「いつでも元気 2009.11 No.217」より |
国民の声が、日本の政治を大きく動かしはじめました。
自民党と公明党の政治に対する怒りが生み出した鳩山新政権。これまで民医連・共同組織のみなさんが求めてきた課題に、とりくみはじめています。しかし、黙って見守るだけではいけません。国民の声で生まれた政権だけに、世論と運動の後押しがなければ、たちまち元のもくあみになってしまうでしょう。今まで以上に運動を強めなければ。
母子加算の復活は真っ先に
真っ先に実現させたいのが生活保護の「母子加算」復活です。もともと法律を変えて廃止したものではありませんから、復活させるのにも法改正は必要ありません。政府が「やる」と決めればできます。「老齢加算」もあわせて復活させましょう。
そして「後期高齢者医療制度」。年齢だけで区切って別の制度に囲い込む、世界に例のない高齢者差別の医療制度は「廃止」しかありません。来春には保険料の値上げも計画されており、廃止しなければ被害はさらに広がりますから、待ったなしです。
"後期高齢者"は先送りせず
新政権は後期高齢者医療制度を廃止するといいますが、時期は明らかにしていません。一部には「廃止するのは、新しい制度をつくってから」という声もあります。しかし、これでは先送りになってしまいます。
昨年の国会で野党共同で提出した廃止法案では、ただちに廃止して、元の老人保健制度に戻すとしていたのですから、何の問題もありません。
自民党や公明党は「老人保健制度だと国保に戻るので、負担が増える人が出る」などと批判します。でも、そんな人が大勢いるなら後期高齢者医療制度ができた時に、「歓迎」する声が日本中に広がったはずです。
もしもそんな被害が出るとすれば、その原因は「国民健康保険料が高すぎる」ことにあります。ならばやるべきことは、国保の保険料を国の責任で下げることです。
老人医療を無料化すれば
決定的な解決策もあります。老人保健制度に戻すだけでなく、国庫負担を投入して75歳以上の医療費窓口負担をゼロにするのです。そうすれば「負担が増える」という心配も吹き飛びます。
高齢者医療費を無料にするのに必要な費用は、子ども医療費の無料化と合わせて1兆3000億円。これは民主党が「高速道路料金無料化」のために投入しようとしている金額とピッタリ同じです。同じ税金を使うのであれば、このほうがずっと喜ばれるのではないでしょうか。
「後期高齢者医療制度をただちに廃止せよ」「いまこそ高齢者の医療費無料化を」という運動をひろげ、新政権に迫っていきましょう。さらに「障害者自立支援法の廃止」「介護保険の負担軽減」「医師や看護師の大幅増員」と、課題はいっぱいです。
国民の1票1票で生まれた政権ですから、国民の声に背を向けることなど決してできないはず。憲法25条の「生存権」を実現する社会保障制度を。今こそ声を上げるときです。