私、郵便局のことを聞いたんじゃなくて、銀行がなぜ減っているのかと聞いたんですが。
先ほど経営判断だというふうにおっしゃった。確かにまあ経営判断なんだろうと思うんですが、経営判断というような生易しいものじゃない実態があると思うんです。なぜこれだけ銀行が店舗数を減らしてきたのか。合併の部分ももちろんありますが、そうでないんですよ。そうでない部分がたくさんあるんです。
で、ホームページで公表されている銀行の経営戦略を見てみたんです。(資料提示)例えばこれ、三大グループの一つ、みずほフィナンシャルグループの経営戦略から抜き出した表なんですね。これ、みずほグループは預かり資産に応じて顧客を分類しているわけです。預かり資産一千万円以上を重点顧客と呼ぶわけですね、重点顧客と。で、重点顧客の中でそのうち一億円以上を富裕層、こう言っている。さらに五億円以上を超富裕層と、こういうふうに名付けております。この重点顧客については、もう担当者を決め、きめの細かいコンサルティング体制、プライベートバンキング、もう非常にきめの細かいサービスでここは収益を上げるんだと。これは大体全部で八十万人だというんですね。
ところが、それに対して預け入れ一千万円以下の顧客、これ二千五百万人。ちょっと、この表でいうともっと比率は大きいんです、本当は。この二千五百万人の顧客をみずほはマス顧客というふうに呼ぶ。マス、マス顧客です。このマス顧客に対しては方針はローコスト化なんです。つまり、具体的には店舗の統廃合、窓口で銀行員が直接相談に乗るんじゃなくて、ATMやインターネットに切り替える。で、徹底したコスト削減とサービスの切下げで収益を上げようと、こういう戦略なんです。
これ、みんな同じなんですね。三菱東京グループも三井住友グループも調べましたけども、全く同様にマス層、マス顧客という言葉を使っております。
実際に銀行員の方から私お話を聞きました。ATMにどんなに行列ができても、これはほったらかしにするんだと。なぜかというと、がらがらのATMは設置基準に照らしてなくさなきゃいけなくなるから。だから行列はいつまでたってもなくならないという構造になっている。とにかくカウンターに来させないんだと、小口の客は。カウンターに来たら人手が掛かる、コストが掛かるからATMで収益を上げる。もう一階のフロアは全部ATMだというような銀行は、今都内にはたくさん増えてきている。地方にも増えてきている。私、こういうその銀行のこうした経営戦略の結果、店舗数が激減している、こういう実態があると。
郵政民営化であの大事な規定がなくなれば、郵便貯金も結局こういう、店舗数激減する、サービス低下する、サービスの低下というのは避けられないんじゃないかというふうに考えますが、総理、いかがですか。