- 小池晃君
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(前略)
最後に、東京北区の東京北社会保険病院の問題をお尋ねしたいと。
これは、建物既にできていまして、四月から開設する予定でした。ところが、突如中止ということで大問題になっている。一方で、これは国立病院廃止に伴うもので、品川にある社会保険都南病院が新築移転をするということで合意していた。ところが、これを全社連に委託を中止するということを突然決めて、病院開設のめどが全く立っていないという状態にあります。
これは本当に年末の慌ただしい中どたばたっと決められたことであります。十二月の半ばに、都南病院の管理者は全社連を通じて新病院開設準備をこのまま進めていいのかと聞いたけれども、粛々と進めるようにと言われた。十二月の後半に方針転換があったはずなんですね。十二月の二十五日に社会保険病院の在り方の見直し、これが発表された。それまではそういう話全然なかったわけです。少なくともそれまではこの問題は、新しい病院は全社連に委託するという方針だったはずです。ところが、十二月の二十七日に病院には委託中止という方針が決まった。
木村副大臣は、十二月の二十六日に北病院を訪問されていますね。これは間違いないですか。
- 副大臣(木村義雄君)
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二十六日に現地を見学いたしました。
- 小池晃君
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要するに、方針転換の正にその日にあなたは北病院に行かれた。これは委託しないという方針を決めてから行かれたんですか。それとも行ってみて、委託しないという方針が決まっていったんですか。
- 副大臣(木村義雄君)
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社会保険病院につきましては、これは相当長い経過の議論があるんです。
おととしまでさかのぼるわけでございまして、そこは政府管掌健康保険のやっぱり厳しい現状があるわけでございまして、そういう財政状況も踏まえまして、昨年の健康保険法改正案の経過過程におきまして、その在り方の抜本的な見直しが求められて、同法附則にもその旨が明記されているわけでございます。
これを受けまして、厚生労働省といたしましては、昨年の三月に医療制度改革推進本部を設置しまして、この中で社会保険病院の在り方についての基本的な検討を行うとともに、新規に開院する東京北社会保険病院についても全体の見直しの方針に即してどのようにすべきかの検討を進めてきたところでございまして、このような経緯を踏まえまして昨年の末に厚生労働省として社会保険病院の在り方の見直しの方針を決定したものであり、今回の東京北社会保険病院の件につきましても、社会保険庁がその方針に基づいて対処をしたものでございます。
- 小池晃君
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私は、その数年間の議論のことを言っているんじゃないんです。この三日間の突如としての方針転換の問題を言っているんです。
これ、本当に現場は大変なことになっているわけですよ。都南病院の職員の皆さん方は、もうずっと新しい病院ができると、それを心の支えにしてずっと働いてこられたんです。レントゲン技師は、必要最小限の人員で効率的に働けるようにどうしたらいいか撮影室をレイアウトした。検査技師は、システム構築を二年掛かってやった。みんなが夢を抱いて、新しい病院で働けると。もう十二月の二十七日、職員の皆さんが聞かされたのは年明けですから、それまでずっとそういう思いでやってこられたんです。看護助手の皆さんは、併設される老人保健施設で働けると。だから、ヘルパーの資格取った人もいるんですよ、そこで頑張ろうと。
私、何年間か検討があったというのは、それは今議論しているんじゃない。それがあったとしても、三年間の経過措置の中で委託の在り方を見直すと言っているんだから。それなのに、わずかこの数日間で大方針転換をして職員の夢を奪った。雇用を守るべき厚生労働省が、百十七名の都南病院職員と、それから新規採用予定の百三名の職員の雇用の場を奪ったわけですよ。
大臣、私、厚生労働大臣ですから、雇用を守る立場でもあるんだ。あなた、大臣、これ、こうした人たちに対して雇用の場を奪った責任というのをどういうふうに考えていらっしゃるんですか。お答えいただきたい。
- 国務大臣(坂口力君)
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それは、そんな二日や三日で決まったわけではないんですね。昨年の何月でございましたか、ここの委員会におきましても、武見先生でしたか、どなたかが御質問になりまして、それに対しまして、そのときに、もうそれは見直しますということを木村副大臣、答えているんですね。ですから、そうしたことは着々と進んできていたわけでございます。ですから、そんな急なことではなかったわけでございますけれども、最終的な決定をされましたのは、それは確かに年末であったかもしれませんけれども、そういう状況が続いてきていたということは、これは事実でございます。
ですから、我々といたしましては、これは後をどう引き受けていただくかという、いろいろの引受手、後でここをやりたいというところが幾つか手を挙げていただいておりますので、それぞれの病院に対しまして、こちら側の条件を示しながら、こういうことでどうでしょうかということを申し上げているわけでございます。
- 小池晃君
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大臣、ということは、この当委員会で確かに木村副大臣が、四月一日に立派な病院がテープカットするようなことは許しませんというようなことを発言されましたよ。あの時点で、北病院は全社連に委託しないという方針が出てきていたということなんですか。だとすれば、重大ですよ。現地には何の話もなかったんですよ、その間。十二月に、十二月に都南病院が全社連に問い合わせしたときには、粛々と進めてくださいと言ったんですよ。おかしいじゃないですか。
大臣、これ重大だと思いますよ。もしその時点でそういう方針があったと。じゃ、あの木村副大臣の答弁があったときに、北病院は全社連に委託しないという方針を持っていたんですね。
- 国務大臣(坂口力君)
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それは、社会保険庁の社会保険病院全体を見直すということを言っているわけで、その全体を見直す中におきましては、新しいできるところにつきましては、それは当然のことながらそこに含まれてくるということを言っているわけで、これからも社会保険庁の関係の病院の中で、今、全社連でしたかね、全社連が運営をしていただいておりますけれども、それはすべて全社連というわけにはこれからいかなくなってくる、多くの病院は他のところにゆだねていただかなければならなくなってくるというふうに私は思っております。
それは、全体の中の見直しでありますから、それは御理解をいただかないと私はいけないというふうに思っております。
- 小池晃君
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いや、だからまたごまかしているんですよ。
そんなことは分かっているんですよ。社会保険病院の在り方についてずっと議論あったことは分かっているし、二十五日にそれが出たと。それまで、私は北病院のことを言っているんです、北病院に対しては何の説明もなかったんです。全社連に委託するということが報告されていたわけですよ。それを突然ひっくり返したと。
北区議会はこう言っていますよ。この意見書では、北区議会としては区民の大きな期待や関係者のこれまでの努力等を勘案すると納得できるものではないと、本区議会は政府に対して既定方針どおり四月開設に向けてこれまで以上の努力をするよう強く求めると、地元もはっきり言っているんです。これは公明党も賛成の全会一致の意見書であります。
これ、内定者に対する違約金、これは四千五百七十万円支払われています。転職者五十万円、七十四名に対して。それから、新卒者に三十万円、二十九名。これは病院の建設費、土地代は、整備費で百六十四億円、土地代で百三十二億円、合計二百九十六億円です。新病院使わなくても維持しなきゃいけませんから、これ毎月大体一千数百万円掛かると聞いている。
発注業者からも損害賠償請求額が示されているというふうに聞いていますが、これは幾らになるんですか。
- 政府参考人(伍藤忠春君)
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都南総合病院の廃止に伴います業者との関係でございますが、ただいま受注業者から全社連に対しましていろいろそういった話は来ているようでございますが、全社連が今いろいろ聞き取りをしているということでございまして、その額も、長い何というか取引上の関係でありますから、額も流動的なようでございまして、いまだ確定をしていないというふうに報告を受けております。
- 小池晃君
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これ、全社連に問い合わせると大体七億円近くになる可能性があるというふうに言っているんです。厚労省に損害賠償請求するという話も報道されているんですね。私、これ本当にこれだけでも大変な無駄遣いではないかというふうにも思います。
しかも、これ重大なのは、都南病院の職員は行き場を失っているわけです。まだ就職先が決まっていない職員が十二名いる。その他、退職届の未提出者が三十四名います。この人たちに解雇予告通知書が送られているんです。これ、事業主の都合による解雇は整理解雇であります。整理解雇の四要件をお示しいただきたい。
- 政府参考人(松崎朗君)
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いわゆる整理解雇四要件といいますものは、昭和五十四年の東京高裁の判決だと思いますけれども、その中におきまして一般的に言っていますのは、そこで言っておりますのは、特定の事業部門の閉鎖に伴い、同事業部門に勤務する従業員を解雇するについて、それが就業規則に言うやむを得ない事業の都合によるものと言い得るためにはということで三点言っております。
まず一点目が、同事業部門を閉鎖することが企業の合理的運営上やむを得ない必要に基づくものと認められる場合であること。
二点目として、同事業部門に勤務する従業員を同一又は遠隔でない他の事業場における他の事業部門の同一又は類似職種に充当する余地がない場合、あるいは同配置転換を行ってもなお全企業的に見て剰員の発生が避けられない場合であって、解雇が特定事業部門の閉鎖を理由に使用者の恣意によってなされるものでないこと。
三点目として、具体的な解雇対象者の選定が客観的、合理的な基準に基づくものであること。
以上、三点の要件をもって足りると言い、さらに四番目として、解雇について、労働協約、就業規則上、いわゆる人事同意約款とか協議約款が存在するにもかかわらず、労働組合の合意を得ず、又はこれと協議を尽くさなかったとき、あるいは解雇がその手続上信義則に反し、解雇権の濫用にわたると認められるとき等においては、いずれも解雇の効力は否定されるべきであると言っております。
- 小池晃君
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これ、四要件すべて満たしていませんよ、このケース。だって、人員削減の必要性と言うけれども、結局これは社会保険病院の移転を前提にして都南病院の閉鎖が決まっていたんだ。厚労省が全社連の委託を中止して、移転できなくなったにもかかわらず都南病院の廃止も決めたんです。だから、厚労省がこれ決めたわけですから、厚労省が閉鎖したわけですから、厚労省が無理な決定を元に戻せば、これ人員削減の必要はないわけです。
さらに、その手段として整理解雇を選択することの必要性、配置転換の余地がないかどうか。これ、全社連の病院、五十四か所も全国にあるんです。しかし、都南病院の職員に対しては、これ全社連とあと日赤何とかの公的病院の求人を、これこれしかじかの求人がありますと示しただけなんですよ。後は勝手にやってくださいと、こういう対応をしているんですよ。
そして、さらに、その解雇対象者の選定の妥当性ということで言えば、これは退職届を出していない職員、それから就職未定の職員三十四名、事情を考えず一律に出しているんですよ。
そして、手続の妥当性はどうか。これは三月十一日の労使交渉では解雇の決定されていない、いろんな方策を検討したいと。二十六日、明日再度交渉するとなっていたんです。ところが、それを待たずに十七日に突然解雇予告通知を送り付けたんですよ。つまり、これは本当に私、まれに見る不当な整理解雇だというふうに思うんです。
この原因は何かといえば、厚労省が北病院を全社連に委託することを中止する一方で都南病院の廃止を決めたことが原因じゃないですか。私、こんなことを厚生労働省がやっていいのかと。雇用を守るということを企業に対して指導監督すべき厚労省がこんなことをやっていいのかと。これは私、極めて鋭く問われているというふうに思います。これは雇用を守るルールを破壊する前代未聞の暴挙である。それから、国立病院廃止に伴う地元との約束を裏切ったこと。それから、委託中止によって新たな税金の無駄遣いまで生まれている。これは、厚労省のやり方には全く道理も大義もありません。これは撤回すべきじゃないですか。大臣、いかがですか。
- 国務大臣(坂口力君)
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撤回するつもりはございません。このまま進めさせていただいて、新しい病院がそこでできるようにしたいと考えております。
- 小池晃君
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無責任だよ、余りにも。とんでもない。
- 委員長(金田勝年君)
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時間が参りました。
- 小池晃君
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社会保険病院の在り方についていろんな議論があるというのは、それはいいとして、私はそれはくみしませんけれども、それはいろんな議論あるでしょう。でも、このやり方には余りにも問題があり過ぎるんだというふうに私は思いますので、これは撤回、引き続き求めたいというふうに思います。
終わります。