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日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008]

168臨時国会 厚生労働委員会 民主党提出ウィルス性肝炎患者救済法(特定肝炎対策緊急措置法案)に関する質疑

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2007年12月6日(金)

小池晃君

 日本共産党の小池晃です。

 肝炎医療費の支援は必要な措置でありますが、なぜこの問題が起きたのか、その原因と責任の問題をやっぱりきちんとしませんと、その補償も極めて不十分なものになってくるというふうに思います。与党が衆議院に出している法案では、不幸な出来事と言っているんですが、そのようなことではやはり再び同じことが私は起こってしまうことになる。やはり、どういう経過だったのかについて今日はちょっと伺いたいと思うんです。

 製薬会社は、フィブリノーゲンの投与による肝炎発生率は三・七%、推定約一万六百人が肝炎に感染した疑いがあるというふうに発表しておりますが、これ八〇年以降の数字です。七九年以前にも被害は発生しているはずでありますし、クリスマシンの被害もこれに加わるわけですから、一万人を大きく上回ることは間違いありません。東洋大学の片平洌彦教授は、フィブリノーゲンだけで二万八千二百五十人という推計もされております。B型・C型肝炎全体でいえば三百五十万人ということになる。

 大臣に、最初に基本的な認識ですが、過去最大の薬害と言われたスモンも推定一万人。そういうことでいえば、薬害肝炎の被害者の規模というのはこれを上回る、言ってみれば史上最大規模の薬害だという認識をお持ちでしょうか。

国務大臣(舛添要一君)

 大変な大きな数になるという認識は持っております。

小池晃君

 この広がりを国は食い止めることができなかったのかどうか。一九七七年にはアメリカのFDAが承認取消しするわけですが、それ以前からいろんなチャンスがあったんではないかということについて、幾つかの点を指摘をしたいと思うんです。

 最初に、そのFDAの決定の伝わり方についてですが、八二年六月三日の旧国立予防衛生研究所、予研の内部会議の議事録及び録音テープによりますと、この予研の当時の血液製剤部長はアメリカでのフィブリノーゲン製剤の製造中止を受けて、この関係で厚生省にもいろいろ聞いてみたという発言が記録されております。七七年のFDAによるフィブリノーゲンの承認取消しは予研は知っていたはずです。

 実際にこれは旧厚生本省にいつ、どのような形で伝達されて、どのような対応を取ったのか、調査結果を示してください。

政府参考人(高橋直人君)

 お答え申し上げます。

 平成十四年のフィブリノゲン製剤によるC型肝炎ウイルスに関する調査報告書によりますと、御指摘の録音テープから、アメリカにおけるフィブリノゲン製剤の承認取消しにつきまして、旧厚生省本省に対し連絡していた可能性がうかがわれたところでございますけれども、発言者である旧予研の血液製剤部長は既に故人となっており、また事実関係の確認はできなかったということでございます。また、旧厚生省本省の関係課及び旧予研の当時の職員に対しましてアンケート調査、聞き取り調査など詳細な調査を行いましたが、発言内容を裏付ける事実関係については記憶している者はなかったということでございます。

 したがいまして、米国におけるフィブリノゲン製剤の承認取消しの事実につきまして、旧予研の一部職員は昭和五十四年ごろには認識していたと考えられますけれども、旧厚生本省が認識した時期については具体的に判明しなかったということでございます。

小池晃君

 これ、お粗末過ぎると思うんですね。予研というのは国立機関であります。そこで知っていたにもかかわらず、旧厚生本省にはその情報が行っていたかどうか分からない。余りにもお粗末だというふうに思うんですね。

 実は、その三年前の七四年に細菌製剤課は指導して、旧ミドリ十字がフィブリノーゲンの添付文書の書換えを行っております。これは事実、企業の側も認めていることであります。

 私は、二〇〇二年の当委員会で、実は七三年にアメリカ医師会がAMA「ドラッグエバリュエーション」で、フィブリノーゲンによって起こる急性肝炎の発生率が一五%から二〇%だという指摘をしているんですね。七三年にアメリカ医師会がそういう指摘をした。七四年に厚生省がミドリ十字に添付文書の書換えを指導した。そして、七五年にミドリ十字の添付文書に何と書かれたかというと、全くAMAの「エバリュエーション」と同じ文言、すなわち急性肝炎の発症が一五%から二〇%というふうに記載をされているという経過がある。

 つまり、旧厚生省は七三年のアメリカ医師会の指摘も受けて、それも承知をしてミドリ十字に対して指導をした、そういう経過ではないかという指摘をしたんですが、その経過はどういうことになっているんですか。

政府参考人(高橋直人君)

 事実経過を申し上げますと、昭和四十九年のまずフィブリノゲンの添付文書の改訂があると。それから五十年十一月、翌年の十一月に添付文書の改訂が更にあったということでございます。

 まず、最初の昭和四十九年の添付文書の改訂は、これは平成十四年の先ほど申し上げました調査の結果でございますけれども、これは昭和四十五年から、医薬品の添付文書全体についてやや不適正な表示あるいは不正確な表現があるということで、これをきちっと取り締まっていこうということで取組が始まったということでございますが、昭和四十八年の五月に、細菌製剤課から日本血液製剤協会に対しまして、その使用上の注意などにつきまして適正な表示にきちっとやるようにと、こういう指導を行ったと。これを受けて昭和四十九年の添付文書の改訂があったということであったかということでございます。

 もう一つの、次の昭和五十年の添付文書の改訂には、今度は、本剤の使用により一五から二〇%の急性肝炎の発症があるという、こういう記載が表れてくるわけでございますが、これはアメリカのAMAのこれを参考にしての改訂であったと、こういうことではなかったかということでございます。

小池晃君

 だから、私が聞いているのは、七四年の時点でアメリカ医師会がそういう指摘をしてきたことを厚生省は承知していた可能性があるんじゃないかと聞いているんですが、イエスかノーかでお答えいただけますか。

政府参考人(高橋直人君)

 昭和四十九年の改訂の際に、アメリカのAMAのそういったものを厚生省側が承知していたかどうかについては、これは分かりません。十四年の調査でもそこには触れておりません。ただ、翌年の五十年の改訂の際には、ミドリ十字側がアメリカの医師会の「ドラッグエバリュエーション」を引用しての改訂を行ったということでございます。

小池晃君

 都合の悪いことは記録が残っていない、都合のいいことだけはやけに詳しく今日も今も説明があるわけですね。やっぱりおかしいですよ。これは私は分かっていたと思うんです。

 こういう経過で、実はミドリ十字はフィブリノーゲンの添付文書をどんどんどんどん安全だ安全だという方向に、六四年に認可されてからどんどん書き換えていくんですね。ところが、この七五年の時点からはもう一回戻るんですよ。これは一五%から二〇%肝炎の危険があると。

 こういう指摘をしたからには、私は背景にアメリカが指摘を、この危険性を言い始めたことがやっぱりあったから、厚生省もそういうふうに持っていくということを、働き掛けをやったんではないかというふうに私にはどうしてもこの全体の流れからすると思えてならない。その上で七七年にFDAの承認取消しがあったわけですから、私はこれ知らなかったということで済まない話だと思うんですね。

 しかも、厚生省自身の文書でもそれが証明されるものがありまして、今お配りしましたが、七三年の厚生省薬務局の監修の「生物学的製剤基準解説」、この本があります。

 この本には、WHOによる血清肝炎の頻度についての報告が出ているんですが、これ二ページ目に「注解」というところがあって、そこにフィブリノーゲン、これは全血の肝炎発生頻度が通常一%以内に対して、フィブリノーゲンは七%以内ということで肝炎発生が高いということが書かれております。その後、英語で記載がありますが、要するに、簡単に言うと、多人数の人の血漿がプールされた製剤は一人の全血よりこの感染の危険が高いんだということが指摘されているわけですね。

 こういうことを、薬務局が監修の本でフィブリノーゲン危険だということを書いていて、さっき言ったように七三年にはアメリカ医師会の指摘もあって、そういう中でFDAの承認取消しを、これを知らなかったと、これを見過ごしたということになれば、私は極めて責任重大ではないかと思うんですが、局長、いかがですか。

政府参考人(高橋直人君)

 FDAのその一九七七年承認取消しの事情についていつごろ知ったかというのは、これはちょっと十四年の調査では分かりません。

 ただ、七七年当時のアメリカのフィブリノゲン製剤の承認取消しというものは、その後、十四年調査では、これはB型肝炎のリスクに着目をして承認の取消しを行ったということ、それから、アメリカで使われていたフィブリノゲン製剤につきましてはウイルス不活化処理が十分になされていなかったと、こういうような事情が背景にあったということが分かっております。

 それに対しまして、日本の場合には大分事情が違うと、ウイルス除去法というのがかなり入っていたということです。ちょっとその辺は事情が違うのではないか。

 それから、ヨーロッパにおきましては、ドイツ、オーストリアについては一貫してこういったものが使われているという事情があるということは御理解いただきたいと思います。

小池晃君

 それは先天性低フィブリノゲン血症に対する使用だと思います、今言われたのは。

 それから、B型肝炎だから云々というのは後知恵なんですよ、それは。これはもう二〇〇二年のときも私言いましたけれども、これ「血液製剤」という、今問題になった予研の安田純一さんが書かれた本、これ昭和五十四年の本ですが、ここに何と書いてあるか。アメリカでは一切廃止した、その理由はフィブリノーゲンの効果は疑わしく、またフィブリノーゲンより肝炎伝播の危険性の少ない薬剤によって代替し得るものということで禁止したと、こう書いているんですよ。B型肝炎だからなんということは書いていないんですよ、予研の安田先生は。だから、私、それは全く今のこの責任を逃れるための合理化にすぎないということだと思うんです。

 この問題がなぜこういうふうに見過ごされてきたのか。私は見過ごしてきたんじゃなくて意図的に隠ぺいしてきたんだというふうに思っておりますが、この背景にあるのが政官業の癒着であります。過去、厚生労働省及び旧厚生省から旧ミドリ十字に天下った官僚の名前を言ってください。

政府参考人(高橋直人君)

 ちょっと制度上のいろいろな話が混ざりますので、ちょっとお許しいただきたいと思いますが……

小池晃君

 いいよもう、いいよ。

政府参考人(高橋直人君)

 はい。いろいろな国家公務員法とかそういった手続による再就職、こういったものについての再就職した者はございません。

 ただ、もちろん公知の事実ということでございますけれども、昭和三十九年八月に退職いたした小玉知己氏、昭和四十九年十月に退職をした松下廉蔵氏、昭和五十三年八月に退職した今村泰一氏、それから昭和五十七年六月に退職されました富安一夫氏が旧ミドリ十字に一時在職をしていたというふうに承知をいたしております。

小池晃君

 みんなミドリ十字の重鎮になっているわけですよ。ミドリ十字の社長以下、全部薬務局の役人ですよ、これ。松下廉蔵薬務局長、小玉知己薬務局細菌製剤課課長補佐、今村泰一薬務局企画課課長補佐、富安一夫薬務局監視指導課課長補佐。その松下廉蔵薬務局長のときにこの文書を薬務局が監修で作っているわけでしょう。一九七三年ですから、在職、局長当時ですよ、これ作ったのは。これ作った松下廉蔵さんがミドリ十字に行ってフィブリノーゲンを売り続けたんですよ。

 こういう構造だから、私はこれは見過ごしたんじゃなくて隠ぺいなんだと。薬害エイズとみんな同じなんですよ。こういう実態がある。

 しかも、多額の政治献金が製薬企業から国会議員にも行っているわけですね。二〇〇六年の政治資金収支報告書を見れば、製薬産業政治連盟から、二〇〇六年当時在職中だった川崎二郎厚生労働大臣、武見敬三副大臣、菅原一秀政務官を含めて合計一億円の金が行っている。

 私は、こういうことは本当に直ちに禁止しなきゃいけないというふうに思うんですが、大臣、私は今日、この間の経過について指摘をしましたが、これは六四年の承認過程までさかのぼって徹底的に洗いざらい調べて、今分からない分からないと言っているけれども、分からないと言っていることについても徹底的に調べて明らかにしなければ、なぜFDAの取消しを知らなかった、知らなかったということが本当なのかどうか、ちゃんとこれは調査しなければ駄目だと。

 私は、そういう意味でいえば、これ当時の対応を問いただすと分からないとしか言えないわけですよ。だとすれば、これはすべての薬害被害者に対して責任を負わなきゃいけないですよ。投与時期やあるいはその投与薬剤の違いによって線引きすることなく、大臣、聞いてください、私は、すべての患者について責任を認め、謝罪し、補償すると。この経過から見れば、私、当然のことだと思うんですが、大臣、いかがですか。

国務大臣(舛添要一君)

 私の基本方針は、薬害について、一般的にこの薬事行政の問題点があった。しかし、今大阪高裁でこの和解案をめぐって細かい協議をやっているところでございますので、大阪高裁の和解案を大阪高裁の裁判長のリーダーシップを待ちながら待っているという状況でございますので、細かい点については発言をちょっと差し控えたいと思います。

小池晃君

 駄目ですよ。大臣、本当後退しているよ。私、今言ったのは、一般的な責任じゃないですよ。これは明らかに犯罪ですよ。

 それで、これは患者さん、被害者の側からすれば、どんな薬を使われたのか薬の名前すら知らされていない、どんな副作用があるかすら知らされていない、それで使われているわけですよ。医療の現場、残念ながらそういうやっぱり実態があるわけです。

 だとすれば、大臣に聞きたいんだけれども、いつ投与されたのかあるいは何を投与されたかの違いで、被害者の側に責任の違いってないんじゃないですか。その点についてはいかがですか。

国務大臣(舛添要一君)

 五つの裁判所の判決が既に出ております。司法の判断というものは、それはそれできちんと尊重しないといけない。そういうことをすべて踏まえながらできるだけ多くの方々を救いたい、そういう思いで今努力をしているところです。

小池晃君

 できるだけ多くでは駄目です。すべての人を救済する、そのことこそ、この問題の私は出発点だということを改めて申し上げたいと思います。

 それから、一つ、ちょっと薬事行政に関連して聞きたい。

 例のタミフルの問題で、研究者が製薬企業から寄附受けた場合の基準が作られているんですが、今パブリックコメントかけられていますが、これは一社当たり年間三百万円までは寄附を受けていても審議に参加できるという基準なんですね。三百万円という基準、何ですか、端的に言ってください。

政府参考人(高橋直人君)

 御指摘の点については、三月のタミフルのときに寄附金の問題が出まして、こういった審議を始めたわけでございます。

 審議会の運営の一層の中立性、公平性の確保のために寄附金の取扱いについてもルール化をするということで、その審議会の委員が過去三年間のうち、審議対象企業から奨学寄附金や研究費などを合計で年間五百万円を超えて受け取っている年がある場合には審議に参加できないと、こういった申合せを当初、今年の四月に申し合わせたわけでございます。これは当面の暫定ルールということでやりましたが、その後、審議会の中でワーキンググループを設置いたしまして、本格的なルール作りに向けた議論を開始したということでございます。

 このワーキンググループにおきましては、奨学寄附金の性格やその他の研究費などの実態などを考慮いたしまして、奨学寄附金については使途も含め情報公開を徹底することを条件に上限規定の対象外とすると。その他の研究費などについては、一社当たり年間三百万円を超えて受け取っている場合には審議に参加できないと、こういったルール案を取りまとめて、現在パブリックコメントで今国民の意見を求めていると。当初全体で五百万といっていたところが奨学寄附金を外してその他について三百万と、奨学寄附金については上限を設けないけれども情報公開を徹底すると、こういうことで現在案を提示をいたしておる、こういう次第でございます。

小池晃君

 大臣、三百万円ですよ。利益相反だということが問題になっているときに、一円だって受けていたら審議、決定に参加できないというのは当然じゃないですか。それが三百万ですよ。一社三百万ですからね。競合企業が二社あったら六百万ですよ。五つあったら千五百万円ですよ。大臣、この三百万円まではお金もらっていても審議に参加できるということで国民が納得できると思いますか。

国務大臣(舛添要一君)

 今、いろんな公平な立場からワーキンググループの皆さん方の御検討をいただき、さらにこれをパブリックコメントにかけて国民の皆さんの声を聴くということでございますので、その結果を待ちましてきちんと対応してまいりたいと思います。

小池晃君

 私はこれは納得得られないと思います。

 それから、最後、ちょっと今裁判の問題に関して国が見直しを求められている問題として、一つ原爆症の認定問題についてもお聞きしたいんですが、これ私たちは機械的に切り捨てる今の基準を廃止をして、やはり放射線起因性として認められる疾患はすべて認める。あるいは総合的、前進的に判断するという基準に改めるべきだと思っていますが、今日はその問題はさておき、今、同時に裁判はまだ続いているわけです。

 その裁判の場で国側はどういう主張しているかというと、国側は、まず原告はほとんど被爆していないんだという、その一言から始まるんです。どの法廷でも何を言っているかというと、例えば下痢は、当時我が国は著しい栄養失調状態にあり、慢性の下痢に苦しむ者も多い。また、赤痢等の感染症が全国に蔓延していたと、そういう主張をしているんですね。それから、脱毛については、原爆投下当時は入浴や洗髪もままならなかったから自然脱毛だと、精神的ストレスの影響もあると、こういう主張をいまだにやっているんですよ。被爆者の皆さんはこれを聞いてみんな怒っているんです。

 今、全体として与野党を含めて見直そうという議論をしているときに、私は、裁判で高齢の方をこういう形で本当に心を傷付けるような主張を続けることは、私は国としてやっていいことなんだろうかと。これは、やっぱり控訴を取り下げて、裁判でこんなひどい言葉を浴びせ掛けることは、大臣、これ政治的に、政治家として私やめるというふうに言っていただきたいんですが、どうですか。

国務大臣(舛添要一君)

 今、その裁判のこのことをどう考えるかの前提も含めまして、専門家の委員、これはかなり公平な方々に集まっていただいて、専門家の委員の下に今検討を進めています。その結果を待ちまして、その裁判への対応ということも含めてきちんと判断してまいりたいと思います。

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