私は、日本共産党を代表して、高度専門医療に関する研究等を行う独立行政法人に関する法律案に反対の討論を行います。
反対の第一の理由は、独立行政法人化によってナショナルセンターに行革推進法による人件費の五%削減が押し付けられ、その機能が低下しかねないからであります。
ただでさえ処遇の問題などから医師、看護師などナショナルセンターの機能を支える人材には欠員が生じています。更なる労働条件の引下げにつながりかねない人件費削減の押し付けは、ナショナルセンターの人材不足に拍車を掛ける危険性があります。
第二の理由は、不採算医療の提供など本来ナショナルセンターが果たすべき政策医療が効率化の名によって縮小されかねないからであります。
現在、ナショナルセンターの診療部門は、先端医療、不採算医療に伴う赤字の補てんなど、政策医療を進めるため毎年一般会計から多額の繰入れを行っています。独法化した後、運営費交付金の削減によって財政面での困難が生じるのではないかという懸念は、本日の質疑を通じてもなおぬぐい去ることはできませんでした。
第三の理由は、現在、ナショナルセンターを支えている多くの賃金職員、非正規職員について、独立行政法人化後の身分保障がなされていないからであります。
千五百五十六名の賃金職員や非正規職員は、独法化の際の職員の引継ぎの対象外であり、もしも雇用契約の更新がされなければ新法人の職員にはなれません。不景気とリストラ問題が深刻な今、国が自ら賃金職員、非常勤職員の雇用を不安定な状況に置くことは許されません。
そもそも諸外国の例を見ても、がん、難病、感染症などの治療や研究方法の開発は、国直轄の機関によって行われています。がん対策推進基本法も成立し、新型インフルエンザ対策など国民の健康を守るための国の役割が一層重要になっているときに、ナショナルセンターを独立行政法人としてしまい、国の責任を後退させることは逆行にほかならないと考えます。
以上、反対の理由を申し述べ、討論を終わります。