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郵政民営化したらサービス低下
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「民営化では、庶民向け金融サービスは大幅に低下する。国民の不安の声は当然だ」――十五日の参院郵政民営化特別委員会、日本共産党の小池晃政策委員長は、収益至上主義で庶民向けサービス切り捨てをすすめる大銀行の実態を示し、「民間にできることは民間に」という掛け声で郵政民営化をごり押しする小泉純一郎首相を批判しました。
過疎地でも、ドーナツ化現象がすすむ都市部でも、庶民が気軽に利用できる金融の窓口サービスを提供している郵便局。全国二万四千余の郵便局ネットワークが維持されてきた背景には、郵便貯金法第一条の「郵便貯金を簡易で確実な貯蓄の手段としてあまねく公平に利用させることによつて、国民の経済生活の安定を図り、その福祉を増進することを目的とする」という規定があります。
小池氏は、今回の郵政民営化法案では、この大事な第一条の規定がどこにもなくなり、「廃止」されていることを指摘。「新しくつくる郵便貯金銀行には、『全国あまねく公平に貯蓄の手段を提供する義務』はなくなるではないか」と追及しました。
そうなれば、郵便局の設置も、どの局で金融窓口サービスを実施するかも、あくまで経営判断にゆだねられ、結局民間銀行と同じになります。歯止めを失った郵便局は、サービスの大後退にすすみかねません。
小泉首相は「義務づけではないが、そのサービスはできるような措置を講じている」と強弁しました。
小池氏は、いま民間銀行が激しい勢いで店舗を減らしている実態(グラフ)を指摘。伊藤達也金融担当相はこれについて、「各金融機関の経営判断によるもの」と答えました。
銀行の「経営判断」の結果、どんな事態が生じているでしょうか。みずほフィナンシャルグループ、三井住友フィナンシャルグループ、三菱東京フィナンシャルグループ、UFJホールディングスの四大銀行グループでみると、一九九五年以来十一年間連続して、店舗、人員を大幅に減らしています。身近な店舗がなくなり、ATM(現金自動預払機)はどこも長い行列と、利用者がたいへんな不便を強いられています。
小池氏は、その背景にある収益至上主義の実態を、銀行が公表している「経営戦略」で示しました。
みずほグループの経営戦略は、預かり資産額に応じて客を分類(図参照)。一千万円以上の「重点顧客」(約八十万人)にはきめ細かいサービスを提供する一方、一千万円未満の約二千五百万人は「マス顧客」として区別。店舗の統廃合、窓口で行員が直接相談にのることをやめ、ATMやインターネットに切りかえるなど、徹底したコスト削減・サービス切り捨てを当たり前としています。
さらに小池氏は、現役銀行員から聞きとったサービス切り捨ての実態(別項)を紹介。委員会室には驚きの声があがりました。
「郵政民営化で、郵便貯金もこうなってしまうのではないか。そうならないといえるのか」と詰め寄る小池氏。
小泉首相は、「大手が手を出さない富裕層以外の分野を開拓していくのも民間の知恵。民間なら必ずやっていける」と、的外れな答弁をするのがやっとでした。
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郵便貯金は、「あまねく公平に」という郵便貯金法の規定もとづき、一千万円までの小口の貯金だけを対象に、全国あまねくサービスを提供する「庶民のサービスを守る防波堤」(小池氏)でした。
その法律の規定をなくす郵政民営化によって、圧倒的多数の庶民=「マス顧客」へのサービス切り下げの大競争がはじまりかねません。競争相手が消えた銀行も、庶民向けサービスをいっそう公然と切り捨てるようになるでしょう。
小池氏は「銀行も郵貯もいっしょになって店舗数を減らし、庶民に対するサービス水準が低下していく。一体どうしてこれが『利便性の向上』などといえるのか」と追及。小泉首相は、「民間の知恵がでてくる」と、甘い見通しを繰り返すだけでした。
小池氏は、「郵政民営化はサービス低下で、『百害あって一利なし』だ。強く廃案を求める」とのべました。
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