Dr.小池の日本を治す!
経済再建なくして財政再建なし
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 10月下旬に、民主党政権による「第3弾事業仕分け」が行われました。民主党が浪費削減の「本丸」だとしてきた特別会計の仕分けでしたが、18特別会計の50あまりの事業を仕分けして、「廃止」と評価されたものは8事業。それによって削減される額は250億円にとどまるといいます。

 44兆円にものぼる国債発行額からすれば、「すずめの涙」にもなりません。昨年秋の「第1弾」の成果が7000億円あまりだったのに比べても、はるかに見劣りする結果です。報道によれば、「これだけやっても財源が出てこないから」ということで、消費税増税の口実づくりにしようという"狙い"があるとのこと。これでは、何をか言わんやです。

◆唯一の「成長の止まった国」

 もちろん、歳出の浪費をなくすことは待ったなしですし、歳入面でも、不公平な大資産家や大企業への減税を見直して、税収の空洞化にストップをかけることが重要です。

 しかし、今日の財政危機を打開するためには、「どこに財源があるか」という財源探しに終始したのでは、根本的な解決策にはなりません。重要なことは、経済危機の打開と一体のものとして進めてこそ、財政危機の打開も可能になるということです。

 今年度末には、日本の国・地方をあわせた長期債務は、対国内総生産(GDP)比で180%にもなろうとしています。戦争中の1944年に(対GNP比)200%を超えたのを除けば、史上最高の水準に達しています(45年はGNPの統計が不明)。

 経済協力開発機構(OECD)ベースの政府債務残高(前述の長期債務残高とは若干ベースが異なる)で比較すると、2007年に日本はGDP比170%に達しており、欧米諸国が60%前後であるのと比べても突出しています。日本の財政危機がきわめて深刻であることは明らかです。1990年には、日本も対GDP比で65%程度であり、米国と大差ありませんでした。それが07年には170%と、17年間に2.6倍にも増えています。この点でも日本が突出しているのです。

 しかし、実は政府の借金が増えているのは、日本だけではありません。債務残高を対GDP比ではなく実額で比較すると、同じ17年間に日本の政府債務は2.8倍に増えましたが、他の国も同じような増え方をしていることがわかります。英国は3.5倍、フランスは3.3倍で、むしろ日本より高い伸びを示しているのです。

 それなのに、対GDP比でみると日本だけが突出するのはなぜでしょうか。この間に欧米諸国は程度の差はあれ、それなりの経済成長をとげているのに対して、日本だけが「成長の止まった国」になってしまったからにほかなりません。

◆内需中心の政策に転換を

 この「失われた20年」ともいうべき事態は、政府の経済失政が繰り返された結果です。そもそも、バブルを生み出したことが最大の失政であったことは明らかですが、その後も、橋本内閣による9兆円負担増によって急激な景気の落ち込みをもたらしたこと、小泉構造改革路線によって国民生活と地方経済を痛めつけたことなど、重大な誤りが繰り返されてきました。

 総じていえば、この間の経済政策は、「強い企業のもうけを増やせば、それが国民に回る」というものでした。しかし、実際には大企業の利益と内部留保が増えただけで国内経済に環流せず、国民の家計は苦しくなるばかり。最近の10年あまりの間に、サラリーマンの給与は30兆円も減りましたが、大企業の内部留保は100兆円も増えています。

 財政危機を打開するためにも、こうした経済政策を根本的に転換することが必要です。暮らしを重視し、内需中心の経済成長を実現することによってこそ、根本的な危機打開の道が開かれるのです。(日本共産党政策委員長)

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