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日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008]

169通常国会 厚生労働委員会 戦没者の父母等に対する特別給付金支給法の一部を改正する法律案及び駐留軍関係離職者等臨時措置法及び国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法に関する質疑

  • 「すき家」残業代未払い/「違反企業に厳しく対処」/参院委 小池議員に厚労省(関連記事)
2008年4月10日(木)

小池晃君

 日本共産党の小池晃です。

 戦没者の父母等に対する特別給付は、これは一九六七年に始まって、始めた当初は一万七千件、この制度については私どもは、皆さんが受けた労苦から見て当然の改正であるということで、制度創設以来賛成をしています。支給件数については、前回が二百二十三件、今回が約百二十件と減少はしているわけですが、大臣に最初に、今後とも本制度の継続と拡充、この制度のやはりしっかり拡充し継続していくということについて御見解を伺います。

国務大臣(舛添要一君)

 これは、制度の意義については先ほど来るる説明をいたしているところでありますので、この特別給付金というのは今後とも、また今度の償還時期が来ましたらきちんと検討して必要な措置はとるべきであると、そういうふうに思っております。

小池晃君

 これは、前回、五年前の受給者の最低年齢で七十六歳ですから、今回一番若い方で八十歳を超える、平均年齢は九十四歳ということであります。受給対象もわずかこれ百二十件ということで、前回受給された方には通知をするというふうに聞いてはいるんですけれども、それはもちろんなんですが、やはり受給対象となる可能性のある人にはこれはすべて通知する努力を払うべきじゃないかと思うんですが、どうでしょう。

政府参考人(中村秀一君)

 お答え申し上げます。

 この特別給付金、漏れがないようにということでございます。委員から御指摘ございましたように、政府広報、それから都道府県、市町村の広報を行うとともに、個別の通知もしております。今後は、個別案内後も電話連絡等のフォローの実施も検討してまいりたいと思います。

 可能性のある方皆さんに御通知をということでございます。恩給や援護の遺族年金などをもらっている方が五千人程度いらっしゃいます。そういった方々に対しましては可能性がございますので、恩給受給者の方に全員に配っております恩給のしおり、援護年金受給者に配っておりますしおりに活用して、恩給・援護年金受給者全員に特別給付金の制度が周知されるようにしてまいりたいと考えております。

小池晃君

 これは是非やっていただきたいというふうに思うんですね。

 それで、この戦没者の父母だけじゃなくて遺族や妻に対する給付金もあるわけですけれども、非常にその未支給、未払が多いということが以前報道もされて、そのまま時効になっているケースが多いんだということが問題になっています。

 私、実際にお話聞いて、ああこれはやっぱり知られていないんだなというのを痛感した事例がありまして、これは遺族にかかわる特別弔慰金にかかわってなんですが、平和遺族会という団体があって、そこがこの問題で厚生労働省に要請に行かれたと。その方は、自分が対象者だと全く知らないでたまたま同席をしていたと。この方は実は、日本母親大会という、毎年一回開いている二万人近く参加する大きな集会があるんですが、その実行委員長をずっと務めてこられた方なんですね。そういう、何というか、社会運動に携わって、いろんなことを本来知っているような方なんですね。その方が、実際にその交渉に参加している中で、今年三月なんですけど、実は自分のお父様が、木村康子さんとおっしゃるんですが、この方が幼いころに実母と離婚して、再婚後戦死されて、現在はその戦死されたお父さんの遺族はその木村康子さん一人だ。話聞いたら、あっ、これ自分が対象なんだということを初めて知ったというわけですよ。

 やっぱりこういう本当に重要な立場で運動に参加されてきたような方でさえ知らない制度なんだなというのを私は改めて痛感をしまして、やっぱりこれは本当にもっともっと周知しなきゃいけないんじゃないだろうか。

 この木村さんは今何とおっしゃっているかというと、この給付金というのはまさに父の命を懸けたあかしなんだと、自分が父の子供であったというあかしでもあるんだと、金額の多寡は超えて、やはりこれは本当に大事にしたいんだというふうにおっしゃっていて、手続するというふうに、遺族はこういう気持ちでこのお金を受け取っていらっしゃると思うんですね。

 同時に、この申請期間が三年だということがあって、それが過ぎちゃうと五年後、十年後、待たなきゃいけないという問題もあるわけです。やはり高齢の皆さんが多い制度でありますし、やっぱり私は、これ本当にこういう制度があるんだということをもっともっと徹底して知らせていく必要があるし、この時効の扱いなどについてももっともっと柔軟に、本当にすべての人が受給できるように、支給漏れがないようにしていく努力が一層求められていると思うんですが、大臣、この制度の今後の周知徹底、運用の改善についてお考えを聞かせてください。

国務大臣(舛添要一君)

 今委員のお話を聞いていまして、そういうケースがあるということは、これは本当に周知徹底の努力はまだ足りないというふうに反省しなければならないと思います。政府広報、都道府県、市町村にもお願いして広報紙に載せる、新聞なんかも活用する、それから前回特別給付金を受け取った方々に、今度は個別に更に、申請方法こうですよと、もうだんだんお年召されていきますから、繰り返し行うと、こういう努力は今までも続けてきておりますけれども、今後更にいろんな手段を考えて制度の徹底を図る。

 そして、なかなかこの三年の時効制度を今法的に変えるのは非常に難しいですから、むしろ請求漏れを防ぐように更なる広報活動と、これに全力を挙げてまいりたいと思います。

小池晃君

 是非これは全力を挙げてやっていただきたいというふうに思います。

 駐留軍関係離職者等臨時措置法等については、これは、駐留軍については今後も在日米軍の再編に伴う基地の縮小や移転が考えられ、離職者発生します。私ども日本共産党は、これは日米安保条約反対ですし、思いやり予算ももちろん反対という立場ですが、離職者の再就職対策としての制度の延長は必要だというふうに思います。それから、漁業についても、今後の漁業を取り巻く環境を考えると離職者の発生予想されるわけで、引き続き対策を取る必要があり、延長に賛成であります。

 その上で、今日は最後にちょっと一つ取り上げたいのが、シベリア抑留者の問題なんですね。

 今日、私これ持ってまいりました。これは、シベリア抑留死亡者名簿ということで、村山常雄さんという方が昨年出版をされた本なんです。昨日お聞きしたら、厚生労働省でもこれ持っていると聞きました。これ実に千ページを超える、「シベリアに逝きし人々を刻す ソ連抑留中死亡者名簿」。これ、シベリアなど旧ソ連とその支配地域に抑留され苦役を強いられた人は六十万人と言われていて、六万人以上が亡くなったと。これはスターリンによる国際法を無視した強制抑留でありますし、これはもう国家的犯罪、旧ソ連による国家的犯罪だということを我々はかねてから糾弾してまいりました。

 この本には、この犠牲者の中で四万六千三百人の方の名前が、これは個人で仕事をされてこういう名簿を作られたんですね。この中にもどういう苦労をされたか書かれているんですけれども、一念発起、一九九六年二月、七十歳の誕生日を期して、パソコンを求めて、過去十年間に報道されたシベリア抑留及び抑留中死亡者に関するあらゆる情報を全国紙のデータベースとかなどに接続して取り組む作業から始めたんだと。一人でも多くの名前を掘り起こそうということで、公式な名簿だけじゃなくて、あらゆる手だてで名簿を入手をする。それから、抑留者がひそかに持ち帰った名簿とか、あるいはロシアの地方機関などからも入手した名簿で整理していった。

 これ大変だったそうなんですね。要するに、抑留された方をソ連側が名前を聞き取ると。ロシア語で書き取るわけですよ。そのロシア語で書き取ったロシア語の名前を片仮名に戻すと。そういう形でやってきたものだから、ほとんど読み取れないわけですね。

 例えば、こんなふうになっているというのが出ているんですが、ヴォダ・エシモという名前で書いてあると、これいろいろ調べていったら和田義美さんという名前だったというふうに、あるいはトーイヨタキ・ホンデゼロという、とても日本人の名前とは思えないんですが、これは富高平十郎さんという方だったと。そういう一つ一つロシア語で間違えやすいことを変換していって、片仮名にたどり着いて、いろんな資料から漢字まで、そういう作業したのが今日お配りした、一ページちょっとコピーしておりますけれども、左側がその村山常雄さんが作った名簿なんです。それから右側が、今私が言ったようにそのままロシア側、ソ連側が提供した名簿を片仮名で記載している、今厚生労働省が発表している、ホームページ上で出している名簿なんですね。これ、比べていただくだけで、最初の一ページだけなんですけれども、いかにちょっとロシア、ソ連側の提供した名簿というのが不十分であるかというのが分かると思うんです。

 こういう本当に気の遠くなるような努力をしながら四万六千三百人分名簿を整理していく。この村山さんはこんな、とてもちょっと本人の名前とは思えないようなもので放置されていたら忍びないと、だからやっぱり自分が努力してつくろうということで一念発起して個人でやられたというんですね。個人でこういうことをやられたというのは本当に私頭下がる思いがするし、本来こういう仕事というのは私は国がやるべきことだったのではないんだろうかなというふうに思うんですよ。

 大臣、事前にこれもう見ていただくようにお話もしてありますけれども、この村山さんの仕事に対してどういう御感想をお持ちか。やっぱり今からでも遅くないからこういう仕事を支援するようなことが私はできないものだろうかというふうに思うんですが、大臣の率直な御感想をお聞かせ願いたいと思います。

国務大臣(舛添要一君)

 その本も見させていただいて、もうこれ本当に大変な努力で大変な敬意を表したいというふうに思います。私もロシア語やりますから、本当に書いたときに、例えば横浜なんてヨコガマになっちゃうんですね、日本語読みすると。だから、大変な御苦労だと思います。いろんな意味で、日本側の持っている数字とロシア側の数字が、数ですね、抑留者の、違いますので、今、日ロ間で様々な協議をする、こちら側もこっちの持っているのをロシア語に翻訳して向こうに提示する、そういうふうなことで、厚生労働省としてもこのシベリア抑留者問題にきちんと対応してまいりたいと思いますけれども、まずはこれだけのことを本当に個人でおやりになった、大変な敬意を表したいと思います。

 私も、抑留者の方が書かれた絵がありますね、いかにひどかったか、これを見て本当にすさまじい状況だったんだなということを思っていますので、厚生労働省の一つの政策としてきちんとこれは局長以下に指示してやってまいりたいと思います。

小池晃君

 是非やっぱりこういう仕事を本当に国として、私は国がやるべき仕事ではないかと思うんですが、支援をしていただきたいというふうに思いますし、このシベリア抑留者の方々については、フィリピンなど南方で捕虜になった方々というのは、これは連合軍の捕虜になった方についてはこれは労働証明書が出されましたので日本政府が賃金を支払うという処理をしている。ところが、シベリア抑留者については旧ソ連政府が労働証明書を発行していませんからいまだに未払賃金が支払われていないという問題が残っているわけです。国際法違反の強制抑留に加えて二重の犯罪だと思うんですね。

 日本政府も、ソ連への請求権がこれ相互放棄したという立場なんですが、これは日本軍によって徴兵、徴用されて行ったわけですから、私はこれは日本政府の責任で支払が行われるべきだと私どもはかねてから主張してまいりました。本当一刻も早い最終的な全面解決が必要だと。慰労ということで、一昨年旅行券という措置が、法律が通って一昨年行われましたが、私はやっぱりきちっと抑留期間に応じた特別給付金が支払われる、それからこういう全面的な実態調査、個人任せでやるんじゃなくて本当に本格的に、どういう実態だったのか、資料をしっかり保存するという努力をしていく。そして、スターリンの抑留命令が出された八月二十三日には、毎年千鳥ケ淵の戦没者墓苑で追悼集会が行われて、私も谷先生なども毎年出席をしているんですが、政府代表来られていないんですね。こういうところにはやっぱりきちっと政府代表が参加をする、これ、所管でない問題も含まれているのは承知の上ですが、政治家として、大臣、こういう問題に、やはり日本の最終的に戦後処理の私は本当に大事な問題だと思うんですよ。国としての責任をしっかり果たしていくということが求められると思いますが、政治家として大臣の率直な思いを聞かせていただきたい。

国務大臣(舛添要一君)

 戦争が終わって六十三年、この問題を含めて様々な戦後処理問題があると思います。これまで内閣を中心に、戦後処理の懇談会がたしか昭和五十年代開かれたり、その後、平和基金をつくったり、いろんな手当てはしていると思いますけれども、残された問題はまだまだ多いと思いますので、私たちが今豊かな生活をこういうふうにして享受できているのは、それだけ戦争中に私たちのはらからが御苦労なさった上でのことだと思いますので、これは全力を挙げて、いろんな、今の委員の御提案も踏まえた上で検討し、政治家としてはやはりきちっとこういう問題を処理するということが必要だと考えております。

小池晃君

 歴史に対するこれは責任だと思いますので、必ず前向きに取り組んでいただきたいと思います。

 終わります。

【以下、一般質疑】

小池晃君

 日本共産党の小池晃です。

 牛丼チェーンのすき家、ここのサービス残業問題で三人の労働者がおととい、仙台労基署に刑事告発しました。経営者は一部上場企業のゼンショーですが、これ支払わない理由として、アルバイトは個人請負で労働者ではないから残業代の支払義務はないと主張している。しかし、この労働者は皆、雇用保険を始め社会保険に加入をしております。

 最初に、厚生労働省に確認しますが、事業主が一方で個人請負だと言いながら、一方で雇用保険に加入させると、こんなことが認められるんでしょうか。

政府参考人(青木豊君)

 お尋ねの点は労働者性の問題かと思いますけれども、基準法上の労働者というのは、事業又は事務所に使用されて賃金を支払われる者をいうということでありまして、指揮監督下の労働でありますとか報酬の労務対償性などに照らして判断されます使用従属性の有無、こういったもの等を総合的に勘案しまして個々具体的に実態を見て判断をしているわけでありますが、社会保険につきましては、適用事業所と常用的使用関係にある者に対して適用されるものであるということは承知しておりますが、社会保険に加入している者については、したがって……

小池晃君

 雇用保険。

政府参考人(青木豊君)

 雇用保険に加入している者につきましては、労働基準法上の労働者であることがほとんどだというふうに思いますけれども、いずれにしても、労働基準法上の労働者であるか否かについては個々具体的に判断をするということであります。

小池晃君

 雇用保険に入っているのは労働者に決まっているじゃないですか。保険料、一体だれが払うんですか。こんな単純なこと、すぱっと答えてほしいんですよね、こんなでたらめな主張です、これ。

 報道では、これは二月に労基署が是正勧告したけど、企業の側が受取拒否したというふうなことなんですね。すき家というのは、これ全国に九百九十五店舗、七千人近いアルバイトがおります。ゼンショー全体では日本の外食産業で第三位だと言っている。そこがこういうアルバイトを労働者として認めない、こんなことを言っているんですね。

 これは、告発を受けた仙台だけではなくて、これはもう全国チェーンですから、当然本社あるいは他の店舗についても調査すべきだと思いますが、いかがですか。

政府参考人(青木豊君)

 この労働基準監督官、機関といたしましては、一般的にいろんな情報、申告、相談、投書、そういったものを踏まえまして、労働基準関係法令違反が存すると考えられる事業所を的確に把握して監督指導を実施しているところでございます。その際、法令違反が認められた場合にはいろんな指導、厳しい指導もしますし、そういうことを是正を図らせるということをやっているわけであります。そういったものに対しまして、是正しないというような悪質な事業所につきましては、司法処分を含めまして厳しい対処をいたしているところでございます。

 個別の事案については差し控えたいと思いますが、一般論といたしましては、今申し上げましたようにそのようなことで対応しておりますので、事案に応じて、店舗のみならず本社をも含めまして、監督指導を実施する等によりまして遵守徹底を図っていきたいというふうに思っております。

小池晃君

 これはまさにそういう事案だと私思うんですよ。

 多くの若者がワーキングプアになっている背景に、やっぱりこうした個人請負の形を取る、あるいは全く本当にでたらめな主張で労働基準法を無視すると、こういうことが背景にあるわけで、やっぱりこういうアルバイト、フリーターに対して、短期、不安定な働き方をさせているようなチェーン店、ここに集中的に監督に入っていくということをやれば、そして労基法違反見付かればこれは是正していくということをやれば、私は、こうしたまさに企業犯罪ですよね、これは防げるはずだというふうに思うんです。

 大臣、やっぱりこういう今の在り方について厳格な立場でこれは臨んでいく。こういうのを野放しにしちゃいけないんじゃないですか。是正勧告を受取拒否なんて、こういう企業に対して厳しく対応していくべきだと思いますが、いかがですか。

国務大臣(舛添要一君)

 労働基準関係法令というのはきちんと守ってもらわないといけない。それで、個々のケースについて、これは労働基準監督機関が厳正な指導をしていかないといけないと思いますんで、そういう立場から今後とも指導監督を強めていきたいと思います。

小池晃君

 サービス残業ということで関連して聞きますが、この間、当委員会でトヨタの内野さんの問題取り上げてまいりまして、大臣にも御決断もいただいたことがありました。QCサークルのサービス残業の問題がこの事例通じて明らかになってきた。

 このQCサークルの全国普及進めているのが日本科学技術連盟というのがありまして、この会長はだれかというと御手洗冨士夫さんなんですね。この連盟の資料によりますと、全国で十万サークル、八十万人がQCサークルに参加していると。

 トヨタの関連企業であるダイハツでも、労働者からQCサークルは労働時間ではないかという声が上がっております。内野さんの例では、前回議論したようにこの未払残業代は時効という扱いにされてしまっているんですが、実態として、指揮監督下にある可能性のあるQCサークルで、隠されたサービス残業というのが十万サークルぐらいでやられている可能性があるわけですね。

 これ内野さんのように時効にするんじゃなくて、すぐにやっぱり是正していく、払うべきものは払わせていくというのが労働行政の責任だろうというふうに思うんです。

 大臣に、やはり過労死やサービス残業の背景にあるこういうQCサークルの実態について緊急に全国調査なり是正なりをしていく、そういう課題ではないかと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

国務大臣(舛添要一君)

 それぞれの企業がいろんな活動をなさるのは御自由でありますけれども、QCサークルのようなものが労働時間に該当するか否かというのは、先般トヨタの件についても議論しましたし、判決も出ていますように、就業規則上の制裁等の不利益取扱いによる出席の強制がなくて、強制の要素がなくて、しかもその制裁加えない、そして自由参加ということであればこれはいいわけですけれども、そうじゃない場合はやはり個々具体的に労働関連法令に適合させるような形でこれは指導していきたいと思いますんで、個々のケースについて労働基準監督機関においてこういうものは厳しくもし法令違反があれば摘発していく、そしてこれが労働時間と認められるならそれなりの賃金を支払うと、そういう方針で今後とも一貫してまいっていきたいと思っております。

小池晃君

 そういうことを進める上でも、やはり緊急に全国調査を私はやるべきだというふうに思います。

 それから、雇用対策の問題について次に聞きたいんですが、先日、全労連や首都圏青年ユニオンがネットカフェ前で労働者の聞き取り調査をやりまして、派遣で十三年働いて時給千円、正社員の仕事があればいいけれども、探す余裕もない、仕事を失うのが怖い、あるいは、住居に入るための敷金などまとまったお金がないので抜け出せないと、こういう声がたくさん寄せられています。

 最近の朝日新聞でドイツの事例が紹介されておりまして、ドイツでは、雇用保険の加入期間が満たず受給できない場合でも失業給付Uという求職者の基礎保障制度というのがある。これ、月約五万五千円、住宅費や暖房費は別途支給で、仕事にいったん就いたとしても余り収入が多くない、それがやっぱり軌道に乗っていくまでの間、仕事から得るお金に上乗せをし、現金給付して、一定水準の暮らしができるようにすると。その期間に専門家による職業訓練、相談にも乗れるようになっている。

 一方で日本というのは、雇用保険の失業給付以外でいうと、生活費支援だと生活保護制度しかないわけですね。やっぱり、いったん仕事に就いて失業者という状態から抜け出したとしても非常に不安定でワーキングプアだと、そこからなかなか抜け出せない、住居に入れないからネットカフェ難民なんということにもなっていくと。やっぱり、そこのところを支えていくという仕組みが今求められているんじゃないだろうか。

 だから、こうしたドイツの取組なども参考にして、職業訓練とか能力開発で支援をしながら公的な給付で収入の不足分を補っていくような、そういう仕組みというのはこれは検討する必要があるんじゃないかと思うんですが、大臣、いかがでしょう。

国務大臣(舛添要一君)

 ドイツの制度、これは失業保険Tというのは我々と同じなんですが、Uというのは今委員が御説明になったことで、これも一つの政策だとは思いますが、基本的に社会保険制度としての雇用保険というのは、自らが稼いで自ら働いていく、自らの働きで稼いでいくという、そういう労働者に対して使用者と労働者が折半して持つという制度です。

 今の制度、今ドイツの失業保険Uのようなものを入れると何が起こるかというと、要するに、非常に生活保護に近くなります。これは、ドイツの場合は全額国庫負担なので、税金ですね。ですから、保険制度ではありません。そうすると、この財源を含めて莫大な財源が要る必要があります。

 それから、やはり今はジョブ・カード制とか訓練とか、今委員おっしゃってくださるように、それから先ほどの議論でもありましたように、フリーター常用化プランと、こういうことをやることによって、早くその境遇から抜け出してくださいよと、そういうインセンティブを与えている。だから、まあモラルハザードとは言いませんけれども、今のような全額補助の形でドイツの失業保険Uみたいな形で入っていくと、その境遇から早く抜け出るんだというインセンティブを少し抑えることになるんじゃないかという、そういう心配もあるわけです。

 ですから、私はやっぱり、自立のため、そしてきちんと生活できるために訓練をする、ジョブ・カードをやると、そういうところからまず始めたいというふうに思っております。

小池晃君

 だから、そういう職業訓練、能力開発はすごく大事だと思いますよ。しかし、それをやっていく上でも、やっぱり暮らしていけるちょっとした支えですよ、全面的に頼るというんじゃなくて。ドイツだって、職に就く意志というのが前提になってこれ給付されているということもあるわけです。

 それから、財源のことをおっしゃったんだけれども、雇用保険財源、財政どうなっているかちょっとお聞きしたいんですね。これ、一時期、制度の維持が危ぶまれるほどの事態になりましたが、昨年度と今年度の雇用保険給付の総額と積立金残額は幾らか。あわせて、いわゆる二事業、雇用二事業、旧三事業の今年度の安定資金残高は幾らでしょうか。

政府参考人(岡崎淳一君)

 平成十九年度につきましては、失業等給付費が一兆六千七百八十三億円、積立金残高が四兆四千四百三十五億円、それから二事業の方の安定資金の残高が一兆四億円でございます。

 それから、今年度の予算につきましては、失業等給付費につきましては一兆四千八百五十三億円、積立金残高は四兆九千三百六十二億円、それから安定資金の残高は一兆一千七百六億円というふうになっております。

小池晃君

 要するに、雇用保険の積立金って、今年度末には五兆円になるんですよ。給付の三倍以上ですよね。それから、雇用二事業の積立金残高も一兆円を超している。

 私、こうしたものをため込む、今そういう時期なんだろうか。私は、こうした財源活用すればもっともっと雇用対策充実できると思うし、ワーキングプアで苦しんでいる人たちの能力を高めてより条件の良い仕事に就けるようにするというのは、日本社会全体の活力にもつながっていくわけですよね。五兆円もの、まあ埋蔵金というのがありますけど、これだって一つの埋蔵金的なものになっている。こんな形で積立金で置いておくんじゃなくて、やっぱり活用していくことが、私はマクロ的に見て経済的に見たって有効なんじゃないかなと。

 こういうのをもっと活用していくべきだと思いませんか、大臣。

国務大臣(舛添要一君)

 まあこの緊急雇用創出特別基金というのは十六年で終わる予定だったんですけれども……

小池晃君

 それじゃない。

国務大臣(舛添要一君)

 それじゃなくて……

小池晃君

 雇用保険の。

国務大臣(舛添要一君)

 ちょっと済みません。

小池晃君

 じゃ、もう大臣が先に言っちゃったんで、もう一つあるということを今日言いたかったんですね。

 今日は資料でお配りしているんですが、これはこの九年間様々に取り組まれてきた緊急雇用創出特別基金事業、これ今年三月ですべて終了いたしました。この特別基金というのは、これは雇用保険財政とは別に一般会計から出されていて、いろいろ使われて全部終わった。拠出された総額は幾らで実績額は幾らでしょうか。

政府参考人(岡崎淳一君)

 緊急雇用創出特別基金につきましては、拠出は平成十年度以来累次やってきていまして五千九百六十一億円、それから事業で使ったものにつきましては十九年度までで三千百八十七億円でございます。それから、これ今年度までやっておりますので、まだ終わったわけではございません。

小池晃君

 ここでも二千八百億円、三千億円近いお金が結局使われないで残ったんです。それ国庫に返納しちゃうというんですね。これ別に見せ金だったわけじゃないはずでね、こういうものはちゃんとやっぱり使うべきだと思うんですよ。

 だから、先ほど言ったように、雇用保険でいえば五兆円の積立てがある、二事業だけでも一兆円以上ある。そしてこの基金、これはまさに一般会計ですから、まあある意味では自由に使える。これだって二千億円。こういうもの使って、やっぱり今の雇用、本当に日本の雇用対策貧しいじゃないですか、ヨーロッパに比べれば。そこにこういう財源活用していくというのを真剣に検討していくべきじゃないですか、大臣。いかがですか。

国務大臣(舛添要一君)

 先ほど大変失礼いたしました。

 特別会計の雇用勘定があります。これの活用、それから、今のはこの緊急雇用創出特別基金、一般財源含めての、これは今説明いたしましたように、元々十六年で終わる予定だったのを十九年まで延ばしたということであります。こういうことは、今特別会計、一般会計、どういうふうにこれは活用できるかということもそれは当然検討いたしますけれども、平成二十年度予算においてきちんとある意味でこの措置をとっておりますので、まずそういうところをしっかりとやっていきたいというふうに思います。

小池晃君

 いや、私の提起に答えていらっしゃらないと思うんですがね。

 私は、やっぱり雇用情勢だってこの二月、失業率三・九%に上昇してきて、決していいわけじゃないわけですからね。やっぱりそういう意味では、きちっとこうした財源使って雇用対策を充実させていくべきだと、これ検討していただきたいというふうに申し上げます。

 それから、後期高齢者の特定健診制度の問題について最後にお伺いしたい。

 これ、予算委員会で私特定健診の問題取り上げて、七十四歳までは義務だと、七十五歳以上は努力義務だと、差別じゃないかというふうに大臣に言いました。大臣は、高齢者の健診は今年度すべての広域連合でやるんだというふうに説明をされていました。

 しかし、実態はどうかというと、例えば徳島県の広域連合では、高齢者については、直近一年間に一回も受診していない人、しかも歯科も含めて、歯医者さんも含めて一回も病院に行ったことのない人だけに対象を限定していると。その結果、後期高齢者の九七%が最初から健診から除外されるんですね。こういう在り方では結局高齢者に対する差別ということになるんじゃないですか。大臣、予算委員会で答えていただいた。

政府参考人(水田邦雄君)

 後期高齢者の特定健診のことでございますけれども、既に今生活習慣病で治療を受けている方については治療の一環として必要な検査を受けていただくことが適当であり、重複検査は避けるという必要があるということで私ども申し上げているわけでございます。

小池晃君

 七十四歳までは幾ら重複していたって健診受けられるんでしょう。七十五歳、受けたら、何で病院にかかっていたら健診受けられないんですか。これはおかしいじゃないですか。七十四歳までだって、七十五歳過ぎたって、病気であったとしたって同じように健診を受けられるようにする、これをやらないのが何で差別じゃないんですか。これは明らかに高齢者に対する差別じゃないでしょうか、大臣。

国務大臣(舛添要一君)

 これは必要な検査はきちんと受けられると、そういう方針でやっていきますんで、それは各地域連合にしっかりとこの指導をしてまいりたいと思います。

小池晃君

 だから、言ったでしょう。徳島県では七十五歳以上は九七%、健診対象から除外しているんですよ。これでちゃんと受けられるんですかと。答えてください。

国務大臣(舛添要一君)

 この制度はこの四月一日から始めたばかりで、まだ十日ばかりしかたっておりません。きちんとこれから指導をして、しかるべき検査が受けられるようにやってまいりたいと思います。

小池晃君

 こういう実態があります。是非、全国調査をしていただきたい。

 私は、これはねらいははっきりしているんですよ。二月六日の担当者会議で厚労省何と言っているかというと、特定健診は受診率を上げることに重点を置いているけれども、後期高齢者は別だと。対象者を精査して受診率がこれより上がることはない、むしろ下がるんだというふうに担当者は説明しているんですね。

 結局、七十四歳までは健診ちゃんとやるけれども、七十五歳以降はもう健診率下がるんだと認めている。健診率というのは向上させていくのが厚労省の政策目標だったんじゃないですか。これを捨てるというのは、まさに私は重大な政策変更だし、高齢者に対する差別だというふうに思います。

 この特定健診制度も含めて、後期高齢者医療制度は本当にたくさんの問題がある。これはやっぱり中止し撤回すべきだということを改めて申し上げて、私、質問を終わります。

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