- 小池晃君
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(前略)
引き続いて、難病の問題についてお聞きをしたいんですが、特定疾患の治療研究事業の見直しの問題です。
これ、障害者基本計画やプランの中でも難病問題は重視をされている。大臣の所信でもこの障害者計画やプランを着実に推進するし、難病対策についても引き続き総合的な取組を進めていくとお話ありました。
大臣にお聞きしたいんですが、難病患者の治療と研究を一層進めるためにも、今回のこの見直しによって患者負担が増えないように私は十分配慮すべきだと思うんですが、大臣、いかがですか。
- 国務大臣(坂口力君)
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難病、難病といいますか、特定疾患治療研究事業のことだというふうに思いますが、今回の見直しにおきましては自己負担制度を見直すことといたしております。
これは、重症患者に対しましては引き続き全額公費負担としたいというふうに思います。重症患者以外につきましては、これまでは所得の多い少ないにかかわらず一部負担をしていただいてまいりましたが、所得の少ない人、低所得者につきましては全額公費負担として負担を軽減をしたいというふうに思っております。それ以外の方につきましては、他の難病性疾患でありますとか障害者医療との均衡を配慮して、無理のない範囲内で所得と治療状況に応じた段階的な一部自己負担を導入をさせていただきたいというふうに思っております。中でも、日常生活に特段の支障がなくて、就労等も可能な方も中にはおみえになるわけでありますから、一般医療の扱いとするのか、それともこの難病の中で考えていくのか、そうしたこともよく検討をしていかなければならないというふうに思っている次第でございます。
ですから、もうちょっと、一言で言えば、今まで一律に何もかもやっておりましたのを、そうではなくて、所得の多い少ない、あるいはこの病気の重い軽い、そうしたことを十分に考慮をして、そして、重い人それから所得の少ない人には負担が掛からないように、そういうふうにしていきたいと、こういうことを申し上げているわけです。
- 小池晃君
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この所得に応じた自己負担の問題ですが、いまだに具体策、具体的な姿が明らかにならないという中で不安が高まっています。
私の下に愛知県の女性から手紙寄せられました。お孫さんが特定疾患だということで、資料にお配りしております。これは愛知県のある自治体が送ってきた通知なんですが、これ見ますと、特定疾患医療給付制度は大きく変わります。所得基準が導入されます。詳細は未定、六月以降書類を郵送します。世帯全員の所得証明が必要になると予想されます。非常に不安をあおるような中身であります。お手紙でも、本当にこんなことが送られてきて不安と怒りで我慢できない、この一片の通達がどれほど不安に陥れるものかというふうに訴えられている。
私、こういう通知を送ると、これは本当に患者さんの不安高まるばかりじゃないかと思うんですが、こんなやり方問題あるんじゃないですか。参考人にお伺いします。
- 政府参考人(高原亮治君)
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私も、委員のお配りになりましたこの特定疾患医療給付の患者の皆様へというものにつきましては、かなりといいますか、相当不正確かつ不適切な点があるんだろうなと思っております。早急に、この都道府県を経由いたしまして、どういう経過でこういうふうなものが配られるに至ったかということを調査してみたいと考えており、適切に指導してまいりたいと思っております。
- 小池晃君
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現行の負担は一回千円、月二千円までです。更生医療をモデルに所得に応じた負担額ということになっていくと、多くの患者さんが負担増になるんではないかという不安が出てきている。大体、患者さんが負担が増えていくことになる危険性があるのは、通院、入院についてどの程度の所得から負担が増えるということになってしまうのか、そこについてお示しいただきたいと思う。
- 政府参考人(高原亮治君)
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この所得の範囲内、私どもは、患者さんが世帯主もしくは世帯の最多収入者であるかどうか、それでどこまで合算するかと、本人もしくは最多収入者で切ろうということで考えております。したがって、このお配りになったような世帯全員ということは今のところ、検討課題の一つではあるけれども、軸足としてはそこには置いておりません。
それで、患者自身が世帯主又は世帯の最多収入者の場合で考えますと、仮に更生医療の徴収基準額表と比較いたしますと、入院におきましては前年の所得税額が十九万八千円以上の場合、外来においては前年の所得税額が九千六百円以上の場合に現在の治療研究事業の自己負担額の上限を上回ることとなります。
- 小池晃君
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こうなってくるとかなり負担が増えてしまう人が出てくるわけであります。私は、こういう形をそのまま適用することはやはりやめるべきだと、患者さんの負担が増えないように極力配慮をすべきだというふうに思うんです。
それと、先ほど大臣がちょっと言われた一般医療で見ていくという話ですが、これは症状が軽快した者については一般医療ということについても不安が大変広がっていると。認定外されると病院に行きにくくなってしまう、それで検査が遅れて病状が悪くなるということもあるんじゃないか。そもそも軽快しているときというのは余り医療費掛からないわけですから、私は難病医療、予算全体のことを考えても、これ、わざわざ良くなったら外すというようなことはせずに、今までどおり制度を続けていくべきではないかというふうに考えるんですが、この点いかがですか。
- 政府参考人(高原亮治君)
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非常に長期、比較的長期にわたりまして著しい制限がなく、日常生活、就労等の社会生活を営むことができる寛解状態にある方も現実いらっしゃるわけでありまして、それについて委員御指摘のように医療費が掛かっていないじゃないかという議論もあるかと思いますが、これは重症軽症というふうなことである程度症状に応じて給付を厚くしたり、それからちょっとお待ちいただくということで考えておるわけでございます。
これは、疾患の認定自身をこれは解除するということではございませんので、これは症状が今軽いから一般医療の負担をしていただくということだけでございますので、その疾患自身の認定は増悪した場合には直ちに行われるわけでございますので、実際の不利益というふうなものは余りないのではないかと考えております。
- 小池晃君
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その悪化した場合の再認定ですが、これは簡単な手続で速やかに行うということを説明されているんですが、これは検査なども含めてさかのぼって公費助成されるというふうにお考えなんでしょうか。
- 政府参考人(高原亮治君)
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これは、検査の状況それからその他理学的な所見によって判断されるんだろうと思いますが、実際に増悪が医師により確認された日にさかのぼって適用するというふうに考えております。
- 小池晃君
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それと、その診断基準の問題ですが、この通知、ある自治体の通知でも診断基準変わりますというふうに強調しているんです。認定を打ち切られる方が出ることも予測されますというようなことを書かれている。これも大きな不安を呼んでいるんですね。
診断基準の見直しというのは、これはまさかその基準を厳しくして今認定される人を対象から外すと、そんなことを考えておられるんじゃないでしょうね。その点、確認したいんですが。
- 政府参考人(高原亮治君)
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この診断基準の改定でございますが、例えば強皮症という病気がある、これは現在研究班で使っておる診断基準と、例えばこれは国際的な標準になっておりますアメリカリウマチ学会、これの診断基準の方が実際日本の医学部の教科書なんかでも使われておるようなんですが、そういうふうなところで乖離が生じている。その他、この研究事業も通じまして、いろいろな診断基準が現代の医学よりかちょっとずれてきたところがあるということを修正するために行うものでございまして、御質問のように基準を厳しくして認定を打ち切るというふうなものでは全くございません。
- 小池晃君
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私は、今計画されている負担増、あるいは一般医療への移行というのは難病の治療研究推進に逆行すると思いますので、これは治療研究の充実こそ行っていくべきだし、患者団体の声をよく聞いて見直しを進めるべきだということを申し上げておきたいと思います。