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日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008]

169通常国会 厚生労働委員会 2008年度予算案に対する総括質疑

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2008年3月14日(金)

委員長(鴻池祥肇君)

 次に、小池晃君の質疑を行います。小池君。

小池晃君

 日本共産党の小池晃です。

 来月からの後期高齢者医療制度についてお聞きをしたいと思います。

 制度の実施が近づくにつれて怒りが広がっております。最初に、全国の地方議会から政府に寄せられた中止、見直しなどの意見書どれだけか、お答えください。

国務大臣(舛添要一君)

 地方自治法第九十九条で地方議会は意見を出すことができるようになっておりますが、三月十一日までに本省当局に届いたものの総数で四百八十四件となっております。

小池晃君

 全国の自治体の三割近くであります。

 岐阜県の大垣市では、総理、これ自民党の市議会会派が配っているチラシなんですが、総理、これ、後期高齢者医療制度に断固反対、国に対し制度の廃止を強力に要望してまいりますというように書いてあるんですね。

 総理は、こういうふうに反対の声が大きく広がっている今の現状、この理由をどのようにお考えか、最初にお伺いしたいと思います。総理、お答えをお願いします。

国務大臣(舛添要一君)

 これは新しい制度が入るときは、どういう制度だろうかと、そういう不安の声があるのは確かでございますし、それから、これは私たちがもう少しこの新しい制度について政府広報などを通じて徹底周知をしないといけないと、そういうふうに思っております。

小池晃君

 新しい制度だって、いい制度だったら歓迎するんですよ。制度が悪いからこれだけ怒りが広がっているんです。

 後期高齢者医療制度というのは七十五歳という特定の年齢以上の方のみを対象にする新たな保険制度ですが、世界の国民皆保険制度の国でこういう制度を取っている国はありますか。

国務大臣(舛添要一君)

 アメリカ合衆国におきましては六十五歳以上の高齢者を対象とするメディケア制度がありますが、これは公的医療保険制度でありますが、国民皆保険制度の下で高齢者の医療を別建てでしている国の例は把握してございません。

小池晃君

 ないんですね。

 皆さん怒ってらっしゃるのは、単なる負担増への怒りだけではないと思うんです。七十五歳以上の方を後期高齢者と呼んで、七十五歳以上になった途端に現在加入している医療保険から全員が脱退させられ、新しい制度に囲い込まれていくと。今まで扶養家族になっていた方も、これは例外がないわけであります。

 具体例聞きますが、例えば息子夫婦が会社員として働いていて健康保険に加入している、扶養家族のおじい様は七十五歳、おばあ様は六十八歳、こういうケース、どうなりますか。

国務大臣(舛添要一君)

 息子の被扶養者となった今の七十五歳のこのおじい様、これは健康保険の資格を喪失して後期高齢者医療制度に加入することになります。同じくおばあちゃんの方の六十八歳ですけれども、これは七十五に達していませんから、引き続き息子の健康保険の被扶養者となります。

小池晃君

 扶養家族からも引き離されるという形になるわけですね。

 あるいは、例えば七十七歳の夫と七十歳の妻だけの世帯で、夫が元気に働いて健康保険に加入している、妻は扶養家族だ、こういうケースはどうなりますか。

国務大臣(舛添要一君)

 このケースの場合は、今七十七歳の夫の方は、七十五以上ですから健康保険の資格を喪失し後期高齢者医療制度に加入することになります。一方、その妻、七十歳とおっしゃったと思いますが、被扶養者であるこの七十歳の妻につきましては、健康保険の資格を喪失し、それは夫が喪失するわけですから、国民健康保険に加入することになります。

小池晃君

 こういうふうに、日本の医療保険というのは今まで年齢に関係なく加入ができたわけですが、これからは七十五歳になったらもう全員が脱退させられるわけですね、あるいは資格を失っていくと。家族みんなが一緒に入っていた保険から、まるで家族一緒に暮らしていた母屋から七十五歳過ぎた人だけ離れに移すようなやり方なわけですよ。何でこんなことをするのか。これ、お答えいただきたいんです。

 七十五歳以上の高齢者だけは何で外さなきゃいけないのか。七十五歳過ぎたら、なぜその親を扶養家族にしちゃいけないんですか。その理由を説明してください。

国務大臣(舛添要一君)

 幾つかございますけれども、一つは、やはりこの七十五歳以上の高齢者につきましては、それは若者や壮年とは違いますから心身の特性がある、それに応じて医療サービスもきめ細かく変えていった方がいいだろうと。それから、例えば御病気になられた後期高齢者の方々、これはどういう形で療養生活を支えていくか。それから、病気の治療に対して一番いい形でやっていく、それがまず第一でありますけれども、この高齢者の医療費は、やっぱり維持可能な健康保険制度でなければならない。当然高齢化に伴って、それは若いときに比べて病気にかかる確率も高まるでしょう。そういうときに、この今の問題は、市町村ごとに例えば国民健康保険になっている、そうすると市町村ごとに保険料だって高いところと安いところが出てくる。そうすると、公平に保険料を高齢者にも負担していただくために明確な分担ルール、これ一割高齢の方々出して、あと若い方々、それから公的なものを出していただく、そういうルールを明確にすると。

 それから、市町村ですと今言ったばらつきがございますから、運営主体を都道府県単位にする。そうすると集める方と使う方が一元化されますから、そういう意味で財政的な観点からも運営の責任の明確化と安定化をやることができると。そういう意味で、私はこういう一つの独立の医療制度を創設すると。

 なぜか。これは、日本が世界で最も高齢化が進んでいるわけでありまして、私たちは一つこういうモデルを提示する。例えば、韓国含めアジアの諸国が同じように高齢化の道を歩んでいくときに、一つの維持可能、そして高齢者のためにきめの細かい手当てができる制度の創設だと、そういうふうに思って政府・与党で決めたわけでございます。

小池晃君

 今の説明は別の保険にすることの説明には全くなっていないと思うんですね。その説明になっていないんです。心身の特性があると言うのであれば、それは当然です。それに合わせた医療を行えばいいだけの話であって、別の保険に切り離す必要性は何もない。問題は、先ほどから特性とおっしゃっているが、厚労省は後期高齢者の特性をどのようにまとめていらっしゃいますか。

国務大臣(舛添要一君)

 これは社会保険審議会の中の後期高齢者医療の在り方に関する特別部会で議論いただいて骨子を取りまとめていただいたものでありますけれども、その特性として、若年者、若い人たちと比較した場合に、まず第一に、老化に伴う生理的機能の低下により、治療の長期化、複数疾患への罹患、特に慢性疾患が見られること、二番目、多くの高齢者に症状の軽重は別として認知症の問題が見られること、三番目として、新制度の被保険者である後期高齢者は、この制度の中でいずれ避けることのできない死を迎えることなどが挙げられている。

 こうした心身特性、今三つ申し上げましたけれども、これに応じて、生活を重視した医療、それから尊厳に配慮した医療、そして後期高齢者及びその家族が安心、納得できる医療、そういうことを前提に新しいこの体制を組もうということでございます。

小池晃君

 胸張っておっしゃいましたけれども、私、これひどいと思いますよ、このまとめ方というのは。

 一口に七十五歳と言ったって本当にいろんな方いらっしゃるんですよ。元気に働いていらっしゃる方も一割近くおられるし、町内会長とか老人クラブの会長なんてみんな後期高齢者ですよ。本当に人生の達人ですし、学ぶことたくさんあるわけですよ。人生元気に楽しく過ごしていらっしゃる方が多い。それを今三つまとめて、長期化する複数疾患だと、認知症だと、いずれ死が避けられないと。この三点で、七十五歳以上特徴こうですと一くくりにして一つの保険制度に投げ込んでしまう、こんなことがあっていいのかと私は思うんです。

 総理に私は伺いたいんですが、こういうふうなまとめ方をして、時間も手間も掛かるし、認知症も多いし、いずれ死が避けられないと、こう言って別の保険に切り離すということになれば、結局、必要な医療が受けられなくなるんじゃないか、年齢による差別が起こるんじゃないかと、こういう心配が広がるのは私当然ではないかと思うんですよ。

 社会保険制度の、社会保障制度の財源の在り方、いろんな議論あります。しかし私は、こういう問題を論ずる前に、今回のこのやり方ですよ。先ほど言ったように、負担増への怒りだけじゃなくて、七十五歳という年齢を重ねただけで差別される、別枠の制度に囲い込まれる、こんなの許せないというこの声にどうおこたえになりますか。

 財源問題を論じる前に総理にこれ答えていただきたいけれども、こういうやり方というのは私は人の道に反するやり方ではないかと思いますよ。どうですか、総理、お答えいただきたい。総理、答えてください。総理、答えてください、総理。総理、答えてくださいよ。

国務大臣(舛添要一君)

 人の道に反するのではなく、まさにきめの細かい手当てをすると、そういう意味でこの特性を考え、そして、これはやっぱりその生活全体を見ていかないと。もちろん、おっしゃるように八十になっても九十になってもかくしゃくとして元気な方はおられます。しかし、一般的な特性としてそういうことであり、それから、やはりこれは財源の問題、それが最初ではありませんよ。しかし、市町村ごとにこのばらつきがある。本当に今地域のこの財政というのは非常に難しい状況にある。そういう中でやはり、そして私たちは今人生八十五年時代ですから長生きしていく、その中でやっぱり最後の命綱であるこの保険の制度というのをしっかりと確保していくというのは非常に重要ですから、そういう総合的な観点からこれは申し上げているわけであります。

小池晃君

 だから、財源の問題があるからといって医療を差別するということをやっていいのかというふうに聞いているんですよ。答えてないじゃないですか。

国務大臣(舛添要一君)

 今お答えしましたように、心身の特性がある、その方について、これは差別というお言葉をお使いになりましたけれども、きめの細かいそれぞれの特性に応じた手当てをすると。そのためにはかかりつけのお医者さんが、これはそのお医者さんに決めたらほかのお医者さんにかかっちゃいけないなんていうことではない、そのお医者さんが生活全体をその高齢者について見る、そういうことは決して悪いことではありません。

 ですから、差別ということではなくて、まさに心身の特性に応じた面倒を見る、そういう意味の、積極的に、ポジティブな側面がたくさんあるわけですから、どうかそこを御理解いただけたらと思います。

小池晃君

 いい面がある、ポジティブな面があるとおっしゃるんで、具体例でお聞きしたいと思います。

 後期高齢者医療制度に伴って新たな健康診断制度もできるわけですね、特定健診、特定保健指導。しかし、この新しい健診制度の対象というのは四十歳から七十四歳までだけであります。今までの住民基本健診は四十歳以上であればだれでも受けられたのに、今度はなぜ七十五歳以上はこの対象から外したんですか。

国務大臣(舛添要一君)

 これは何度も申し上げますように、老いてかくしゃくとして元気だというさっきのようなことではなくて、一般的に申し上げておりますけれども、やはり生活習慣の改善が困難だというようなこともあり、そういう予防効果が、じゃその特定健診でどこまであるかと。むしろ、それよりもクオリティー・オブ・ライフ、QOL、ADL、こういうものを確保して、本人の残存能力と我々言っていますけれども、残された能力をいかに維持するか。

 例えば、介護についての、もう介護の予防をやっていくと。そういう観点からやっていっているわけですから、その意味で現実にきっちりと見ているわけでありまして、特定健診をやらないからそれはもう全くその後期高齢者をほったらかして面倒見ないということではございません。しかし、例えば七十五歳以上の高齢者でも、糖尿病なんていうのはこれはやっぱり早期発見が必要なんですね。

 したがいまして、後期高齢者の広域連合の保健事業として法律上この健診を義務付けておりまして、来年度はすべての後期高齢者医療広域連合において七十五歳以上の高齢者も対象とする健診を行うことに決めました。

小池晃君

 法律上の実施義務は七十四歳までですよね。七十五歳以上は努力義務でしょう。

国務大臣(舛添要一君)

 法律上は努力義務として位置付けておりますが、先ほども申し上げたように、来年度はすべての広域連合で行います。

小池晃君

 実施するかどうかというより、法律上、義務から外したんですよ。

 今いろんなことをおっしゃいましたけれども、例えば生活習慣の改善が困難だと。これね、テレビ見ていた後期高齢者の方、怒っていると思いますよ。七十五歳過ぎたって健康づくり一生懸命やっている人いっぱいいますよ。山なんか今行ったら、ハイキングしている人ほとんど後期高齢者ですよ。みんなお元気で本当に体のことを心配しているわけです。

 それから、残存能力だとおっしゃった。残存能力なんて失礼じゃないですか。残存能力の一言で片付けていいんですか。みんな幾つになったって人生最後まで本当に花開かせようと頑張っていらっしゃるんですよ。今の私は答弁の中に、後期高齢者制度に対する本当に厚生労働省の考え方がはっきり出ているというふうに思います。

 しかも、診療報酬でも、こういうのあるんですね。後期高齢者終末期相談支援料、どういうものか説明してください。

国務大臣(舛添要一君)

 この診療報酬改定の中に新たに今おっしゃった後期高齢者終末期相談支援料というのがあります。これは、終末期医療の決定プロセスに関するガイドラインなどを踏まえて、患者本人が希望する終末期の療養内容や、決定することを支援するための適切な情報提供や、それに基づいた話合いを行い、患者が終末期における療養について十分理解した上で診療を進めることを評価したものでございます。

 具体的には、主治医が一般的に認められている医学的知見に基づいて終末期と判断した患者に対して、医師、看護師を始めとする複数の医療従事者が、病状や介護を含めた生活支援、病状が急変した場合の治療の実施の希望等について患者及び家族等に対して情報提供を行うとともに、それに基づいて十分な話合いを行い、患者の合意を得て、終末期における療養について取りまとめた文書等を提供した場合にこれは算定できると、こういう仕組みになっております。

小池晃君

 患者本人の意思を最優先して、家族や医療従事者がよく話し合って、尊厳ある死を迎える、これはもう多くの人の願いだと思います。私は、こういうのをお金で誘導するというやり方が果たしていいのかというのに疑問は持ちます。

 しかし、何よりも納得できないのは、何でこれが七十五歳以上の人だけを対象にした制度として始められるのかということなんですよ。だって、尊厳ある死を迎えたいという願いは、これは年齢に関係ないはずです。要するに、なぜ七十五歳以上にこれ限っているんですか。

国務大臣(舛添要一君)

 この尊厳ある死を迎える。私なんかは、例えばリビングウイル、これ若くてもそういうことをやる制度が制度化できないかなとずっと常日ごろ考えておりました。しかし、やはり現役でばりばりしているときにそういうことをきちんとできるかというと、なかなかこれはできません、どうしても終末期になってそういうことに逢着するわけですから。

 今、私は、委員がおっしゃったことは大変いいことをおっしゃっているんで、そういうことの手掛かりのまず第一歩としてやっていきたいと、そういうふうに思っていますから、これは一般的に、何度も申し上げていますけれども、個々人違いますから、私が言うことは失礼だ、おれはもっと元気だ、七十五になって八十になってこんなに元気だと、たくさんおられます。

 しかし、一般的な形で、そういう制度の中で、診療報酬改定でみんなでやっぱり終末期、死に直面してきちんとできることを考えていく、そのための、そして、これはなかなかやはりそういう相談体制というのは医療提供者の側からも言いにくい。そして、例えば本人に意識がなくなって、家族の場合はまだいいんですが、本人が、自分が末期がん、そういうことを宣告されたときにそういう制度があるということは、実は、死に直面する、そしてこの自分の生き方を最後自分の意思で決めるということにおいて非常に大切ですから、私はその第一歩としてこれを位置付けたわけであります。

小池晃君

 いや、私の言っていることに何にも答えていないじゃないですか。ごまかしているだけじゃないですか。

 第一歩であろうと何だろうと、何で七十五歳に限ってこういうことをやるんだと聞いているんです。答えてください。

国務大臣(舛添要一君)

 それは、先ほど来、何で七十五歳以上を後期高齢者とするのかと、別建てにするのかとおっしゃいましたから、理由を答えました。

 そういう一環の流れの中で、これは、だから七十五で切るというのは、八十でも元気な方はおられるとおっしゃって、それはもう何度も言っている。だけれども、七十五からの新しい制度をつくるに当たって、その一環としてやるということを今申し上げた次第です。

小池晃君

 説明になっていないですね。

 だから、先ほどから言っているように、健康診断は七十五歳過ぎたら法律上の実施義務がなくなる。まさに差別じゃないですか。幾つになっても健康な体でいたいというのはみんなの願いじゃないですか。これじゃ、七十五歳過ぎたら早く死んでくれと言わんばかりの、早く病気になってくれと言わんばかりのことになるじゃないかと。

 それから、尊厳死の問題、今の問題でも、七十五歳以上だけに限って終末期には尊厳死の証文を書かせる仕組みつくると。終末期も全力で治療しなくてよいですよ、余りお金掛けることはしないでくれ、こういうことになるんじゃないかと。この制度を見たら後期高齢者の方がそういうふうになるんじゃないかと受け止めるのは、私当然だというふうに思うんです。これどうですか。

国務大臣(舛添要一君)

 何度も私は説明申し上げているように、それは、八十になっても九十になってもぴんぴん元気で、それが理想ですよ。しかし、一般的に言ってなかなかそういうことは難しい。やはり、八十歳の人と七十歳の人、六十歳を比べれば、八十歳の人の方が罹患する率は非常に多いと思います。先生自身お医者さんですからよくお分かりだと思います。そのときに、そういう療養をしないといけない、治療をしないといけない、場合によっては認知症にかかるかもしれない、そういう方に対してより心のこもったケアをしたいと、そういうことで言っているわけでありますし、死を迎えるにしても、じゃ、例えば私が今リビングウイルやるかといったら、恐らく今、まあ仕事忙しいとかいろんなこともありますけど、やはり目の前に死が直面しないとなかなかやりませんよ。

 ですから、そういう意味で七十五歳というのを一般的に、全部悪いこと、悪いこと、悪いことというような感じでおっしゃいましたけど、私はむしろ、その療養生活に入ったような方、そして死を迎える方に対してきめの細かいことをやりたい。しかし、これはどこかから始めないといけないんですよ。ですから七十五という線を引いたということでありまして、私は逃げておりません、ちゃんと答えているつもりでございます。

小池晃君

 いや、私も、これがその後期高齢者のために、後期高齢者というのは治療が本当に大変だと、合併症も様々あると、いろんな問題抱えているから、だから、もうお金を掛けて本当に最高の医療を、もう要するに人生の最期を迎えるときに医療は最高のものを受けられる制度にしようじゃないかと、そのためにお金もしっかり掛けようじゃないかという制度であれば、これは賛成できますよ。しかし、実際にやろうとしていることはどういうことか。

 これ、医療費の今後の削減額の見込みをパネルにしてみたんです。(資料提示)これ見ますと、二〇一五年には三兆円の医療費の削減を予定している。そのうち二兆円というのは、これ後期高齢者分ですよ。それから、二〇二五年には八兆円の削減額のうち五兆円が後期高齢者分なんですね。この推計の中には今後診療報酬をいろいろと改悪していく分というのはこれは含まれないですから、もっと悪い制度にしていこうと思えば削減額もっと大きくできることになるだろうと。

 私、いろいろと大臣おっしゃったけれども、何か後期高齢者のためにつくった制度のようにおっしゃるけれども、実際に数字をはっきり見れば、これはまさに、さっきそれは最初のねらいではないと言ったけれども、医療費の問題おっしゃいました。そのように、やっぱり後期高齢者が医療費削減の対象、ねらい撃ちにされている、そういう計画になっているということはもう間違いないんじゃないですか。お答えいただきたい。

国務大臣(舛添要一君)

 丸い数字でいいますと、国家予算が八十兆、そういう中で医療費が三十兆、高齢者の医療費が十兆、やはりこの問題どうするかということは国民的な課題でなければいけません。したがって、医療費をべらぼうに伸ばし続ければいいというものではない。どうすればこれを削減できるかを考えるときに、治療よりも予防ということで、したがって、メタボの診療なんかを、特定健診をやろうという、なるべく予防をしてこれは減らしましょうよと。

 そして、その後期高齢者は早く死ねとか、後期高齢者は医療に手を抜いて安上がりにしようと、そういう意図でなんて全くやっていませんよ。先ほどから何度も申し上げているように、私は国民皆保険というのは絶対に守っていきたい。守るためには財源もしっかりしないといけない。そして、この主体が市町村だと。今ずっと昨日からのこの質疑でもあるように、地域の格差、道路の問題にしても医療にしても、地域の悲鳴が聞こえているわけですよ。そういう中で、サステーナブルというか、維持可能な医療制度をどうしていくのか、そのことをやっぱり無視してはいけません。

 それで、削減する努力は、これは先ほど言ったように、治療よりも予防、生活習慣病を何とか治してくださいよ、QOL、ADLを上げると、こういうことをやっていっているわけですから、この後期高齢者の命を犠牲にしてやるという、そういうような考えは毛頭ありません。そのことは強く主張しておきたいと思います。

小池晃君

 毛頭ありませんと言いながら、数字にはっきり出ている。

 私は別に医療費べらぼうに伸ばせなんて言ってないんです。削減するというときに、まず一番の高齢者から削減の対象にしていくということが社会の在り方としてどうなんだというふうに申し上げている。しかも、高齢者からもう一人残らず強制的に年金から天引きで保険料を取るということに、始めようとしていますね。

 厚労省の担当者は石川県で講演しているんです。何と言っているか。この制度は、医療費が際限なく上がっていく痛みを後期高齢者が自ら自分の感覚で感じ取っていただくものだ、説明会でこういう話しているんですよ。

 総理、総理、これしっかり答えていただきたいと思うんですが、今日の朝日新聞でも投書出ておりました。私自身、来年からこの制度に組み込まれる、有無を言わさずあの世に早く行け組に編入される感じだ、こういう投書が出ていました。

 この高齢者の皆さんというのは、まさにあの悲惨な戦争を体験されたわけです。戦後は日本の復興のためにもう本当に必死になって働いてこられた世代ですよ。そういう世代の皆さんがいよいよ高齢期になったらば自分は国から捨てられようとしているんじゃないか、後期高齢者医療保険証って送られてきて。そんな思いをさせるようなことを私は政治はやってはいけないと思うんです。

 総理、高齢者だけ切り離して肩身の狭い思いをさせるような社会、医療を受けることをためらわせるような社会、日本をこんな社会にしていいと思いますか。総理、率直に、私は社会に対する考え方として、財源がどうのこうのとかそういうことじゃなくて、社会をどう見るか、日本の社会これでいいのか。日本の社会というのは、高齢期迎えれば、七十七歳になれば喜寿だ、八十八歳で米寿だ、卒寿だ、白寿だ、高齢を本当にみんなで心から祝う社会だったじゃないですか。それが高齢になったらばもうこの社会に本当に居心地が悪くなるような、そんな制度をつくっていいのかということを私は率直に総理に問いたいと思うんです。いかがでしょうか。総理、答えてください。

内閣総理大臣(福田康夫君)

 それは、制度はだれにとってもいいものであってほしいと思いますよ。しかし、そういうことにもそれは限界もあるということもお分かりですよね、それは。やっぱりお金も掛かることだし、それを社会でどこまで支えられるかという問題があるわけですから、その点も配慮しながら、しかしできるだけ高齢者といえども十分な対応をしてもらえるような、そしてみんなで支えることができるような、そういう社会が必要だと私は思います。

 そういう意味では、やっぱり高齢化という中で、医療費ですね、医療費の増加が増えていくと。これは、現役世代と高齢者の負担のルールを明確にして、高齢者にも若い人にも納得してもらえるような、納得して負担してもらえるような、そういう仕組みでなければいけない。そういう仕組みの医療保険制度、これをまた持続可能なものにしなければいけない。そういう必要性というのは、これはお分かりになると思いますね。

 そういう理由から今回のこういう制度をつくったものでございまして、七十五歳以上にした場合には、その七十五歳以上の高齢者の心身の特性と。ですから、そうでない人もいるんです、当然ながらね。しかし、そういう心身の特性、すなわち複数の病気にかかっているとか治療が長期化するといったような、そういう特性にふさわしい治療と、こういうふうな考え方をしているのでありまして、複数の病気にかかっている、そして治療が長期化するといった後期高齢者の心身の特性であります、そういうものに応じた適切な医療を提供する。

 例えば、高齢者が自ら選んだ担当医が継続して心身全体を診てくれるということとか、外来から入院、在宅医療まで継続して面倒見てくれる高齢者担当医の仕組みを創設するといったようなきめの細かい対応できるような取組を進めていくと、こういうふうに考えているわけであります。

 高齢者の担当医の仕組みも、あくまでも高齢者本人の選択によって利用されるというものでございますし、担当医以外の医師にかかったり担当医を変更すると、こういうことも自由なんです。ですから、そういうもし御不満があるというのであれば、それをより良い制度に直していくというのも、これも必要なことではないかと思います。これで最後ということではない、いろいろ工夫をして対応していくということが私は必要なことではないかというふうに思っております。

小池晃君

 いろいろとおっしゃいましたけれども、持続可能というけれども、私は高齢者の皆さんがこの国に生まれてよかったと思えないような政治というのは、こんな政治に未来はないと思いますよ。お金のことをいろいろおっしゃるけれども、まず真っ先に財源理由にして高齢者の命をおろそかにする、高齢者の医療から削る、こんな国に未来ないですよ。家庭の中で、うちの暮らし苦しいからまずお年寄りの暮らしから削ろうと、こんな家庭は日本中一つもない。私は、後期高齢者の制度を新たにつくるというのであれば、七十五歳まで長生きしておめでとうございます、今日から医療費心配ありません、最高の医療を受けられます、これが私は政治というものではないかというふうに思います。

 国会には後期高齢者のその廃止の法案も私たち出しておりますし、是非これも議論していただいて、四月の実施は問題あるということを先ほど認めるような発言もしていますから。始まってから見直すじゃ遅いんです。これを直ちに中止をし、撤回をする、そのことを求めて、私の質問を終わります。

委員長(鴻池祥肇君)

 以上で小池晃君の質疑は終了いたしました。(拍手)

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