本文へジャンプ
日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008]

166通常国会 参議院厚生労働委員会 雇用保険法等の一部を改正する法律案に対する質疑

  • タミフル副作用被害/10代以外が4分の3/小池議員の質問で判明 緊急対策見直し要求(関連記事
2007年3月27日(木)

小池晃君

 日本共産党の小池晃です。

 今の議論ありましたので、ちょっと順番変えて、法案に入る前に薬害の問題をお聞きしたいと思うんです。

 二十三日に薬害肝炎の東京地裁の判決が出て、東京、福岡に続いて三たび国の責任が裁かれた。国の責任はこれ揺るぎないものになったと私は思っています。控訴は大臣、絶対にしないでいただきたいということをまず冒頭申し上げたい。

 それから、先ほどからフィブリノゲン製剤の有用性について議論がされていますが、これはその司法判断自体に私、疑問を持っていますけれども、東京地裁の判決が認めたのは、これはあくまで後天性低フィブリノゲン血症に対する有用性だけなんですね。判決では、そうしたごく少数の症例を超えた使用が肝炎感染を拡大させたんだということを断罪しているわけです。このことをしっかり受け止めるべきだと私は思うんです。

 その点で被害者の方というのは、国の責任があるとされた時期、投与された方だけでももう二十年。C型肝炎というのは、大体二十年、三十年で肝硬変、肝がんになっていくという経過ですから、そういう意味では大変心配な時期に今なってきているわけです。時間ないわけですね。

 やはり、解決のための時間ないわけですから、これは恒久対策を取るべきだと思うんですが、何よりも大臣はやっぱり被害者に直接会うべきだと思うんですが、先ほど弁護団の方に大臣官房の総務課からファクスが来て、訴訟にかかわらない肝炎一般対策についてならば担当者がお会いしますと、こういう回答だったと聞いています。

 何で大臣が会わないのか。これは会うべきじゃないですか。お答えいただきたい。

国務大臣(柳澤伯夫君)

 これはもう私、度々申し上げておりますけれども、片方で裁判をやっている。それで裁判の争点について、片方で裁判外で当事者同士が会って何か話をしていると。これは私は、通常、混乱をする要因になり得ると、そういう懸念がございまして、したがって、この争点になっていない一般的な政策についていろいろお話を聞かせてもらう、特に患者の方々の実情をいろいろ聞かせていただく、こういうことは担当者がお相手をさせていただきたい、いただけると、こういう考え方で一貫して今日まで来ているということでございます。

小池晃君

 それがおかしいんですよ。やっぱり民事訴訟の係属中でも当事者同士が直接話し合うということは日常的にやられているんです。しかも、薬害エイズにしても、ハンセン病にしても、訴訟係属中にきちっと原告団と政府が会って、政治解決やっぱり必要なんですよ、この問題は。だとすれば、担当者じゃ解決できないんですよ。やっぱり大臣が直接会って、直接その声を聞いて、大臣の政治的な決断で道を切り開かなければ解決できない問題なんだと。

 しかも、この薬害肝炎の問題というのは、訴訟だけ、それから恒久対策、切り離せない問題です。やっぱり一体の問題として考えなければ、訴訟を踏まえて恒久対策を打ち出していくということであれば、やはりきちっと協議をしていくことが最低限必要だと。会わないということを今御回答になったようですが、これ撤回していただいて、是非やっぱり直接会って耳傾けていただきたい。このことを最初に申し上げたいと思います。

 それから、続けてタミフルの問題ですけれども、医薬品医療機器総合機構に被害状況が寄せられていると聞いております。二〇〇四年、二〇〇五年の神経障害、精神障害について、十歳未満、十代、二十代以上、これ分けて示していただきたい。

政府参考人(高橋直人君)

 二〇〇四年度、平成十六年度のタミフルの副作用報告のうち、精神障害の件数は十代未満が五件、十歳代が七件、二十歳代以上が四件の合計十六件でございます。また、二〇〇五年度、平成十七年度につきましては、十歳未満が五十四件、十歳代が三十六件、二十歳代以上が二十三件の合計百十三件でございます。

小池晃君

 神経障害についても。

政府参考人(高橋直人君)

 神経系障害の方は二〇〇四、平成十六年度の件数は、十歳未満が六件、十歳代が七件、二十歳代以上が十八件の合計三十一件でございます。二〇〇五年度、平成十七年度につきましては、十歳未満が十六件、十歳代が十七件、二十歳代以上が三十七件の合計七十件でございます。

小池晃君

 結局、今の数字をお聞きすると、二〇〇四年は全体で四十六件で、うち十代は十四件だけなんです。それから、二〇〇五年は百八十三件ですが、十代は五十三件だけなんです。

 今日、資料の三枚目にお示しして、二〇〇五年の精神障害の部分だけに限った数字を、表を配っておりますが、先日、局長は経験的なデータから見て十代にまず集中して考えようというふうに述べられたんですが、実態で見ると十代よりやっぱり十歳未満の方が多いわけですね。これを見れば、やはりその前提、十代に限って検討するという前提崩れているんじゃないですか。

政府参考人(高橋直人君)

 十歳未満の方は、これはもちろんインフルエンザによる死亡あるいはその重篤性という、そこのリスクとベネフィットのバランスだというふうに考えております。ですから、インフルエンザの死亡率を見ても、過去五年ですともちろん十歳未満の死亡率が非常に高いということでございまして、そういった面。

 それからもう一つは、二月の末に投与開始後から二日ぐらいは保護者の方はよく見てくださいというお願いをしておりますけれども、それは今回の緊急安全措置の中にもそれはまた同様に強く警告のレベルを上げて入れておりますので、そういった意味では周りのケアがあるというふうに理解をいたしております。

小池晃君

 いや、説明変わっているんですよ。この間、十代になぜ限定するかといったら経験的なデータで十代が多いからだと、だから十代だと言ったけど、今答弁は十代はリスク、ベネフィット考えて十代だと言ったんだと言っているわけですね。

 いろいろおっしゃるけど、やっぱり十代の使用制限というのは、もう世間はそう思っていますよね。やっぱりこれ十代だということで線を引くんじゃなくて、何度も何度も、これで三回目ですが、言っているように、考え方でやっぱりハイリスクグループに使用しない、十歳で切るということにやっぱり根拠ないんですよ。そのことを踏まえて、これ緊急対策についても見直しをすべきだというふうに思います。

 しかも、この過去のデータを精査するというふうにおっしゃっている。これいつまでも待てないと思うんですね、千八百件の。これは一体いつまでに結論を出すんですか。

政府参考人(高橋直人君)

 一千八百件の、これはタミフルの副作用報告の件数全体でございます。ですから、過去これまでの全部でございますけれども、それは元々最初に医療機関あるいはメーカーの方から原票で上がってきまして、それをデータベースに打ち込んでいきますけれども、私どもとしてはその原票に立ち返ってもう一回一枚一枚見ていくということでございます。ただ、元々内部疾患系の副作用が多うございますので、そういった意味で作業にはそんな手間取らないだろうというふうに考えております。

 一枚一枚のその作業がどれくらい掛かるかはちょっと今、私、今はっきり申し上げませんけれども、できれば四月の上旬にはそういったものをまとめて一回、審議会で御議論いただきたいというふうに考えております。

小池晃君

 医薬品機構の方では、これまで異常行動による転落の犠牲者あるいは突然死の場合については、これは副作用救済給付については不支給という決定をされているようです。これは一体なぜですか。

参考人(山田耕蔵君)

 タミフルが原因薬の一つとして含まれ、これまで肝機能障害あるいは薬疹等の健康被害を受けて救済給付の対象になった事例がございます。一方で、異常行動及び突然死がタミフルと因果関係があるとして給付金の支給を行ったケースはございません。

 医学的、薬学的判定につきましては、私どもの方で厚労省の判定部会の方に申出をしております。その結果も踏まえて今申し上げたようなことでございます。

小池晃君

 大臣、被害者の方々はこの不支給決定を撤回して速やかに支給してほしいという要望も出しておられるんですね。

 因果関係について否定的だと、これは先々週ぐらいまではそう言っていましたよ。しかし、それは見直すと、やっぱりこれ撤回すると。方針変わってきているわけですよ、明らかに。やはり、今までのこの因果関係否定的という見解を見直すのであれば、これはやっぱり当然、救済給付の対象にしていくべきではないかというふうに考えますが、大臣、いかがですか。大臣、大臣。

国務大臣(柳澤伯夫君)

 まだ、要するに否定的ということはまだ変わっていないんですね。その否定的ということが正しいかどうかということを再度チェックするということを今我々は考えているわけであります。

小池晃君

 だから、その結論が変われば、もちろんこの救済給付の不支給という決定についてもこれ見直しということになりますねということを聞いているんです。大臣、大臣。

政府参考人(高橋直人君)

 そこはちょっと一般的な因果関係と個別のケースをちょっと区別しなければいけないと思いますけれども、それは今審議会でこれから議論を始めるのは一般的なその因果関係の見直しです。それから、救済給付関係のものは、そういうものの知見が変わった場合に更に個別にどうかというものが審査が入るということでございます。

小池晃君

 そんな仕組みのことを聞いているんじゃない、政治の問題として聞いているんですよ。やっぱり今まで因果関係がないということで不支給になっていたんであれば、もし因果関係否定的となれば、これは個別のケースがどうなるか、それはもう個別にあると思いますよ。しかし、基本的にはその因果関係がないということが、変更されたら当然見直すことになるんじゃないですか。その点について大臣にお聞きしているんです。当然見直すでしょう、それ。

国務大臣(柳澤伯夫君)

 そういうことでこの因果関係についての評価が変更されるということになれば、それはその段階で適切に対処するということでございます。

小池晃君

 これは当然のことだと思うんです。

 それから、天下りの問題を前回、私、質問しました、厚生労働省から中外製薬に。大臣は利害関係が判断をゆがめるようなそうした事態というのは断固避けなければならないと答えて、これは私、全くそのとおりだと思うんです。だとすれば、やっぱり二年たってから行ったから、法律守っているからいいというんじゃなくて、やっぱり厚生労働省の官僚が在職後に製薬企業に天下りする、これは大臣、好ましいことではないという認識をお持ちですよね。

国務大臣(柳澤伯夫君)

 この問題は、今正に国家公務員の制度の問題としてこういうことを一体どういうふうに変えていくかということについて正に今検討をしているという段階でございます。

小池晃君

 いや、私はそういう天下り一般の、今は一般論として言っているんではないんですよ。やっぱり薬害ってもう立て続けに問題になってきている。正に、薬害エイズのときにミドリ十字の問題、まあミドリ十字はフィブリノゲンも。全部天下りの構造があったわけですね。それがやっぱりこういった薬害の温床になってきたんじゃないかということはずうっと言われている。だから、私は、全体としての国家公務員の天下りの問題とは別に、やっぱり厚生労働省で特に薬務行政にかかわってきたような人たちが、二年間のクーリングオフがあったにしろなかったにしろ、やっぱり製薬企業に入っていくというような構造自体を見直していく必要があるんじゃないかと。

 これ全然問題ないと思いますか。その点についてちょっと大臣の認識言ってくださいよ。だって、断固として利害関係がゆがめるようなことあっちゃいけない、断固としてとおっしゃったんだから。

国務大臣(柳澤伯夫君)

 私は、国民の立場から見て、薬剤の安全性というものがもう何よりも大事だということについては、もう度々はっきり申し上げております。

 問題は、厚生省に勤めた方がそういう製薬メーカーに一つのルールに基づいて再就職をするということが、即国民の薬剤に対する安全性を揺るがすようなことになるのかと。私はそこにはいろんな要素があるだろうと思っておりまして、二つの事象を直結して考えるという考え方を取るかと言われれば、私はかなりそこにはまたいろんな要素が介在して、チェックをしなければならない、そういう事態だろうと、このように考えます。

小池晃君

 もし現実にゆがめていたら、それはとんでもないことなんですよ。そんなこと絶対にあっちゃいけないんですよ。問題は、そういった疑いを抱かせる行政に対する中立性、公正性を、信頼を損ねるような行動を取っていいのかということが問われているんじゃないですか。当然ですよ、もし天下った人が行政の中身を実際にゆがめているとしたら、そんなのは重大問題ですよ。それは当然のことなんです。そうではなくて、やっぱりそういう疑いを少しでも国民に持たれるようなことについてはやっぱり正していく、特に薬害、薬事行政、本当にこの間、問題になってきたわけじゃないですか。

 そういったことに対して、やっぱり一定、見直しが必要ではないかという、そのくらいの認識もお持ちでないの。

国務大臣(柳澤伯夫君)

 もちろん、そういう事態を避けなければならないということは私ももう全く同じ立場なんですね。ただ、それが今直ちに、そのOBの人が製薬メーカーに第二の職場を求めるということが即そういう事態であるかということについては、私はそこにいろんな条件があるんだろうというふうに考えているということでございます。

小池晃君

 そういう姿勢ではやっぱりこの構造を変えられないと、私、思います。

 中外製薬から自民党の政治資金団体である国民政治協会に対する政治献金、九三年から二〇〇二年までの十年間だけでも四千七百十一万円、私どもの調査で出てまいりました。公的医療保険をその収入源として命と安全性にかかわっている製薬企業からの献金というのは、私、重大問題だと。やっぱりこういう構造自体を本当に大本から見直す必要があるということを申し上げておきたいと思います。

 続いて、雇用保険法案の問題ですが、最初に雇用対策予算の現状についてお聞きをしたい。

 貧困と格差の広がりに対して国の責任を果たすべきなんですが、来年度は国庫負担を千八百億円も削減するということで、到底容認できません。

 ここでお聞きしたいのは、そもそも雇用対策費というのが予算全体に対してどれだけの規模を持っているか。局長、厚労省一般会計の〇七年度の雇用対策予算額と、うち雇用保険の国庫負担額、国庫負担を除く雇用対策費はそれぞれ幾らか。政府の一般歳出全体に対する比率も併せてお答えください。

政府参考人(高橋満君)

 平成十九年度予算におきます厚生労働省所管の雇用対策関係予算でございますが、全体、一般会計分といたしまして二千三百十九億円でございますが、このうち雇用保険の国庫負担金が一千八百四十六億円、それからこの国庫負担金を除きます雇用対策費が四百七十三億円というふうになってございます。

小池晃君

 一般歳出全体。

政府参考人(高橋満君)

 政府の一般歳出全体に占める比率のお尋ねでございますが、ちょっと手元には数字がございません。

小池晃君

 それは通告してあるよ。

政府参考人(高橋満君)

 大変申し訳ございません。

 国の一般会計歳出に占める割合でございますが、先ほどの二千三百十九億円は、国の歳出全体に占める比率として約〇・二八%ということでございます。

小池晃君

 それだけじゃなくて、国庫負担を除く雇用対策予算の比率は何%ですか。

政府参考人(高橋満君)

 雇用保険の国庫負担を除く額四百七十三億円の占める割合は〇・〇五七%でございます。

小池晃君

 本当にわずかなんですよ。雇用対策費というのは、雇用保険に対する国庫負担を除くとわずかに四百七十三億円です。これは失業率五%だった〇三年時でも五百三十億円。ずっと低い額で推移してきて、今年最低になっている。

 大臣、日本の就業者のうち雇用者というのは八五%を占める五千四百万人なんですね。その労働者一人当たりにすると、雇用保険の国庫負担を除くと雇用対策予算というのはわずか年間八百七十六円ということになるんです。これで胸張って万全を期していると言えますか。

国務大臣(柳澤伯夫君)

 雇用対策にせよほかの何か対策にせよ、どういう財政措置が一番それに適しているかということを考えるわけです。

 ですから、例えば中小企業の予算、これはもう非常に少ないではないかと、こういって言われるわけですけれども、中小企業対策というのはやっぱり融資だとかそういうことでやる方がいいという価値判断があるわけですね。雇用対策についても、先ほどそれを、雇用保険特会の数字なぞを除いて一般会計歳出ではどうかという御質問をなさっているわけですけれども、やっぱりこれは雇用保険を含めてどういう雇用対策を打っていくかということを考えるということになりますから、その対策予算あるいはそうした特別会計を通じて行われる施策は除外してというようなことで論ずるというのは少し偏りがあると私は思います。

小池晃君

 いや、どんどん雇用保険の国庫負担削っているからこういう数字でいろいろ示しているだけじゃないですか。

 それは、雇用保険に対する国庫負担だって大事な国庫支出だと思いますよ。しかし、もうこの間どんどんどんどんそれを削っているわけですから、そんなに何かむきになって胸を張るような話じゃないんじゃないですか。全体としては本当に貧弱なんですよ、やっぱり厚生労働省といっても。厚生省の中で労働省は本当に予算規模としても小さいわけでしょう。これは現実なんですよ。やっぱり雇用予算、本当に全体としては少な過ぎる。

 しかも、今回の雇用保険への国庫負担削減の理由としては、積立残高が増加して財政状況が良くなっていると言っているんですが、何でそうなったのかというのを今日、資料の一枚目にお配りをしております。

 これ前回、〇三年の雇用保険の改定で保険料を三千億円引き上げ、給付を四千百億円カットいたしました。これ私たちは、求職者、労働者と失業者の両方に深刻な打撃を与えるということで反対をいたしましたが、前回改定の結果どうなったのか示しているのがこの一枚目の表です。

 これ改定前と後で比べると、雇用保険の受給実人員は、年平均失業者全体の三二・一%から二一・三%に、実数でも四十万人減となっています。給付日数が大幅に削減されましたから、二〇〇〇年には百八十日以上が六二%、これが〇五年では二五・四%と半分以下になっている。逆に、百八十日以下の給付が三八%から七四・六%に二倍になっている。受給者の大半が半年以内という、こういう構造になっているんですね。この間というのは正にリストラが吹き荒れて、有効求人倍率も年平均〇・五から〇・六という大変厳しい時期だったわけですが、全体の給付が削られた。

 局長、もう簡単でいいです、余りのんびりしゃべらないで。

 給付対象をカットして給付日数を大幅にカットした結果、特別会計が大幅に黒字になってきた、そういう経過であることはこれ間違いないですね。

政府参考人(高橋満君)

 基本的には、雇用失業情勢が改善をしてきているということが非常に大きな背景事情としてあるということと同時に、確かに御指摘がございました平成十二年の改正、平成十五年の改正といったような面から見た制度改正の影響ということも決して否定はできないというふうに受け止めております。

小池晃君

 それが一番大きいんですよ、この財政について言えばね。雇用保険財政は潤ったかもしれないけれども、失業者はセーフティーネットからどんどんはじかれていると、こういう現実が生まれているわけであります。

 引き続き、その雇用保険の今の実態についてお伺いしたいんですが、日本の労働者の失業者のセーフティーネットというのは雇用保険だけです。ヨーロッパのように失業扶助などの制度がない。だからこそ、できるだけ広く加入してもらう必要があるわけです。

 ところが、働いている人のかなりの部分が雇用保険に加入すらしていない、そういう実態があるのではないか。前回の質問で、急速に広がるネットカフェ難民の問題、日雇派遣の実態も紹介いたしまして、フルに働いても社会保険に入れないという実態があるということを指摘をいたしました。

 局長にお伺いしたいんですが、日本の雇用者の中で公務員等除外される人、これを除いて雇用保険に加入していない雇用者、労働者というのは一体どれだけいて、雇用者の中に占める割合はいかほどのものか、お示しいただきたい。

政府参考人(高橋満君)

 雇用者全体で平成十七年五千四百七万人というのが労働力調査のデータでございますが、このうち雇用保険の適用除外になっております会社の役員、六十五歳以上の者、それから公務員、それらを除きますと四千五百十五万人というふうに計算されるわけでございますが、これと被保険者数が三千五百十四万人でございますので、約八割のカバーということになろうかと思います。

 ただ、この残り二割の方については、例えば学生のアルバイトであるとか、週所定労働時間二十時間未満の方であるとか、一年の雇用見込みがない労働者等々が考えられるわけでございますが、と同時に、本来適用されるべき方でされていないと、何らかの事由で未適用になっているという方たちも当然あり得るわけでございますが、その人数がどれくらいかということについては必ずしも十分な数値を把握はいたしておりません。

小池晃君

 今お話があったように、今日、資料の二枚目に入れておりますが、これが厚労省が作ってもらった表なんですけれども、大体一千万人雇用保険加入していない人がいる。今答弁でもお認めになりましたように、この中には雇用保険に本来入るべき資格を持っている人もいるはずなんですね。

 ところが、今の答弁では、そういう人がどれだけいるのかというのは把握していない。私は、非正規雇用とかフリーター問題、大きな問題となって、そこから抜け出せないということが格差固定化しているという、大問題になっている。そういうときに、雇用保険未加入者の状況が正確に分かっていないというのは余りに問題だというふうに思うんです。

 ちょっと詳しくお聞きしたいんですが、こうした未加入者の中には、いわゆるマルチジョブホルダーと言われている人、あるいは個人請負契約などの方も含まれると思いますが、そうした実態は調査しているんですか。

政府参考人(高橋満君)

 今のお答えをいたします前に、本来適用されてしかるべき方で適用されていない方の場合、これは労働者の御本人から申立てをいただければ、公共職業安定所におきまして被保険者資格を確認するなどの適切な対応を図っておるところはまず御理解いただきたいと思います。

 それから、マルチジョブホルダーでございますが、これ、統計的には平成十四年の就業構造基本調査というものである程度数が把握できますが、雇用者のうち副業がある者であって副業も雇用である者、これが約八十一万人というふうに調査の結果が出ておるわけでございまして、雇用者全体に占める比率としては一・五%というふうに承知をいたしております。

小池晃君

 個人請負は。

政府参考人(高橋満君)

 個人の業務請負の人数でございますが、これにつきましては特段の把握はいたしておりません。

小池晃君

 今あったマルチジョブホルダーと言われるような幾つものパートを掛け持っているような労働者、あるいは日雇派遣、実際は雇用されているにもかかわらず、契約だけ個人請負にされている人々等々、実際には働いていながら、雇用者でありながら、毎日毎日働いていながら雇用保険の枠外に置かれている人が急速に増えていると言われています。このマルチジョブホルダーの問題は衆議院の審議でも問題になって、答弁では見守っていきたいというふうな答弁だったんですが、これは見守っているだけじゃ駄目だと思うんですよ。

 局長、やっぱりこういうその実態、マルチジョブホルダーと言われる人たちの実態、あるいは個人請負契約の労働者の実態、特別な調査が必要だと思いますが、いかがですか。

政府参考人(高橋満君)

 マルチジョブホルダーにかかわります適用の問題、大体どれぐらいいるかというのは先ほどお答えしたところでございますが、ただ、マルチジョブホルダーの方を、それぞれの就業が雇用保険の適用の範囲を下回っているような、適用されないような働き方の場合、これをどう扱っていくかという大変難しい問題があると。一つは……

小池晃君

 だから、調査するかしないかと言っているんです。

政府参考人(高橋満君)

 ここについては、我々、結局、調査の問題以上に、制度として失業というものをどうとらえていくかとか、あるいは給付をどうやっていくかとかという制度の設計の考え方にかかわる話でございますので、これは引き続いてやはり検討をしていくべき課題というふうに思っております。

小池晃君

 実態分からなきゃ設計なんかできないでしょう。調査しなきゃ設計なんかできないでしょう。さっきから言っているんだから、実態把握していないって。だったら調査ぐらいしたらどうなんだと。今こういう働き方が大問題にもなっているときなんだからね。

 大臣、調査ぐらいするべきじゃないですか、やっぱりこういう実態広がっている、社会問題にもなっているんですから。大臣、いかがですか。

国務大臣(柳澤伯夫君)

 先ほど、平成十四年の就業構造基本調査で、ある程度数字を把握しているという御報告、御説明を申し上げましたけれども、そうした調査の機会に、より重視をした姿勢でこの調査に臨んでいくということは考えることであると、このように思います。

小池晃君

 どういう重視をするのか見守っていきたいというふうに思います。

 私たち日本共産党は、これまでも、この学卒者、フリーターなどの職業訓練の問題、そのときに生活保障をすべきだということを提起してまいりました。やっぱり非正規の若者などの多くが実際には雇用保険制度の枠外に置かれている方が多い。しかし、政府の今までの見解というのは、雇用保険の被保険者でない人に雇用保険財政から給付することはできないんだということで、これ、突っぱねられてこられました。

 私は、やっぱりこういう若者の今のそのいろんな多様な働き方を強いられている人たちに対して、きちっとやっぱりスキルアップをしながら生活を保障していくという、そういう枠組みをつくるとすれば、やはりその必要な施策をやっていく上で、雇用保険財政という枠組みだけではなかなかできない部分があると。やっぱりそこについては新しい枠組みを考えていくようなことが必要なんではないかと思うんですが、大臣、いかがですか。

国務大臣(柳澤伯夫君)

 現行制度でどういうことがあるかということをまず申し上げますと、ハローワークでこの受講あっせんを受けた者に無料で公共職業訓練を実施しているわけですが、同時に、雇用保険受給者以外の低所得世帯に対する教材費等の支援として技能者育成資金の貸付けもありますし、生活費等の支援としては生活福祉資金の貸付けといったものがございまして、こういうことで支援をすることができると。さらに、平成十九年度からは年長フリーター等を対象として職業訓練コースを開発しまして、一部、土、日、夜間の訓練を実施することによって、このような方々が訓練を受講し、生活と両立させるという意味でそうしたことが容易になる環境を整備することといたしております。

 ですから、今後とも、このような制度の周知に努めて、もっとこうした支援について活用してくれる若者が出てくれるように積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

小池晃君

 今の枠組み一歩も出ない答弁ですよね。フリーターをなくすというんだったら、やっぱり雇用対策予算そのものを大幅に増額することが必要だし、再チャレンジといいながら、フリーター二十五万人常用化プラン、この予算は昨年の二百二十四億から二百十八億に減らしているわけです。その上、雇用保険の国庫負担を削減する、正に逆行であり、言語道断だと私は思います。

 それから、今回の法改正の重大な問題点として、これまで六か月の被保険者期間で給付資格が得られていたものを、離職理由によって差別化する、自己都合の離職者を一年にする、この理由、何ですか。簡潔に、局長、答えていただきたい。

政府参考人(高橋満君)

 短時間労働被保険者とそれ以外の被保険者について、もう既に給付面で差異がないわけでございますが、今回、この区分を撤廃をするということに伴いまして、受給資格要件も一本化することといたしたわけでございます。

 それで、一本化するに当たりまして、公労使三者構成の労働政策審議会におきまして種々御議論をいただいたわけでございまして、その結果といたしまして、一つは循環的な給付や安易な離職を防ぐことが重要であるということ、それから解雇、倒産の場合など、労働者が予見できない失業については配慮する必要があることといったような観点から、解雇、倒産等による離職者については受給資格要件六か月、自己都合等によります離職者は十二か月とされたことを尊重して、今回御提案を申し上げているということでございます。

小池晃君

 資格要件を一年にすると安易な離職にならないという根拠は何ですか。

政府参考人(高橋満君)

 これは考え方として、そういう循環的な給付であるとか安易な離職を防ぐことが重要だということを踏まえて、解雇、倒産等による離職者が六か月との対比の中で、自己都合等について十二か月に設定をしたというものでございます。

小池晃君

 根拠全く示せない。

 元々、自発的離職には給付制限期間三か月というペナルティーあるわけですね。安易な離職を防ぐというんであれば、このためにやっていたわけで、この給付制限だけで十分安易な離職というのは防げるんじゃないですか。

政府参考人(高橋満君)

 給付制限は給付制限という制度の一つの目的、考え方があるわけでございまして、基本的に、雇用保険の基本手当というものを支給する対象としては、やはり非任意性のある離職であり、その保護をすることが社会的にも必要だと判断されるケースについて雇用保険が給付を行うと。

 ただ任意的、それとの対比で任意的な離職である自己都合につきまして、その後の失業状態が継続する中で保護の必要性も出てくる。そういう中で、この非任意的なものとの調整という観点で給付制限制度というものが設けられておるというものでございます。

小池晃君

 全く説明になってないと思うんですね。

 前回の給付の見直しの際に、給付制限に加えて、これは離職理由によって給付期間の差別化したわけですね。今回、さらに資格要件まで差別化する。六か月で得られていた要件が十二か月になることは、これは正に不利益な扱いになるわけです。

 具体的にお聞きしますが、昨年度の自己都合離職者で、被保険者期間が六か月から十二か月という人は何人いますか。

政府参考人(高橋満君)

 平成十七年度の平均の基本手当の受給者実人員六十二万七千八百三十七人のうち、被保険者期間が一年未満で離職理由が自己都合、重責解雇、本人の責による解雇である者の人数は、二万二千四百五十五人というふうになってございます。

小池晃君

 不利益な扱いをされる失業者、二万人以上いるわけです。

 社会保険制度の制度改定に当たって、突然、受給が減るというのはあるかもしれないけど、受給資格が喪失する、突然、受給資格が喪失する、こんな不利益を被る改定を行ったこと今までありますか。

政府参考人(高橋満君)

 例えば、雇用保険制度の中に関して申し上げますと、平成十五年改正の際、高年齢雇用継続給付の受給資格要件を見直したわけでございますが、この場合におきまして、従来の六十歳時点の賃金の一五%以上の低下に対して、これを二五%以上の下がった場合という形で給付を行うという例がございます。

 あと、あえて申し上げますれば、老齢年金の支給開始年齢の引上げというものも、ある意味ではそうした面もあったかというふうに承知をいたしております。

小池晃君

 あのね、給付が減るとか減らないじゃなくて、全く受けられなくなるという改定ですよ。しかも、年金の場合は、年金の引上げだって我々は大反対だけれども、でも、何年も時間掛けて始めて、で、毎年一年ずつ上げていくというふうなことをやっているわけでしょう。ところが、今回、これは十月からもう失業手当、今まではもらえていた人がもらえなくなるわけですよ。私は、こんな乱暴な不利益な扱いをしたというのはいまだかつてないんじゃないだろうかというふうに思うんですよ。乱暴過ぎる。しかも、一年未満の自己都合の離職の場合でも、これはやむを得ない離職というのはあり得るわけですね、実態として見れば。二万を超える離職者、これが安易な離職だとでも言うのか。

 私は、受給資格の要件を一年にするに当たって、こういう今回、受給資格を失う可能性のあるような人の実態について検討を行ったんですか。

政府参考人(高橋満君)

 先ほどもお答え申し上げましたとおり、十七年度の受給者実人員の中で一年未満で自己都合での離職をされた方というのは先ほどの御紹介をしたような数字であるわけでございますが、もちろん、この方たちがすべて正当な理由がある、あるいはないというふうに、あるいは安易な離職云々というふうに考えているわけではございませんが、先ほども申し上げましたように、制度のありようとして循環的な給付であるとか安易な離職を防ぐということが重要であると、こういう制度的な要請というものを重視したと、尊重したというものでございます。

小池晃君

 全然、駄目ですよ。

 衆議院の審議でも、正当な理由のある自己都合離職については資格要件を六か月とするよう省令に書き込むという答弁もあるようですが、正当でない自己都合離職というのはどういう離職なのか、その判断というのは一体だれがどうやってするんですか。

政府参考人(高橋満君)

 受給資格の認定をいたします場合、その前段として事業主が離職証明書というものを作成をいたして提出するわけでございますが、そこの中に離職理由というものが書かれておると。これについては労働者本人が同意しているか否かを確認する押印欄を設けて、両者で争いがなければそれで確認できると、こういうふうに措置をいたしているところでございますが、ただ、この離職証明書を基礎として労働者に交付されます離職票を持って安定所に来所をされました場合に、その時点で離職理由に、事業主が記載した理由とは実は違うんだと、こういうことで異議があるという形で申出をいただいた場合には、それは事業主、また求職者、両者に具体的に離職理由を再び聴取すると同時に、必要な場合には申立て内容に応じた調査を行うなどして、その判定を客観的かつ適正に行っておるところでございます。

小池晃君

 大臣は答弁で、雇用保険というのは離職をしたときにその後の生活をある一定期間助けてもらうということと述べておられるんですが、私、失業給付というのは失業時の生活保障だけじゃないと思うんですよ。これは再就職するための能力開発、あるいは就職促進給付もある。

 で、同じ期間、被保険者でありながら、離職理由によって生活保障だけでなくて再就職の権利、スキルアップの手段まで奪われる、こういうことが許されるんでしょうか。

国務大臣(柳澤伯夫君)

 これはもう先ほど来、度々職業安定局長が御答弁させていただいているとおり、要するに、失業等給付はやはり予見できない失業を保険事故として、保険金としての給付が払われると、こういうことでありまして、そうではない、自分で自発的な、あるいは任意の離職ということになれば、それはそれで自ら備えることも可能だということから、保険事故とこれを見ないという制度の立て方というのは十分あり得ると私は考えます。

小池晃君

 一体、雇用保険というのは何なんだと。今の大臣のお話だと、自己都合離職者というのはこれは給付対象にならなくたってやむを得ないと言わんばかりの話ですよ。これはおかしいんですよ。

 やっぱり、自己都合ったって、例えばリストラの最中だって自己都合離職というのは出てくるんですよ。あるいは、経営状態によってこれ、職場の労働環境変わったらばその環境では長く働くことができないと、もう苦渋の判断するっていう場合だって自己都合。あるいは、上司との人間関係が悪くなって辞職する、そういう場合だって自己都合。どこまで踏み込んで正当な自己都合なのかどうか。こんなこと行政がそもそも判断できるんですか、大臣。

国務大臣(柳澤伯夫君)

 いやいや、私が申したのは、自己都合だったら保険金を払わないということまで言っているわけではなくて、それは解雇、倒産等による離職者とはおのずから違うことになるということを申し上げたつもりでございます。

 やはり、それを小池委員は、これから雇用というものが流動化するわけだから、その間に例えば教育訓練を自ら選択するということもあり得るんだからそういう制度設計をしたらどうかと、こういう観点からの御質問だと思いますが、そうであれば、それはやはり本当に制度設計を根本から見直すということの中で、一つの課題としてそれを受け止めてこれから取り組んでいくことだということになろうと思います。

小池晃君

 余り分かってもらえないような感じなんで困っちゃうんですが、ちょっと具体的な事例で聞きますけど、ちょっと別のケースで、期間工の場合の問題ですよ。いすゞ自動車の工場で昨年三か月の有期雇用で働いていた労働者が、たまたまその後二か月、三か月、合計八か月って、そういうことになった。直前まで延長するかどうか分からない、そんなケースですよ。

 そもそも、期間工と呼ばれる労働者というのは、これは最初から更新は予定されない。それでも、工場の生産計画によっては引き延ばされたりするわけです。半年どころか本当はずっと働きたいんだけど、打ち切られる。局長、こういう労働者の場合の雇用保険の資格要件というのは、これは今度の仕組みではどうなってくるんですか。

政府参考人(高橋満君)

 期間雇用につきましてのお尋ねでございますが、考え方として、労働契約の更新のある旨明示されていない場合にありましても、離職時点において労働者本人より、一年を超えての雇用契約の更新の見込みについて事業主から何らかの約束があった旨の申出があった場合については、これは事業主側にも確認の上、両者の申立てのそごがないと判断できる場合には、契約更新の明示があったものとして同様に取り扱う、すなわち解雇、倒産等と同じものとして取り扱うと、こういうものでございます。

小池晃君

 これまでだったらば、半年以上働いたら受給資格がある。職安に行けば、受給申請やって次への再就職相談もできる。しかし、差別化されれば職安に行っても給付が受けられるかどうか分からないということになるわけですね。

 大臣、私、今有期雇用の主流というのは三か月なんかになってきてるわけですよ。労働者がやっていることは実際はもう基幹的な業務で、一般の、期間の定めのない労働者と全く同じような仕事をしていながら二か月、三か月の有期労働契約結ばれている。本来であれば、こういう本当に合理性のない有期雇用については規制するような国のルールが私は必要だと思うんですね。

 今回の仕組みで、雇用保険制度において労働時間にかかわらず一本化する、これはいいことだと思うんです。しかし、だったらば何で、それならだれでも、短期の労働者であろうが長期の労働者であろうがだれでも安心して給付ができるようにすればいいわけで、その中で非自発の離職者にはより厚い対応すると、こういう仕組みにすればいいわけで、何でそういう仕組みに仕立て上げていかないんですか。

政府参考人(高橋満君)

 給付日数にかかわっては、特定受給資格者についてとそれ以外とでは異なっておるというのはあるわけでございますが、今回、被保険者資格の統一に伴って受給資格要件を一本化するという際に、どういうふうに考えていくか、どのように設定していくかということでございまして、そうしたことにつきまして、先ほど来御答弁申し上げているとおり、この点について労働政策審議会において様々御議論をいただいた結果、御提案申し上げているような内容で御理解を賜りたいということでございます。

小池晃君

 労働政策審議会というのはあくまで審議会なんで、国会が最高機関なんで、労働政策審議会で決めたからこれでいくんですって、それじゃ説明になっていないんですよ。

 やっぱり私は、こういう受給資格そのものを奪うというような乱暴なやり方というのは、これは大変問題が大きいというふうに思いますし、やはりそういった点では受給資格というのは一本化していくと、労働時間にかかわらず。非自発であれば、そこのところは給付の内容で対応すればいいというふうに思っております。一本化するからといって不利益が生じる、今までよりも利益が後退する、不利益変更になる、こんなことを出すような改悪というのは私は絶対に許されない。再チャレンジ社会だというふうに言いますけれども、失業者が再チャレンジする権利がはっきり言ってこの二万人については奪われるわけですよ。こういう改悪は断じて認められないというふうに申し上げたいというふうに思います。

 それから、雇用に関連して、ちょっとこれは通告していない、今日起こった事態なんですが、東京労働局が日雇派遣最大手といわれるフルキャストに対して、派遣法で禁止されている警備や建設などの業務にアルバイトを派遣して業務改善命令出したというふうに言われている。しかも、これ全国五十三支店でやっていたというので、明らかに故意ですよね、これは。建設と警備ですからね、だれが見たって分かる。これは大問題だと。

 元々、私はそもそもそういう警備業者やあるいは建設業者がフルキャスト、まあフルキャストは悪いですよ、フルキャストに問題あると思いますよ。しかし、明らかに派遣法で禁止されている警備業者やあるいは建設業者からフルキャストに派遣を求めること自体が大変問題なのではないかと私は思うんですよ。

 大臣、これ細かい話じゃなくて、フルキャストに対する厳正な対応というのはこれもちろんです。しかし、やっぱり発注する側を取り締まる、こういう仕組みを作らないとこれはいけないんじゃないですか、今回の事案を見ても。大臣、いかがでしょうか。

国務大臣(柳澤伯夫君)

 これは派遣法で、要するに派遣をする業者としての私ども規制を掛けているわけでありまして、これに基づいて今回のような適用除外業務への派遣を行うということがあれば、それは改善命令をするということもその枠内で可能になったということであろうと思います。

小池晃君

 それはもうやっていることなんです。

国務大臣(柳澤伯夫君)

 その上で、今度はいわゆる派遣先の方をどうするかという問題については、もう度々ここで議論をしているわけでございますけれども、それらについては一定の今手続の中で行政の処分が行われるという仕組みの下にあるということでございます。

小池晃君

 派遣先に処分が行われないじゃないですか。こういうふうにもう明々白々ですよ。間違っちゃいましたという話じゃないでしょう、故意でやっている。これに対しても何もできない、そういう仕組みでいいのかということですよね。

 この派遣、偽装請負の問題も含めてですが、キヤノンの問題、これキヤノンの偽装請負は社会問題になっています。

 これ厚労省にお聞きしますが、キヤノンに対してはいつ是正指導を行ったんですか。

政府参考人(高橋満君)

 個別の企業にかかわります監督の状況に対するお尋ねでございますので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

小池晃君

 もうマスコミみんな出ているのに、これ言えないわけでしょう。だから、こういう問題なんですよ。こういう受け入れた側の企業に対しては物も言えない、腰が引けている、これが今の労働行政なんですよ。これでいいのかということが本当に私、真剣に問われていると思うんですよ。

 キヤノンの問題も昨年七月に大々的にマスコミに出た。しかし、キヤノンの現場では実は法律違反だということを認識しながら偽装請負をやっていた。

 これは私ども入手したマル秘扱いの文書なんですが、これタイトルは外部要員適正管理の手引と書いてある。発行は〇六年の二月なんです。中に何て書いてあるかというと、現在、キヤノンで働く総要員の三分の一は派遣労働者と請負労働者ですと、派遣労働者、請負労働者の活用の機会は今後更に増してくると思われますと。さらに、この中には、偽装請負は違法であり職業安定法によって罰せられる、派遣先が一年を超えて派遣を受け入れる場合は直接雇用の申込みを行わなければなりませんとちゃんと書いてあるんですね。これを〇六年の二月にキヤノンはちゃんと出しているんですよ。

 法令遵守だといいながら、実態としては、ようやく昨年八月に厚生労働省の指導で偽装請負から派遣に切り替えると。分かっていながらずっとやっているわけですよ。これが今の大企業の実態です。しかも、キヤノンの会長は日本経団連の会長である御手洗氏だと。経済財政諮問会議で、請負法制に無理があるんだと、これを是非見直してほしいと、いけしゃあしゃあと要求しているわけですね。自分の会社では違法をはっきり、もうこれ動かぬ証拠ではっきり把握していながら、承知で偽装請負を行いながら法律が悪いと。余りにも身勝手過ぎないかと。

 そもそも、先ほど言ったように、偽装請負の是正指導では受入先への指導は極めて甘い。だって、実態聞いても答えもしない。これが今の現状なわけですね。

 先ほど、重ねてになりますが、最近ようやく限度期間を超えた場合は派遣に転換を認めないということで、三月一日に、この派遣期間の制限に抵触している労働者派遣は特に厳正に指導するという通達出した。これはこれで当然しっかりやってもらわなければいけないというふうに思いますが、しかしこれは派遣先への直接雇用というふうになっていないんです。適正な請負でもいいよと、その他の雇用確保措置でもいいよと。これで本当に偽装請負解決するか。

 大臣、やっぱり受入れ企業に対する社会的制裁をどう加えていくかということも考える必要あるし、同時に、法違反した企業にはきちっと雇用責任取らせると。つまり、私どもは、やっぱり制限期間を超えたかどうかにかかわらずに、違法をやっていたんだから、違法であれば、それは違反企業に対しては直接雇用義務を課すと、こういう措置をするしかないと思うんですが、大臣、いかがですか。

国務大臣(柳澤伯夫君)

 これは私どもは、契約というのは両当事者の合意に基づくわけでありますから、そういう範囲の中で対処していくと。それで、しかもその中でできるだけ雇用というものを確保しようということで、今、小池委員が触れられたような幾つかのタイプの解決策というものを講じていくということでこの事態に対処しているということでございます。

小池晃君

 幾つかのタイプじゃ駄目なんだと、直接雇用義務を課すというふうにしなければこの問題は解決しないんだ、だって法律違反やっているんだから。それに対するペナルティーというのは必要なんですよ。やっぱりそういう点では本当に問題がある。

 キヤノンは三月二十四日の記者会見で、派遣、請負から二年間で千人正社員にすると、二千五百人を最長二年十一か月の期間社員にするとしました。しかし、これで問題が解決するのかというと、実は私どもこの前にキヤノンの本社の広報に問い合わせしまして、昨年、その請負労働者から正規雇用したのは四百三十人で、今年の中途採用予定は五百五十人だと言っていました。

 ところが、今回の報道というのは二年間で派遣、請負から千人の正社員だと。これ聞いたらば、結局、その中途採用の今年五百五十人という枠内のものなんです。だから、新しく決めたのは二年間で二千五百人の期間契約労働者の枠を設けたというだけなんです。しかも、キヤノン全体の派遣・請負社員というのは二万一千四百人です。製造部門の七五%が派遣、請負になっているわけですから、千人正社員にしたって本当にこの構造変わらないわけですね。

 実態として、私どもにはキヤノンの工場で働く派遣労働者からメールも寄せられています。こんなメールなんですね。偽装請負から何の説明責任も果たさず、よく分からないまま派遣に切り替わった。給料は変わらず、仕事は忙しくなるばかりだと、そして直接雇用の話など全くありません、それどころか、中途採用の話があったが、我々派遣社員は対象外なので応募しないようにと派遣元を通じて言われたと、募集の件も事務処理上のミスだというふうに言っているけれども、これはうそだと、こういうメールが私どもに来ている。正に人間、物扱いにするような、そういう会社の言い分と現場の労働者の言い分全く違うという実態が出ているんです。

 大臣、私、このキヤノンの偽装請負というのは、これは大きな社会問題にまでなったんだから、私は、厚生労働省として、キヤノンの工場、全国に一杯あります、全国一斉調査をする、そしてやっぱり特別な指導監督を行う、踏み切るべきではないですか。

国務大臣(柳澤伯夫君)

 個別の企業の問題についてはお答えは差し控えさせていただくしかございません。一般論として言えば、いわゆる偽装請負については、これはもう労働者派遣法に違反するもので、違反が確認された場合にはもう厳正に指導を行うということでございます。

 特に、昨年九月以降、偽装請負の防止、解消を図るため、いろんな取組をしているということはもう委員も御指摘になられたとおりであります。

小池晃君

 そういう通達出していることは、それはそれで私ども評価をいたします。

 しかし、やっぱり実態を見れば、個々の企業ね、この規制をかいくぐって違法行為が蔓延しているという実態があるわけですよ。そういう意味では、やっぱりそのキヤノンなんていうのは正に日本経団連の会長出身企業ですから社会的責任だって大きいはずのところが、実際はその違法だということを承知でいながらやっているという実態があるわけですからね。ここはやっぱり本当に厳しくやる必要があるというふうに思います。

 委員長、私、最後に、今国会というのは格差是正国会だと、それで労働国会だというふうに言われていて、衆議院の予算委員会などでは現場の請負労働者も参考人として意見も言っている。是非一度、この委員会に、キヤノンの会長でもあり日本経団連の会長でもある御手洗氏を参考人としてお呼びをして、これから様々な労働法制の審議をやるわけですから、一度じっくりお話をお聞きして、彼は彼で経済財政諮問会議なんかではもう勝手放題発言しているわけですよ。

 そういう意味では、やっぱり国政、国会できちっとそういう人たちを呼んでお話を聞くと。もちろん、だとすれば労働側からも来ていただいて、双方のトップから厚生労働委員会として話を聞くと。今の労働行政、どう考えているのかということについてきちっと語ってもらうと。そういう場、しっかりつくって、それで労働法制の議論するんだったら、私は、やっていけばいい、そういう場を是非つくっていただきたいということを、まあこれは要望として申し上げておきたいというふうに思います。

委員長(鶴保庸介君)

 後刻理事会にて協議をいたしたいと思います。

小池晃君

 ありがとうございました。

 以上で質問を終わります。

ページトップへ
リンクはご自由にどうぞ。各ページに掲載の画像及び記事の無断転載を禁じます。 © 2001-2010 Japanese Communist Party, Akira Koike, all rights reserved.