品の指定制度、オーファンドラッグの制度における対象疾患が五万人未満であること等にかんがみて、対象を患者数がおおむね五万人未満の疾患と考えているところでございます。

小池晃君

 オーファンドラッグと難病というのは何の関係もないわけですよ。しかも、今おっしゃられた九八年の検討部会報告では、その時点での疾患がおおむね五万人未満であるということも一つの根拠になっているわけですよね。五万人、みんな五万人未満だったら五万人にしたんですよ、そのとき。

 もう一度聞くけれども、その五万人ということに、じゃ科学的根拠というのは、何か論文があるとか研究結果があるとか、そういうことはないんですね。

政府参考人(外口崇君)

 この特定疾患治療研究事業の考え方でございますけれども……

小池晃君

 そんなこと聞いてないよ。ちょっと、駄目だよ。

政府参考人(外口崇君)

 繰り返しになりますけれども……

小池晃君

 繰り返しだったらいいです。私が聞いているのは、繰り返し聞いているんじゃないんです。五万人という根拠になるような論文とか研究結果あるのか、イエスかノーかで答えてください。

政府参考人(外口崇君)

 オーファンドラッグを参考にして考えております。

小池晃君

 結局、根拠はないんですよ。それは難病の研究じゃないですからね。科学的根拠ないことで切り捨てようとしている。しかも、今のやり方でいうと潰瘍性大腸炎の六割以上、パーキンソン病の補助対象の約半数、これだけ除外されるということになる。それでね、そもそもこれ治療研究事業なわけですよね、研究。で、研究だと言いながら大半の患者さんを除外して、どうして研究が成り立つんですか。

政府参考人(外口崇君)

 この事業の考え方ですけれども、患者数が極めて少なく、全国規模で症例を収集しないと研究が進まない疾患について症例を収集することが考え方であります。

 患者数の多い疾患につきましては、これは公費を投じて全国規模ですべての患者の情報を収集しなくても、個々の研究において必要に応じて症例を収集できる面もあると考えております。

小池晃君

 でたらめですよ。軽症者あるいは軽快者を外しているんでしょう。病気というのは、重い人から軽い人まで全部研究して初めて病気の研究は成立するんですよ。あるいは、軽快した人、治った人、そういった人だって視野に入れて研究しなければ、これは研究事業にならない。でたらめです。

 しかも、これだけ重大な数万人の人の命綱を打ち切ることを、健康局長の私的諮問機関である特定疾患対策懇談会で決める、こんなことが許されるんですか。

政府参考人(外口崇君)

 特定疾患治療研究事業につきましては、公的な関与が必要な希少な難病の研究を一層効果的に実施できるよう、現在、健康局長の諮問機関である特定疾患対策懇談会において検討が行われているところであります。

 特定疾患対策懇談会は、昭和四十七年から、医学、医療における専門家により、特定疾患治療研究事業の対象疾患の選定などの専門的な事項について討議することを目的として開かれております。

 特定疾患治療研究事業の対象疾患や対象者の選定に当たっては、医学的な専門的検討を行う必要があることから、これまでと同様、特定疾患対策懇談会において御検討いただくことが適切と考えております。

小池晃君

 これね、重大な、大臣ね、これ、これだけ大問題になっている、数万人の人の生活に影響を与えることが、一私的諮問機関で決まっていいんですか。これ重大だと思う。

 大臣、私、これ実態見ると、一人一人本当に大変なんですよ。パーキンソン病の推定失業率、職業安定局の調査で五四%です。しかも、切捨て対象となっているヤール三という病状の患者さんの薬代自己負担、月一万五千円です。どれだけこれ救いになっているか。潰瘍性大腸炎、平均年齢四十二歳です。推定失業率二三%、年収四百万円台。こういう人たちの将来不安掛かっているんです。

 大臣、これ、絶対こういう切捨てを一私的諮問機関でやるなんということは許されない。こういう方針、撤回すべきじゃないですか。大臣、お答えいただきたい。

国務大臣(柳澤伯夫君)

 先ほど来お答えいたしておりますとおり、特定疾患治療研究事業というのは、一定の要件に該当する疾患を対象として行われているところでございます。研究ができるだけ効果的に実施されるためには、患者数の推移など、状況の変化に応じて対象の見直しを行うことは、これはもう必要であるということは小池委員も御理解いただけるかと思います。

 その問題を特定疾患対策懇談会という局長の諮問機関でやるのはいかがかという御指摘でございますけれども、今局長が答えましたとおり、この懇談会は長きにわたって専門的な見地からのいろいろ納得的なこの御意見をいただく機関としてこれまでも存在してきたものでございますし、今後とも、この懇談会の結論を受けて見直しについて考え方をまとめていくということは私は適切な対応だと、このように考えております。

小池晃君

 断じて容認できません。

 終わります。

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