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164通常国会 参議院厚生労働委員会

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2006年3月30日(木)

小池晃君

 日本共産党の小池晃です。

 二〇〇四年の合計特殊出生率は一・二九ということで少子化対策が急がれているわけですが、二〇〇五年に開かれたOECDの社会保障担当会合で報告書が提出されています。で、御紹介いただきたいんですけど、局長、いいですか、日本の出生率について、OECDの報告書で、政策改革によってどの程度引き上げることができると紹介しているか、紹介していただきたいと思います。

政府参考人(北井久美子君)

 御指摘の報告書、昨年改正されました第四回OECD社会保障大臣会合におけるワーキングペーパーであると承知をいたしますが、この報告書の中では、第一に子供に掛かる直接費用の軽減、それから第二に女性がパートタイム雇用を利用できる可能性の増加、第三にフォーマルな保育の利用可能性の増加、第四に出産休暇及び育児休業の延長、この四つの政策について、それぞれOECD加盟国の上位三か国のレベル並みに実施された場合に、各国で到達し得る可能性のある出生率水準をシミュレーションした結果が紹介をされております。

 それによりますと、御指摘のとおり、我が国の合計特殊出生率は約二・〇まで増加する可能性があるとされておりますが、このシミュレーションは非常に単純化されたモデルによります簡易なシミュレーションでございまして、必ずしも国ごとの固有の影響や様々な政策の相互作用を考慮していないものでございますので、結果の解釈には注意が必要とも記載されておりますが、一応二・〇と、こういうことでございます。

小池晃君

 この報告書にもあるように、ここでは子供の直接経費の上昇といいますか、子供を持つことで所得が減少しないようにすることが非常に大きな効果があるということが指摘されていて、その意味では、児童手当の役割というのは非常に大きいと私どもも思っておりますし、今回、少しですが引き上げられるということはこれは前進だというふうに思います。ただ、諸外国から見ると極めて低い水準でありまして、抜本的な強化が必要だというふうに思います。ただ、その同時にやはり働きながら子育てを進めるための支援策を根本的にやっぱり充実させなければいけないということを、まあ、今日はちょっと取り上げたいんですが。

 次世代育成支援法、施行から約一年たって、その到達であります。この次世代育成支援法では、従業員三百一人以上の企業に仕事と子育てを両立するための行動計画の作成を義務付けました。これ、三百一人以上の企業では九七%と聞いておりますが、三百人以下の事業所はこれ努力義務となっております。で、これ、三百人以下の事業所で計画が提出されている事業所の数、比率、示していただけますか。

政府参考人(北井久美子君)

 昨年十二月末現在の数字でございますが、三百人以下の企業の行動計画策定届出状況は千四百二十二社でございまして、まあ、三百人以下の企業数、約百五十万社と推計いたしますが、百五十万社を母数といたしますれば、約〇・一%ということになります。

小池晃君

 義務付けされている三百一人以上は九七%、それに対して努力義務の三百人以下の企業ではわずか〇・一%ということは非常に開きが大きいわけであります。

 で、この三百人以下の企業努力義務のところの計画作成、どのように進めていかれるのでしょうか。

政府参考人(北井久美子君)

 三百人以下の中小企業の行動計画の策定届出の目標値を子ども・子育て応援プランにおきましては二十一年度までの目標値として二五%として、目標を持って策定努力を促していきたいということにしておりますが、今の数字の状況から見ますと、かなり相当力を入れてやっていかないと、なかなか難しいといいますか、ハードルの高い目標だと考えております。

 したがいまして、私どもとしては、これから三百人以下の中小企業の行動計画の策定に向けて最大限積極的に取り組んでいきたいと思っておりますが、具体的には、全国八十九か所に指定しております次世代育成支援対策推進センターを活用しまして、そのセンターにおきます相談、援助であるとか、中小企業向けのモデル計画の提供や好事例集の提供といったことを進めてまいります。それからさらに、各労働局におきましては、県や市町村といった地方自治体や労働団体、経済団体の御協力も得まして、地域の実情に応じた広報啓発活動を進めていきたいというふうに考えております。

小池晃君

 三百人以下といってもかなり幅があると思うんですね。中小企業と一くくりにできないと思うんです。私は、せめて例えば百人以上の企業辺りを区切って、そういったところはちょっと実態調査をやるとか、やはり特別な取組しないと、これ〇・一%から二五%というのは、これはなかなか大変ですよ。これやっぱり実態調査などを含めて目標に近づけるちょっと工夫、努力をすべきだということを申し上げたいと思います。

 続いて、ファミリー・フレンドリー企業の問題なんですが、こういう表彰を厚生労働省として行っておりまして、表彰基準は、仕事と育児、介護が両立できる様々な制度を持ち、多様で柔軟な働き方が選択できるような取組を積極的に行い、効果が上がっている企業というふうにあります。

 これは、昨年は、ソニー、東芝、松下が大臣優良賞、ヤマハが努力賞ということでありますが、この表彰企業の男性の育児休業の取得率というのは実績としてどうなっているんでしょうか。

政府参考人(北井久美子君)

 このファミリー・フレンドリー企業表彰の企業選考に当たりましては、男性の育児休業の取得状況についても考慮をする要素となっておりまして、どの表彰企業においても男性の取得実績はございますけれども、この具体の数字につきましては公表内容の範囲に入っておりませんので、受賞企業との関係上差し控えさせていただきたいと思います。

小池晃君

 表彰されても実態を公表できないんじゃ、これは本当にどうなんだろうかと。余り小さ過ぎて公表できないんじゃないかというふうに勘ぐりたくもなるわけでありますが。

 これ、効果が上がっているというのが表彰の条件のはずなわけで、これはどういう効果がこういう企業では上がっているのか、これはどうなんですか。

政府参考人(北井久美子君)

 このファミリー・フレンドリー企業と申しますのは、その法律を上回る制度があるということはもとよりでございますが、それだけではなくて、かつ実際にその利用者がおられて、仕事と家庭との両立がしやすい企業風土、文化があるといったような要素を選考の基準としておるわけでございます。

 したがいまして、例えばその法を上回る制度がそれぞれあるか、それから、多様な働き方といったような短時間勤務の制度があるかといったような制度の問題だけではなくて、男性の育児休業取得の状況であるとか、あるいは育児休業、介護休業の利用、取得者数だとか、選考に当たっては聞いておりまして、相当の日本の企業のモデルといいますか、かなり先端的なお取り組みをやっていただいている企業として表彰するにふさわしい企業であるというふうに思っております。

小池晃君

 今日、公表して数字が出るんだったら、そういうことも納得できるんですが。

 これはちょっとお聞きしたいんですけど、男性の育児休業の取得率というのは、これ表彰基準ではどうなっているんですか。要するに、一人以上取得すれば表彰基準クリアすると聞いたんですけど、これ本当ですか。

政府参考人(北井久美子君)

 表彰基準としてはそういうことでございます。

小池晃君

 ソニー、松下、東芝といったら巨大企業ですからね。一人男性の育休取れば表彰基準クリアするって、こういう実態なんですよ。どれだけ取っているかは公表できないという、これは問題だと。

 さらに、育児のための短時間勤務制度というのをもう持っているということがこのソニー、東芝、松下、ヤマハは言っているんですが、この短時間勤務制度というのはどれだけ活用されているのか、数字はこれも公表できないんですか。

政府参考人(北井久美子君)

 短時間勤務の利用状況についても、選考に当たりまして聞いておりますけれども、やはり個々の企業ごとの数字は御勘弁いただきたいと思います。ちなみに、若干申し上げますと、男性の育児休業の取得者については、その優良賞の企業は複数おられますし、それから短時間勤務の制度の利用者数の方は百人単位で利用状況がございます。

小池晃君

 ちゃんとやっぱり公表すべきだと思うんですね。表彰しているんだったら、どれだけのものなのかというのを示すというのは私当然のことだというふうに思うんです。それができないというのはやっぱり非常に、ファミリーフレンドリーというけれども、やっぱり実績がどうなんだろうという国民の疑問も出てくるだろうというふうに、当然議論していても、この場でも疑問が出てくるぐらいですから、これはちょっと改善していただきたい、公表していただきたい。

 それから、根本的な問題としては、そもそも少子化対策というのであれば、男女ともにどんな働き方が求められるかが重要なわけで、行動計画の指針にも所定外労働の削減のための措置というのが入っている。しかし、今実態を見ますと、年間総労働時間千八百時間を超えたままだし、有給休暇の全体の取得率は四八%と年々減少している。配偶者出産休暇とかこういうファミリーフレンドリー企業ではあるようですが、とても忙しくて元々の有休取れないという中では本末転倒だという実態が実際はあると思うんですね。

 長時間労働の問題でちょっと御紹介しますと、本来は大臣告示では年間三百六十時間が限度です。ところが、今回ファミリーフレンドリー企業として表彰されている東芝の事業所では、三百六十時間の残業協定の上にいわゆる特別条項付き協定を結んで、年間何と九百時間まで残業させることができるという事業所があります。実態としてどういう働き方になるかというと、これ月にすると七十五時間、毎日四時間ぐらい残業すると。家に帰ったら深夜だと。これで家族が触れ合える日常生活が送れるのかと。ファミリーフレンドリーというふうになるのかという実態があると思うんですね。川崎にある東芝のマイクロエレクトロニクスセンターと、ここが九百時間の残業協定できているんですが、ここはしかも、いわゆるサービス残業、労働基準法違反の、これ昨年十二月に川崎南労基署が立入検査に入って摘発をして、その中心は正に二十代、三十代の子育て世代だといわれます。

 私、大臣にお聞きをしたいんですが、こういう東芝に限らない日本の企業風土全体として、本当に正社員の長時間労働というのはまだまだ改善されていない、むしろ悪化しているような傾向もある。こういう異常な職場環境をやっぱり変えない限り私は少子化に歯止めを掛けることはできないのではないだろうかと。子育て支援のいろんな制度を充実させていくことは当然必要だけれども、やはり厚生労働大臣の本来の責務として、労働時間の短縮、有給休暇取得率の促進ということを確実に進めていくということが大事ではないか。

 それから、先ほど大臣は、パートの問題、あるいは氷河期と言われた時代に正社員になれなかった世代をどう救うのかという点で経団連に物申すとおっしゃいましたけれども、本当に今矛盾していると思うんです。膨大な非正規雇用の働き方をさせられている若者がい、正社員として企業に雇われている若者はもう深夜まで長時間労働をされている。これ足して二で割ればもっともっと幸せな職場社会をつくれるはずなのが、そういう極端な状況が生まれている。こういうときこそ、私、行政の役割が問われているのではないかというふうに思うんですよ。

 大臣、先ほどは非正規雇用の問題、パートの問題などでは踏み込んで企業に物を言っていきたいとおっしゃいましたけど、やはり併せて長時間労働の問題にも、やはりこういう情勢になってきているわけですから、しっかり踏み込んでいく、そういう役割が求められているんじゃないかと思うんですが、大臣、いかがですか。

国務大臣(川崎二郎君)

 今、表彰対象になりました松下というのは私の出身企業でございますし、人事本部長が私の同期でございますので、よく実情は聞いてみたいと思いますけれども。

 正直、この十年間、雇用の数字を見ても、確かに若者につらい、先ほど申し上げたように、一〇%を超えた失業率の時代がありました。それがだんだん改善されてきた中で、今御提案いただきました若者の働き方の問題、一つは非正規雇用の方々をできるだけ正規雇用に、またフリーターの人たちを正規雇用に変えていく、こうした努力が世の中全体として求められているんだろうと。それは、雇用状況が改善されればされるほど、かつてのその時代の人たちにしっかりとした目配りをしなきゃならぬということが一つであろうと。

 もう一方、企業が極めて収益が厳しいという中で、労働時間が実態として厳しい方向に向いてしまった。しかしながら、ここでもう一度全体を見直すべきではなかろうか、こうしたお話だろうと。

 当然、法に照らしてきちっとした対応をしてもらわなきゃならないと。そういった意味では、私ども厚生労働省、労働分野でもしっかりとしたものを各企業にも言いながらやっていかなきゃならぬし、先ほど御指摘いただいたように、労働基準監督署の方から様々な形で御注意を申し上げていることも事実でございますので、しっかり目を光らす役目というものは果たしていかなきゃならないと、このように思っております。

小池晃君

 やはり少子化対策、仕事と子育ての両立という点では根本的な問題だと思いますので、是非引き続き御努力をお願いしたいというふうに思っております。

 延長保育の問題についてお聞きをしたいんですが、これは三位一体改革で既に予算事項ではあるんですが、公立保育所が延長保育を行った場合に加算される補助金が一般財源化されました。公立での延長保育を民間並みに引き上げるための補助金だったはずであります。

 局長にお伺いしますが、そもそも、公営、民営で延長保育、今どの程度の到達になっているんでしょう。

政府参考人(北井久美子君)

 保育所における延長保育の実施状況でございますが、平成十六年度において、公営は四千四百二十二か所、全公営施設の三五・八%でございます。民営の場合は八千六百六十四か所、全民営施設の八五・五%で実施されているところでございます。

小池晃君

 大臣にお伺いしたいんですが、「仕事と子育ての両立支援策の方針について」、閣議決定がございました。ここでは、延長保育については遅くても〇四年度までに、その当時ですよ、その当時一七%の公営保育所における延長保育を民営並みの六二%実施を目指すというふうに決めております。そのために特段の配慮をし、必要な予算を確保するんだという閣議決定があるんですね。

 今御紹介あったように、〇四年度末の実績でも公営三五・八%、〇一年当時の六二%にすらほど遠い実態なんです。閣議決定の目標にはるかに到達していない段階でこれを一般財源化してしまうというのは、私は、閣議決定に照らしても問題があるんじゃないかと思いますが、いかがですか。

国務大臣(川崎二郎君)

 公立保育所の延長保育に関する経費については、地方自治体から一般財源化が主張される中で、事業の実施・運営責任が市町村にある、対象経費は市町村の職員の給与であることにかんがみ、一般財源化を行っても必要な財源が確保されるため、地方の提案を受け入れることといたしました。

 延長保育を含む多様な保育サービスについては、各自治体で定めた行動計画において住民のニーズを踏まえて目標量を設定しており、その達成に向けて各自治体で適切に対応していただけるように促してまいりたいと思います。

 国がすべてのことについて責任を持ってきちっとやれというのも一つの御議論だろうと。しかし一方で、こういう時代の中でできるだけ地方が責任を負うと。そして、この部分は公立でございますから、正に首長の目の届くところで、自治体の長が目の届くところで行われる事業でございますので、やはりそこをしっかりやってもらうように我々の方からも促していきたいと思います。

小池晃君

 しかし閣議決定なんですね。

 しかも、去年この問題私この委員会で取り上げて、そのときは、要するに引継ぎのときの補助金だからこれは仕方ないと、延長保育の時間帯の費用は今までどおり維持しますって当時の伍藤局長はここで答弁されたんですね。それが一年たって、そこまで一般財源化というのは、私は、これほどくるくる変わっていいんだろうかということは非常に疑問を持ちます。ただ、予算事項でもう通ってしまっている問題なんで、これ言ってもせんない話なんですが。これしっかりと財源確保する努力をやっぱり厚労省としてはしていくべきだということを申し上げたいというふうに思います。

 〔委員長退席、理事岸宏一君着席〕

 それから、子育て支援の問題でもう一つ、乳幼児医療の無料化の問題取り上げたいんですが、私どもも長年このことを要求してきましたし、参議院に無料化法案も提出したこともございます。

 最初に、各自治体が今独自で助成制度やっていますが、今全国の都道府県、市区町村が行っているこの助成制度、自治体数としてどれだけあるのか、それと総事業費は最新で幾らになるのか、お聞かせください。

政府参考人(北井久美子君)

 乳幼児医療費の助成を行っております地方自治体の数は、平成十七年四月一日現在で、四十七の全都道府県、それから二千四百十八の全市区町村でございます。すべての自治体において何らかの形で助成が実施されていると承知をいたしております。

 また、これらの地方自治体の負担総額は、平成十七年度の都道府県の予算額から推計をいたしましたものでございますが、都道府県と市区町村分を合わせ、約千三百五十億円と推計いたしております。

 〔理事岸宏一君退席、委員長着席〕

小池晃君

 六歳未満の医療費の自己負担分は、保険局長、現在幾らなんでしょうか。

政府参考人(水田邦雄君)

 六歳未満のお子さんに掛かります医療保険の自己負担額の総額についてでございますけれども、平成十八年度で二千三百億円と見込んでございます。

小池晃君

 重ねてお聞きしますが、六歳未満の乳幼児医療費の無料化を行うとすれば、国の負担二分の一というふうに置きますと、どの程度の負担になるんでしょうか。

政府参考人(水田邦雄君)

 お示しいただいた前提で計算をいたしますと、自己負担無料化の波及増も含めまして、医療保険の給付費は平成十八年度で三千五百億円程度増加すると見込まれます。その二分の一を国庫負担するとした場合には、その半分で千八百億円程度と、このように見込まれます。

小池晃君

 無料化すると需要が増えるというのはちょっと、老人医療とかではそういうことが傾向としてあるのかもしれませんが、子供の医療でそういうことがちょっとあるのかというのは私、疑問なんですが。

 いずれにしても、大臣、これ今お話あったように、すべての自治体で乳幼児医療の助成制度、何らかの形でやっている。自治体によって水準かなり違ったりする。東京の二十三区でも、隣の区に行ったらそこは六歳なのに、隣の区は中学生までとか、こういうのがいろいろあるわけですね。

 私、少子化に本格的に歯止めを掛け子育てを支援する、そういう意味でこの問題は、国の決意を示すというか、国は本気でやっぱり子育て応援しているんだよということを示す上では、私は非常に効果的な政策ではないかなというふうに思っておるんです。

 是非、やっぱり国の制度として、この乳幼児医療費の無料化ということをいよいよ踏み切る必要があるんではないかというふうに考えるんですが、大臣、いかがですか。

国務大臣(川崎二郎君)

 私、現状見させていただいて、国の施策に地方が上乗せをする、これは児童手当でもそうですし、様々な施策はそうであろうと、教育でもあります。

 そういった意味では、地方自治体の中に乳幼児医療費を無料化しているところあります。医療費は、医療を受ける者と受けない者との均衡を踏まえ、受診者に一定の御負担をいただくのが原則であると考えております。

 また、こうした無料化のほか、地方自治体が独自に乳幼児医療費の負担軽減措置を行っているが、これはそれぞれ地域の実情を踏まえた判断によるもの。むしろ、国としては厳しい財政状況の中で、未熟児、慢性疾患児といった手厚い援護が必要な児童の医療費の公費負担を優先的に実施しております。

 厳しい保険財政の中でありますが、平成十四年十月から三歳児未満の乳幼児に対する医療費の一部負担を三割負担から二割負担に、さらに昨年十二月の医療制度改革に沿って、平成二十年度から乳幼児に対する自己負担軽減の対象年齢を三歳未満から義務教育就学前まで拡大するという方向で整理をいたしてきております。

 そこは、地方がまた独自に乗せていただくということについては、正に地方が判断をしてやっていただく、国が最低のものをやらせていただくということで、私は政策、両方とも相まっているんではなかろうかと、こう思っております。

小池晃君

 いや、ちょっとこの間の坂口大臣や尾辻大臣の答弁に比べるとかなり後退している印象を受けるんですね。

 私としては、六歳までの国の制度として無料化というのは、それこそむしろ土台であって、そこから更に自治体が上乗せしていけばいいわけですよ。今、実態そうなっている、中学生までなんてやっているところもあるわけですから。やっぱり最低ラインとして六歳未満までの医療費の無料化というのは国の制度としてやって、どうぞ自治体自由に更に上乗せする事業をやってください、これこそ私は進むべき道だと思いますけれども、ちょっと聞いても余りいい答えにどうもなりそうもないんで、もうこれ以上言いませんが、ちょっとこれは困ります。是非やっていただきたいということを重ねて申し上げたいというふうに思います。

 引き続いて、今回、地域介護・福祉空間整備交付金のうち、特養、老健施設など大規模施設の整備を対象とする都道府県交付金が廃止されるわけです。これは、要するにかなり整備が進んできたから一般財源化してもいい、地方に任せてもよいというようなことなのかもしれませんが、しかし待機者の問題というのは依然としてこれあるというふうに思うんです。

 現在の待機者、特養の待機者の数、一体何人になっているのか、お答えいただきたいと思います。

政府参考人(磯部文雄君)

 本年三月の時点で各都道府県が把握しております入所申込者数を単純に足し上げますと、三十八万五千人となっております。

 ただ、この中には、複数施設に入所申込みをしている方、それから特養以外の施設の入所者など在宅以外の方が六割ぐらいを占めていること、それから要介護度三及びそれより軽い方々の割合が六割を占めているなどの状況は一昨年の調査のときと基本的に変わっておりませんで、こうした単純合計した数が直ちに入所を必要とする方の数を示すものではないと考えております。

小池晃君

 しかし、前回は三十四万というお答えでしたから、更に増えているわけであります。しかも、入所しているからいいんだとおっしゃいますけど、その入所している療養施設もベッドをなくしていくということまで出されているわけですからね。

 しかも、これは予算委員会で我が党の紙智子議員が大臣に質問した関係でちょっとお聞きしたいんですが、負担増で施設から出て行かざるを得ないようなケース、いわゆる居住費、食費の問題ですが、大臣は、ウオッチしており、個々の事案には対応していきたいというふうに答弁されています。居住費、食費の徴収を契機とした施設退所の状況について、これは調査すべきでないかと思うんですが、局長、いかがですか。

政府参考人(磯部文雄君)

 衆議院でもたしか御答弁申し上げたところでございますが、我々のところでは、所得の低い方々にとって、過重な負担とならないようにきめ細かな低所得者対策を講じていること、それから、保険者等から昨年十月以降、こうした費用負担の増加によって介護保険施設から退所せざるを得なかったケースはほとんど聞いていないといったことから、退所者の実態調査を行う必要はないと考えております。

小池晃君

 いや、ほとんど聞いてないって、いろいろと照会しているのにそういう言い方はないというふうに私は思うんですよね。

 ちょっと具体的に聞きたいんですけれども、全国保険医団体連合会が居住費、食費の導入によってどういう影響が出たか全国調査をやっています。回答があった千三百六十五施設のうち二百九施設で負担増による退所があった、その総数は三百八十八人だった、しかも問題なのは、これ退所した人のうち負担段階が分かる人を調べますと、三人が一段階、生活保護になる、二十五人が第二段階、十四人が第三段階というわけです。

 大臣は、先日の予算委員会で、これ第二段階、いわゆる八十万、年間八十万以下の場合はむしろ負担は減額になると答弁されているんですけれども、しかし、その第二段階の人も含めて低所得者でも退所者が出ているという実態がこう報告をされている。大臣は、予算委員会で個々の事案について調査して対応していきたいというふうに答弁されたわけですから、やっぱりこの十月のホテルコスト徴収の実態がどうなっているのかというのを、これ少なくとも調査する必要があるんじゃないですか。

 これ大臣、お答えいただきたいと思います。

国務大臣(川崎二郎君)

 これは当時お答え申し上げましたように、第一段階が、十月までの利用者負担が二万五千円、それが新しい制度、十月以降は二万五千円、したがって、これが上がったからという理由にはならないだろうと。第二段階も、四万円が三万七千円になるわけですから、これもなかなか考えにくいですねと御答弁申し上げました。実は、第三段階なんだという御指摘がありまして、それは四万円が五万五千円になると。ただし、この方々は年金八十万円以上の方々であるということの中から……

小池晃君

 年間ね。

国務大臣(川崎二郎君)

 年間です。これがゆえにというのはなかなか考えにくいですねという御答弁申し上げました。

 一方で、いろんな資料を見させていただく中で、必ずしもこの保険医団体がお調べになった、保険医協会というんでしょうか、ものについても、他のところへ移ったという人たちも含まれておりますので、必ずしも実態をどこまで表しているのかなという感じをいたしております。

 それから、紙議員が言われた、私が多分勘違いしたんでしょうね。二十万円と言ったんで、年間二十万かなと。八十万円て数使ってましたんでね。月二十万かもしれないなということでありますと、母親の入所費用、例えば八万円を負担することでこの世帯が生活保護の水準を下回るような形になるかもしれないと。これ母親の利用者負担段階を引き下げる境界層処置というのがあるようでございます。それによって第一段階、第二段階と同じような処置が行われるというように承知しておりますので、是非御相談をいただきたいなと、こう思っております。

 また、各自治体からも、当然自治体も自分の内部の調査なりいろんな調べをいたしております。ここに、後でお配りしても構いませんけれども、神戸市からの報告もいただいている限りは余り影響は出ていないなと、こういうふうに思っております。

 いずれにせよ、調査というよりは我々しっかりウオッチしながら、各自治体から、また各施設等から情報が上がってまいりますので、それを注意深く見守っていきたいと、こう思っております。

小池晃君

 保険医協会の調査にまあクレームというか一言言われましたけれども、ただ調査、厚労省やっていて言うんだったらともかく、やってないわけですから、やってなくってそういうことを言うのはちょっとひどいんじゃないんですか。

 僕が言っているのは、調査したらどうだという話なんですよ、少なくともね。ウオッチするけれども調査しないというのが分からない。ウオッチするということは調査するということじゃないですか。これやっぱりこれだけ声出ているんだから、そうじゃないよというふうに皆さんだっておっしゃりたいだろうから、そうじゃないというのを調査して示してくださいよ。

 それから、自治体の調査だって、例えば埼玉県なんかは負担増で退所者出ているって調査していますよ。だから、いろいろそういうこと出ているわけですから、少なくとも調査はしたらどうですかということなんですけれども、これどうですか。

国務大臣(川崎二郎君)

 今埼玉県と御提言いただきましたから、埼玉県にも聞いてみましょう。いろんな情報収集の方法があるだろうと。全国一律の調査は今掛ける段階ではないと思っております。

小池晃君

 私はこれは今こそするべきだと。医療の問題でこの医療施設の居住費の問題も出てくるわけですから、やっぱりそれを提案するのであれば、介護で一体どうだったのかということをちゃんと調べて提案するというのが私筋だと思います。これやっていただかないと困ります。

 やはり日本の特養の待機者数、先ほど述べましたけれども、これ私日本の社会保障の貧困さの一つの象徴だというふうにも思いますし、しかも増大続けているわけで極めて深刻で、こういうときに都道府県交付金の廃止は許されないということを申し上げたい。

 さらに、受皿として有料老人ホームがあるんだという議論があるので、この問題をちょっと取り上げたいんです。

 そもそも有料老人ホームの負担、非常に高額でなかなか受皿にはなり得ない実態がある。入所しても、金銭的な負担に耐えかねて退所するなんということもよく聞きます。

 内閣府、おいでいただいていると思うんですが、国民生活センターに寄せられたこの有料老人ホームをめぐるいろんな相談件数、簡単に主な内容を教えていただきたいと思います。

政府参考人(堀田繁君)

 国民生活センターでは、各地の消費生活センターを結ぶPIO―NETシステムを運営しておりまして、消費生活相談情報を収集しております。PIO―NETシステムで収集されております有料老人ホームに関する苦情相談件数ですが、二〇〇〇年度以降で約九百件となっております。

 相談事例でございますけれども、契約、解約に関するものやサービスの質、安全性に関するものが目立っております。例えば、契約、解約については、入居前又は入居後間もなく解約したが、一時金や申込金、保証金などの返還額に納得できないという相談や、月額費用が説明と異なるといった相談がございます。また、サービスの質については、介護サービスの質の粗悪さのために床擦れができたり、食事管理が十分でないために脱水症状や高血圧などにより体調を崩したといった相談、さらに、安全性につきましては、転倒によります骨折や投薬の誤りなどの介護事故をめぐる相談といったものがございます。

小池晃君

 公正取引委員会もおいでいただいていると思うんですが、これ二〇〇四年から有料老人ホームは景品表示法の対象とされていますが、介護保険導入された二〇〇〇年以降に公正取引委員会が有料老人ホーム等に対して行った警告、排除命令の件数はいかがでしょうか。

政府参考人(舟橋和幸君)

 お答え申し上げます。

 当委員会が景品表示法に基づきまして有料老人ホームの不当表示に対しまして平成十二年から現在までに措置をとった件数でございますけれども、警告が八件、それから排除命令が六件ございまして、年度ごとも御紹介しましょうか。

小池晃君

 いや、いいです。

政府参考人(舟橋和幸君)

 よろしいですか。

 以上の件数、八件と六件ということでございます。

小池晃君

 ありがとうございました。

 東京都が行った調査でも、六十件の不当表示の疑い事例が寄せられて、二十九件が実際に指導の対象となっている。いろんなケースがあるんですね。すべてが本当にもうめちゃくちゃ悪質というものばかりではないというのは、これはちょっと申し上げておきたいと思いますが、しかし、その広告と実態に乖離があるというのがトラブルの原因の一つになっていることは間違いないと。

 厚労省にお聞きしたいんですが、これは不当表示については課長会議通じて指導の強化を都道府県に求めておりますが、こういう実態を見ますと、これは十分に指導が行われているとは言い難い実態あるんじゃないかと、国民生活センターに寄せられているような実態見ますと。この辺、いかがでしょうか。

政府参考人(磯部文雄君)

 まず国民生活センターの方の報告書でございますが、そこで指摘されております入居契約解除のルールなどに関する情報開示の重要性あるいは一時金の返還に関するルールの設定などにつきましては、厚生労働省としても重要な課題と認識しておりまして、特に昨年の介護保険法に伴う老人福祉法の改正等によりまして具体的にいろいろな対応を図ろうとしております。

 具体的には、一つには老人福祉法の改正によりまして、入居希望者等に対しまして重要事項説明書の交付をこの四月から義務付けることとしております。また、有料老人ホームの標準指導指針の改正によりまして、九十日以内の契約解除の場合には一時金をすべて返還する旨の規定を設けるよう、本年七月から実施させるようなことも考えております。

 そうしたこと、それからまた法律改正が四月から実施されますが、その中では、これまでやっておりませんでした入居者保護に関して、幾つかの項目がございまして……

小池晃君

 いいです、後で聞くから。

政府参考人(磯部文雄君)

 そういったこともやろうとしております。

 取締り指導の件につきましては、基本的に都道府県が責任を負っておりますので、かつ相当有料老人ホームの数は県によって差がございますが、そうしたことも踏まえながら各都道府県において適切に指導を行ってもらいたいと考えております。

小池晃君

 ちょっと今までのはやっぱり不十分で、ようやくいろんなことをやり始めたということなのかもしれませんが。

 今ちょっともう答弁があったんですけども、やっぱり一番多いトラブルは解約とそれに伴う返金なんですね。入居一時金が返金されるかどうか分からない、返金されないという話が多い。これ、国民生活センターの調査研究を見ますと、二・三%の有料老人ホームで、一月以内に退所した場合は入居一時金を返還しないという対応を取っているというふうに答えております。以前この委員会で質問したときに、一時金平均一千五十五万円という御答弁ありまして、これが一か月以内で退所しても返ってこないとなると、これ大変な問題になるわけです。

 今御答弁ありましたように、九十日以内の退去については全額返還するような、これは通知を出されるんですか。簡単で結構です。

政府参考人(磯部文雄君)

 明日付けですか、三十一日付けで通知を発出しようと思っております。

 ただ、すべてといいますか、その間にもちろん多少消費している部分がございますから、それを除いてすべてということです。

小池晃君

 しかも、重ねて問題点としては、サービスに不満があって文句言ったら退去を求められるという問題もあるんですね。

 これ、さきのアンケートで退去理由を見ますと、大声や暴力、徘回など利用者が迷惑というそういうケースがあるホームが八・八%、ホームの指示が守れないというケースがあるホームが六・八%、高齢化に対応できないというケースのあるホームが二・四%、終身利用権、介護付きの施設にもかかわらず、強度の認知症などを退去事由として契約書に例示するホームもあるわけです。

 終身利用とか終身介護といいながら、重度の認知症となった場合に施設の側から退去をさせることができるとなると、これ大変な問題ではないかと思うんですが、こういうことを許さないような仕組みというのはあるんでしょうか。

政府参考人(磯部文雄君)

 契約の中身につきましては契約にのっとってやるという基本があると思いますが、老人福祉法上の措置で、あるいは対応といたしましては、都道府県知事は、有料老人ホームの設置者が先ほどの帳簿の保存等に違反したとき、又はその入居している方の処遇に関し不当な行為をし、又はその運営に関して入居者の利益を害する行為をしたと認めるようなときには、当該設置者に対して改善に必要な措置をとることを命ずることができるといったことで対応できると考えております。

小池晃君

 情報開示は極めて重要であるというふうに思うんですね。この点で、昨年の介護保険法の改定で情報開示が強化されて、重要事項説明書に相当する中身も開示対象になったということであります。

 しかし、実態を見ますと、この先ほどの国民生活センターのアンケートを見ましても、重要事項説明書を入居契約をする際に渡すというものが最も多いんですけれども、反面、入居後に渡すというのが三・四%ある、それから重要事項説明書を作成していないというところも一・三%あるんです。

 標準指導指針では、この重要事項説明書を、先ほどもありましたけれども、入居相談があった場合に交付する、あるいは契約締結前に十分に時間的余裕を持って説明書について十分説明すると、こうなっているわけですが、実態としてそうなっていないんですが、これはなぜなんでしょう。

政府参考人(磯部文雄君)

 委員御指摘の情報公開につきまして、これもこの四月からの施行でございます。それから、先ほど申し上げましたように、この重要事項の説明書についての指導指針、あるいは法律の施行もこの四月一日からということでございますので、これから正にそうした義務付けがきっちりとなされていくものと考えております。

小池晃君

 しかし、この義務付けの問題で、その新しい仕組みでは書面交付による情報公開義務付けていますけど、その時期まで限定してないじゃないですか。これで十分機能するというふうにお考えですか。

政府参考人(磯部文雄君)

 老人福祉法の中に、二十九条四項におきまして、当該有料老人ホームに入居する者又は入居しようとする者に対して情報開示をしなければならないとございますので、基本的には事前に情報公開しなければならないと解釈しております。

小池晃君

 さらに、都道府県がそれを指針に基づいて指導というけど、どういう実態かといいますと、これは国民生活センターは都道府県にもアンケートをやっています。

 これ見ますと、老人福祉法二十九条に基づく改善命令出したことあるのは一自治体、文書による行政指導は十自治体、口頭指導など何らかの対応を行っているのが五。二〇〇四年までは有料老人ホームがなかった一県あるんで、そこを除いて残り三十二自治体は、これは何の指導もしてないという実態です。この三十二自治体の中には百以上のホームを持っている四自治体も含まれております。

 もちろん、この三十二自治体何にもしてないと言うつもりはないです。しかし、これ何の指導もやってないというのは問題なんじゃないかと思うんですが、これいかがですか。

政府参考人(磯部文雄君)

 有料老人ホームに関する指導につきましては、最初にも申し上げましたように、やはり都道府県がその実情に応じて指導するということでございまして、当然その実施体制につきましても都道府県の御判断によるものだと考えております。その意味で、今回の老人福祉法の改正を含めましていろいろな規制がこれから新たに始まっていくということでございますので、それぞれの都道府県において的確にこの制度の運用を行っていただけるものと考えております。

小池晃君

 まあそうはおっしゃいますけども、例えば、ホームが五つ程度であっても専任の担当者を置いている自治体もあります。一方で、二百を超える有料老人ホームがありながら、兼任の担当者が二人という自治体もあります。これから多分届出件数も急増するでしょう。体制整備については特に考えてないというような都道府県、自治体が多いんです。

 私は、少なくとも、ぎちぎちに縛る必要はないかもしれませんが、一定の有料老人ホームを抱えるようなところは、少なくとも専任の担当者をやっぱり都道府県に置くということぐらいの最低限の基準を示すことは検討する必要はあるんじゃないかと。これが受皿だというふうにおっしゃるんであれば、そのぐらいの体制をつくるというのは当然検討しなきゃいけないと思うんですが、いかがですか。

政府参考人(磯部文雄君)

 地方自治の中で都道府県の実施体制についてなかなか国から言うというのは非常に難しい今状況ではないかと考えております。むしろ、先ほどから申し上げていますように、今回の老人福祉法の改正を適切に運用していっていただく、そういう体制を取っていただくことはその裏腹の関係として必要だと考えておりますが、その意味で的確な制度運用をお願いするのが国の立場ではないかと思います。

小池晃君

 大臣、今までちょっと有料老人ホームの問題を取り上げましたが、なぜかというと、この特養に代わってこういったところをこれからの介護の受皿にしていくというようなそういう議論もある中で実態がどうなっているのかということで取り上げたわけです。

 先ほどから御答弁も内閣府の方からあったように、いろんなトラブルが起こっていると。証券業とか不動産とか保険とかいろんなトラブルが起こっている業界がほかにもありますが、ここでは業法があって、約款を認可制にして不当条項を排除するとか、法律で一定の基準以下の条項を契約に盛り込むことを禁止するとか、あるいは交付、説明、これを法律で契約前に行うことを義務付けるとか、業法によって一定の対応をしてきているところがあるわけですね。

 私は、これだけ供給件数が急増してきていて様々な業者が参入しようとしてきている有料老人ホームについて、いろんな問題ある業者に対して指針に基づく行政指導やります、それから情報の開示を通じて市場から排除されます、これで消費者保護がされますというのは私は非常に不十分ではないかと、これ限界があるんじゃないだろうかというふうに思うんです。それは、この間のやっぱり指導指針の徹底の状況であるとか、あるいは行政の体制がなかなか十分できてないというところから見ても無理があるというふうに考えるんですね。

 やっぱりこの際、この有料老人ホームについて業法的な規制の枠組みということを検討する時期に来ているのではないだろうか、その点について大臣の御見解を伺いたいと思います。

国務大臣(川崎二郎君)

 今説明ありましたように、老人福祉改正法、改正によりこの四月一日から重要事項説明書の交付等義務付け、こうした運用をしっかりやりながら、一方で、基本的には消費者契約法というんですか、事業者の不適正な行為による契約を取り消すことができるほか、消費者の利益を不当に害する一定の条項を無効とするなど、消費者の保護が図られていると。この基本法で基本的には処理できるんではないかと思っております。

 ただ、言われますとおり、各県の対応が遅れておるという御指摘をいただきました。この県の対応についてはしっかりこちらの方から注意喚起を促していきたい、こう思います。

小池晃君

 やっぱりこういう状態を改善することなく特養ホームに対する交付金を廃止するということは許されないのではないかということを改めて申し上げたいと思います。

 さらに、介護保険にかかわって、新予防給付、新予防介護導入の問題ですが、これは前回も私ここで質問しまして、大混乱しているということを取り上げました。

 例えば、例のケアマネ一人当たり新予防給付プラン外部委託八件というのが突然出されて、移行措置ありますけど、不安が広がっておりますし、それから四月から要介護度の認定結果について、これは政令、省令が出るまで行わないようにという指導がされている。ところが、政令、省令は予定より一週間遅く出される。その結果、ちょうど今ごろ利用者のところに認定結果が送られて、これからケアプランの作成が始まると。大変な状況になっている。

 私が国会で質問したらば、議事録をホームページで見た方から、県の担当者からメール来まして、こんなメールですね。これはちゃんとしたメールですが、県の、済みません。県の介護保険を担当していますが、国に照会掛けたら、隅から隅まで読んでから問い合わせしてくるようにと高圧的に言われました、隅から隅まで読んで電話したら、ファクスしろって言われました、結局何回ファクスしても回答はありません、ひどいところです、そんなところに御努力って何をすればいいの、絶対パワハラですよ、ひどいひどい老健局はと、こういうメールが現職の県の担当者の方から私のところに来ました。

 この準備不足の状況について、老健局として、私、国の責任重大じゃないかと思いますが、どのように考えておられますか。

政府参考人(磯部文雄君)

 大変大きな事務量をこの四月からやらなければならないという市町村、それに対応しまして実は国の方の準備も非常に膨大な量になっておりまして、その意味では若干の事務の遅れ、あるいは今お取り上げになりましたような事例がもしあるとすれば、私どもも早急にまた具体的に教えていただきまして対応をしたいと考えております。

 非常に事務量の多い中でそれぞれ市町村あるいは国も最大限の努力をして、できるだけ円滑な施行を図ってまいりたいと考えております。

小池晃君

 事務量の多さが問題じゃないんですよ。突然新しいことを持ち込まれたり、前言っていたことと違うことが出てきたりするから混乱しているんです。そういう実態があると。

 それと加えて、前回ちょっと取り上げた問題で、地域包括支援センターの問題で実情をいろいろ聞きましたらば、これは最初、私、厚労省から聞いていた説明では、基本的には常勤の職員、三種三人置いて、それぞれ基本的に同じ業務を行うと。それで二千万円交付しますという話だったんですけれども、いろいろ実態を聞くと、例えば横浜のように、ここは二千百五十万円出すと。ほぼ国が言っていた数字と近い数字ですが、例えば埼玉県の草加市では委託費八百万円。これ八百万円で国が言っている三業種三人確保するっていうのは至難の業ですよ。あるいはその受託する法人に対して、赤字が出ないように支援するって言っている自治体もあるんです。一方で、仙台市や新潟市などは、赤字はやむを得ないわ、受託してくれというふうに言っているところもあるそうであります。受託費が八百万円とか、赤字やむを得ないからやってくれというこういうやり方では、委託を受けようとして準備進めているところからもこれ受託拒否という事態が生じても私、やむを得ないというふうに考えるんですね。

 局長、こういう実態がある。やはりばらばらなんですよ。実態をしっかり把握するとともに、やはり委託費が適切な水準で各自治体が出すように徹底すべきじゃないか。また、困難抱えている自治体に支援するということも考える必要があるんじゃないかと思いますが、いかがですか。

政府参考人(磯部文雄君)

 地域包括支援センターの運営に要する費用につきましては、御指摘のとおり、十八年度におきましては当該保険者の保険給付費の一・五%を上限として地域支援事業の交付金に充てるという仕組みとなっております。そして、この水準は、おおむね人口二、三万人に一か所ということでいきますと、千四百万から二千万ぐらいでしょうか、の給付費になるということでございます。

 ただ、各保険者におきましてはその地域包括支援センターの運営について、どのような単位として運営するか、それからその運営を委託する場合にどういった委託費の水準にするかといったことにつきましては、各保険者が、各市町村が地域の実情を踏まえて適切な額を設定し、適切に運営をしていくのが、この自治を主体とした介護保険のやり方としているのではないかというふうに考えております。

小池晃君

 しかし、三人雇って八百万円という委託費が適切な水準なんですか。これ絶対適切じゃないですよ。こういう実態についてしっかり調査していただきたいということを申し上げたいと思います。

 加えて、介護労働者の問題について聞きたいんですが、一昨日の労働政策審議会で介護労働者の離職率を二十年度までの四年間で二〇%以内に引き下げる目標が確認されたというふうに聞いております。この介護労働者の労働実態、非常に深刻だということは何度もこの場でも議論がありましたけれども、どのようにこの離職率を抑えるのか、その施策を簡潔に御説明願いたいと思います。

政府参考人(鈴木直和君)

 今御指摘のありました介護雇用管理改善計画、これ現行の計画ございますが、介護保険法等の見直しを受けてこれを見直すという形になっておりまして、その現在必要な見直しを行って離職率の低減等を目標として盛り込む等の改正を行いまして、明日付けで告示をする予定でございます。

 それで、具体的にどうやってそういった改善を図るのかという御質問でございますが、離職率を低くするというためにはその雇用管理全般の改善を図るということが一番重要な課題でございますので、これにつきましてはシンポジウムとかあるいはフォーラムの開催、それから事業主を集めた講習等の実施、そういった形で事業主自ら取り組んでいただくこと。

 それから、雇用管理改善計画、企業ごとの改善計画を策定して都道府県知事の認定を受けた場合にはいろいろな助成金が出ることになっております。例えば、企業の中でその雇用管理の改善の中枢的な役割を担うような介護福祉士等の基盤人材を雇った場合の介護基盤人材確保助成金とか、あるいは、具体的に雇用管理の改善を行った場合に助成される介護雇用管理助成金、そういった助成金がございますが、そういった助成金等を活用しながら、具体的に雇用管理の改善を行っていきたいと考えております。その具体的な予算で申し上げますと、介護基盤人材確保助成金は約六十三億円、介護雇用管理助成金は約一億円、これが十八度予算額でございますので、こういったものを十分活用したいと考えております。

 また、これらに加えて、十八年度には、こういった介護分野における標準的な雇用管理モデル、そういったものを学識経験者あるいは介護の事業者等にも参加をいただいてそういったモデルをつくりまして、そういったものを周知していきたいと、そんなふうに考えております。

小池晃君

 そういうことにようやく着手したということは、これはいいと思うんですが、ただ劣悪な労働環境という現状は、介護報酬なんかをそのままにしておいたら、幾らその講習やったりフォーラムやったりしてもこれ改善しないというふうに思うんです。

 私、ちょっとやはり介護労働者が介護の専門家として質を高めたくても今時間も資金もないという実態があるんですね。この間いろいろと調査結果など見ますと、介護福祉士の受験資格として三年間の経験というんですけれども、実態見ますと、勤続年数は三年未満が非正規で八四・九%、正規で七一・七%で、多くの人が三年以内に離職しているわけで、やっぱり今の雇用環境の下では、三年間の経験すれば介護福祉士になりますよといっても、三年間仕事を続けること自体が非常に困難になっているという実態がある。しかも、民間のいろんなヘルパー試験の講座料というのは一級講座で十七万円から二十万円、二級講座で八万円から十万円と。で、講座の開設数も非常に少ないという実態もあるようです。

 私は、今のこうしたその厳しい労働環境が介護労働者の専門性を高める道を閉ざしているということについて何らかの支援が必要ではないかというふうに思うんですが、その点はいかがですか。

政府参考人(鈴木直和君)

 介護分野の雇用管理の改善、これは先ほど助成金とか講習とかいろいろ申し上げましたが、具体的に企業内でいろんな取組ができるようにいろんな情報の提供等も行っていきたいと考えておりますし、例えば企業内でいろんな講習を行う、そういった助成等についても周知をしながら取り組んでいきたいと考えております。

小池晃君

 介護雇用管理助成金については、その中身を改善をしてより拡充して使いやすいものにするということをやっていると聞いているんですが、その点はいかがですか。

政府参考人(鈴木直和君)

 介護雇用管理助成金、これにつきましては、例えば事業者がその所属する労働者に教育訓練を受けさせるという場合に、こういった介護雇用管理助成金という形で助成をしているところでございます。

 これにつきましては、十八年度からは、具体的にこれが企業全体の雇用管理の改善にも結び付くように、介護労働者雇用管理責任者、雇用管理全般を統括するような責任者を選んでいただく、そういったことを要件にして全体として雇用管理を改善していただく。それから、教育訓練の中身についても、時間単位で行われる教育訓練も助成対象にして、この助成金が実効あるものになるような、そういった取組をしているところでございます。

小池晃君

 こうした中身をもっと周知を徹底して、規模、内容も拡充すべきだということを申し上げたいと思います。

 続いて、四月施行の自立支援法に関連して、この間の質問の続きのようなことになりますが、中谷部長にお聞きしたいんですが、いわゆる重度かつ継続の問題で、この間の委員会で中谷部長は実証的な研究の結果が出次第その対象とすると答弁された。法案審議の際に尾辻前大臣は急いで検討したいというふうに言って、私、大分ニュアンス違うなと思って、あのときに問題だというふうに申し上げたんですが。

 これ、確認したいんですけれども、元々、これ今年度内に厚生労働科学研究の結論を得て、急いで検討するということだったんじゃないんですか。

政府参考人(中谷比呂樹君)

 育成医療と更生医療の重度かつ継続の範囲につきましては早急に具体的な検討を行うということで、新年度の施行を待たずに、厚生労働科学研究などによりまして現行制度におきますデータの収集、解析を進めているところでございます。今後、その結果に基づいて有識者の検討会で御論議いただくということにしておりまして、その結果によりましては、現在お示ししている範囲からの変更もあり得るということで引き続き検討というふうに前回御答弁したところでございます。

小池晃君

 要するに、早急に検討会再開して結論を得ると。そうなれば、来年度の年度途中であっても、これは重度かつ継続の範囲を拡大することぐらい、これは約束できないんですか。もし結論が出たらばですよ。

政府参考人(中谷比呂樹君)

 ただいま御答弁いたしましたとおり、この研究の成果、その後、データによりまして検討会で御論議をいただきまして、それで結論を出たものから対応してまいりたい、適切に対応してまいりたいと、このように考えております。

小池晃君

 それから、もう一点、川崎大臣が予算委員会で、高額療養費の償還払い制度について、来年四月から医療機関窓口での支払、自己負担限度額にとどめるという答弁をされました。これは前進だというふうに思っております。

 一方で、この四月から、心臓手術のように高額な治療費の掛かる治療については、自立支援医療の自己負担額が高額療養費の自己負担額を超えてしまうために、治療費が一定額以上掛かる月は、これは自立支援医療、更生医療の給付対象とならない。その場合は、医療保険の負担上限を超えた部分については高額療養費として償還払いされるんだけれども、一時的には窓口負担が生じる。これは、昨年、私、この問題取り上げて、中谷部長は、これはせめてこの償還払いなくす必要があるんじゃないかと言ったらば、よく検討してみたいというふうにおっしゃったんですね。

 川崎大臣の答弁で、来年四月から一般医療ではそれが実現されるわけです。ところが、それが実現するまでの一年間、これどうするのかという問題ある。やはりそれまでの一年間、更生医療の受給者が、交付された障害者については、自立支援医療受給者への措置として、自立支援医療、更生医療の給付がなくても、高額療養費を現物支給、現物給付とするということをやはりこれはすべきではないかと思いますが、いかがですか。

政府参考人(中谷比呂樹君)

 従来から、医療保険と公費負担医療の併用が行われる際、これは今の先生の例ですと、正に定額の場合につきましては、これは自立支援医療制度におきまして、医療保険との併給調整の結果、更生医療の支給が行われているわけでございますけれども、それが行われないような高額の場合をどうするかということにつきまして、先ほど引用されました大臣の御見解を含めまして検討させていただいた結果、公費負担医療の対象である医療として取扱いをいたしまして、自立支援医療制度の施行時より高額医療費を現物給付化するということにしております。

小池晃君

 分かりました。

 加えて、育成医療の対象の問題なんですが、障害者自立支援法では、これは自立支援医療、育成医療の対象範囲は障害者だけ、障害児だけとなっています。しかし、自立支援医療の実施要綱では、現存する疾患が放置すれば将来障害が残ると認められる児童、例えば、心臓病で今はそれほど症状強くないけれども、このまま行くと重大な障害を持つおそれがあるような人、これも対象にされます。これは私、当然の措置だというふうに思うんです。

 しかし、元々がこれは児童福祉法でやっていまして、児童福祉法ではきちっとこういう法律に規定があったんですね。ところが、自立支援法は法律には規定がなくて、今回の実施要綱で入ってきたということになる。そうなると、関係者の方々からはやはり、自立支援法の下では今後も恒久的に対象となるんだろうか、児童福祉法のときと違うんじゃないかという不安の声が出ているんですね。

 私、この問題では、将来的にもやっぱり恒久措置として、現存する疾患が放置すれば将来障害が残ると認められる児童についてもこれは恒久措置として対象にするんだということを明確にすべきだと思うんですが、大臣いかがですか。

国務大臣(川崎二郎君)

 育成医療の制度の趣旨については制度の見直し後においても変わるものではなく、自立支援医療の定義を定めた施行令においても、育成医療は障害児の健全な育成を図るものである旨を織り込んだところであります。

 したがって、育成医療の対象者の範囲についても従来どおりでございます。身体障害児、将来において障害を残すと認められる児童。

小池晃君

 将来的にもそういう規定なんだという理解でよろしいですね。──まあ、うなずいていらっしゃるので、一応議事録にはうなずいたということで残させていただこうと思います。

 それから、三位一体改革の問題ですが、病院内の保育所と看護学校の運営費の補助金の削減の問題です。

 看護師確保法では国の責務が第四条と第二項に書かれているんですね、看護師を養成し、資質を向上し、就業を促進し、処遇を改善し、確保を推進するための財政措置をとらなければいけないとなるわけです。その看護師確保法から見て、今年度の三位一体改革の中で公的分の病院内保育所の運営費、それから看護師等の養成所の運営費の国庫補助金負担金が削減されたというのは、これは問題ではないか、看護師確保法に定めた国の責務を放棄するものではないかという批判がありますが、この点いかがですか。

政府参考人(松谷有希雄君)

 今先生御指摘のとおり、看護師等の人材確保の促進に関する法律におきましては、その法律第四条で国の責務が定められているところでございますが、この法律では、国の責務と同様に、地方公共団体の責務として「看護に対する住民の関心と理解を深めるとともに、看護師等の確保を促進するために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。」と規定されているところでございまして、地方公共団体においても一定の責務を求めているところでございます。

 公立分や日本赤十字社、社会福祉法人恩賜財団済生会等のいわゆる公的分の看護師等養成所運営費、それから病院内の保育所運営費につきましては、国と地方の役割分担、地方分権の理念といった観点から今回国庫補助事業の見直しを行ったものでございまして、利用者のニーズ、それから看護師等の人材確保の促進に関する法律における地方の責務、そして交付税措置がされていることということを踏まえますれば、引き続き地方公共団体において必要な措置が継続されることが適当と考えております。

 なお、民間立の看護師等養成所、病院内保育所の運営費につきましては、引き続き補助を行うことといたしているところでございます。

小池晃君

 引き続き措置されることが適当と言いますけれども、税源移譲というのは八割程度しかこれ移譲していないわけですから、これは結局それぞれの施設にとっては支援のカットということに実態としてはなっているんですよ。

 ちょっと実態として院内保育所の問題について聞きたいんですけれども、ちょっとこれは、看護師確保法の基本指針では院内保育所についてはどう述べられておりますでしょうか。

政府参考人(松谷有希雄君)

 平成四年に策定いたしました看護婦等の確保を促進するための措置に関する基本的な指針におきましては、ちょっと長くなりますけれども、「看護婦等は女性が大半を占めており、育児が離職理由の一つとなっているが、夜勤等により一般の保育所の利用が困難」である「場合もあるので、院内保育施設の利用が効果的である。したがって、病院等においては、地域の実情や利用者のニーズに応じて院内保育体制を整えるとともに、国及び地方公共団体においては、中小病院等が共同利用できる施設等多様な形態や二十四時間対応できる体制の整備等院内保育の充実を図っていく必要がある。

 また、病院等の立地や住居との関係から、院内保育施設の利用が困難な場合もあるので、国及び地方公共団体においては、夜間保育、延長保育等の保育対策の充実を図る必要がある。」と示されているところでございます。

小池晃君

 そういう重要性がある院内保育所ですが、九八年に補助をカットされた公立病院で何が起こっているかということをちょっと紹介しますと、岩手県の盛岡市立病院の院内保育所、これは三月末で市側が休園を通告して、反対運動が起こりました。この盛岡市立病院の院内保育所というのは、一九七七年に設立をされて、三十年近く不規則な勤務の看護師さんの勤務を支えてきた。この四月からも八人の園児が希望をしているということなんです。病院の側は、必要性は分かるけれども、現在の状況では休園せざるを得ないというふうに言って、取りあえずその反対の声が強くて来年度残すことになったそうなんですが、当局側は光熱水費程度の負担しかできませんと言っているそうです。とにかくお金が掛かる、財政負担が大変だ、これが補助金カット、税源移譲の現場での実態なんですね。

 国の責務は変わらない、地方の責務はあるんだとおっしゃるけれども、やっぱりこの運営費補助のカットというのはこういう実態を生み出しているということについてどうお考えですか。

政府参考人(松谷有希雄君)

 今回の改革につきましては、国と地方の役割分担等の観点から見直しを行ったところでございまして、利用者のニーズ等を踏まえますれば、引き続き地方公共団体において必要な措置が継続されることが適当というふうに考えておりますので、税源移譲もされたことでございますので、引き続きその措置が継続されることを望んでおるところでございます。

小池晃君

 今回は、今度、公的病院ですから、日赤なんか例えば補助金が廃止される。これは日赤の院内保育所は、五年前には三十九か所だったのが今三十四か所になっていて、以前は保育料安かったけど年々上がっているという声も現場からは聞いております。裁判まで起こっているということもお聞きをしています。

 院内保育所というのは看護師の確保にだけ重要なんじゃないんですね。これは大臣にお聞きしたいんですが、これは女性医師が働き続けるためにも院内保育所というのは非常に大事だという指摘がございます。厚労省の医師の需給に関する検討会の中でも、院内保育所の開設に国の補助を求めるという意見が出たというふうに私お聞きをしているんです。

 大臣にお聞きしたいんですが、病院の中の院内保育所、この持つ意味をどういうふうにお考えなのか。やはり看護師だけじゃなくて女性医師も含めて、今やっぱり働き続けるということが非常に重要になっている。そういう時代の中で、やっぱり国の支援をこの分野では強めていくということが非常に求められている分野の一つではないかと思うんですが、この点についていかがお考えですか。

国務大臣(川崎二郎君)

 院内保育所につきましては、職員の離職防止、再就業の支援という、看護師を始めとする医療従事者、当然医師も入ります、確保対策という観点から有効であると考えており、地域の実情や利用者のニーズに応じて院内保育体制の整備充実を図っていく必要があると考えております。

 この議論というのは、先ほどからずっとしてきている議論でございますけれども、やはり国と地方の在り方、地方分権という趣旨の中で、これは移譲しようという決定をいたしました。特に、地方六団体からも裁量をもうこちらにゆだねるべきだという中で決定をされてきたものでございますので、やはり地方団体、地方自治体がそれなりの責任でしっかりやってもらわなければならないと思っております。

 一方で、先ほど私御回答申し上げましたように、しかしその状況については国としても注視する必要があると。移譲した結果どうなっていくかというのは、これは全く無責任なままではいられませんので、そういった面ではしっかりウオッチはしなきゃならぬなと、こう思っております。

小池晃君

 もう大分ウオッチされてきていると思うんですよね、実態としては一般財源化どんどんやって、先ほど福島さんが言ったように公立保育所では保育料の値上げという形で出てきたりと、いろんな実態あるわけですから。

 私は、見合いできちっと税源移譲しているんであれば、何も絶対国の補助金でなきゃいけないなんて、そんな硬直した立場ではございません。きちっとその分確保されればいいんですけど、実態としては見合いになっていないわけですから、それが本当に深刻な影響を与えているんだということを是非考えていただきたいし、こういう行け行けというふうにどんどんどんどん削っていくというやり方には、国の社会保障を守る立場の厚生労働省がやっぱり待ったを掛けるという役割を果たす必要があるんだということを重ねて強調したいというふうに思っております。

 最後に、国民年金法の改正案に関連してお聞きをしたいと思うんですが、資料を配っていただきたいと思います。

 〔資料配付〕

小池晃君

 これは、日本生活協同組合連合会の皆さんが税金や社会保険料がどの程度負担になっているのかという実態調査をやっているんですね。組合員の方々に調査をしているわけであります。

 これを見ますと、まず一枚目にありますように、非常に私はこれを見てなるほどこうなっているのかと思ったんですが、税と社会保険料を加えて、足し上げて収入に占める割合を見るとどうか。給与所得世帯はやっぱり一定の累進性ということは残されております。ただ、頭打ちになってきているなという感じはするんですけれども。

 しかし、やっぱり年金世帯というのはかなり逆進的だということがこの数字からは見て取れるのではないだろうか。既に現在の税や社会保険料の負担、やっぱりこれ社会保険料の果たしている役割というか、悪い役割ですけれども、非常に大きいと思うんですね。介護保険料、国保料という逆進性の強い保険料が非常に負担になってきているという表れだろうというふうに思うんです。

 それに加えて、その次のページを見ていただくと、消費税の問題ですが、消費税が収入に占める負担率であります。広く薄くと言いますけれども、やはり所得の少ない人ほど負担率というのは多くなっていく。やはり消費性向が高いですからこういう結果になっていく。やはり消費税率が言われているように一〇%、一五%などということになると、例えば一五%だと実効負担率は一〇%を超えていく、こういう実態になっていくわけであります。既にかなり逆進的である中で、こういう消費税率の引上げということが一体どういう結果をもたらすのかということを考えるわけです。

 大臣は、先日の記者会見で、消費税の引上げの法案、これを二〇〇八年の国会に提出をすべきだということを発言されました。年金財源だということでおっしゃられたのかもしれませんが、しかし、この資料に見られるように、消費税の逆進性というのは明白です。税率を上げれば上げるほど逆進性は強まっていくという実態が示されているわけです。やはり今所得の格差の拡大ということが非常に重大な問題になっているときに、消費税を引き上げる、年金財源のためだということであっても、やはり消費税引き上げていくということは、今大変問題になっている所得格差の拡大ということについて大変深刻な影響を与えることになるのではないかというふうに考えるんですが、その点、大臣はどういうふうにお考えですか。

国務大臣(川崎二郎君)

 世代間の公平感というものをどう担保していくかという問題であろうと思います。ある意味では私は、今のお年寄りの皆さん方は、公的援助のない中で、例えば私らのおやじですと、四・三人の子供を育て、そして、私からいえばじいさん、ばあさんの世話をし、やってきた。それは全部自分の懐の中の努力の結果としてやってきた。しかし、今、今日、私的なものから公的なものに替わりつつあるという中で、そうした苦労されたお年寄りの負担、年金というものと若者のこれからの負担というものをどうバランスを取るかというのが大きな議論であろうと。

 年金だけを取り上げて比較すれば、今の若者は随分損をすることになる。正直申し上げて、今のお年寄りの時代からいえば、お年寄りは少ない掛金で高い年金をもらっていることは事実でございますから、そういうことになる。しかし、他のものを全部含めたときにどうであるかという議論をいろいろしなければならぬだろうと。しかし、それにしても若者の負担が高過ぎるではないだろうかという中で、国が基礎年金について二分の一税で賄おうというのが二年前の法改正でございます。

 したがって、これから二十一年度までに二兆五千億ぐらいのお金を何とか財源手当てをしなきゃならない、どういう財源によるのがいいかということになれば、やはり薄く広く全員の方に御負担をしてもらう消費税というものも一つの考え方であろうというように私は考えております。したがって、消費税の議論を避けるわけにはいかない。

 いつ出せばいいかということになれば、私どもは、二十一年までに二兆幾らかをきちっと担保しなければならないんですから、再来年までにはきちっとやってもらわなきゃならぬなと、厚生労働大臣としての見解を示したところでございます。

小池晃君

 まあ時間がそろそろ来ますので終わりにしますが、私は、若者にといっても、消費税だって例えば今百万円から二百万円のフリーター世代というのは一番これは深刻な打撃になるわけですから、もう決して若者の負担の軽減なんかにはならないわけで、まあこの消費税の問題、これから恐らく今年、来年とこの場でも何度も何度も議論させていただくことになるかと思います。今日はちょっと触りで、入口程度でもうやめますけれども、私どもとしては、やはり今の格差社会という点を考えれば、一番その被害が深刻になっている高齢者やあるいは非正規雇用の若者に対して、一番打撃になる税制で社会保障の財源つくるというのは本末転倒の議論であるということを申し上げておきたいというふうに思います。

 以上で質問を終わります。

委員長(山下英利君)

 他に御発言もないようですから、国の補助金等の整理及び合理化等に伴う児童手当法等の一部を改正する法律案に対する質疑は終局したものと認めます。

 これより討論に入ります。

 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。

島田智哉子君

 私は、民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題となりました国の補助金等の整理及び合理化等に伴う児童手当法等の一部を改正する法律案について反対の立場から討論を行います。

 反対の理由の第一は、国と地方の役割分担について明確な理念が欠如している点です。

 本来、三位一体改革は、地方分権型社会の構築に向け、国から地方へ財源と責任を移譲し、歳入歳出の両面で地方の自由度を高めることで、住民に必要な行政サービスを地方が自主的に選択できる幅を拡大することを目的に行われてきたはずです。

 しかし、今回の法改正では、政府は地方が納得できる根拠を示すこともなく、地方の自由度が低い現金給付である児童手当や児童扶養手当の国の負担割合を引き下げています。

 特に、児童手当については、当初政府が考えた生活保護の国庫負担割合の引下げが地方の反発を招きとんざした代替措置として行われてきたにすぎず、何の理念もないものです。これでは、地方に三兆円を税源移譲するという数値目標を達成するために、単なる数合わせを行っていると断ぜざるを得ません。

 昨日、参考人として出席いただきました浅野前宮城県知事は、事前に十分な議論もなく唐突に児童手当の国庫負担割合を引き下げる今回の改革は、罪深い改革であるという趣旨の発言をされております。

 地方の主体性を無視し、地方不在のまま進められた今回の改革を断じて認めるわけにはまいりません。

 反対の理由の第二は、基礎年金の国庫負担割合の引上げの財源として定率減税を廃止した財源を充てていることです。

 政府は、所得税の抜本改革を行わないまま、平成十八年度の税制改正で定率減税の廃止を決め、その財源を基礎年金の国庫負担に充てております。しかし、基礎年金の国庫負担割合の引上げについては、まずは公共事業や特別会計など、国の歳出の抜本的な見直しを通じて捻出すべきであり、政府案は到底容認できるものではありません。

 反対理由の第三は、児童手当制度について抜本的な見直しが行われていないことです。

 被用者、自営業者、公務員それぞれにおいて所得要件、財源構成、認定権者などが異なるなど複雑かつ一貫性のない構成であるため、制度の抜本改革が求められているにもかかわらず、政府はこれを先送りし続けており、今回の改正内容も正にその場しのぎの内容で、少子化対策に逆行するものと言わざるを得ません。

 なお、今回の、なお、民主党・新緑風会は、子供第一、チルドレンファーストという方針の下に、児童手当の一部を改正する法律案を提出しております。子供がまず安心して育つことができるよう、そして保護者が安心して子供が育てられるよう、子育てに掛かる経済的負担を社会全体で負担すべきだという考え方に立って作られており、理念、目的が明確にされております。

 民主党のこの法律案を成立させることこそが、次代の社会を担う子供たちが健やかに育つことに資するものであるということを付言させていただき、私の討論を終わります。

中村博彦君

 自由民主党の中村博彦でございます。

 私は、自由民主党及び公明党を代表して、内閣提出の国の補助金等の整理及び合理化等に伴う児童手当法の一部を改正する法律案について、賛成の立場から討論を行うものであります。

 本法案は大きく分けて、いわゆる三位一体改革の実現のための厚生労働省所管の国庫補助負担金の改革及び少子化対策、次世代育成支援対策としての児童手当の拡充の二つの内容を含んでいますが、いずれも喫緊の課題として是非とも推進しなければならないものであります。

 国庫補助負担金の改革は、税源移譲、地方交付税の見直しとともに、三位一体改革の内容として国の関与を縮小し、地方の権限、責任を拡大して地方分権を一層推進することを目指すものであります。

 本法案は、児童手当や児童扶養手当における国庫負担の割合の見直しや老人福祉施設等の施設整備に充てる都道府県交付金の一般財源化等により、厚生労働省所管の国庫補助負担金について地方への移管を行うものであり、地方の権限、責任の拡大及び地方分権の推進に資するものであります。

 また、児童手当の拡充については、少子化が急速に進行する中で子育てに対する経済的支援を充実するため、支給対象年齢について現行の小学校三年生から小学校六年生までに引き上げるとともに、支給率をおおむね九〇%まで引き上げるものであります。このような支給拡充のために必要な財源については、責任ある与党の立場として既に成立している平成十八年度予算に計上しているところであり、本法案の施行については万全を期しているところであります。

 このように、三位一体改革及び児童手当の拡充を内容とする本法案は、地方分権及び少子化対策という現在の我が国において早急に実現しなければならない施策の推進を図ることを内容とするものであり、是非とも成立させることが必要であると考えております。

 以上、政府案について賛成することを表明して、自由民主党及び公明党を代表して、私の賛成討論といたします。

小池晃君

 私は、日本共産党を代表して、内閣提出の国の補助金等の整理及び合理化等に伴う児童手当法等の一部を改正する法律案について反対の討論を行います。

 政府案は、三位一体改革の名の下で国庫補助金を削減し、その一部を税源移譲とするものです。昨日の参考人質疑でも、削減額と比較して移譲額が少ないという問題が指摘されていました。財政難と相まって住民サービスへの影響が懸念され、地方自治体から厳しい批判の声が上がっています。自治体間の格差の一層の拡大は避けられません。

 質疑の中で、特別養護老人ホームの待機者数は昨年から更に増えていることも明らかになりました。にもかかわらず、政府は特養の整備が進んでいるとして、特別養護老人ホームなどを対象とした都道府県交付金を廃止しようとしています。廃止する補助金額の五〇%しか税源移譲は行われず、深刻な特養の待機状況は悪化することは明らかであります。

 また、公立施設整備費補助金の廃止は、身体障害や知的障害の施設整備について国の責任を後退させ、財政的に大変な地方に更なる負担を押し付けるもので容認できません。身体障害や知的障害の施設整備が更に遅れることが懸念されます。

 児童手当の受給年齢や所得制限の緩和は、私どもも繰り返し求めてきたことであり、一層の拡充が必要です。しかし、児童手当、児童扶養手当については、地方には一切の裁量がなく、国庫負担率を引き下げ、財政負担だけを地方に押し付けることは容認できません。

 合計特殊出生率が過去最低になる中、子育て対策の重要な柱の一つである児童手当については、国が財政責任を維持するべきであります。基礎年金の国庫負担率を引き上げることは当然の措置ですが、その財源を定率減税の廃止という庶民増税に求めることは容認できません。

 以上を申し上げまして、反対討論とします。

福島みずほ君

 私は、社会民主党・護憲連合を代表して、政府提出の、国の補助金等の整理及び合理化等に伴う児童手当法の一部を改正する法律案について反対の立場から討論を行います。

 厚生労働分野の三位一体、児童手当の増額、基礎年金の国庫負担への加算措置は、全く法律改正の趣旨、目的が異なっております。共通しているのは国庫負担の見直しという点だけです。形式的な共通点を挙げて一本の法案にまとめることは、そもそもおかしいのではないでしょうか。

 また、今回の国庫補助負担金の見直しは、その八割が厚生労働省関係予算に割り当てられ、施設費も、医療福祉関連施設整備費に集中し、全体的な見直しの中でバランスを欠いております。

 国の補助金等の整理及び合理化等に伴う児童手当法の一部を改正する法律案は、児童手当と児童扶養手当の国庫負担金を一気に三分の一まで引き下げ、都道府県及び市町村に責任を転嫁するものであり、反対をいたします。

 本来の三位一体改革のあるべき姿とは、国と地方の歳入歳出のバランスを見直し、地方が自主性や自立性を高めるよう、地方財源の充実強化を図ることが目的であると考えます。しかしながら、本法案は、児童手当、児童扶養手当は、国が定めた認定基準により地方自治体が全国統一的に現金支給を行う法定受託事務となっており、地方自治体が創意工夫に富んだ施策を展開できる余地は全くありません。

 また、この法案は少子化対策の逆を行く法律であると言わざるを得ません。

 児童手当の地方負担割合が増えると児童の増加が地方の負担増につながっていくのです。政府は、少子化対策と叫んでいながらも、現実を見ない、中身の問わない、掛け声だけの少子化対策です。名ばかりの三位一体改革であるとしか言いようがありません。

 また、児童手当の場合は世帯の収入のみで現金支給がなされますが、児童扶養手当の場合は認定の決定に自治体の干渉が可能です。自治体の財政が逼迫する中、手当申請者のプライバシーに踏み込み、結果として受給制限となるような窓口対応も増えてきております。自治体の負担を増やしては支給が抑制的になるという危険性があります。

 児童手当は暫定的な地方特例交付金の創設が手当てをされておりますが、児童扶養手当は税源移譲のみとなっております。基礎年金の国庫負担割合の引上げの財源に定率減税を廃止した財源を充てるべきではありません。基礎年金の国庫負担割合の引上げ分は所得税の抜本改革、公共事業や特別会計など、国の歳出の抜本的見直しで捻出をすべきです。

 また、介護保険施設等にかかわる給付費の負担割合の引下げ、地域介護・福祉空間整備交付金を見直して都道府県分を一般財源化することは問題です。施設整備が後退する危険性があります。施設待機者問題は解決をいたしません。

 また、知的障害、身体障害の施設、生活保護法に基づく高率の施設整備費負担金の廃止も問題です。障害者の生活を支える基盤整備を後退させる危険性があります。

 以上が反対の理由です。

委員長(山下英利君)

 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。

 これより採決に入ります。

 国の補助金等の整理及び合理化等に伴う児童手当法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。

 〔賛成者挙手〕

委員長(山下英利君)

 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。

 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

委員長(山下英利君)

 御異議ないと認め、さよう決定いたします。

 本日はこれにて散会いたします。

 午後六時十五分散会

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