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日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008]

166通常国会 参議院厚生労働委員会 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案に対する質疑

  • 「残留孤児」給付制度を/小池議員が厚労相に迫る(関連記事
2007年4月12日(木)

小池晃君

 日本共産党の小池晃です。

 前回の委員会で、自民党の坂本由紀子委員から、雇用保険法の改正について成立が遅れているのは国会そのものの責任だという発言がありました。これは厚労省、大臣自身が謝罪されまして処分もされたように、厚労省の責任であることは明白であります。しかも、与野党合意で国会日程を決めているわけで、こういう発言は天につばするものである、国会運営全体を私は冒涜する発言だと思っておりますので、厳しく抗議したいと思います。

 その上で、本法案ですが、戦没者等の配偶者、父母に対する遺族年金、遺族給付金を恩給の改定に準じて引き上げる。これ、受けた労苦を考えれば国家補償として当然必要であり、支持できるものです。

 最初に、確認の意味で簡単にお伺いしますが、これまでは恩給額の改定に準じて法改正行われてきましたが、今後は、要するに公的年金の引上げ率によって自動改定を行う、今後は法改正の必要はなくなるということでよろしいですね。

政府参考人(中村秀一君)

 そのとおりでございます。

小池晃君

 このいわゆる軍人軍属だけでなくて、あの戦争の被害者全体に対して国として補償する、償うということは非常に大事なことだと思います。

 そこで、関連して、その一つである中国残留孤児の問題について伺いたいと思います。

 日本に帰国したいわゆる残留孤児は現在、何人ということになるんでしょうか。

政府参考人(荒井和夫君)

 お答え申し上げます。

 昭和四十七年の九月の日中国交正常化以降、中国から永住帰国した中国残留邦人は、平成十八年度末現在で六千三百四十三人でございます。うち、残留孤児の皆様方は二千五百十三人でございます。

小池晃君

 今、全国十五か所で訴訟が行われていますが、原告人数は二千二百十二人です。二千五百十三名の帰国者のうち九割近い方が、やっと帰ってきた母国を相手にしてやむにやまれず訴訟に踏み切っているという事態になっているわけですね。

 この間の判決は、東京地裁の特異な判決を除きますと、いずれも早期に帰国させる義務があったこと、これを認めています。神戸、名古屋地裁では国の自立支援義務も認めております。この中国残留孤児問題の全面的で速やかな解決のために、日本共産党の議員団としても、安倍首相に対して二月二日、申入れを行いました。残留孤児・婦人への謝罪と損害賠償、生活保護制度とは別の新たな給付金制度の創設、二世、三世の自立支援施策の確立、原告弁護団との継続的、定期的な協議という中身でした。一月三十一日には安倍首相が原告団代表と面談して、柳澤大臣にも首相から指示があったと聞いておりますが、どのような指示だったでしょうか、大臣、お答えください。

国務大臣(柳澤伯夫君)

 本年一月三十日、東京地裁の判決がありました後、安倍総理から、こうした裁判の結果とかあるいは法律問題とは別にして、中国残留邦人の方々への支援の在り方について、その置かれている特殊な事情を考慮して、与党ともよく相談しながら誠意を持って対応するようにとの御指示を受けたところでございます。加えまして、私は、総理との電話の話の中では、もう一つ、第三者である有識者の意見を聴くということも付け加えていただいたような記憶でございます。

小池晃君

 孤児の皆さんの実態をお聞きしますと、これ、原告団・弁護団が全国の原告二千二百人を対象にアンケートやっています。生活保護を七割以上の方が受けていることと、その生活保護を受けている方が一番不満に感じているのは金額が少ないこと、それから、中国に帰ると生活費が減額されてしまうこと、旅行ができないこと、こう続いてまいります。

 それから、就労経験については、六割以上の方が就労経験があるんだけれども、その職種で一番多いのは皿洗い、清掃作業、これは四三・八%、日雇労働が二〇・六%、言葉が不自由であり、帰国されたときに高齢になっていたということで、低賃金の単純作業にしか就労できないという実態があるわけです。

 大臣、真摯な謝罪ももちろんですが、孤児の皆さんが心から日本に帰って良かったと言えるようなやっぱり施策が必要なんだろうと思うんです。安倍首相も衆議院予算委員会の答弁で、皆様が、本当に日本に帰って良かった、生活は安心だと思っていただけるように、きめ細かに、そして誠意を持って対応しなければならないと、こう言っているんですね。

 大臣、大臣の率直な個人的な考えでもよろしいんですが、日本に帰ってきて良かったと言えるような水準というのは大体どういうものを考えていらっしゃるのか、お答えいただきたい。

国務大臣(柳澤伯夫君)

 先ほど来お答えをいたしていることの中でもお答えしたわけですけれども、本件につきましては、まず、中国残留邦人の方々の声をよく聴くこと、それからまた、第三者として有識者の御意見を聴くこと、加えまして、与党でPTが立ち上がっておりまして、この問題についてかなり専門的な御議論、御検討をいただいておりますので、これらとのすり合わせも必要かと思っているところでございます。

 そのような中で、今総理の言葉として小池委員が引用されたようなことも念頭に置きながら、これを、まあ一律に何かあれということになるのか、その他もういろんなことを総合的に配慮していくというような措置になるか、これは一部は、一部はと申しますか、かなりの程度、私どもとしては本年度予算におきましても取り組ませていただいているというつもりでございますけれども、そういったこと、全体合わせて考えていかなければならないと思っておりますので、今、小池委員の相場観はいかにということについて一義的なお答えをするのは、私は差し控えさせていただきたいと、このように思います。

小池晃君

 今年度予算に盛り込んだというのは、これは新たな施策じゃないわけですよ。総理が指示したのは、これは新たな施策なわけですね。時間もこれ夏までといってももう四月も半ばで、総理も余り時間を掛けずにやってほしいという、そういうことも答弁している。そういうことでいうと、首相の指示は新たな支援策だと。新たな支援策というのは一体何なのか。そういうことでいえば、私はやはり生活保護に代わる孤児独自の給付金制度の創設というのは、これは新たな施策というのであれば、どうしてもこのことは避けて通れない必要不可欠な施策になるんじゃないかと思いますが、大臣、いかがですか。

国務大臣(柳澤伯夫君)

 私もかねてお答えをしたわけですけれども、中国残留邦人に対する支援策の在り方につきましては、これまでの議論というものを、政府の内部の議論ですけれども、それを含めまして一度白紙に戻して残留邦人の方々の実情をよく把握した上で対応していくという考え方でございます。それがどのようなものになるか、総理の新たなことを考えるようにということもございますので、そうした御指示も踏まえましてこれから考えていくということでございます。

小池晃君

 それじゃ何も言ってないに等しいんでね。昨日、中国残留孤児全国連絡会の代表の方が与党のプロジェクトチームに申入れもやっているんですね。その中身では、やはり新たな給付金制度がどうしても必要だと。その水準としては、やっぱり考慮すべきものとしては、総務省が発表している同世代の日本人の平均消費支出統計を基本にして、北朝鮮の拉致被害者の給付金も参考にしてと。これは神戸地裁の判決で、北朝鮮拉致被害者への支援よりも貧弱で良かったわけがないという、そういう判決もあるので、具体的には孤児一人当たり十七万円、夫婦月額二十四万円というような数字もお示しされているんですね。

 やっぱり白紙というんじゃなくて、新たな支援策なんですから、やっぱり生活保護制度とは別の枠組みで考えると、そういう枠組みでやっぱりやっていくんだということはお示しいただきたいと思うんですが、その水準も含めて、大臣、いかがですか。

国務大臣(柳澤伯夫君)

 今委員の御議論の中で拉致被害者の方々との比較にもお触れになったわけでございますけれども、私どもは、この点については、共通する要素もあるということもありますけれども、やはり異なる要素も相当あるというふうに考えておるということを申し上げておきたいと、このように思います。

 いずれにいたしましても、支援策の在り方については、度々申して恐縮ですが、残留邦人の方々の事情をよく把握して対応するということでございまして、その場合にはいろいろなことを考慮して、私どもとして、有識者の意見も聴きながら、また与党PTの方々の意見の積み重ねにも配慮をしながら結論を出していくということをこの段階では申し上げておきたいと、このように思います。

小池晃君

 孤児の皆さんが抱えている問題も様々なので、この夏までにすべての問題が解決するわけではないと思うんですね。大臣、やっぱり、大臣も面会されていますけれども、やっぱり継続的な協議の場というのをやはりしっかりつくるべきではないか。控訴の取下げもそうなんですが、やっぱり孤児問題の解決のために恒常的なやっぱり厚生労働省と孤児の皆さんとの協議の場をつくっていくと。このことについてはどうですか。

国務大臣(柳澤伯夫君)

 協議の場というものがどういうことをお考えの上で委員が仰せられているのかは理解をし難いと、こう思うわけでございますけれども、私どもといたしましては、まず、残留邦人の方々のいろんな生活の実情、あるいは直面している困難というようなことをしっかりその直接の声を聴きながら把握をし、そしてそれに対して的確な手当てが行われるような、そういうことを考えていきたいと、こういうことでございまして、今この段階で何か交渉と申しましょうか、そういうようなことを考えているということはございません。

 私どもとしては、先ほど来申し上げておりますように、まず邦人の方々の本当の訴えというものに耳を傾けること、そしてその上で有識の第三者の方々の御意見等もいただきながら、それからまた与党PTの積み重なった御議論にも、すり合わせと申しますか、そういったことをも考えながら、今後の取りまとめと申しますか結論を適切に得ていきたいと、こういうことでございます。

小池晃君

 それ、実態を知りたいんだったら、やっぱりきちっと定期的な協議の場つくって、もう本当に様々な問題抱えていらっしゃるんだから、そういう場にやはり着くべきだということを申し上げたいと思います。

 それから、続いて靖国神社問題なんですが、国立国会図書館が資料集出しまして、これ見ますと、旧厚生省と靖国神社が一体となって合祀進めてきたという経過が明白になっています。

 資料集を見ますと、旧厚生省の援護局が靖国神社との間で合祀基準に関する打合会など頻繁に開いて協議を重ねたという記録が収載されています。こうした打合会、例えば一九五八年四月九日の第四回合祀基準に関する打合会とか、同年九月十二日の第七回打合会、こういったものが資料が載っているんですが、そもそもこういう会合が開かれたということは事実はあるんですか。

政府参考人(中村秀一君)

 お答え申し上げます。

 今委員からお話がありました国会図書館でまとめられた資料におきまして、昭和三十二年から昭和四十五年にかけて、旧厚生省と靖国神社との間で十数回の打合会の記録が収録されております。これらの会合に関する資料につきましては、私どもに保管されているものはございませんでした。

 今回、資料に記載されているような会合が、その日時、出席者、議題等について行われたこと、これ神社側の資料でございますけれども、こういう資料がありますので、そういう会合そのものについては、私ども確かめるすべはございませんが、事実と考えられるというふうに思っております。

 ただ、いろんな記載がございますが、それぞれの例えばいろんな発言とかそういったものもございますが、その趣旨、文脈がどういうものであるかということにつきまして、詳細について確認できるものはないというのが現状でございます。

小池晃君

 会合は事実だというふうにおっしゃる。

 それで、打合会の厚生省側の参加者名も記載されているんですが、これらの人物は実在した人物ですか。

政府参考人(中村秀一君)

 例えば、今委員が触れられました第四回とか、その会議の出席者を見まして、それぞれ私どもが持っております当時の職員の記録と照らし合わせますと、姓しか書いていない記録でございますが、姓が一致しておりますのでほぼ確実ではないかと思います。ある方については漢字の表記が違うというようなことはありますけれども、それはその人のことで多分あろうと、そういった意味で当時、旧厚生省の職員であったのではないかと、そういうふうに考えております。

小池晃君

 この記録集見ますと、六九年の一月三十一日に靖国神社の社務所で開かれた会合で、神社側は厚生省との再確認事項として、法務死没者のA級十二名、それから内地未決死没者十名を合祀可としています。その後、七〇年に総代会で合祀を決定しています。

 それから、BC級戦犯の合祀についても、一九五八年四月九日の第四回打合会で厚生省は、個別審議して差し支えない程度で、しかも目立たないよう合祀に入れてはいかがだと提案して、同年九月十二日の打合会でも、全部同時に合祀することは種々困難もあることであるから、まず外地刑死者を目立たない範囲で了承してほしいと、BC級戦犯の合祀を先に決定するように打診して、実際はどうなったかというと、六一年八月十五日の審議で、A級戦犯は保留、BC級戦犯のうち外地処刑者は合祀、内地処刑者は合祀予定と、正に厚生省の提案どおりに実態は進んでいる。

 先ほど、会合もこれは事実であると、それから出席者も実在するということも認められた。大臣は先日の委員会で、A級戦犯合祀の経緯については政府としては承知していないと答弁されましたが、もちろんその最終決定は靖国神社が行ったものでしょう。しかし、そこに至る経緯をこれは承知していないという言い分は、この資料が出てきた以上、もはや通用しないんじゃないですか。大臣、いかがですか。──大臣、ちょっと、大臣の答弁だから。

政府参考人(中村秀一君)

 今委員が十数回ある打合会の中の一つ、一、二回のことを言及されましたが、私どもも記録を全部読んでみますと、最初の昭和三十二年六月三日の会では、神社側がこれまでの合祀基準、それから合祀されていない人などについて説明をしております。

 その二回目の会合では、従来、これは戦前からの合祀基準の範囲内にある人でまだ五十万人の方が合祀になっていない。まず、この合祀をしなきゃならないので、合祀するに当たって名簿などは厚生労働省に依頼があって、都道府県を通じてその名簿を提出するというようなことをしておりますので、そういう打合せが行われた後、従来の残りのものについてはどういうケースが残り、その数がどうか把握しなきゃならない、そういう議論をして、今度の大戦でいろんな方がお亡くなりになっている中でどういう形態があるのか、そういった意味で多様な亡くなり方がされているので、そういうことについて旧厚生省の、当時、引揚援護局でございましたけれども、そちらに依頼をしていると。

 援護局側では、援護法を取り扱っている立場上、その観点から、またその用語分類方法をもって話を進めたため、神社側にはまず援護法の理解をお願いしたいと、こういうようなことでございますので、結論から申し上げますと、様々な団体から当時、遺族についての情報を求められていた、そういうことについて調査依頼に対しまして対応してきております。

 そういった過程で必要な打合せなども行っておりますので、靖国神社と旧厚生省側の打合せも他の調査依頼への対応と同様に、多様な戦没者について多くの情報を持つ旧厚生省側が神社側の要請に従って戦没者の状況について説明等の協力を行ってきたというふうに考えておりますし、合祀の決定は靖国神社が行っておりまして、そのことに旧厚生省が積極的に関与したことはないということでありますし、今回の記録を見ましてもそのことが明確に表れているというふうに考えております。

小池晃君

 積極的にということじゃない、私、聞いているのは、関知してない、関与してない、経緯は承知してないと。これ承知しているじゃないですか。今の話聞いたって、全部綿密に打合せしてやっているということじゃないですか。だから、大臣、承知してないとか関知してないという言い分はもう通用しないですよ。そのことについてどうですか。大臣、はっきり答えてください。

委員長(鶴保庸介君)

 大臣、時間でございますので、手短にお願いします。

国務大臣(柳澤伯夫君)

 今、小池委員の質疑に対して社会・援護局長からお答えしたとおりでございまして、あくまでもこれは靖国神社がいわゆるA級戦犯を合祀を決定しているわけでございまして、決定権は靖国神社側にあったということでございます。したがいまして、合祀した経緯につきましては旧厚生省が合祀を決定することはないということでございまして、関知をしていないというのが私どもの認識でございます。

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