私は、民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題となりました国の補助金等の整理及び合理化等に伴う児童手当法等の一部を改正する法律案について反対の立場から討論を行います。
反対の理由の第一は、国と地方の役割分担について明確な理念が欠如している点です。
本来、三位一体改革は、地方分権型社会の構築に向け、国から地方へ財源と責任を移譲し、歳入歳出の両面で地方の自由度を高めることで、住民に必要な行政サービスを地方が自主的に選択できる幅を拡大することを目的に行われてきたはずです。
しかし、今回の法改正では、政府は地方が納得できる根拠を示すこともなく、地方の自由度が低い現金給付である児童手当や児童扶養手当の国の負担割合を引き下げています。
特に、児童手当については、当初政府が考えた生活保護の国庫負担割合の引下げが地方の反発を招きとんざした代替措置として行われてきたにすぎず、何の理念もないものです。これでは、地方に三兆円を税源移譲するという数値目標を達成するために、単なる数合わせを行っていると断ぜざるを得ません。
昨日、参考人として出席いただきました浅野前宮城県知事は、事前に十分な議論もなく唐突に児童手当の国庫負担割合を引き下げる今回の改革は、罪深い改革であるという趣旨の発言をされております。
地方の主体性を無視し、地方不在のまま進められた今回の改革を断じて認めるわけにはまいりません。
反対の理由の第二は、基礎年金の国庫負担割合の引上げの財源として定率減税を廃止した財源を充てていることです。
政府は、所得税の抜本改革を行わないまま、平成十八年度の税制改正で定率減税の廃止を決め、その財源を基礎年金の国庫負担に充てております。しかし、基礎年金の国庫負担割合の引上げについては、まずは公共事業や特別会計など、国の歳出の抜本的な見直しを通じて捻出すべきであり、政府案は到底容認できるものではありません。
反対理由の第三は、児童手当制度について抜本的な見直しが行われていないことです。
被用者、自営業者、公務員それぞれにおいて所得要件、財源構成、認定権者などが異なるなど複雑かつ一貫性のない構成であるため、制度の抜本改革が求められているにもかかわらず、政府はこれを先送りし続けており、今回の改正内容も正にその場しのぎの内容で、少子化対策に逆行するものと言わざるを得ません。
なお、今回の、なお、民主党・新緑風会は、子供第一、チルドレンファーストという方針の下に、児童手当の一部を改正する法律案を提出しております。子供がまず安心して育つことができるよう、そして保護者が安心して子供が育てられるよう、子育てに掛かる経済的負担を社会全体で負担すべきだという考え方に立って作られており、理念、目的が明確にされております。
民主党のこの法律案を成立させることこそが、次代の社会を担う子供たちが健やかに育つことに資するものであるということを付言させていただき、私の討論を終わります。