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169通常国会 厚生労働委員会 後期高齢者医療制度廃止法案の参考人質疑と法案質疑

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2008年6月3日(火)

西島英利君

 是非、中立公平という立場での委員会運営をよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 そして、これは質疑通告をしておりますので、各政党が、例えば参考人、それから地方公聴会等も含めて慎重な審議をというふうに私どもは主張をしているわけでございますが、民主党、それから社民党、それから共産党、それぞれのお考えがありましたらば、この審議時間についてお聞かせいただければと思います。

委員以外の議員(福山哲郎君)

 お答えをさせていただきます。

 (略)

委員以外の議員(小池晃君)

 私どもも、この法案はしっかり審議をすべきだと思っております。国民の声を聞く場もつくってしっかり審議をすべきだと。

 ただ、同時に、国民の中でやはりこの制度に対する怒りが大きく今高まっている。年齢だけで今までの保険から脱退をさせて新たな制度に入れていく、高齢者が増えるにつれて保険料が自動的に上がっていく、保険料は年金から強制的に天引きだし、滞納すれば保険証を取り上げる制度まで持ち込んでいる。医療の中身は、これは安上がりに差別的になっていくんではないかという不安が広がっております。そのことは、二〇〇六年の法案審議の際に西島委員自らが、本来この後期高齢者医療制度はある意味では医療費の適正化のために実はつくられた制度だ、七十五歳以上の医療はみとりの医療だというふうに御発言もされていて、やっぱりこういう制度だからこれでいいのかという不安が広がっているんだというふうに思っております。

 先ほどの無責任だというお話ありましたが、この間、やはり医療費の増加というのを無責任に現役労働者の保険料負担や高齢者の窓口負担増やあるいは地方自治体への負担に転嫁して、国庫負担を削減してきたのが歴代自民党政権であると私ども思っておりまして、それが行き詰まったからといって七十五歳以上だけを切り離して際限のない負担増を押し付ける、これこそ無責任であるというふうに考えております。しかも、まともな検討もなく導入されたことにより、制度導入直後に様々な見直しの議論をせざるを得なくなってきている。

 週刊東洋経済の昨年十一月三日号では、厚生労働省の宮島大臣官房審議官が、後期高齢者医療制度は当初の制度設計で五年くらいはやっていけると思うと、早々に破綻することを担当官僚自らが明らかにしているような制度を、間違いが明らかになっていながら引き返そうともしないこういう与党の態度こそ私は無責任であるというふうに指摘をさせていただきたいというふうに思っております。

 先ほどもありましたように、こういう中でやはりこの制度を廃止するというのは国民の声です。今国会の会期末というのは限られております。その会期の中でしっかり議論をし結論を出すというのが私は立法府に課せられた責任であると、その責任を果たすために全力を尽くしたいと考えております。

委員以外の議員(福島みずほ君)

 (略)

山本博司君

 次に、保険料の変動についてお聞きをしたいと思います。

 現在、厚生労働省でも地方自治体での実態調査を行っており、調査の結果を待ちたいと思いますけれども、先日のある新聞社の調査でも、七割の世帯で負担額が下がったとのデータもありました。そこで、こうした新しい制度で保険料が下がった人への対応についてお伺いをしたいと思います。

 今回の新しい医療制度で保険料負担が下がった人に対して、この法案に沿って考えると、十月に負担の更なる軽減がなされます。先ほど言いましたように、全員に対してやるということでございますので、当然、更に多くの方々が下がります。しかし、来年の四月には元の老人保健制度に戻りますので、多くの方々が保険料が上がってしまいます。このことに対して国民は非常に怒るのではないかと思いますけれども、このことをどう説明されるのでしょうか。

委員以外の議員(小池晃君)

 今の御質問ですが、読売新聞の保険料の報道を前提として質問されているというふうにお聞きしました。

 この報道については、これは読売新聞の調査というより、厚生労働省が行っている調査を一部の市区町村、百八十三について集計したものというふうに思われます。この厚生労働省の調査内容ですが、極めて問題が大きいというふうに私ども考えております。

 といいますのは、国保加入世帯について、高齢者単身、それから高齢者夫婦、それから片方が高齢者だけの夫婦、それから高齢者一人と子供夫婦という四種の世帯構成について、三段階の世帯収入について国保の保険料と後期高齢者保険料を比較しております。この調査のモデルというのは、低所得者のようにほとんど資産を持っていない世帯まですべて、資産割を算定している自治体については資産割を払っていることを前提にする。あるいは世帯構成についても、例えば老夫婦と子供夫婦で構成される世帯のように比較的負担増になりやすい世帯構成を除外しております。その点で現実に即したものと考えておりません。

 私どもの推計では、調査モデルのモデル世帯では高齢者世帯の三分の二程度の世帯数しかカバーしていないというふうに思われます。しかも、厚生労働省の調査ではモデルごとの被保険者数を調査をしておりません。このように、この調査結果によれば実態をきちんと把握できず、負担増が低い結果となるのではないかというふうに私どもは見ております。

 読売新聞の調査結果は、七割が国保の保険料より軽減されたということですが、これは厚生労働省の調査モデルで自治体数の七割ということであって全保険者の七割、全被保険者の七割ということではございません。

 このように、この調査モデルは、実態を把握するどころか、七割から八割の世帯が負担減であるという当初の厚生労働大臣の発言に合わせて結論を誘導するようなものになっているのではないかというふうに思わざるを得ません。こうした調査結果に基づいて負担が増える世帯が多くなるという前提に対してはちょっとお答えすることができないと。

 ですから、私どもとしては、現実の問題が出たときに、それに対してどう対応するかということを考えていくというふうにしか答えようがないというふうに思っております。

委員長(岩本司君)

 (略)

渡辺孝男君

 今よりはましだということでありますけれども、老人保健制度に問題がないのかどうか、一応今もお話がありましたけれども、発議者の福山議員、小池議員、福島みずほ議員に簡潔にお答えをいただきたいと思います。

委員以外の議員(福山哲郎君)

 (略)

委員以外の議員(小池晃君)

 老人保健制度ですが、これは元々無料だった老人医療の窓口負担を有料化するときに導入された制度であります。したがって、日本共産党は導入の際に反対をしております。

 また、その後、自民党・政府はこの制度を累次にわたって改悪をしてきて、老人医療に対する国庫負担を削減する。その一方で、現役労働者の保険料負担、高齢者の窓口負担、地方自治体の負担にそれを転嫁してきています。

 ちなみに、老人医療費の構成でいうと、老人保健制度がスタートした一九八三年、国庫負担四四・九%だったのが最終年の昨年度三六・二%になり、窓口負担は一・六%から八・五%まで引き上がっております。

 こうした老人保健制度の問題点は当然改革が必要です。しかし、少なくとも老人保健制度というのは、高齢者が今ある国保などのそれぞれの保険に入り続けたままで現役世代が窓口負担を軽減する財政調整の仕組みとしてあるわけで、七十五歳以上を現在の保険から強制的に脱退させて別の保険に囲い込むという後期高齢者医療制度、際限のない負担増につながりますし、私ども差別医療になるおそれが強いと思っておりますが、決定的に違う制度です。ですからこそ、本法案では、間違った制度を直ちにやめて、いったん元の制度に戻すというふうにしているわけでございます。

 なお、先ほど来、地域間格差の問題や、あるいは健保と国保の負担感の違いということがありましたが、これははっきり言って市町村国保の問題点なんです。市町村国保の国庫負担、削られてきたから高い保険料を押し付けられていると、そこが問題である。あるいは、市町村国保が定額払い、平等割、こういった形で応能負担の制度を崩してきたことによって非常に低所得者に重い保険料にしてきた。ここは問題なのであって、これはこれで独自のやっぱり改革が必要であり、我々は、国保に対する国庫負担を大幅にやっぱり引き上げるという形で市町村国保の財政危機を解決していくことを同時に進めていくべきだというふうに考えている次第です。

 以上です。

委員以外の議員(福島みずほ君)

 (略)

井上哲士君

 日本共産党の井上哲士です。

 冒頭ちょっと今のに関係してお聞きするんですが、後期高齢者医療に入っている人が元に戻れる仕組みになっているのかどうか。これ、厚生労働省、通告しておりませんけれども、どうでしょうか。

  〔委員長退席、理事家西悟君着席〕

政府参考人(水田邦雄君)

 ちょっと突然の御質問でございますので確かめなきゃいけませんが、まず切替え時点におきましては、市町村は国保の加入者については把握をしているわけでございますので、千三百万人のうち千百万人は、そういう意味では市町村と広域連合の間の情報交換で把握はできると考えております。

 残りますのは、被用者保険の被保険者と被扶養者でございますけれども、それにつきましても、いったんは除いた形で把握をしておりますので、切替え時点では分かっていたと思いますが、当然その後様々な異動がございますので、現在それが元に戻れるかどうかというのは、これは必ずしもよく分からないということになろうかと思います。

井上哲士君

 国保の部分は大丈夫だと。あと二百万についても、これはしっかりしていただきたいと思います。

 その上で、今日朝から議論になっております保険料の問題についてお聞きをいたします。これは元々大臣が七、八割の人は保険料下がるという発言をしたことが問題になりまして、厚生労働省は、全国の市町村にこれまで国保加入だった世帯の保険料がどう変化するか調査を行っております。

 まず、どういう項目で調査しているのか、お答えいただけますか。

政府参考人(水田邦雄君)

 ちょっと先ほどの答弁につきまして、委員から今国保については分かっているだろうということでございましたけれども、切替え時点では分かっていたということでありまして、今の時点でその人のステータスがどうであるかということはこれは分かっておりませんので、今の時点では全部は分かっていないということになろうかと思います。

 その上で、今後期高齢者の保険料の実態調査、どういう項目で調査したのかというお尋ねでございますけれども、この御指摘の調査におきましては、各市町村におけるモデル世帯での国民健康保険料額と長寿医療保険制度の保険料額を調査したところでございます。具体的には、七十五歳以上の単身世帯、共に七十五歳以上の夫婦世帯、夫七十五歳以上、妻七十五歳未満の夫婦世帯、それから七十五歳以上の高齢者と共に七十五歳未満の子供夫婦の世帯の四つのモデル世帯におきます年金収入が基礎年金相当七十九万円でございます、平均的な厚生年金相当二百一万円、それから高額の厚生年金相当四百万円の場合の国民健康保険の保険料額と長寿医療制度の保険料額を調査したものでございます。

井上哲士君

 五月二十九日付けの読売新聞も朝から話題になっておりますが、実はこれは全く同じ項目で調査をしておりまして、百八十三市町村から調査しているんですね。これが七割の世帯負担軽減というふうに報じたわけであります。しかし、これが果たして実態を正確に反映しているのか、全体をカバーしているのかと甚だ疑問なわけですが。

 まず聞きますけれども、今回の調査では、国保料に資産割を採用している自治体において、全員がこの資産割の平均額を払っているという仮定で行われております。しかし、だれもが資産を持っているわけではありませんから、資産割を払ってない方もいらっしゃるんですね。

 まず聞きますが、この資産割を採用している市町村の中で資産割を納めている世帯の比率は幾らでしょうか。

政府参考人(水田邦雄君)

 保険料の算定に当たりまして、資産割を用いている市町村におきましては、世帯主が七十五歳以上の世帯で見ると、その約七割の世帯において資産割が賦課されております。

井上哲士君

 逆に言いますと、三分の一の人はこの資産割を払っていないということになるわけですね。多分全体六割ぐらいが払っていると思うんですが、高齢者が多少率は高いということになりますが、しかし低所得のお年寄りは資産保有の比率は低いんです。

 これ全体で結構ですが、所得ゼロの世帯で資産割を納めている比率はどうなっているでしょうか。

政府参考人(水田邦雄君)

 ちょっと今の御質問に対しましてはお答えする準備がございません。

井上哲士君

 通告してあるはずなんですが、時間もないんであれですが、これは全体の統計で見ますと一八・八%が所得ゼロの世帯で資産割を納めている比率ですね。資産割取っているところに国保に入っている人は全体の半分でありますから、計算しますとおおむねこの倍、三七・六%ぐらいが低所得者の高齢者が資産割を払っている。逆に言いますと三分の二は払ってないということなんですね。

 今その低所得者の負担増が問題になっているのに、なぜそういう人も含めて資産割を全員、全世帯が払っていると、こういう非現実的な仮定の下に今回の調査は行われたんでしょうか。

政府参考人(水田邦雄君)

 今回の調査におきましては、そういう資産割を採用しているところについては資産割の額を聞いておりますけれども、今回の実態調査で集計したデータを基に、いわゆる四方式を、つまり資産割を採用している市町村におきます資産割の賦課状況などを踏まえまして、できる限り正確な実態を把握できるよう、現在、分析作業を行っているところでございます。

井上哲士君

 どういう結果を出してくるのかなんですが、読売の場合はそのまま七割の世帯が負担減と、こうなっているんですね。しかし、その資産割を入れなかったらどういう変化が起きるのかということを、お手元の資料を見ていただきたいんですが、実は、厚労省は大変だ大変だと言っていますけれども、あの通知に基づく調査というのは保険料率を当てはめればすぐできるんです。私どもやってみました。

 例えば、私、京都、地元の宮津市の場合を試算をしてみましたけれども、宮津市は資産割の平均額は一万四千九百六十四円です。これで計算をしてみますと、世帯区分が四種類それから収入区分が三種類ですから十二種類のモデルになるんですね。全員がこの資産割の平均額を払っているという仮定の厚労省の試算でいきますと、一枚目にありますように、十二のモデル世帯のうち負担増になるのは三つのモデル世帯だけなんです。

 ところが、資産を持たない人はこの資産割の一万四千九百六十四円を払っておりません。これを国保料から引くとどうなるかと。それが二枚目の資料を見ていただきたいんですが、これで計算をし直しますと、十二通りのモデルのうち十のモデルは逆に負担増になるんです。こっちの方の二枚目の調査は一切厚労省はやってないんですね。一枚目の調査だけでいいますと、十二のモデルのうち負担増は三つだけでありますから、実に七五%が負担が減るという、こういう結果になってしまうんですね。ですから、全く逆のことが出てしまうんです。

 この問題は、当委員会で四月十七日に我が党小池議員が指摘をした問題なんですね。にもかかわらずこういう調査をしているというのは一体なぜなんでしょうか。

政府参考人(水田邦雄君)

 先ほど答弁したことと重なるんでございますけれども、一応この資産割があるということでデータ取ってございますけれども、ただ、その分析作業におきましては、市町村における資産割の賦課状況などを踏まえまして、できる限り正確な実態を把握できるよう作業を行っているところでございます。

井上哲士君

 くれぐれもミスリードをしないように強く求めておきますが、実はもう一つ問題があるんです。

 これは世帯構成を四つに限定をしていますけれども、これで全体がカバーできるのかと。これ三枚目の資料を見ていただきたいんですが、七十五歳以上の高齢者の家族構成というのはどうなっているのかと。上から単独世帯、それから夫婦のみの世帯、それから子と同居、この中には子供夫婦という場合と配偶者のいない子と同居という場合、二種類ありますが、ここまでほぼ一〇〇%なんですね。調べるんならばこのすべてのモデルについて調べる必要があると思うんですが、今回、厚労省が調べておりますのはこの網線の部分だけなんです。夫婦のみの世帯の場合に、両方とも後期高齢者、夫だけ後期高齢者という二つに分けていますけれども、ですから四モデルになっていますが、この網線の部分しか今回の調査対象になってないんですね。

 ですから、後期高齢者全体の三分の二しかカバーをできない調査になっているんです。なぜ、こういうところにだけ限定して調査しているんでしょうか。

政府参考人(水田邦雄君)

 ただいま委員が御指摘になりましたのは国民生活基礎調査でございます。クレジットも付いてございます。ただ、私どもは国民健康保険実態調査のデータで見ているわけでございます。この違いというのはどういうことかといいますと、国民生活基礎調査から七十五歳以上の高齢者の家族構成が把握できるわけでありますけれども、社会保険として見た世帯構成と一般的な世帯構成には違いがございます。例えば、被用者保険に加入している子供夫婦と同居している高齢者でありましても、一定以上の所得がある高齢者は被扶養者としては認定されず、国民健康保険に加入することになります。その場合は、国民健康保険実態調査上では単身者であれば単身世帯、夫婦であれば夫婦世帯となるわけでございます。したがいまして、私どもは国民生活基礎調査に比べまして国民健康保険実態調査の単身世帯、夫婦世帯を見ているわけでございます。

 この調査に基づきますと、今回の調査のモデル設定につきましては単身世帯及び夫婦二人世帯でおおむね全体の七割程度を占めておりまして、これに三人以上の世帯の典型的なモデルとして七十五歳以上の方一人と子供夫婦の世帯を加えると約八割となっておりまして、おおむね代表的な世帯をモデル設定することができていると、このように考えております。

井上哲士君

 今八割と言われました。しかし、ここで除外をされております後期高齢者夫婦と子供夫婦の四人世帯、それから後期高齢者夫婦と子供一人の三人世帯と、こういう場合は今回の調査の類型と比べてもやはり負担増になる率が高いと思うんですね。その部分をやっぱり外すということになりますと、結局様々違った数になってくる。先ほどの資産割とこれと併せてやりますと相当の違いが私たちは出てくるということを試算をいたしました。

 そこで、大臣にお聞きをするわけですが、四月十七日にこれが問題になったときに、できるだけ実態が分かるように調査を指示しているというふうに答弁をされたわけでありますが、どうもこういう調査項目を見ておりますと、大臣の発言に合わせるような、こういう実態に合わせるような調査が行われているんじゃないかと思わざるを得ないんですけれども、これで正確な実態調査ができているという認識でしょうか。

国務大臣(舛添要一君)

 できるだけ正確な実態を把握したいと。ただ、千三百万人おりますから、本当に一人一人がどれだけ増えたか減ったかは千三百万人全員に問わなければ分かりません。そして、それは莫大な事務量になりますし、とてもそういう手間もコストも掛けられません。そういうときに、いわゆるどういう形で調査をするか、やっぱりモデル世帯というのを想定して、それにどれだけの世帯が対応しているかということを今数字を出していますので、できる限り早く集計してできるだけの全体像を出したいと思うんです。私がこう言ったからその数字に合わせてデータを何かでっち上げている、そういうことではないということは御理解いただきたいと思います。

井上哲士君

 モデルの設定自身が恣意的だということを申し上げているんですが。

 提案者の小池議員はこの問題、委員会でも追及されてきたわけですが、今回の調査についてのお考えをお願いしたいと思います。

委員以外の議員(小池晃君)

 大体この調査、五月十五日からやっているんですけれども、もうこれ今、井上議員がお示しになったように別に克明な調査が必要なわけではなくて、市町村が発表しているデータを基に簡単に計算できるんですね。そういう点でいうと、本来はこの制度が始まる前にしっかり把握すべきことであって、制度が始まってから慌てて調査するということ自体が非常に無責任であるというふうに思います。

 同時に、資産割を加えるということについては既に委員会で問題になっているにもかかわらず、それを前提にした調査をやっている。私は、こういう形で国民の世論をミスリードするようなことはいけないというふうに思いますので、この調査がどういうふうに発表されるのか注目したい。

 それから同時に、大臣は全体を調べなければ分からないというふうに言ったわけですから、この調査では負担増の実態は分からないということに大臣自身もお認めになったのかなというふうに私は受け止めました。

井上哲士君

 もう一点、高額医療費の二重払いのことについてお聞きをいたします。

 私、地元の京都の病院からこういうメールをいただきました。

 入院患者のAさんが今年の四月半ばで七十五歳の誕生日を迎えました。Aさんは、住民税非課税で、自己負担限度額は二万四千六百円ですと。誕生日までの一部負担金が二万四千六百円をオーバーをしていたと。ところが、七十五歳の日から後期高齢者医療制度に入れられたために一部負担金はゼロからの計算になると。ですから、そこからあとの二万四千六百円をまた負担することになったと。後期高齢者医療制度ができるまで七十五歳の適用は基本的に翌月からだったからこんな二回払うなんということはなかったのに、何でこういうことなのかと。こういう怒りのメールでありましたが、なぜこういう理不尽な事態が起きるんでしょうか。

政府参考人(水田邦雄君)

 お尋ねのありました高額療養費につきましては、これはそれぞれの医療保険制度におきまして月ごとのレセプトを基にそれぞれの加入期間に掛かった医療費についてその月の自己負担限度額を超える部分を支給する、こういう仕組みでございます。

 したがって、月半ばで七十五歳の誕生日を迎えて長寿医療、後期高齢者医療の被保険者となる場合、それまで加入していた医療保険者と後期高齢者医療広域連合がそれぞれ自己負担限度額を超える分を負担することになりまして、被保険者から見ますと自己負担額が重複するということは起こり得るものでございます。

 ただ、これは、月の途中で会社を退職して健康保険から国民健康保険に移行する際にも生じ得るものでございます。

  〔理事家西悟君退席、委員長着席〕

井上哲士君

 自らの意思で保険を変わったときに起きる問題とは根本的に違うんですよ。自分の意思と無関係に無理やりこれまでの保険から引きはがされた結果、医療費を二倍払わなくてはいけないということになっているんですね。しかも、たまたま誕生日が月半ばで、しかも七十五歳の誕生日を迎えたときに入院をしていたという方に起こる事例なわけですね。本人に何の罪もないのに今月だけ医療費二倍を払ってくれと。本当に医療機関の方は説明に苦慮されているんですよ。

 私はこれ七十五歳で区切ったことで起きている矛盾だと考えますが、大臣、いかがでしょうか。

国務大臣(舛添要一君)

 要するに、制度の運営主体が違うということで起こっているわけです、今おっしゃったことを別の言葉で言うと。

 しかし、こういう問題も新しい制度設計をしたときに出てきている。これは、今後どうするかというのはやっぱり一つの検討課題としないといけないと思いますので、何らかの形で善処できないか、これは今後検討したいと思っております。

井上哲士君

 事前に事務方に聞きますと、年齢で区切る今の法律の下では政令等では無理なんだという、こういうお話だったんですね。私は、やっぱりここに七十五歳で区切るということの無理ができていると思うんです。たまたま病院で七十五歳の誕生日迎えたら、普通ならプレゼントもらいたいところですよ。それが今月は誕生日祝いで医療費二倍いただきますと、これは本当に長寿に対するもう懲罰みたいなことになっているわけですね。

 やはりここに大きな矛盾があると思いますが、提案者小池議員に御見解をいただきたいと思います。

委員以外の議員(小池晃君)

 これ非常に象徴的な私は出来事だというふうに思うんですね。七十五歳という年齢で区切ることによって、今委員がおっしゃったように、おめでとうございます、今日から七十五歳ですねと言うんじゃなくて、今日から負担が二倍になりますと。やっぱり、これは年齢で機械的に別の保険制度に移行してしまうというこの制度の本質的に持っている矛盾から生まれる、たった一月のことではありますけれども、大きな矛盾であるというふうに思います。

 ですから、この問題解決するだけでなく、やはり年齢で差別するという制度そのものをこの制度を廃止するということによって解決する、そのことによってしかやっぱり問題解決しないと思いますので、是非、与党の皆さんも、この制度廃止法案、参議院の意思としてこの国会で可決をするという方向で御協力をいただきたいということを重ねて申し上げます。

井上哲士君

 今朝の東京新聞にこういう投書がありました。

 普通の家庭でじいちゃん、ばあちゃんが七十五歳になったら、今日から医者代、保険料は自分で持ってと言えますかと、もうすぐ喜寿だね、元気で長生きしてねと言うのが子供や孫たちでしょうと、後期高齢者じゃなくて高貴、あの高く貴い方の高貴ですね、そういう高齢者を大切にする政治をつくってほしいと思ったと、こういう投書でありました。このとおりだと思います。

 是非この法案が成立するように強く訴えまして、質問を終わります。

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