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日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008]

166通常国会 厚生労働委員会 社会保険庁解体・民営化法案および年金時効特例法に関する質疑

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2007年6月7日(木)

小池晃君

 日本共産党の小池晃です。

 資料要求について、前回、委員会で私、求めました五千万件の記録に係る厚生年金、国民年金別の平均加入月数、保険料総額、そして給付費総額幾らか。二つ、マイクロフィルム台帳とオンライン記録の突合に係る三千件のサンプル調査の結果。三つ目、過去六年間の再裁定件数二十二万件について増減額別の人数、受給額の変化。そして四つ目に、五十八歳通知における記録調査の申出があった三十六万件について却下件数及び訂正件数。

 先ほど大臣の冒頭の発言ありましたが、全くこの要求にこたえるものになっておりませんので、委員会として要求していただくように御検討をお願いします。

委員長(鶴保庸介君)

 後刻、理事会にて協議をいたしたいと思います。

小池晃君

 五千万件の宙に浮いた年金記録に加えて、昨日の衆議院厚生労働委員会で、旧台帳の千四百三十万件がマイクロフィルムのままになっていてオンラインに入力されていないということが明らかになりました。この千四百三十万件の中には基礎年金番号に統合されていない、いわゆる宙に浮いた年金記録も含まれているという理解でよろしいですね。

政府参考人(青柳親房君)

 ただいまお尋ねのございました厚生年金の旧台帳でございますが、これは、厚生年金保険の被保険者期間を有する方であって、昭和二十九年四月一日現在で厚生年金保険の被保険者資格を喪失していた方の記録でございます。そのうち、その後に例えば厚生年金に再び加入した方につきましては、適切な届けが出ている限り厚生年金保険の被保険者資格を再取得し、当然のことながらオンラインの記録上にこの旧台帳に記録がある旨の表示がされます。そこで、これらの方が平成九年一月に被保険者又は年金受給者であれば基礎年金番号が付番されるという形で基礎年金番号につながります。

 また、その他の方についても、裁定等を契機に未統合のオンライン記録が基礎年金番号に統合されれば、旧台帳上の記録も基礎年金番号につながることとなります。

 しかしながら、ただいま申し上げたような基礎年金番号に付番される、つながる契機がなかった方については、委員お尋ねのように、五千万の方に含まれている可能性があると承知しております。

小池晃君

 最後の一行だけでいいんですよ、答弁はね。

 この千四百三十万件の中にはいわゆる宙に浮いた年金記録に相当するものが入っている。これも含めて一年以内で統合することができるんですか。

政府参考人(青柳親房君)

 一千四百三十万件につきましては、先ほどのように、基礎年金番号に統合されているものもございますし、また何よりも大変に古い時代の記録でございますので、最終的に年金に結び付かず、例えば脱退手当金その他の年金に結び付かないものも多数あろうかと存じます。したがいまして、これらにつきましては、様々なマイクロフィルム等の台帳を全体を突合するという作業をこの五千万件のいわゆる名寄せとは別に計画をさせていただきますので、その中で対応させていただくということを現在考えております。

小池晃君

 いろいろ言うんだけれども、その中には五千万件の宙に浮いた記録と同じような性格を持つ記録が入っている。これは先ほどもお認めになった。これは一年以内に名寄せすべき記録であることに違いないと思うんですよ。ここは間違いないですね。

政府参考人(青柳親房君)

 一年以内の名寄せの前提は、先ほど来申し上げておりますように、機械に入っております記録をぶつけて名寄せをするということを念頭に考えております。したがいまして、マイクロフィルムの記録については、機械には全部の記録が入っておりませんのでこれができないというふうに考えておりますが、最優先で解決すべき課題であるという委員の御指摘はごもっともと存じますので、私どももそのような考え方で対応させていただきたいと考えております。

小池晃君

 ちょっと聞き方変えますが、機械に入っているかマイクロフィルムに入っているかの違いはあるけれども、本来はやはり名寄せ、統合すべき性格の記録がそこにあるという認識でよろしいですね。

政府参考人(青柳親房君)

 機械でなければ一年以内にできないという前提をまずは申し上げた上で、旧台帳に入っている記録についても、そのいわゆるマイクロフィルム台帳グループで今後その記録を統合していくものの中では最優先のグループとして対応すべきものとの認識でございます。

小池晃君

 私、やり方がおかしいと思うんですよ。

 その新聞報道では、名寄せのためのコンピューターソフトの完成というのは来年三月だというふうに言われている。まだ九か月もあるわけですね。先ほどの答弁では、何か月掛かるか分からないと、それは答えられないとおっしゃったけれども、しかし、コンピューターソフトできるまでに相当の時間が掛かることは間違いないんですよ。だったら、その間、何もしないで手をこまねいているということになるんですか。

 だったら、真っ先にこのマイクロフィルムにあるものを、まあ市町村まで全部含めてそれができるかどうかというのは、これは何十年も掛かるという話もあったからあれかもしれないが、しかし、少なくとも昨日明らかになった千四百三十万の記録については、コンピューターソフトができるまでの時間はたっぷりあるんだからそれぐらいは全部チェックして、五千万の中に加わっていくのかどうか、その作業をした上で、そして来年コンピューターソフトを回す、これが当然やるべき仕事であって、それをしないで、まず五千万件だけコンピューターへ入れて、それが終わってから千四百三十万件をまたやると。だから、五千万件処理しても、まだあと一千万件残っているかもしれないというふうになるわけですよ。やり方おかしいじゃないですか。

 大臣、やっぱり私はこれ、不完全なデータのまま名寄せしたって結局二度手間になるんだから、コンピューターソフトができるまでの間に、少なくとも昨日明らかになった千四百三十万、それ以外ももちろんそうですよ、できる限りの努力をして、これは完璧なデータに近づいた上でそしてコンピューターを回す、これが当然の合理的なやり方だと思いますが、大臣、いかがですか。

国務大臣(柳澤伯夫君)

 私どもの年金記録問題への新対応策の進め方におきましても、社会保険庁のマイクロフィルムや市町村の保有する記録と社会保険庁のオンライン記録との突合を計画的に実施し、進捗状況を半年ごとに公表するということを申し上げておりまして、社会保険庁のマイクロフィルムと、今委員も御理解いただいていると思いますが、オンライン記録との突合をすればどれだけオンライン記録に入っていないかということもここで明らかになりますので、この作業は五千万件の作業とは言わば別のトラックでこれはできる限り早くやるということを今も青柳部長の方から御答弁させていただいているということでございます。

小池晃君

 いや、私の言ったことに答えてくださいよ。

 少なくとも、じゃ千四百三十万件は、それが終わってから別のトラックでやるというんじゃなくて、一定の時間があるわけだからその間に処理して、そして来年のまあその三月なり四月なりコンピューターソフトができ上がったところで入れればいいじゃないかと言っているので、そのことに正面から答えていただきたい。

国務大臣(柳澤伯夫君)

 五千万件が終わってからとは私は申していないつもりでございます。これはもう本当に、また五千万件とは別の作業で独立してできるわけですから、それはもうできるだけ早く着手をしていくと、こういうことでございます。

小池晃君

 だったらばせめて、国民は、五千万件と言われていたところが実は六千万件だったのかと今みんな驚いているわけですよね。だとすれば、こういう国民のやっぱり不安にこたえるのが政治の責任だと。だから、別のトラックでと言うけど、急いでやって、そしてコンピューターソフトでき上がるまでに少なくとも昨日出てきた千四百三十万の中のものはこれは入れるんだと、このくらいのことを言ってください。

国務大臣(柳澤伯夫君)

 私どもは、五千万件のことについては、その中にもう非常に早くしなければならないものがあるというそういう想定を立てておりまして、そういうことで受給権者のことから着手したいということでございますので、これはどちらが大事だというわけではないわけですけれども、まずこれが大事だという考え方を我々は取っております。

 ですから、この別の言わばトラックというかそういう仕事として、これももうできるだけ早くやりますので、それができるまで五千万件待ってと言うんだったらちょっとこれは我々の考え方と違うわけですが、基本的にはできるだけ早く五千万件のチェックのときに、これはもう一件でも多く間に合わせるということが可能なわけでございますから、そういう考え方で進めさせていただきたいということでございます。

小池晃君

 私は、それが終わるまで待てなんて言っていないんですよ。だから、それはそれでやっていただいて、だから、市町村にあるまでも含めて全部、元台帳とチェックしてからとなるとそれは一定遅れるというのは、それは理解できますよ。

 しかし、少なくとも千四百三十万は業務センターにあるわけでしょう、マイクロソフトのカセットが。だったらば、コンピューターソフトを作っている間は時間が掛かるわけだから、だって、その二千八百八十万だってすぐに着手するわけじゃないわけだから、コンピューターソフトでき上がるまでは待つわけだから。その待っている間に少なくとも今回出てきたマイクロソフトのカセットぐらいはこれちゃんと処理して、そしてそういうのを含めたデータだとして、それでコンピューターへ入れたらどうなんだと言っているんです。ちゃんと聞いてください。そのくらいやるって言ってくださいよ。

国務大臣(柳澤伯夫君)

 余り変わらないと思いますね。余り変わらないと思いますのは、我々はこの今言ったマイクロフィルムの突合作業の中では、この昨日の千四百三十万件というのを真っ先に取り上げるという考え方、これはもう委員の御主張と合致しているわけです。ただ、それをやり切って五千万件に掛かれという意味だったとしたら、我々は五千万件の方を早くやって、同時並行的に作業をしたいんですということについて御理解を求めているところでございます。

小池晃君

 私、やっぱりこれでは国民の不安、解消しないと思いますよ。やっぱり今のやり方は本当に余りにも不十分だし、千四百三十万件、だったら、来年の春ぐらいまで九か月ぐらいあるんだから、そのくらいできないのに、何でじゃ五千万件、来年の五月までにできるのかという話になるじゃないですか。私は、今のでは非常に不十分だし、やはり国民の不安にこたえることにならないというふうに思います。

 私は、前向きに解決の一つの提案としてお話ししているつもりですよ、きちっと。そういったことはしっかり受け止めていただきたい。国民は不安に思っているんだから、やっぱりそれにこたえる必要あるんですよ。

 それから、同一人物であると思われる記録が見付かった場合の話なんですが、昨日も議論いたしまして、同一人物の記録が存在する旨を通知するという例の話ですよ。その記録見せないと。青柳部長は、記憶を呼び起こしていただくと言った。大臣は、記憶を呼び起こしていただくよすがになることは提供すべき、検討すると言った。よすがなんという古風な言葉を使ってよく分からないんだけど、そうじゃなくてちゃんと情報を提供すりゃいいじゃないかというのに、よすがだと言う。じゃ、よすがというのは一体何ですか、何を示すんですか。

国務大臣(柳澤伯夫君)

 私が申し上げたのは、記憶を呼び起こす、まあよすがという言葉を使ってしまったんですが、手掛かりに資するような、そういうことを検討をいたしますということを申し上げたということです。

小池晃君

 だから、それは何かと。

国務大臣(柳澤伯夫君)

 それはこれから検討するということを申し上げているんです。

小池晃君

 やはり、情報は元々これ被害者のものなんですよ。国のものじゃないんですよ、その人が納めた保険料の納付記録なんだから。何だか出しちゃったら、そうでない人が、あっ、これ自分だという、何か自分の納付記録だとしてしまうんじゃないかなんというのは非常に私はおかしな考えで、基本的にはやっぱり被害者に対して、もちろん、前回も言いましたが、工夫する必要はあると思いますよ。工夫はする必要はあるけれども、基本的にはその本人の持ち主の記録なんだから、きちっと中身を示して、記憶を呼び起こしていただくなんという努力を強いるのではなく、やはりきちっと情報を提供するということを基本的な考え方に据えてやるべきだと。

 よすがよすがなんて、そういうあいまいなことでは駄目ですよ。この委員会の審議中にどういうやり方で示すのかをはっきり示すことを求めます。工夫しながら原則公開すべきだと思います。

 それから、前回に引き続いて時効の問題を取り上げたい。

 これは、時効特例法、与党が出した法案の対象というのは、裁定時には納付記録が見付からずに、その後見付かって加入記録が訂正されたというケースですね。しかし、前回議論したように、そういったケースでも、これまで社会保険審査会の裁決を経て時効を適用しなかった例があるということを紹介しました。青柳部長は、前回の委員会で、これは社会保険審査会の裁決というのはあくまで不服申立ての結果だから、これは行政の裁量で行ったというのと違うんだという答弁をされましたが、しかし、社会保険審査会の裁決の性格というのは、最初の行政処分を取り消して新たな行政処分を行うということでいえば、これは正に行政権の範囲内の決定であるという性格だと思うんです。

 前回指摘したように、例えば二〇〇五年にも時効を理由とする不支給決定を取り消す裁決が行われております。この裁決はあくまで行政処分です。だとすれば、これらの裁決というのは行政処分の先例となるべきものなのではないですか。

政府参考人(青柳親房君)

 ただいまの委員のお尋ねが、行政処分という意味では、例えば社会保険庁長官の行う処分と同様の性格のものではないかというお尋ねであったかと存じます。

 しかしながら、これは様々な権利の確定といったような事柄につきまして、これを迅速かつ、しかもかつ公平に処理するために、あえて社会保険審査会という特別な機関を設け、ここにおいて言わば社会保険庁長官の行った処分の言わば可否というものを改めて判断するという仕組みを設けております現在の社会保険の審査会の全体の構成から考えますと、長官が裁量権で行うものとはやっぱり違う、別の種類の言わば行政処分であるというふうに私ども理解せざるを得ないだろうと思います。

小池晃君

 しかし、社会保険審査会の裁決というのはちゃんと裁決集に載っているわけで、これは厚生労働省が編集して、裁決集出ていますよね。その中に、例えばその二〇〇五年の裁決も含めて、時効に掛かることを理由として過去の五年を超える遡及支払、そういう例、ひっくり返した例というのはちゃんと先例として出ているわけですから、私は、最初のその決定と違う行政処分下されてそれが先例集に載っているのであれば、基本的にはそれに基づいて行政を運営していくというのは当然のことではないかと思うんですよ。ところが、厚生労働省はその裁決の後も時効に掛かることを理由として過去五年を超える遡及支払をしてこなかった。私、これ責任重大だと思うんです。

 しかも、時効を理由に訴えを退けてきただけではないんですよ、いろいろ調べると。今まで再裁定のときに、訴えた被害者に対して時効までの五年分しか要求しないという申立て書を書かせていた、こういう事実があると思いますが、お認めになりますか。

政府参考人(青柳親房君)

 裁定変更につきまして、五年を超える部分について時効消滅する旨の同意を一部の社会保険事務所において任意の様式で実施しているということを認識をしております。これは、裁定変更が決定されまして裁定通知書を御本人が受け取ったときに、申請より五年以前の年金が消滅するということの説明を受けたことをお忘れになられてトラブルになるといったようなことを避けるために、申請時に同意をいただいているというふうに承知しております。

小池晃君

 私、これとんでもないと思うんですよ。これ、私の手元に関西地方の男性が書かされた時効に関する申立て書がある。この方は六十歳で厚生年金受給するときに、若いときに払った厚生年金の保険料について、これは申請したんだけれども、社会保険事務所の方から記録がないというふうに却下されたと。あきらめていたんだけれども、七十五歳になって偶然当時の被保険者証が見付かって、再申請して認められたというケース。ところが、六十歳から十五年分のうち十年分は時効だということで支払われていないんです。

 ちょっと聞きたいんですが、こういう方のケースでは、これはあくまで納付記録なくしたのは社会保険事務所ですよね。これは十五年間立証できなかったというのを被害者に責任を求める、これは全くおかしいんじゃないですか。何の責任もないと思いますが、部長いかがですか。

政府参考人(青柳親房君)

 これは裁定のときに確認ができなかったということで、その受給者の方も不本意ではあったろうかと存じますが、御同意をいただいて裁定をしたというふうに私どもとしては受け止めざるを得ないだろうと思います。今回御審議をいただいております時効の特例法というものが成立いたしました暁には、このような方についてもこれの対象になるものというふうに認識しております。

小池晃君

 いや、私が聞いているのは、この被害者には責任ないでしょうと言っているんですよ。イエスかノーかで答えてください。

政府参考人(青柳親房君)

 責任というのをどのようにお受け止めすればよいか分かりませんが、後々に見付かったその古い被保険者証があったという点については、この被保険者証の管理について、御本人が六十歳の時点でお出しいただければより円滑に事務が進んだのではないかなと承知しておる次第でございます。

小池晃君

 とんでもないよ。記録なくしたのは社会保険事務所じゃないの。それはそのとき見付けられなかった本人が悪いというわけですか。こういうことでやってきたから国民の不信どんどんどんどん高まっているんじゃないですか。私、今の発言本当にとんでもないと思う。

 しかも、こういう人に対して時効に関する申立て書を提出させるんですよ。何て書いてあるか。年金の再裁定請求が下記の理由により遅延したことを申し立てます。なお、年金の支給は時効による五年前までの遡及であることを了承しますと、こういうふうに書いてあるんです。その後事情を書かせるわけですよ。要するに、何で再裁定遅れたのか理由を書かせるわけですね。その上で、時効の分については請求を放棄するということをこう申立て書を書かせているんです。それであきらめさせるわけです。

 先ほども言っていましたけれども、こういうことがやられていたということは事実としてお認めになるんですね。

政府参考人(青柳親房君)

 一部の社会保険事務所とはいえ、そういう形のことが行われていたということは認識をいたしております。

小池晃君

 大臣ね、時効に関する申立て書だ、さも請求者に責任があるかのように、再裁定請求が遅延した、遅れた理由まで書かせる、そして支給の遡及は五年間に限るということを了承させる、こういう書類を出させるというのは、私、全く許し難いことだと思います。

 大臣は、責任者としてこういうことがやられてきたことをどのように感じておられますか。

国務大臣(柳澤伯夫君)

 これは安倍総理も言及されたところですけれども、営々として保険料を支払ってきたという事実があるわけでありますから、そういう方々の年金の権利、これを、会計法の非常に強い規定とはいえ、それに服するということではありますけれども、時効ということをもってそうした財産権を結果において侵害するようなことということは今後はもう全く不適切であるというふうに考えまして、今回の法律で安定的な形でそうしたことについて停止をするということを取らせていただいたということでございます。

 したがいまして、委員の御指摘については私も、過去のことも適切でなかったという反省の上に立って今回の法案を、与党の皆さんの提出がなされているわけですけれども、是非御理解を賜りたい、このように考える次第であります。

小池晃君

 こういうケースで時効を適用しないという社会保険審査会の裁決あったわけで、少なくとも、こういう裁決を契機にして行政を転換していれば事態は深刻にならなかった、被害者出なかった。私は、これは政府自ら時効を利用して国民の権利を奪ってきたんだから、消えた年金じゃなくて消した年金だと思いますよ。で、この消えた年金だけじゃなくてやっぱり消した年金、時効を使って権利奪った責任も極めて重大だと。

 だったら、今大臣が言うように、今度の特例法でじゃその問題が全面的に解決するのかという問題であります。

 提案者にお聞きをします。

 時効の扱いについて、この年金時効特例法では受給権者と被保険者で扱いを変えていますが、その仕組み、それぞれについて簡潔に御説明ください。

衆議院議員(宮澤洋一君)

 今委員御指摘のとおりでございまして、受給権者、既に裁定が行われている方につきましては、まず第一条、第二条と附則の第二条とで、二つに分けて書いてございます。第一条、第二条は、まあ簡単に言えばこれまでに裁定が行われた人であって、まだ再裁定は行われてない方について規定しております。附則の二条におきましては、既に裁定が行われ、更に再裁定が行われた方について附則の二条で規定さしていただいております。

 そして、附則の三条、五条で、これから裁定が行われる方についての規定が記されております。

小池晃君

 そういう条文の構造じゃなくて、その扱い、時効の扱いがそれぞれどうなっているのか説明してほしいと言っている。

衆議院議員(宮澤洋一君)

 既に裁定が行われた方でまだ再裁定が行われてない方、また、裁定が行われ既に再裁定が行われている方につきましては、この条文に書いてございますように、消滅時効が完成した場合においても、当該権利に基づく保険給付を支払うものとするということが規定されている、必ず支払うということが書いてございます。

 それから、今後裁定が行われる方につきましては、これは附則の三条、五条に規定されているわけでございますけれども、いわゆる年金の基本権と支分権、受給権の中の基本権と支分権につきまして、これまでは、いわゆる基本権につきましては民法にさかのぼるということで時効を援用するかしないかという判断ができたわけでございますが、支分権につきましては絶対的な消滅時効という規定でありましたけれども、これを改定いたしまして、支分権につきましても援用が、するしないという判断ができると、こういうふうに規定しております。

小池晃君

 つまり、この法案の構造というのは、その法施行時の受給権者で再裁定を行った方等については、これは一〇〇%年金受給権を、支払うということになっているわけですね。ところが、この法施行時の被保険者である人の債権というのは、これは時効によって自動消滅する債権から時効を援用しなければ消滅しない債権になったと、そういう理解でよろしいですね。

衆議院議員(宮澤洋一君)

 そのとおりであります。

小池晃君

 このようにこの法案が時効について受給権者と被保険者でなぜ扱いを変えたのか、説明してください。

衆議院議員(宮澤洋一君)

 受給権者につきまして時効が消滅をいたしましても給付するという規定を設けておりますけれども、これは正直申しまして、法律的には大変大胆な私は決断だったと思います。いろいろ国民生活の安定というようなことで時効という制度がございますけれども、時効にかかわらず、すべての方にこれをお支払いするという規定を受給権者の方については規定させていただきました。

 一方で、今後裁定を受けられる方につきましては、ねんきん定期便等々ということで、かなりお知らせが行き、毎年チェックできる体制というものがこれからできるというような状況の中で、恐らくほとんどの方がそういう段階で消滅時効五年に掛かるというようなことはない状況が実現すると期待をしておりますが、一方で万々が一漏れてくる方という方がいらっしゃる。その場合に、じゃ、この方にすべての時効というものはなしでいいのかどうか。政府の側に当然責任がある場合には時効を援用しないということでお支払ができるわけでございますけれども、その辺を少し分けて書かせていただいたと、こういうことでございます。

小池晃君

 つまり、その受給権者については、確かに与党の言うように、時効によって言わば消した年金は支払われるようになる。しかし、今の現役世代、加入者について言えば、これは支払うかどうか、すなわち時効を援用するかどうかについては行政が判断するということになるわけであります。

 そこで、運用する政府の側にお聞きしますが、これは再裁定が行われた場合に、時効に掛かる年金があったような場合、これはすべてのケースで時効の援用を行わないという運営をするということなのでしょうか。

政府参考人(渡邉芳樹君)

 今後の裁定にかかわる万が一の将来の時効のルールの適用に関してのことでございますが、私ども従来の基本権における取扱いの例を踏まえますと、この時効の援用をするということは行わないというふうに考えておるところですが、先ほど宮澤議員から説明がありましたように、それではどのように法律上規定するのかという点において、そもそも年金給付に関して時効制度というものは無縁であるという法律規定をするというのは民法、会計法の時効制度の立法趣旨に照らして、そもそも法律関係の早期安定という趣旨をよくよく踏まえれば、やはり本来の原則的な法規定に置いておくべきであるという御判断は私ども適当であると考えております。

 例えば、具体的に逆のケースで、国が過誤払をした場合において、国がいつまでも返還請求を行うことができるという制度をつくっていいのかということもよく考えなければならないということだと思いますので、従来の基本権における運用、原因が行政のミス等、責めに帰すべきものであるときは時効を援用しないという謙虚な立場で臨んでいくというのが適当かと思っております。

小池晃君

 結局、じゃ、その年金受給権者にとってみれば、これは一〇〇%救われるかもしれないけれども、今の現役世代は結局同じことになるんじゃないですか。これは政府の責任があるかどうか帰責性が問われるという中で、個々やっぱりこれは受給権者の責任だと言って切り捨てられると、そういう危険があるんじゃないですか、それはどうなんですか。一〇〇%、これはこういうケースについては被保険者についてもこれは時効を援用しないと断言できますか。

政府参考人(渡邉芳樹君)

 そもそも今後の裁定にかかわる方については、裁定までの間にこうした法律の必要のないようにしっかりと運用をしていって裁定に結び付けていくということだと思いますが、法律でございますので、万々が一のためにということで置く場合の規定がどのようなものがふさわしいかということだったと思いますが、今のお尋ねは、じゃ、その上で従来の基本権におけるように援用しないという運用をするのかということでございますが、私ども全く同様だと思っておりますので、法律論として一〇〇%という議論をするのは法律を扱う者としていかがなものかと思っておるんですけれども、おっしゃるように、この援用をするしないにつきましては、従来の基本権同様、私ども、そうした援用を行う考えはございません。

小池晃君

 分かりました。

 それから、前回の質問の二万人問題なんですが、要するに、その本人が記録の誤りを申請したにもかかわらず証拠がないとして却下された人が、昨年八月から今年三月までのほぼ半年だけで二万六百三十五人いると。これは本当に直近ではねられた人なんだから、これは直ちに救うべきでないかという話をしましたら、大臣は申し出てくれれば対応するって答弁したんですね。これ何の反省もない態度ではないかと思うんです。

 今日、資料をお配りをいたしました。こういう二万六百三十五人の人に、じゃ最後、どういう通知が送られたのかということでお配りしたのがこの通知なんですよ。こういうのが来ているんです。あなたの検討した結果こうですと、回答しますと。なお、再調査を希望する場合は、いろいろ書いてあるんです、資料を添えて提出願いますって書いてあるわけですね。これが送られて今終わっているわけです。これを受け取った人はどう思うか。国の方はあなたの記録はないと言っている、資料を出せと言われている、資料ないからもうあきらめるかと、泣き寝入りするかと、そういうふうになっているんじゃないですか。

 だから、私言っているのは、今こういうふうになっているんだから、これをこのままにしておいていいのか、こういう人たちの中から申出があったら、じゃ救いますという態度でいいのかということを私は前回言ったんです。何も第一段階、第二段階をもう一回繰り返せと言っているんじゃない。私は、被害者の側に立証責任を押し付けた今までの行政の姿勢が誤っていた、これは誤っていたっていうわけですよね。だとすれば、やっぱり最近半年間に皆さん方が却下した人たちに対して、まずどういう態度を取るのか、これが本当に行政としては問われているんじゃないかと思うんです。

 私は、この二万六百三十五人にこういうのを送り付けて今ここで終わっているのだとすれば、こういう人たちに対して改めて通知をして、そして、ここでは資料を出してやってくださいと言ったけれども、いろいろと今議論があってその方針変わってきているんで、是非相談に応じますと。やっぱりそのくらいの、何か言ってくるまで待つというんじゃなくて、どういうやり方かはもうそちらが考えることだと思いますが、私は、厚生労働省の側からこの二万人に対してやはりしっかり働き掛けをするということは当然やるべきことであって、大臣は前回申出を待つと言いましたが、それは撤回していただきたい。きちっと何かやるというふうにすべきではないかと思うんですが、いかがですか。

国務大臣(柳澤伯夫君)

 今、小池委員も第一段階、第二段階の調査をやり直せと言っているわけではないということをおっしゃられたんで、私もそれは十分御理解いただいているということを有り難く拝聴したわけでございます。

 その上で申し上げるわけですけれども、この二万六百三十五人の方々につきましては、今度は、今の制度でございますと本庁の年金記録審査チームに対してお申出をいただくということが一番の道でございますけれども、これからはここが第三者委員会ということになるわけでございます。したがいまして、この第三者委員会が発足した暁におきましては、これはまた別途に、このような方々が申出ということで非常に更なる確認のことをちゅうちょするというようなことのないように取り計らってまいりたいと、このように考えます。

小池晃君

 こんなことも言えないんですか。申出を待つって、やっぱりその総務省の第三者委員会になったとしても申出待つって言うんですか。そうじゃなくて、行政の側からアプローチすると、待ってるって、申請主義、そういう立場じゃなく対応すべきじゃないかという考え方を私聞いているんですよ。はっきり答えてください。

国務大臣(柳澤伯夫君)

 いや、我々は、今回第三者委員会が発足した暁には、それはまた第三者委員会の方でまたいろいろお考えいただく面もありますが、しかし我々の方も現にこの方々に対してはいろんな取り計らいを考えていくことになるだろうと、こういうことを申し上げたわけでありまして、相変わらず申出を待つんだというようなことを申したつもりはありません。

小池晃君

 じゃ、そういうことでやっていただきたいと思います。

 最後、コムスンの問題についてお聞きをしたいと思います。

 まず、ちょっと大臣に確認したいんですが、今回の処分で、六万人と言われる利用者がいるわけですが、こういった人たちには何の責任もないわけです。私は、こういう人たちの中から介護を受けられなくなるような、介護難民なんということが新聞にも出ていますが、こういう人を一人も出してはいけないと思うんですが、その手だてについてどのようにお考えか、お聞かせください。

国務大臣(柳澤伯夫君)

 まず、本当に皆さんにある意味で安心していただきたいんですけれども、今回、コムスンが法令違反を犯して指定取消しに相当する事実が確認されましたので、これらすべての事業所において更新等が認められないということになるわけでございます。しかし、こういうことが最初に出てくるのは来年の四月以降でございますので、その意味では利用者の皆さんにはすぐに影響が出ることがないというふうに私どもは想定をいたしまして今回の措置をとったわけでございます。

 厚生労働省としては、この点については、しかしながら、四月以降だから大丈夫ということではなく、対象企業のいろんな動きもあることでございますので、対策本部を設置し、自治体等と連携して、利用者の受皿となる代替サービスの確保など、サービスの円滑な移行に万全を期してまいるつもりでございます。

小池晃君

 これをきちっと引き継ぐということは事業体の方には義務付けられていると思うんですが、そこのところをちょっと説明してほしいんですが、省令がちゃんとあると思うんですけど、そこをちょっと言ってくれというふうに言っておいたはずなんですが。

副大臣(石田祝稔君)

 これは、基準の中で提供拒否の禁止と、こういうことで、指定訪問介護事業者は正当な理由なく指定訪問介護の提供を拒んではならないと。そして、サービス提供困難時の対応としても、やはりこれは適当な他の指定訪問介護事業者等の紹介その他必要な措置を速やかに講じなければならないと、このように書かれております。

小池晃君

 利用者に犠牲を強いるようなことは絶対にあってはならないというふうに思うんです。

 そこに加えて、先ほどからちょっと若干議論のあることなんですが、このコムスンが、親会社のグッドウィルグループがそのグループ企業の日本シルバーサービスに譲渡すると、これホームページに出ているんです。もうはっきり出ているんです、昨日の段階から。

 私、これ調べてみてびっくりしたんだけども、日本シルバーサービスというのは、元々昨年八月にコムスンが子会社にした会社なんですよ。コムスンの子会社に事業譲渡するという。

 見てみたらば、これグッドウィルグループのホームページに全部出ていることなんですが、今回の厚労省の処分発表直前の六月一日に、コムスンが保有している日本シルバーサービスの全株式をグッドウィルグループ内の別会社に譲渡しているんですね。コムスンの子会社から外しているんですよ、六月一日に、その日本シルバーサービスという会社。これ実は、その売った別会社というのはあのクリスタルグループの一員だった会社なんですね、グッドウィルが買収した。そういうことを六月一日にやっておいて、そして今度は、コムスンの事業をかつてコムスンの子会社だった日本シルバーサービスにこれを譲渡するというんですね。子会社からグループ内の別会社に替えたわけですよ、直前に。私、本当にひどいやり方だと思いますよ、これ。看板の掛け替えにしても余りにも悪質じゃないですか。

 大臣、これは全部はっきり公開されている情報です。ホームページに全部出ているんです。私、こういうやり方で、元々子会社だったところをわざわざ直前に、株のやり取りをしてグループ企業に付け替えて、そこに事業を譲渡する。では、名前変わったからもういいですよ。これで、こんなやり方認めていいと思いますか、大臣、ちょっと率直な感想でもいいです、お聞かせ願いたい。日本経団連の理事企業でこういうことをやっているというのは、本当、私、日本資本主義も地に落ちたなというふうにつくづく思いますけれども、大臣、こんなやり方を認めていいと思いますか。

国務大臣(柳澤伯夫君)

 この事業譲渡につきましては、午前中もお答えしたかと思いますが、私自身は実はまだその状況の報告も受けておりませんし、委員は今、ホームページに出ているということで広く知られた事実であるということを言われましたけれども、私自身は詳細には承知をしていないと、こういうことでございまして、いずれにしても、今後十分に精査する必要があると考えております。

 そういうことで、これから私どもは、利用者のサービスの確保、それから譲渡先事業者における法令遵守の徹底が重要であるということでございまして、こうしたことをまず具体的に見極めながら対応していかなければならないと、こういうように思いますけれども。

 今、委員から紹介をされて私、初めて知ったわけですけれども、そういうことであれば、私どもも非常に対応においてなかなか難しい局面になるというふうに言わざるを得ませんけれども、今、委員は日本の資本主義も地に落ちたということで、そういう私も感じを持つ面もありますけれども、しかしまた他方、我々は法治国家であるということで、私ども、法律に基づく行政ということも同時に遵守しなければならないということの中で、先ほど冒頭申したように、十分事態を把握して今後のことを考えてまいりたいと、このように思います。

小池晃君

 こんな法の網をかいくぐるようなやり方を絶対認めちゃいけないというふうに思います。

 終わります。

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