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162 通常国会 参議院厚生労働委員会

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2005年3月15日(火)


小池晃君

 日本共産党の小池晃です。

 昨年十月十三日に西武鉄道が有価証券報告書の虚偽記載が発覚をいたしました。その時点で、西武鉄道の株について、年金資金運用基金で保有していた総量と時価総額をお答えいただきたいと思います。

政府参考人(渡辺芳樹君)

 お答え申し上げます。

 年金資金運用基金が運用委託を運用受託機関にしておりますが、西武鉄道の有価証券報告書の虚偽記載が発覚いたしましたのが昨年十月十三日でございます。その時点において、運用受託機関は合わせて約一千百万株の西武鉄道株を保有していたと承知しております。

小池晃君

 時価総額。

政府参考人(渡辺芳樹君)

 失礼しました。

 その時点における保有株を時価に換算いたしますと、約百二十億円と承知しております。

小池晃君

 厚生年金基金加えると一割以上が公的年金資金による保有なんですね、西武鉄道株というのは。西武グループで保有しているものに次ぐ規模を持っている。証券取引法の違反でツケが年金通じて国民に回ってきている、これは私重大な問題だと思うんですが、なぜその年金資金運用基金というのはこのように大量な西武鉄道株を購入しているのか。

 これは、マスコミの報道などでも、西武鉄道株というのは株価形成がいびつで、まともな運用担当者なら買わないというような報道もあるんですが、こういう大量の購入に至った経過を説明していただきたいと思います。

政府参考人(渡辺芳樹君)

 年金資金運用の手法につきましては、先生も御承知のとおり、一般的には大きく二つに分かれます。

 投資判断に基づいて銘柄を絞り込んで超過収益の確保を目指すアクティブ運用。そういう中でこういう株を選ぶのかという御議論のように承りましたが、もう一つの大きな手法は、市場を構成する銘柄を原則としてその構成比どおりに保有して運用することによりまして、市場平均並みの収益率の確保を目指すというパッシブ運用という、そういう二種類の方式がございます。

 公的年金積立金、御指摘の年金資金運用基金の運用におきましては、その資金の性質に照らしまして、後者のパッシブ運用というものを中心に行っておるわけでございます。その中で、国内株式につきましては、東証株価指数をベンチマークに運用を行っておりますので、西武鉄道株が東京証券取引所第一部に上場され、東証株価指数の組入れ銘柄であったということから、パッシブ運用を行う際には必然的に組み込まれてしまう、購入事実が発生してしまうというものでございます。

 なお、先ほど申しましたアクティブのファンドでは西武鉄道株は保有しておりません。そういうメカニズムでございます。

小池晃君

 国民の大事な保険料なんですから、パッシブ運用で自動的に購入する仕組みなんだから、責任ないとは言えないと思うんですよ。

 大臣、私、これ十月十三日当時の時価総額というと百二十億円、この価値が大幅に下落しているわけで、非常に大きな損失を生んでいるわけです。この責任についてどうお考えでしょうか。

国務大臣(尾辻秀久君)

 今も局長から御説明申し上げましたけれども、そもそも株式で運用をしておるわけでございますから、そしてその中で、申し上げたように、今の運用の仕方、アクティブ運用とそれからパッシブ運用という運用の仕方でやっておる。そのパッシブ運用の中では一部上場銘柄、全銘柄を買うというやり方でやっておるところでありますから、一部上場株である西武鉄道株式会社の株も買っておったということでございます。

 そういう意味におきまして、年金資金運用基金においての運用ルールに則して運用を行っておるわけでございますので、義務違反はなかったと、こういうふうに考えます。そういう意味で、どこかにこの問題で責任を問うものではなかろうと考えております。

小池晃君

 ということは、西武鉄道に対する損害賠償請求も考えておらないということですか。

政府参考人(渡辺芳樹君)

 西武鉄道株を今、運用受託機関はすべて売却済みでございます。そうした際に発生している各運用機関における売却損の取扱いにつきましては、どうするのか、これ現在、年金資金運用基金におきまして法律の専門家の意見も聞きながら慎重に検討しておるところでございます。

 なお、今申し上げましたように既に売却済みでございます。現在は保有していないということになっておりますが、先ほどおっしゃいましたように、年金資金全体で見ますと、今、十月―十二月の話でございます、この間九千九百億円余りの運用益を発生しておりますが、その中での一つの売却に伴う変化ということでございます。

小池晃君

 全体もうかっているからいいんだって、そういう言い訳にはならないんですよ。

 今、売却したとおっしゃいますが、購入価格と売却価格を教えてください。

政府参考人(渡辺芳樹君)

 各運用受託機関におきます購入価格、売却価格につきましては、特定の銘柄の株式売買に関することでもあり、また、個々の運用受託機関の投資行動に関することでもある、あるいは運用のノウハウにかかわる等々の理由から、個別の答弁は差し控えさしていただきたいのですが、今申し上げました十月―十二月期の間に売却を行っておりますが、その結果、年金資金運用基金におきます西武鉄道株の時価総額、先ほどの百二十億をベースに考えまして、売却額は約四十億円ということであった事実に照らしますと、機械的、単純に差し引いた場合は約八十億円の差があるということでございます。

小池晃君

 国民の大事な保険料を運用する、運用の仕方としてアクティブ運用がある、パッシブ運用があると。アクティブ運用というのは、確かに市場に影響を与えますから、それは問題あると。一方で、パッシブ運用というのは、これはもう自動的に買っちゃうわけですよ。今回みたいに、こういう西武鉄道のような事態が起こった場合に、だれもこれの責任取らなくて済むわけですね、これだけ損失生じても。

 私、この問題は本当に真剣に考える必要があるというふうに思います。果たしてこの年金資金の株式運用ということをこのまま続けていくべきなのかどうかということをやっぱり真剣に検討する時期が来ているんではないかというふうに考えますが、大臣、ちょっと御所見をお聞きしたいと思います。

国務大臣(尾辻秀久君)

 これはもういつも議論のあるところでございます。年金積立金の運用の在り方につきましては、社会保障審議会の年金資金運用分科会において、平成十四年十月から半年間にわたってもう一度基本に立ち返った議論をしようということで検討を行いました。

 そのときの結論でございますが、年金積立金を株式で運用することの是非について、債券や株式など、リスク・リターン特性が異なる複数の資産に分散して投資することにより、収益率の水準を確保しつつ、リスクを小さくできること、また、名目賃金上昇率がマイナスで推移している間は、債券投資のみでも賃金上昇率を上回る実質的な運用利回りが確保できる可能性もあるが、賃金や物価の上昇が起こった場合には、運用目的である実質的な運用利回りの確保が困難となることから不適切である。

 これ、年金の積立金の運用でございますから、年金の給付の上昇と、それに見合うような運用益を得なきゃならないということで、名目賃金上昇率が絶えず問題になるということを申し上げたところであります。

 そうしたことなどから、国内債券を中心としつつ、国内外の株式を一定程度組み入れて運用するという分散投資の考え方を維持することが適当であるとの意見いただいたところであります。これに基づいて今株式運用もいたしておるということでございます。

小池晃君

 いや、私の指摘の答えになっていないと思うんですが。

 要するに、株式運用だと二つ方法あって、両方とも大変問題があるということなんですよ。やっぱりアクティブ運用をやれば、これはもうもろに市場に介入することになるし、パッシブ運用でこういうことになればもう本当に無責任体制になるんですよ。もう極めて市場の動向に身をゆだねて、何か起こってもこれは、もうそういう流れだったんだから仕方がないんですという、こういうことでいいのかということを言っているわけで、検討を願いたいと思います。

 引き続いて、生活保護の問題を今日お聞きしたいんですが、受給者数は、九五年度八十八万二千人から二〇〇四年十二月で百四十四万一千人と激増しています。一・六倍です。失業の増加や所得の減少によって生活が悪化しているわけです。

 最後のよりどころとして今非常に大きな責任を求められていると思うんですが、実際にはいろんなこの間の改悪がなされて、例えば七十歳以上の老齢加算、これは三年間で段階的に廃止するということで、大都市部では一人一万七千九百三十円だった加算が、〇四年度は八千四百十円、〇五年度は五千九百十円、〇六年度には残る三千七百六十円がゼロになるという予定です。

 こうした一方的な切下げに対して、審査請求、再審査請求来ていると思いますが、数だけお示しいただきたい。

政府参考人(小島比登志君)

 先生今御指摘のように、生活保護の老齢加算につきましては、高齢者の生活実態を踏まえまして、平成十六年度から三年間で段階的に廃止をすることとしております。

 これに関連いたしまして、平成十六年四月以降の老齢加算の引下げを理由とした審査請求の件数は、平成十六年九月十七日時点で各都道府県から報告いただいているのは六百二十四件でございます。また、老齢加算の引下げを理由とした厚生労働省に出されました再審査請求の件数は、平成十七年三月八日現在で二百三十七件というふうになっております。

小池晃君

 この老齢加算の縮小、廃止によってどういう事態が起こっているかというと、お葬式行けないとか、墓参り行けないとか、年一回の旅行をあきらめたとか、食事やふろの回数を減らしたとか、健康で文化的な最低限度の生活を保障する水準でないという指摘が続いています。

 それに加えて、今年四月からは母子加算の縮減があり、さらに、多人数世帯の基準切下げ、年齢区分の見直しなど、生活扶助基準そのものまで削減が予定されています。全体でどれだけの給付減見込んでいるんでしょうか。

政府参考人(小島比登志君)

 生活保護基準の見直しに伴います平成十七年度の予算の影響額でございますが、先ほど御指摘いただきました老齢加算の段階的廃止、これが平成十七年度の予算影響額は百三十億円の減ということでございます。

 次に、母子加算の見直しということで、子供の年齢要件を十八歳から十五歳以下へ引き下げる。高校就学該当年齢ということでございまして、この十八歳から十五歳を、引下げを、三年掛けて段階的に廃止するということでございますが、十七年度の予算影響額は六億七千万円の減。

 それから、三番目が多人数世帯の基準額適正化ということでございまして、四人以上世帯の第一類費、すなわち個人的な経費についてですが、逓減率を新たに三年計画で導入するとともに、第二類経費、いわゆる世帯的経費につきましては、二千八百二十円を……

小池晃君

 説明はいいから数字だけ言ってください。

政府参考人(小島比登志君)

 はい。影響額は十九億六千万円でございます。

 それから、若年層の一類費年齢区分の見直しということで、影響額は二十一億一千万円ということでございます。

 なお、生活保護を受給する有子家庭、これには母子家庭も含まれているわけですが、この自立を支援する観点から、十七年度、新たに高校就学費を給付することとしておりまして、その所要額四十四億五千万円を計上しているところでございます。

小池晃君

 高校就学費用給付はあるけれども、トータルで見るとマイナスになっているわけですね。

 具体的に聞きますが、大都市部で三十代夫婦と九歳、四歳の四人世帯の場合、〇四年度と〇五年度の扶助基準、どれだけ減りますか。

政府参考人(小島比登志君)

 平成十六年度は基準額二十万一千三百二十円ということでございますが、十七年度十九万三千三百円ということで、一月八千二十円の減額となります。

小池晃君

 それでは、三十代の母親、母子家庭ですね。子供三人、十六歳、十一歳、七歳、こういう母子家庭で生活扶助基準額と母子加算額の合計額はどれだけ減るでしょうか。

政府参考人(小島比登志君)

 ただいま御指摘の例で申しますと、平成十六年度は二十三万九千七百八十円が、平成十七年度、二十二万八千三百七十円となり、一万一千四百十円の減額となります。ただし、高校にこの児童が行かれますと、公立学校における平均給付額は、教材費、交通費の実費等を含めると、月額約一万三千円程度が高校費用として支給されるということでございます。

小池晃君

 学用品等学級費で基準額で言うと六千八百六十円ですね、通学費実費ですけれども。公立高校の場合は、自治体減免している場合は給付しないわけですから、これは給付額より削減の方が多くなるケースもこれ当然あると。しかも、三位一体改革で高校生向けの奨学金の補助金が、これは補助金廃止になっていますから、自治体の中ではこういう人たちに対する奨学金廃止する自治体も出ているんです。

 生活保護基準というのは、生活保護だけじゃなくて、国保料や住民税あるいは公営住宅の家賃、就学援助などにもこれは連動してまいります。就学援助の基準で言うと、東京の板橋は生活保護基準の一・二六倍、自治体ごとに決まっているわけです。これ、実際、今、例えば東京都では、就学援助の受給者というのは、九九年度は一八・〇五%だったのが、〇三年度は二四・二%ということで、児童の四分の一近くに上っているという実態があるんですね。生活保護に近い世帯収入で暮らす準要保護児童が非常に増えている。

 こういう中で保護基準の切下げを行えば、これは文科省に聞きたいんですが、新たに就学援助を受けられない世帯が出てくることが予想されるんですが、文科省としてはそういう影響についてどう考えておられるんですか。

政府参考人(山中伸一君)

 学校教育法におきましては、経済的な理由によりまして就学困難な児童生徒の保護者、これに対して市町村が必要な援助、いわゆる就学援助でございますけれども、これをやらなければならないということになっております。市町村におきましては、生活保護法に規定する要保護者及び市町村が要保護者に準ずる程度に困窮していると認める者、準要保護者と私ども呼んでおりますけれども、この両者に対しまして就学援助事業を行っているというところでございます。国は、今まではこの両者についての国庫補助を行ってきたというところでございます。

 この就学援助につきましての準要保護者の認定の基準でございますけれども、これ、先生御指摘のように、それぞれの市町村におきまして地域の実情に応じて定めているという形でございまして、例えば地方住民税の非課税者などとか、各市町村の実情に照らしまして決めているというところでございます。

 また、この国庫の補助金でございますけれども、今回の三位一体の改革によりまして、市町村等の地方六団体から一般財源化すべきという意見も踏まえまして、平成十七年度以降、生活保護法に規定します要保護者、これについては引き続き私どもとしては国庫補助の対象とするということを考えておりますけれども、準要保護者に対する就学援助につきましては、各市町村がそれぞれ認定基準を定めているということもございまして、今後は国庫補助というのを廃止いたしまして、税源移譲等によって各市町村で対応していくというふうに考えております。

 今後とも、各市町村で就学援助がしっかりと行われていくということを考えているところでございます。

小池晃君

 いや、市町村任せで無責任な話なんですよね。今、影響が私は出ているのかと聞いたのに、それについては一切答えがなかった。昨日、文科省お聞きしたら、検討していないんですね。本当に無責任だというふうに思うんですよ。

 こうしたその影響も顧みずに生活保護基準切下げすることは、本体の扶助基準まで下げるということ、私、断じてこれ許されないと思うんです。しかも、母子加算縮小の理由がこれ大変問題で、一般母子世帯の消費支出額よりも母子加算を加えた生活扶助基準額の方が高いということを理由にして今厚生労働省は母子加算の廃止までねらっているわけですが、一般母子世帯が生活保護水準以下で暮らさざるを得ない、そういう実態を改善することこそ、私は厚生行政の責任だというふうに思うわけです。

 一般母子世帯の生活が苦しくなったら、それに合わせて生活保護世帯の基準もどんどん下げていく、これは私、生活保護法では、健康で文化的な最低限度の生活を保障する、それを満たすのに十分なものだという法律の基準があるわけですが、正にこの法律の趣旨に反するものではないかというふうに考えるんですが、いかがですか、大臣。

国務大臣(尾辻秀久君)

 今お話しいただきましたように、母子加算の見直しは一般母子世帯の消費水準等と比較評価した上で見直すこととしたものでございます。その比較で見直したわけでございますから、今お話しになりましたように、憲法二十五条、すなわち健康で文化的な最低限度の生活保障を目的とする法の趣旨を逸脱するものではないと考えます。

小池晃君

 いや、その考え方が私は違うのではないかと思うんですね。これ、生活保護法というのは言わば憲法二十五条で決められた生存権を保障する最後のよりどころですよ。これが最低基準なんだと国が示すことによって、そこに安心が生まれる制度だと思うんですね。それをそうではなくて、全体が下がったんだからどんどん下がっていくと、最低の基準というのはもう確固たるものではなくて、社会情勢につられてどんどん下がっていくということでは、これは不安が広がるばかりではないかというふうに思うんです。しかも、専門委員会の報告書を見ても、一般母子世帯の八割が生活が苦しいと答えているんです。これをどうするかということこそ私やらなきゃいけないことだし、こういう指摘もあるんですね。被保護母子世帯においては、交際費や子供との外出等の充足が低いと、こういう点も考慮する必要があるという意見も出ているんです。母子家庭の生活が全体として厳しくなっている、だからそれに合わせて保護基準も下げていくというのは、私そんなことしたら、もうどんどんどんどん低い方へ低い方へ流れていってしまうことになるじゃありませんか。

 国としてここまでは責任を持つんだ、ナショナルミニマムなんだという立場でしっかり守っていくということこそ私は考える基準に据えるべきだと思いますが、いかがですか。

国務大臣(尾辻秀久君)

 生活保護が最後のセーフティーネットであるということはそのとおりでございます。ただ、申し上げましたように、一般の母子世帯の水準がここにある、それと生活保護の家庭と、これを見ながら、こっちの水準と生活保護の水準、これ比較評価するというのは、これは私は、生活保護が最後のセーフティーネットであるからこそ、ある意味ではまたやるべきことだと思っております。

小池晃君

 私は、それでは国の責任果たしたことにならないというふうに申し上げます。

 しかも、今、自立支援プログラムということが進んでいて、受給者の実情に応じた支援を行っていくことはこれは大切なことだと思うんですが、例えば北海道の札幌市でやられているような例では、何月までに働きますという自立計画書を書かせて、同時にそのときに、翌月から生活保護受給を辞退しますという辞退届を書かせると、こんなことまでやっているんですね。

 局長にお伺いしたいんですが、本人の条件や求人条件との関係で、働きたくても働けないというケース、これ当然あるはずだと思うんですよ。そういうときも保護を廃止するんでしょうか。その点についての考え方をお示しいただきたい。

政府参考人(小島比登志君)

 生活保護制度におきましては、稼働能力の活用ということが保護の要件とされておりまして、これは裁判所の判例を踏まえて、まず稼働能力を有しているかどうか、次に稼働能力を活用する意思があるかどうか、次に、実際に稼働能力を活用する就労の場があるかどうかということにより判断をするということになっております。このため、就労意欲があり、求職活動も熱心に行い、また自立支援プログラムへの取組も熱心な方が就労の場が得られないという者については、稼働能力活用の要件を満たすことになりまして保護停廃止の対象にはならないというふうに考えております。

小池晃君

 いや、個々の実情をしっかり見て対応していくということが考え方の基本なんじゃないですか。もう一度お答えいただきたい。

政府参考人(小島比登志君)

 ここに、求職活動が熱心かどうかというのが非常に判断のところでございまして、この判断をめぐりまして福祉事務所なりケースワーカーの方もなかなか難しいということでございます。これを解決する一つの考え方が自立支援プログラムということでございまして、被保護者の実態を把握して、それに応じたきめ細かな自立就労支援をシステム的に行っていくということで、稼働能力があるかどうか、活用ができるかどうかというのを判断していくというのはこれから考えていくことでございます。

小池晃君

 最後に、来年度、セーフティーネット支援対策費というのが新設されます。これは、今まであった生活保護費の補助金やホームレス対策事業、在宅福祉事業費の補助金など、これは〇四年度でいうと総額百五十三億円なんですが、これが統合されて百三十六億円になるということなんですね。

 先ほど大臣はセーフティーネット大事だとおっしゃったんだけれども、大事だと言われているときに十七億円も削減するというやり方は許されないんじゃないですか。お答えいただきたいと思います。

国務大臣(尾辻秀久君)

 今お述べになりました補助金は、昨年の三位一体改革におきまして、一つは生活保護費補助金、二つ目に地域福祉推進等事業費、それから三つ目にホームレス対策事業費を統合して創設したもののことを言っておられると思いますけれども、確かに来年度予算案には百三十六億円を計上しておりますけれども、三つ一緒にする前の、統合前の今年度の合計額で比較すると十七億円下回っております。これはそのとおりでございます。

 しかしながら、補助金を統合したことにより、地域の実情に応じて生活保護受給者や低所得者等に対する必要な事業を自由に組み合わせ、一体的な事業の実施が可能となることから、十分効果が上げられるものと期待をしておるところでございます。

 さらに、この補助金に加えまして、ハローワークに生活保護受給者のためのコーディネーター等を配置し、きめ細かな就労支援を実施いたしますとともに、生活保護受給者に対する公共職業訓練を実施するための経費として新たに十四億円を予算案に計上しておるわけでございます。十四億円新たに加えておるということを申し上げたところです。

委員長(岸宏一君)

 小池君、時間が来ております。

小池晃君

 はい。

 こういう経済情勢、国民の暮らしの中で、最後のよりどころ、ホームレス対策も含めて、こういったものを十七億円も削るということは、いろんな理由があっても許されないことだということを申し上げたいと思います。

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