「いつでも元気 2009.8 No.214」より |
アメリカのオバマ大統領が、4月5日にチェコのプラハで演説しました。こんな演説です。
「核兵器を使用したことのある唯一の核保有国として、米国は行動する道義的な責任を持っています。私たちは一カ国ではこの努力を成功させることはできませんが、リードすることはでき、始めることはできます。だから今日、私は明白に、信念とともに、米国が核兵器のない平和で安全な世界を追求すると約束します」
続いて久しぶりに出たのが、あの「イエス・ウイ・キャン」でした。
オバマ大統領の返書には
オバマ大統領宛て志位委員長の書簡に対する米国政府からの感謝の返信 |
日本の被爆者の方々は、命をかけて「広島、長崎をくり返すな」と世界に訴えてこられました。毎年の原水爆禁止世界大会や核廃絶の署名運動には多数の市民が参加し、核のない世界を求めてきました。こうした運動が世界に広がり、核超大国のアメリカの姿勢も動かしはじめたのです。大きな大きな一歩だと思います。
私たちはこの演説を歓迎し、日本共産党の志位委員長は、オバマ大統領あてに書簡を送りました。すると、返事が返ってきたのです。
返書は「この問題にたいするあなたの情熱をうれしく思う」とはじまって「私たちは、この目標に向かって具体的な前進をつくりだすために、日本政府との協力を望んでいます」と書かれていました。
「『核の傘』で守って」と外相
実は、オバマ演説後に中曽根弘文外務大臣が日本政府の立場を表明し「わが国にとっては日米安全保障体制の下における核抑止力を含む拡大抑止が重要であることはいうまでもありません」と述べていたのです。
つまり、オバマ大統領が「核兵器のない世界をつくろう」と呼びかけているときに、アメリカに対して「『核の傘』で守ってください」とお願いしたのです。唯一の被爆国としては、恥ずかしいかぎりです。
オバマ政権もこうした日本政府の情けない態度がわかっているから、日本共産党にわざわざ「日本政府との協力を望んでいます」と書いてよこしたのでしょう。ですから私たちはオバマ返書を携えて、麻生太郎首相に会いに行きました。
「すげえ話」ではすまない
そして首相に、「被爆国の政府として、核廃絶を正面からとりあげた国際交渉を呼びかけるイニシアチブをとってほしい。その道義的な責務も権利もあるのだから」と申し入れたのです。
麻生首相は例の調子で「いやー、オバマ演説はすげえ演説だった」というので、志位さんが「どの辺が」と問うと、「だって、核兵器を持ってる国が捨てるといったんだからこれは、すげえ話よ」と。
たしかに間違いではありませんが、「すげえ」ですますのではなく、日本政府こそ世界から「すげえ」といわれるようなイニシアチブを果たすべき時です。
核兵器廃絶を目標とした国際交渉をはじめよう。この呼びかけを日本から世界へ。今年の原水禁大会は歴史的に重要な集会になりそうです。