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日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008]

168臨時国会 予算委員会 予算の執行状況に関する質疑

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2007年10月16日(火)

小池晃君

 テロ特措法にかかわってお聞きをします。

 テロはもちろん許されません。日本共産党は、一般市民を犠牲にするテロにも反対ですし、報復戦争に対しても反対であります。テロ根絶のためには国際的な司法や警察の力、世論と共同行動の発展こそが重要であり、テロの土壌である貧困や教育の解決にこそ力を注ぐべきだと考えます。

 最初に、外務大臣、アフガニスタンの治安情勢に関して、今年九月の国連事務総長報告UのBの7の部分を紹介してください。

国務大臣(高村正彦君)

 UのBの7、そのまま読ませていただきます。

 一、反乱事案及びテロリストによる暴力の割合は、二〇〇六年と比較して少なくとも二〇%高くなっており、二〇〇六年の月平均事件数四百二十五件と比較して、二〇〇七年はこれまで月平均五百四十八件を記録している。

 二、二〇〇六年の全自爆テロ発生件数百二十三件に比較し、二〇〇七年はこれまで百件を超えている。全自爆攻撃の七六%はアフガニスタンの治安部隊及び国際軍事部隊をねらったものである一方、犠牲者の多くは付近にいた民間人であった。

 三、二〇〇七年一月一日から八月三十一日までに百四十三名の民間人が自爆攻撃により死亡した。

 四、自爆攻撃は、学生、学校の攻撃、公務員、年長者、宗教者の暗殺、警察に対する攻撃等を伴い、正統政府の組織設立を妨害し、アフガニスタン政府の権威と能力に対する一般の信頼を揺るがせるために計画的かつ計算された努力という形で発生してきている。

 以上です。

小池晃君

 私、六年前、報復戦争開始直後にアフガン国境の近くまで参りまして、米軍のクラスター爆弾で傷付いた親子を見ました。干ばつと飢餓で苦しむ人々の実態も見ました。肉親を殺された方は口々に語っていたのは、私たちはタリバンでも何でもないんだと、ところが、アメリカはテロリストをねらっているというけれども、結果として普通の市民が殺されている、こんなことすれば、正に怒りを呼び起こしてテロを増やすだけじゃないか、こういったことはますますアフガンを危険にする、やめてくれ、口々にそう言っていました。

 総理に基本的な事実の認識としてお伺いをしたいんですが、総理はテロ特措法制定時の国会審議の中でも、テロを根絶するためだ、絶滅するためだと、そう繰り返しおっしゃっていた。その後六年間の事実を見れば、これは戦争ではテロはなくならない、むしろ事態が悪化しているということじゃないですか。

内閣総理大臣(福田康夫君)

 いまだ解決していないということは、これは残念なことでありますけれども、しかしアフガニスタンの社会は随分変わっているんですね。タリバンが支配していたときには、女性は何しろ、女性は外にも行けなかったんですよ。そのように抑圧された状態の中で、もう誠にひどい状況の中で国民は生活しておった。今、もう女性も権利を回復して、もう男と同じようにどこでも行ける、そしてどのような活動もできる。そういうことを考えると、やっぱり随分変わった、それは良く変わったという部分も大いにあるんだということを私は評価したいと思っております。

小池晃君

 しかし、そのタリバンが今やアフガン国土の半分以上を実効支配する、こういう事態に立ち至っているわけですよ。こういう現実に正面から向き合わなければいけないと思います。

 正にアメリカによるアフガン空爆、これが更なるテロを引き起こして、外務省が退避勧告を出さざるを得ないような、そういう状況にまで追い込んでいるんだろうと思うんです。その空爆を日本は給油活動で支援をしてきたわけであります。

 外務大臣、衆議院の予算委員会で、米軍によるアフガンへのミサイル空爆、ミサイル攻撃や空爆を日本は当初給油活動で支援していたが、今は行っていないとお答えになっています。間違いありませんか。

国務大臣(高村正彦君)

 基本的に間違いないと思います。

小池晃君

 これは米軍の強襲揚陸艦イオウジマであります。(資料提示)米軍の発表では、昨年九月四日と二十二日に日本の補給艦「ましゅう」からこのイオウジマに対して給油が行われ、この九月四日と二十二日の間にイオウジマの艦載機であるハリアーがアフガニスタンに対して百三十六回の攻撃飛行を行っています。これは間違いないですね。

国務大臣(石破茂君)

 お答えを申し上げます。

 二〇〇六年当時、テロ特措法に基づきましてインド洋に派遣されておりました海上自衛隊補給艦「ましゅう」は、同年九月四日及び九月二十二日に、アメリカ揚陸艦、今先生が御提示になりましたイオウジマに対しまして燃料補給を実施をいたしております。イオウジマへの補給はペルシャ湾外で行われております。これは、私どもの航泊記録等々確認をいたしまして、ペルシャ湾外で補給をしておるということでございます。

 なお、二〇〇六年九月二十六日のアメリカ海軍ホームページ、これを委員もごらんになっておられることかと思いますが、この米海軍ホームページを見ますと、このハリアーは九月二十一日に最後となる百三十六回目の任務飛行をアフガニスタン上空で遂行し、不朽の自由作戦を支援するため、短期間ではあるが生産的な任務を終えたというふうに記録があるとおりでございます。

小池晃君

 正に支援してきたわけですね、こういう活動を。

 それだけではない。今やってないと言うけれども、今年に入ってからも空爆支援やっているんですよ。

 これは今年の二月十七日のやはりアメリカ軍の発表している写真であります。(資料提示)これはアラビア海上の空母アイゼンハワー、ここから攻撃機が、スーパーホーネットが飛び立っております。その向こうに見えるこの小さな影は、これはトマホークミサイルをイラク戦争でも発射をしたイージスミサイル巡洋艦のアンツィオ、アンツィオに対して日本の補給艦「とわだ」が補給している姿が写っているんです。その後ろに護衛艦「まきなみ」が護衛している。これは二月十七日です、今年。しかも、米軍の発表によれば、この二月十七日を挟む十四日間、アイゼンハワー空母打撃群はアフガニスタンの空爆をやっている。二百回以上の攻撃飛行を実施しているんですね。そして、その後、三月から四月にかけては、このアイゼンハワー空母打撃群はイラク空爆も行っていると米軍は発表しているんです。

 正に今年に入ってからもこうした活動がずっと続いているわけじゃないですか。正にアフガン空爆、そして場合によってはイラク戦争の支援にも至るような支援がいまだに続いている。このことを認めますか。

国務大臣(石破茂君)

 これも累次お答えをしておることでございますが、私どもが補給いたしました油、これはOEFの目的以外には使用されていないということでございます。それは交換公文、また現地におきます確認等々によりまして担保をされておるものでございますが、なお念のためアメリカからも資料を取り寄せまして、そのようなOEFの目的に使われたということを検証いたします作業を今鋭意進めておるところでございます。

小池晃君

 OEFで使われるということは、正にアフガン空爆に使われているということなんですよ。それが市民を殺しているという事実があるわけですよ。しかも、このOEFだけじゃないんだと、OEF―MIOなんだとおっしゃりたいんだろうと。今後その給油支援は海上阻止行動に限定するというけれども、米軍の行動というのはそういう形になっているんだろうか。米軍というのは、正に今この地域でイラク作戦、アフガン作戦、そして海洋作戦、OIF、OEF、OEF―MIO、MSOですね、アメリカ軍に言わせれば。これを一体の活動としてやっているわけです。

 例をお示ししたいと思うんですが、これは先ほど紹介した強襲揚陸艦イオウジマを中心とするイオウジマ遠征打撃群のこの間の行動です。

 イオウジマ遠征打撃群は、昨年八月二十一日に作戦海域に入って、イラク、アフガン、そして海洋作戦、三つの任務やるんだと発表しています。先ほど申し上げたように、九月四日に「ましゅう」が補給をする、給油をする。その後、アフガン空爆をやりました。アフガン作戦。九月二十二日に再度「ましゅう」が給油をいたします。その後はイラク作戦に転じているんです。艦載機のハリアーがバスラの空爆をやっている、イギリス軍の支援活動をやっています。十月中旬にはイオウジマに乗っている海兵隊の地上部隊がイラク西部のアンバル州に行っている。そして、強襲部隊員の戦死もアメリカ軍は発表をしています。正に、イラク作戦、アフガン作戦、形を変えながら、そしてその間通じて海洋作戦だという形で一貫してアメリカ軍は行動しているわけですね。

 今、盛んに日本は海上作戦、海上阻止行動だけ給油するんだとおっしゃるけれども、米軍というのは正にアフガン作戦、時にはイラク作戦、そしてそれを通じて海上作戦に従事しているとすれば、日本が給油した油は海上阻止行動だけにしか使わないでくれ、こんなことできるわけないじゃないかというふうに思うんですね。

 総理、こういう米軍の活動を見れば、正に自衛隊が現実に行っている、そしてこれから行うことになるのは、やはりアフガンの空爆ということになってくるし、それは正に民間人を殺し、憎しみと怒りから新たなテロを生む、こういう行動じゃないか。こういう空爆の支援をこれ以上自衛隊が行っていく、こんなことが許されるんだろうか、総理、お答えいただきたい。はっきりお答えいただきたい。

国務大臣(石破茂君)

 これも何度もお答えをしておることですし、先ほども図表をお示しをしましたが、これ委員はアメリカとの戦争に加担するものだということを強調しておっしゃりたいようでございますけれども、じゃ、今現在、回数において八割がアメリカ以外、量において七割がアメリカ以外ということをどのようにお考えになるか。

 アメリカとの戦争ということを強調しておっしゃいますが、今世界各国が協調して行っている、だからこそ量において七割、回数において八割がアメリカ以外なのだということでございましょう。それをアメリカとの戦争に加担するものというふうにお話を特化しておっしゃっておられますが、それは私は事実とは違うのだろうというふうに思っております。

 なお、このテロ特措法という法律は、これはアメリカのOEF、それは一三六八によって自衛権というものも確認をされておる、そのことを排除しておる法律ではないということでございます。それは法律違反でも何でもございません。

 私どもは、今までOEFの目的以外に日本の油が使用されたことはない、そのことを交換公文、あるいは現地での確認も行い、そしてなお、今アメリカの資料も取り寄せて検証をいたしておるところでございます。

小池晃君

 今の大臣の答弁は、正にOEF、アフガン空爆を今後も支援するとはっきり言っているということじゃないですか。正にそういうことになるんですよ、この法律はOEFの支援を排除してないということになれば。

 総理、だから言っているんです。こういう活動を続ければ、必ずそれは単なる海上作戦だけじゃない、アフガン空爆に日本が加担することになるでしょうと。そういうことをこの地域で続けることが許されるんですかということに正面からお答えをいただきたいと思います。総理、お答えいただきたい。

国務大臣(高村正彦君)

 石破大臣が言っているのは、現行の法律はOEFを排除してないと。そして、特に最初のころは正にOEFでうんと使われたんですよ、油が。それがだんだんだんだん少なくなってきて、OEF―MIO、海上阻止活動に使われるようになって、現在は基本的にOEF―MIOには使われていないということを私が衆議院で申し上げた。そういう状況であるから、今度の新法はOEF―MIO、海上阻止活動に給油することに限ると、こういうことを申し上げているんです。

小池晃君

 アメリカ軍の行動はそんなことになっていないと私は申し上げているんです。この後ももう次から次へと形を変えてアメリカ軍は周辺海域に入っているんですよ。ボクサー遠征打撃群、バターン遠征打撃群、ステニス空母打撃群、そしてこの七月から八月にかけてもエンタープライズ空母打撃群がこの地域に入って、そして、MSO、OEF、OIF、三つの任務をやっていると。アメリカ軍はそういう活動を今強化している。

 そういうときに日本が支援すれば、それは正に、こういう三つの活動を一体としてやれば、油に色は付いていないんですよ、皆さんおっしゃるように。給油すればこの活動を支援することになるじゃないかと言っているんです。

 こういうことをこれ以上この地域で続けることを認めるのかどうか、これが今度の最大の問題じゃないですか。そのことに総理はどうお答えになるのかと私は聞いているんです。総理。だから何度も総理に聞いているんですから、これぐらい総理、答えてくださいよ。

国務大臣(石破茂君)

 それは、委員が御議論として、それではと、アメリカに対する補給を除けというふうに御提案をされるのであれば、それはそれで傾聴するに値するお話なのかもしれません。

 私どもは、アメリカもきちんと国連によってそれこそオーソライズされたOEFという任務に参加をしている、そして今もOEFはアフガニスタン国内においてアメリカだけがやっているわけではないというのも、先ほど来図表においてお示しをしておるとおりでございます。

 OEFにも多くの国が参加をしている、これがどうして委員がおっしゃるようにアメリカだけの戦いというふうな評価になるのか。私どもはそのようには考えておらないところでございまして、アメリカを除くとかOEFを除くとか、そのようなことには相ならないと考えておるところでございます。

小池晃君

 何か先入観でおっしゃるんですが、私はアメリカだけだとは言っていないですよ、一言も、この議論を通じて。しかし、OEFの活動の中心に座っているのは正にアメリカである、これは紛れもない事実だと思います。

 ですから、そういう活動に対して支援をすれば、正にテロを拡大する最大の原因になっているんじゃないかと。このやはり空爆を日本が支援するということになるじゃないですか。それが憲法九条を持つ国として許されるのかということを私は総理にお聞きしているんです。はっきり答えていただきたい。総理、答えてください。総理、ちょっと。

国務大臣(高村正彦君)

 何度もお答えしているように、新しい法律は海上阻止活動にしか使えないようにしているので、アメリカを我々は信頼しておりますし、小池委員は全く信頼していない、無法国家だとおっしゃっているんだと思いますが、私はそういう見解を持っていないと、こういうことです。

小池晃君

 アメリカ信頼するで済む話じゃないでしょう。これだけ国の大問題になっているときに、信頼するの一言で何の担保もなく認める議論じゃないですよ。

 総理、お聞きしているんです。答えていただきたい。こういう形で支援を続けることが許されるのか、総理、答えてください。基本的な問題なんだから、総理、総理、答えてくださいよ。総理、駄目だよ、総理。もういいよ、時間ないんだから。

委員長(鴻池祥肇君)

 石破大臣。後に福田総理にお答えをいただきます。

国務大臣(石破茂君)

 総理から後でお答えをいただくと存じますが、私どもは、アメリカを、妄信というんでしょうか、アメリカの言うことをそのまま信じているなどということを言ったことは一度もございません。それは、妄信という言葉を使っていいかどうかは存じませんが。

 それは、それぞれ現場において確認をしているわけですよね。交換公文を結び、そして、何に使うんですか、どれだけ要るんですかということもきちんきちんと確認をし、現場において受領証も受領している。そして、それもEメール、ファクスで送って確認をしている。なおそれをアメリカの航泊日誌とも照らし合わせて、法律のとおりに使われているか、こういう確認も全部行っておるわけです。だとすれば、(発言する者あり)いいえ、OEFに使われたということをきちんと示すために。

 何でこれがアメリカを妄信、言われることをそのまま信じましたということになるのか、私どもとしては理解をいたしかねるところで、委員のおっしゃることはそのような言葉には全く当たらないと思います。

内閣総理大臣(福田康夫君)

 先ほど来から聞いておりまして、何で理解をするような努力をしてくださらないのかなと、こう思っています。

 見解の相違じゃないですか、これは幾ら議論したって賛成とは言わないんでしょう、結局。そうなんでしょう。私から申し上げれば、米軍のアフガン空爆を加担しているというのではありません、これはね。そして、テロリスト掃討にかかわる国際社会の協調行動を支援しているんだということで、これはもう外務大臣、防衛大臣が答弁していることでございます。

小池晃君

 OEFを支援すると言っているんだから、これはアフガン空爆支援すると言っているということなんですよ、それは。私は、こういう活動を続ければ、正に海上行動だけじゃない、アフガン空爆を支援することになるでしょう。それは法律排除していないんだから。これからそれはできますと言うけれども、じゃ、米軍の中で日本の給油というのは海上作戦だけにしか使っちゃいけない、そういう指示も出ているんですか。出ていないんですよ、そんな指示は。だから、何の担保もない、ただ信頼しろという話だけです。何の証拠もないじゃないですか。

 正にアフガンで今一番頑張って支援活動をやっている、井戸を掘り、水路を造って支援活動を続けているペシャワール会の医師の中村哲さんは、こう言っているんです。殺しながら助ける支援というのがあり得るのかと。これまで現地が親日的であった歴史の根拠の一つは、日本が他国の紛争に軍事介入しなかったことにあった、特措法延長で米国同盟軍とみなされれば、反日感情に火が付き、アフガンで活動する私たちの安全が脅かされるのは必至だと、こうおっしゃっているんです。正に憲法九条を持つ日本がこのアフガン空爆の支援続ける、これは許されないことだというふうに思います。

 日本共産党は、テロ特措法の延長にも新法にももちろん反対であります。直ちにインド洋からも、そしてもちろんイラクからも撤退をして、アフガン国民の立場に立った人道支援に切り替えるべきだ、そのことを申し上げて、私の質問を終わります。

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