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166通常国会 厚生労働委員会 雇用対策法「改正」案に関する質疑(フルキャストへの厚生労働省の業務委託問題も)

  • 2DKに3人、寮費5万で働きづめ/寮付き求人 実態示す/小池議員/低家賃住宅の確保を求める(関連記事)
2007年5月29日(火)

小池晃君

 日本共産党の小池晃です。

 四月十日の質疑で、労働者派遣法違反で行政処分を受けたフルキャストグループに関して質問いたしました。

 このほかにも、雇用関連業務の委託先企業が法令違反をやっていないか総点検をして、違反が摘発された企業やグループ企業への委託や指定は見直すべきだとただしました。それに対して柳澤厚生労働大臣は再検討すると委員会で答弁され、いろんな報道もされております。早急に対応すべきだと考えますが、検討結果はどうなっていますか。職安局長、答えてください。

政府参考人(高橋満君)

 四月十日の本委員会におきまして、委員から、親会社が労働者派遣法に違反した企業がハローワークの就職支援業務、これを受託をしておると、この事実について問題ではないかとの御指摘があったところでございます。

 私どもといたしましては、この事業がハローワーク関連事業であると、こういう観点から、事業の適正な実施を図っていくという観点からは、当該事業の入札参加資格等におきまして労働者派遣法等の違反があった事業者の関連会社をそのまま受託できるようにするというのはなかなか問題ではないかと、こういうことで、排除する方向も含めて今現在検討を行っておるところでございます。

 現在検討中ということで、具体的な見直し内容については申し上げることは差し控えさせていただきたいと思いますが、できるだけ早期に結論を得ることができるよう対応してまいりたいと考えております。

小池晃君

 排除する方向でというのはもう少しはっきり言ってほしいんだけれども、大臣は片方で仕事をお願いしながら片方で行政処分するというのはおかしいじゃないかとはっきりおっしゃったわけだから、大臣、やっぱりこれはきちっとけじめ付けていくということですよね。そこをちょっとはっきり言ってください。

国務大臣(柳澤伯夫君)

 今回、いろいろな法制をお願いしているわけですが、その際、私ども関連の、二つ問題ありますね。労働関係法令に反している、しかし違う法律体系の下だけれども、我々の行政の行使する、そういう執行する労働法令に、関連法令に反しているという場合に、違うんだからいいじゃないかという考え方のケースが一つと、それからもう一つは、その問題で、正に我々が検討している問題で、子会社なら、関連会社ならいいのかという二つの側面があるんだろうと思うんですけれども、やはりこれらは関連の仕方にもよります。ただ出資しているだけとかということだと、それをどこまでそのアームを伸ばしていくかというそういう判断も別途必要かと思いますけれども、いずれにせよ、非常に、ほとんど一〇〇%子会社とかというようなことになりますと、ただ法人格が違うということだけでこれを認めるというようなことはむしろ適切でないと、こう私は思いまして、具体の問題としては、なお事務当局に検討させます。

小池晃君

 こういうのは、やっぱり毅然とした態度で臨んでいただきたいというふうに思います。

 それから、法案では雇用対策基本計画の廃止が先ほども問題になっています。なぜ、これまで閣議決定してきた政府としての雇用対策基本計画をなくすのかという問題なんですが、これは、これまで経済計画で国際公約をして、現在の第九次雇用対策基本計画にも明記されている、例えば年間総実労働時間千八百時間、これはもう実現しないままですね。で、常用労働者の段階で二千時間超しているなど非常に深刻なわけです。その上、サービス残業も蔓延しております。時短法がなくなり、今回、計画自体がなくなることで、千八百時間の達成という目標、完全になくなってしまうと。

 元々こういう労働政策あるいは雇用計画というのは、一年だけではそう簡単に進まないからこそこういう長いスパンの計画を持ち、取り組んできたんではないかと。常用雇用労働者の労働時間の削減目標を掲げるとか、こういった形で今後とも国民に見える形でしっかりと中期計画を持つということが必要だと思うのに、なぜこの大事な雇用対策基本法をなくしてしまうのか。やっぱり、きちっとした中期計画というのは必要ではないですか。

政府参考人(高橋満君)

 今回の改正法案におきまして、雇用対策基本計画につきましては、その調和を求められる中長期的な経済計画が終了しているということ、また経済のグローバル化の進展など経済社会の状況変化が大変大きく、また速くなっている中で、国が固定的な期間を定めて計画を示すと、こういう実効性というものが乏しくなってきたということなどから今回廃止をするということを提案をさせていただいたわけでございます。

 ただ、いわゆる政府としての中長期的な雇用対策の基本的な考え方ということにつきましては、いわゆる「進路と戦略」というものに示されておるわけでございますし、私ども厚生労働省といたしましても、私どもが実施をいたします雇用対策の具体的施策の方向性につきましては、今申し上げた「進路と戦略」を踏まえつつ、本改正案、本案で規定をされております国が講ずべき施策に即しながら、中期ビジョン、仮称でございますが、こういうものを策定して公表をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。

小池晃君

 中期ビジョンというのが出ているわけですが、これは実態としてどうなのか。政府全体の方針ではないわけですよね。これは厚生労働省の行政運営上の方針ということなのかどうか。こうした計画の中には主人公たる労働者の意見は一体どのように反映されるのか、その仕組みについてはどうですか。

政府参考人(高橋満君)

 ある意味では、政府全体としての基本的な考え方というものは「進路と戦略」の中で示されることになるわけでございまして、そうした基本的な考え方を踏まえて、厚生労働省として実施をします雇用対策の具体的な方向について中期ビジョンというものでお示しをしていこうということでございます。

 この中期ビジョンを策定するに当たりましては、私ども、労働政策審議会に対しても御報告、広く御意見を賜りたいというふうに考えているところでございます。

小池晃君

 その閣議決定の基本計画から厚労省の政策目標ということですから、明らかに、格下げという言葉が適切かどうかは分かりませんが、そういう位置付けになってくる。一方で、先ほどから議論になっているように、規制改革会議あるいは経済財政諮問会議の方からは、労働者の代表は排除されておりますし、そこから規制緩和が声高に、最賃上げるな、解雇しやすくしろ、派遣緩和しろと、画一的な労働時間の上限規制は導入するなと、もう本当に戦後の労働法制の基本を踏みにじるようなことが様々出てきているわけですね。

 大臣、私、こういうときだからこそ、やっぱり国が一定の期間の目標というのをしっかり定めて責任を負うと、勝手な議論は許さないと。やっぱり労働者の立場に立って、きちんと労働者の意見も反映した形で閣議決定をしていくという役割は本当に逆に大きくなってきているんじゃないかと。こういうものをなくせば、一層、経済財政諮問会議なんかから起こってきているような正に経済政策最優先の名前で、雇用対策は後回しにされて、労働者を守るルールが次々破壊されていく、そういうことになるんじゃないかと。

 そういう意味では、やはり廃止せずに、しっかりこの労働政策の基本である基本計画というのは残すべきじゃないかと考えますが、大臣、いかがですか。

国務大臣(柳澤伯夫君)

 先ほど来、辻委員の方からも、一つは、法の形式というか計画、中期計画というものが存在しなくなったということなのか存在しているのかということを論点として議論があったわけですが、私はこれは計画、中期計画はもうなくなったという見解です。

 それはなぜかというと、そもそも私は、この中期計画は、細川内閣のときに赤松さんが経企庁長官になった、そのときに私は、細川内閣の出していることからすると、計画なんというのはおかしいじゃないかということを予算委員会でやったことがあります。まあそれと関連があるわけじゃないんですが、今度のローリングシステムの「改革と展望」は……(発言する者あり)ごめんなさい、じゃ、もうこれは省略します。「改革と展望」は、あくまで展望なんですね。つまり、ある種、見通しなんですね、計画ではない。そういうことですから、私は、そこはもう重大な変質が起こっているんで、やっぱり我々が依拠すべき計画ではないと、こういうことでございます。

 そうして、今度は実質的に計画というものを重んじるべきではないかということについては、私どももビジョンという形で、計画とは名のらないわけですが、ほかも、中期的な計画はほとんどもう政府は、ほかの役所のものも大体終わっているんではないかと、このように思いますが、私ども、そういう例からしても、やはり計画ということでなくてビジョンということで、私どもとしては今後、労働法制の具体化の展望を公表していくのがよろしいと思います。

 それから、中身の問題で、経済財政諮問会議あるいは規制改革会議からいろんな意見が出ているではないかということについては、私どもはその都度、私どもの考え方に基づいてしっかり意見を闘わせていきたいと、このように思います。

小池晃君

 大体、中期計画みたいなものはほとんどなくなっているからこれもなくすんだというのは、余りにも乱暴な話でね。先ほどのやっぱり話もありますけど、経済計画については、なくなったというのはやっぱり私も聞いていて根拠ないなと思います。やっぱり国として責任ある雇用対策の計画を出さなくなるというのは、極めて無責任な改定であるというふうに思います。この部分も撤回を求めます。

 それから、今回の法案では、青少年の応募機会の拡大を進めるために雇用機会の確保を図られるように努めなければならないと、青年の雇用の問題が出ておりますが、問題は具体的な中身であります。

 そこで、お聞きをしたいのは、厚労省はフリーター二十五万人常用化プランというのを掲げておりまして、二〇一〇年までに、フリーターについて、ピーク時で〇三年の二百十七万人から二割削減が目標だと。百七十二万人が目標になるわけですが、既に昨年、百八十四万人になったわけですから、残り十二万人ということになるわけですね。しかし、フリーターで正社員を希望している人は、最近の統計でも、男性の九割、女性の七割。だとすれば、これから先、十二万人正社員になったとしても、百万人以上の圧倒的なフリーターは希望が実現できないということになる。これ我慢しなさいということなのか。しかも、三十五歳以上のフリーターはこの計画の中には入ってこない。これで十分な対策と言えるのか、参考人にお尋ねします。

政府参考人(高橋満君)

 フリーター常用雇用化プラン、平成十七年五月から策定をして取組をやってきておるわけでございます。

 当時はフリーター二十万人常用雇用化プランということで、二十万人の常用雇用化を図っていこうということを打ち出したわけでございます。この当時の考え方は、とにかく年々増加をしてきておるフリーターの増加傾向の転換を図っていこうと、こういうことで、二十万人ということで開始をいたしたわけでございます。その後、十八年度におきましては、その目標を更に二十五万人まで引き上げて取り組んでおるわけでございますが、それぞれ十七年度は二十三万人余、十八年度は三十五万人余という常用雇用が実現したわけでございまして、こうした効果もそれなりに寄与する形でフリーターの減少ということを見ておるというふうに思っておるわけでございます。

 今後とも、正社員を希望されますフリーター等の常用雇用化の実現ということに、今後とも更に力を入れて対応してまいりたいというふうに思っております。

小池晃君

 全然答えていないじゃないですか。これから先、百万人以上のフリーターそのままでいいのかと聞いているんですよ。これ、この計画ではこれに答えていないんですね。しかも、この数字の問題点として、派遣労働者が入っていないわけです、このフリーターの数には。

 実は、内閣府の調査というのが以前あって、これは派遣社員も含めて四百十七万人、二百万人厚労省の統計と違いがあるということで問題になって、その後、内閣府はこの数字出すのをやめてしまった。厚労省の数字だけになって、実はこれでフリーターの現状というのは正確に把握されていると言えるのかという問題があると思うんです。

 派遣労働者、とりわけその中でも登録型派遣の労働者、現在百九十三万人に上るわけです。この場合、期間は半年程度が圧倒的なんですね。とりわけ、この間質問で取り上げている日雇派遣というのは究極の不安定雇用だと思います。少なくとも、急速に増えている日雇派遣を含む登録型派遣は、やはり明確にこの対象として含むべきではないか、どうですか。

政府参考人(高橋満君)

 フリーターの定義につきましては、私ども、年齢が十五から三十四歳までで、男性は卒業者、それから女性は卒業で未婚の者、このうちパート、アルバイトで働いている方、あるいは失業者でパート、アルバイトの仕事を探している者、さらに非労働力人口のうち、希望する仕事の形態がパート、アルバイトだけれども具体的な求職活動を行っていないその他の者と、こういうことで定義をいたしているわけで、御指摘のとおりフリーターの中には派遣労働者というものは含まれておらないわけです。

 派遣労働者については、元々派遣元に常用雇用されている者も一方でおるわけでございますが、他方、登録型派遣として働く方々の中には既婚女性の方もおられる等、様々な実態としてあるわけでございまして、なかなか一律にこれらの方をすべてフリーターということでとらえて定義に入れていくというのは、必ずしも適当ではないんではないかと。

 ただ、派遣労働者の方におきましても、私ども、ハローワークにおきます常用雇用化プランの中で取り組んでおる対策については、当然、派遣労働者の方も含めて対応しているところでございます。

小池晃君

 派遣労働者を全部フリーターに入れろなんてことを私は言っていないんですよ。さっきから言っているように、登録型派遣は入れたらどうかと。

 元々実態としてはパート、アルバイトと同じ働き方をしながら、間接雇用ですから派遣会社に一部賃金も差し引かれるわけで、直接雇用のパート、アルバイトに比べればより不安定で低賃金という実態もあると思うんです。だから、雇用政策の対象だというのであれば、削減すべき数値目標の中に入れるのは当然ではないかと私は言っているわけですよ。

 大臣、こうした労働者を不安定な身分から脱却させて常用雇用にしていく、できるだけ安定させていくというのが政策課題だとすれば、どれだけ達成するかの数値目標の中にやっぱりきちっと、こういう登録型派遣のようなものを組み込んで、それをきちんと数値目標として政策課題にしていく、これは当然じゃないですか。これを入れないで、これがフリーターの目標、こうでこうなりましたというだけでは、こういう登録型派遣の人たちはこれはもう知りませんと、このままでいいということになるじゃないですか。そこ、どうですか、大臣。

国務大臣(柳澤伯夫君)

 これは、いずれにしても派遣という概念で分類をするのか、あるいは、何というか、それが期間的にいうとごく一部の労働であるというところに着目して分類するのかということでありまして、また、小池委員等が御質疑の中で触れられたように、マルチジョブの人をどうするかというようなことも問題提起としてあるわけでございますから、私どもとしては、今後いろんなビジョンを作成するときなぞの機会に、もう一度本当にそうした非正規の方についてどのようなコンセプトで事態を整理するのがいいかということは考えてみたいと思いますが、今すぐに、小池委員が言われるように、すぐにここで回答をするということにはならないと思います。

小池晃君

 余計なこと言わないでいいから。きちっとやっぱり政策課題であるというふうに認めていただいたというふうに私、受け止めます。

 さらに、先日の質疑では、日雇派遣労働者の人数は不明だという答えがあったんですが、延べ就労数というのは、これは業者の側、日雇派遣を専門とする派遣事業所ってこれ一杯あるわけですから、そこを調べれば把握可能なんじゃないですか。局長、どうですか。

政府参考人(高橋満君)

 いわゆる、日雇派遣と言われている方がどういうような実態なのかということについて、委員からもいろいろ御指摘を受けているところでございます。

 私どもといたしましては、派遣元事業主を通じまして、日雇派遣労働という形で働いておられる方の状況について、サンプル調査的なものも含めて今現在、実施に向けて検討を進めておるところでございまして、こういう中で一定の属性と申しますか、数という、全数というものが必ずしも日本全国の中でどれくらいいるかということまで把握できるかどうか、これは正直申し上げて非常に難しい面がありますが、どういう属性なのかということはある程度、サンプル調査という形ではありますけれども、把握できるのではないかというふうには思っております。

小池晃君

 これ、実態把握急いでやるべきだというふうに思います。

 やっぱり登録型派遣、日雇派遣、雇用対策の対象となるといいながら、やっぱり一番大変な事態に置かれている人たちがこういうところなんですね。だから、やっぱり大臣、政策課題だというふうに私は先ほどおっしゃったと思うんですが、やっぱりきちっと実情に応じた実態把握、それから数値目標の設定ということをこういう分野についてもやっていただく検討をしっかりやっていただきたいということを申し上げたいと思います。

 その上で、先日、東京で三千三百人の人が参加をして、不安定雇用の問題解決を求める青年の大集会というのが開かれました。その実行委員会が翌日、厚生労働省の交渉をやりまして、私も同席しましたが、その中ではネットカフェ難民やハンバーガーショップ難民と言われる人たちの相談を受けている首都圏青年ユニオンあるいはNPOの皆さんから、何といっても住宅確保が大事だと、最大、最優先の課題だという話がありました。

 そこで、大臣にお聞きしたいんですが、大臣は、この法案の本会議での答弁で、ネットカフェ難民対策を問われて、これらの者には、まず住宅、住居を確保するための相談支援とともに、より安定的な就労機会を確保するための支援を行っていく、これが中心課題だと答弁されました。この住宅を確保するための相談支援、どういう相談支援をしようと考えておられるのか、御答弁願います。大臣。

政府参考人(高橋満君)

 ネットカフェ難民の方のある部分は、住宅というものが確保できないということでこういうところに寝泊まりをしておるという方がおられるということは確かにあるわけでございまして、そういう意味でそういう方々に対して住宅を確保していくということは非常に大事なことであるわけでございますが、私ども、ハローワークでどういうことがこの住宅確保に向けての相談支援ということでできるか、様々検討をしなければならない課題だというふうに思っております。

 例えば、ハローワークがこれから求人を確保していく上で、寮付きの会社の求人を確保して情報提供をしていくとか、そのほか、どういう形であれば住宅の確保ができるのかの関係機関等も含めた相談や情報提供といったこともその検討の課題になるのではないかというふうに思っております。

小池晃君

 いや、ちょっとその話は違うんじゃないですか。だって、寮付きの会社の求人ということと住居を確保するための相談支援というのは、これ違うと思うんですよ。やっぱり、しっかり家を確保するという問題と、寮付きの会社の求人というのは非常に重大な問題があるんですね、実態を見ると、後でちょっとその問題は議論しますが。これは全く違うと私は思います。その問題はちょっと後で議論したいんですが。

 ちょっと大臣に聞きたいんですが、大臣は住居を確保するための相談支援とおっしゃったんですよ。やっぱりしっかりと、こういう社会問題になっているわけですから、国交省なども含めて、省庁を超えて、やっぱり低家賃でしっかり家に入れると、そのための支援をやっていく。これ、まず本当に政府を挙げて取り組む課題として正面から受け止めてやっていくべきじゃないですか。そのことをまずちょっと大臣に確認したい。

国務大臣(柳澤伯夫君)

 私どもは、今のネットカフェ難民の方々が住居がないということでそういうところに寝泊まりしながら仕事に出掛けるという、そういう実態をまず的確につかむということが大事だということを申し上げているわけです。

 その後において私どもがやらなければならないのは、住宅の支援であるということだし、またそれが、私どもの方は就業が一番中心ですから、就業と住宅とが、住宅支援をやって就業をやるというよりも、そこに関連付けたものがあるのがやっぱり我々向きだということであります。

 その中で、今、小池委員が言われるようなことも、私ども今、全然違う、これは医療の方ですけれども、国交省ともいろんな話をしていますから、場合によってそういうようなこともあり得るかとも思いますけれども、この人たちとの関連でいえば、やっぱり仕事との関連性ということを私どもとしては考えざるを得ないということです。

小池晃君

 私、そういう姿勢ではこの問題を解決することにならないし、むしろそういう労働者を非常に苦境に追い込むことになるんだというふうに思うんです。

 実態をちょっとお話ししたいんですが、寮のある会社なら、じゃ何でもいいのかというと、すごい実態があるんですよ。

 例えば、紹介すると、あの羽田空港、成田空港にあるリムジンバスがやられています。ここで働く労働者というのは、これホームページなんかで寮が付いているからということで、全国から若者が集まってきているそうなんです。これは日航とか全日空、京成電鉄などが主要株主になっている東京空港交通というのが運行しているんですが、これ外部委託をしています。その請負会社というのが大変問題だと。

 そこで働く労働者の話を聞くと、早朝から夜十一時、十二時まで働く。そのまま空港に寝泊まりして、翌朝五時半からという働き方もある。月平均の労働時間、三百数十時間。休日は月二日もあればいい。二日、三日。一日実働で十五から十七時間の勤務が続くが、残業代なし。雇用保険、社会保険は未加入だと。彼らが首都圏青年ユニオンに加入して交渉して、割増し賃金の未払は是正することの回答がありましたが、労基法違反の働かせ方は続いています。

 問題は今度、寮なんですよ。これ民間アパートを借り上げた寮が光熱費も含めて一括して会社が管理している。二DK、三Kなど、三人で同居しながら、寮費が月五万円取られる。しかし、各部屋にはかぎが掛からないようなところに、顔も知らない、名前も分からないような人が一緒に住んでいる。交代の仕事だから、隣にだれがいるか分からない。いつの間にか隣に違う人がいるということもあるんだと。物がすぐになくなると、そんな状況もある。

 寝るところがあればよいといっても、こんな労働時間のひどい状況でありながら、プライバシー全く守れないような、これを寮だと言って押し付けるような、こういう実態が今広がっているんですよ。

 基準局長にお聞きしますが、労基法では寄宿舎として守るべき基準というのは定められていると思いますが、こうした法律はきちっと守られているのか。そもそも、届出されている寄宿舎というのは幾つあるのか、全国で。実態調査、やっているんですか。

政府参考人(青木豊君)

 委員のお尋ねでありますけれども、寄宿舎につきましては、現在設置されている総数というものは把握しておりません。

 この労働基準法九十六条の二に基づき、事業附属寄宿舎あるいは建設業附属寄宿舎を設置、変更又は移転する場合には、お話ありましたように労働基準監督署長への届出というものが必要であります。その件数というのは平成十七年で一千九十六件ございます。しかし、廃止の届出を取っているわけではございませんので、そういう意味で総数が幾つになるかというのは、残念ながら承知をいたしておらないわけであります。

 この平成十七年において労働基準監督機関が定期監督を実施いたしました。この際に認められた事業附属寄宿舎、それから建設業附属寄宿舎についての労働基準法の違反件数は、まず規則を作って届け出るということになっておりますが、こういったものの未作成、規則の未作成、未届け、これは基準法九十五条違反でありますけれども、百三十七件でございました。

 それから、寄宿舎の設備又は安全衛生の基準、こういったものは、清潔だとか、それから保温だとか防湿だとか、そういったことを定めているわけであります、あるいは定員とか、そういったことも定めておりますが、この基準に違反しているというものが、これは労働基準法九十六条違反でありますが、百八十七件でございました。

 それから、設置変更、移転の未届け、これが四十九件ということになっております。

小池晃君

 総数や実態も把握されていないんですね。

 今、東京ではやっているレストボックスという会社があるんですよ。これ、一晩千五百円程度で二段ベッドに宿泊できるような場所なんです。そこに泊まると自動的に建設現場などの仕事と一体になっていて働きに行くことができるっていう宣伝していて、ホームページなんか見ますと、駅の近くにビルがあって、その部屋の中に二段ベッド幾つか置いてある。今はネットカフェよりは少しまし、横になって寝れるだけいいと、こういうような実態ですよね。プライバシーの問題もある。そういったところで働いて、稼いで、アパート借りれるようになりたいと思っても、なかなかまとまったお金たまらずに抜け出せないという状況だというふうに聞いている。このレストボックスというのは年商八億円というビジネスに今なっているそうなんですね。

 基準局長、聞きますが、こういう形態の場合は、労基法上の寄宿舎としての届出というのは必要ないんでしょうか。

政府参考人(青木豊君)

 労働基準法九十四条に規定する事業の附属寄宿舎というものを規制をいたしておるわけでありますけれども、これは元々、通勤距離内の地域からの労働者の確保が困難だという事情があったときに、かつて、こういった事業附属寄宿舎というのを事業主が造って、そこに入れて労働者を確保するというようなことがございまして、それが言わばその事業者の事業の生産活動と密接にかかわっていまして、私生活との混交が起きるという弊害が現れまして、結局、その労働者の私生活の自由が損なわれるということで、その私生活の自由の保障と併せて安全衛生、そういったものも全うするということでこの九十四条の規定を作って規制をしたわけでございます。

 そういう意味で、この九十四条に言います寄宿舎につきましては、まず寄宿舎であり、かつ事業に附属すると、こういう要件になっております。

 お話の具体的なのは、ちょっとそれ聞いただけでは分かりませんけれども、寄宿舎であると、相当人数の労働者が宿泊して共同生活の実態を備えているということであれば、仮に寄宿舎であるといたしましても、事業に附属するかということでありますと、それは言わば労務管理上、共同生活がこれは要請されているものなのかどうか、あるいは事業場内又はその事業場の近辺にあるのかどうかと、そういったことで判断をいたしているわけでございますので、この届出が必要かどうかという、寄宿舎に当たるかどうかと、附属寄宿舎に該当するかどうかというのはレストボックスそのものを一概に判断することはできないと思いますが、そういう意味では、今申し上げたような要件に該当するかどうかということを総合的に判断をするということがあるというふうに考えております。

小池晃君

 事前には、何か共同浴場とか共同トイレとか寮としての自治とか、そういうのが条件だと聞いたんですが、そうじゃないんですか。簡単に。

政府参考人(青木豊君)

 今お話しになりました便所とかふろとか、そういうものにつきましては、そもそも寄宿舎なのかどうかと。例えば、アパートであるとか正に宿舎ですね、そういうものと違って、ここで規制する寄宿舎であるかどうかというときの判断として先生がおっしゃったとおりであります。だから、そういう意味では、ちょっとお話にあったのは、仮に該当するにしても、もう一つ、事業に附属している寄宿舎かどうかということが要件があるということでございます。

小池晃君

 そうすると、こういうのは対象になってこない可能性もあると思うんですね。非常にやっぱり問題だと思うんです。

 寮付きの働き口というのは今本当に広がっていて、NHKが漂流するフリーターという番組やりましたが、そこでも紹介されていました。請負会社などが普通のアパートを寮と称して入居をさせて、病気で休みたいと言っても合いかぎ開けて入ってくるというような話ですね。しかも、賃金からは高い家賃、光熱費を差し引いて、少ない金額しか渡さない。生産計画変わると、また次の寮に移れということで連れていく。ニコンの偽装請負で過労自殺に追い込まれた上段勇士さんのケースもこういう働かせ方だったわけです。

 私、住み込みあるいは寮付きの求人ということをさっき、大臣までおっしゃったんですが、こうした実態を把握した上で言っておられるのかと。私は、こういう働き方がどんどん、まあ寮が付いた仕事が駄目だとは言いませんよ。しかし、住むところがないという弱みに付け込むような形で、やっぱり家に付いている仕事みたいな形で提供していくようなやり方がどんどんどんどん商売として広がっていく、こういう実態、そのままにしておいていいと思いますか、大臣。

 やっぱりこういったことについては、しっかり労働行政として問題意識を持って取り組んでいくべきではないかと。ただ単に、寮付きだからいいんだというような形で私は認めてはいけないと思いますよ。大臣、いかがですか。

国務大臣(柳澤伯夫君)

 私ども、このインターネットカフェ、そこに寝泊まりをしてということについては、もう余りにも劣悪な条件の下で、将来ある若者をそうした生活に追い込んではいけないという考え方から、まず実態を把握する、しかる後に住居の確保というものが必要だろうと、同時にそれは就業の確保でなければならないと、こういうことでありますが、他方において、今労基法でも、届出という意味である意味牽制をしている、健全性あるいは健康保持の牽制をしているといういわゆる宿泊、寄宿舎付きの労働の現場というものについてはこれまた別の問題があるということでございますので、これらを総合的に勘案して、今のいろいろな形で大変大きな勢いで広がり始めている、そうした若者を対象にした住居付きあるいは住居なしの労働の形態ということに対してしっかりした取組をしていかなければならないと、このように考えます。

小池晃君

 住居と仕事を結び付けた、昔は飯場、ひどい場合は逃げ出すことができないタコ部屋なんというのがあったわけですね。

 現代の日本で、正に働きたくてもお金がないということで、住むところがない人にその弱みに付け込むと言うとあれですが、困っている人を対象にした言わば貧困ビジネスというようなものが急速に広がっているわけですね。やっぱりこういったものに対して、労働行政としてしっかり向き合っていただきたい。きちっと適切なやっぱり規制というのはしていかなきゃいけないというふうに思っております。

 私は、日雇派遣などの派遣労働の激増を始めとして、こういう不安定雇用の増大というのが正に労働法制、派遣法制の規制緩和が根本問題だと思うし、こういうネットカフェ難民とか、あるいはこういう事態に追い込まれるような若者が多数生まれてくるような国は断じて美しい国とは言えないというふうに思っております。厚生労働省として他省庁とも連携して、やはりしっかり住宅を確保するという独自の政策を持ってこれは臨んでいくべきだということを強く求めて、質問を終わります。

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