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166通常国会 参議院厚生労働委員会 児童手当法改正案に対する質疑

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2007年3月22日(木)

小池晃君

 日本共産党の小池晃です。

 児童手当の拡充は国民の要望でもあり、当然だと思います。今回の措置は決して十分ではありませんが、子育て世代の経済的負担軽減のため更に拡大を図るべきだと思っています。

 その点で、昨年の法改正については三位一体改革の名の下に国の負担を半分に減らす、地方に負担を押し付けるということで、私ども反対いたしました。その中で、やはり国が財政責任を維持すべきだということを主張したんですが、最初にお聞きしたいんですが、今回の児童手当の拡充で新たな負担を地方に負わせることはないというふうに理解してよろしいんでしょうか。

政府参考人(大谷泰夫君)

 お答え申し上げます。

 今回の児童手当の拡充に必要な財源のうち、平成十九年度の国、地方の負担増、この負担増分につきましては緊急雇用創出特別基金から国庫返納を前倒しするということで措置することとされておりまして、御指摘の地方負担分につきましても地方公共団体の負担増とはならないように、平成十九年度分は地方特例交付金によって措置することとされたところでございます。

小池晃君

 今後のことは課題として残っているわけですが、そういうことだと。

 子育て世代の悩みについてはいろんな調査結果がありますけど、やっぱり費用が掛かるというのがトップです。内閣府の十七年版国民生活白書を見ますと、一人の子供を二十一歳まで育てる費用が千三百二万円、二人目が千五十二万円、三人目が七百六十九万円ということで、これではやはりちゅうちょをするのも当然だと思うんです。

 今回、若い子育て世代等への経済的負担の軽減を図る観点からということで、三歳未満の乳児について第一子から一万円、しかし三歳になった途端にこれは第一子、第二子はまた五千円に戻ってしまうことになるわけです。

 資料をお配りしておりますが、さきの国民生活白書を見ますと、これは教育費に関していいますと、ゼロ歳から二歳まではもちろんほとんど掛からない、しかし三歳から五歳になるとこれは一挙に増大して二万円を超えます。特に授業料については、これ高校、大学に次いで大きな額、一万八千八百円、幼稚園の費用が掛かるわけですね。

 三歳までの拡充というのはこれ必要なんですが、三歳になったら半分になってしまうということでは、これは生活実態に照らしても合理性がないのではないかと思うんですが、この点いかがですか。

政府参考人(大谷泰夫君)

 御指摘のとおり、今回の児童手当の拡充は、比較的収入が低いと考えられます若い子育て世代等の経済的負担の軽減を図るために、厳しい財政状況の中で政府として最大限の措置を講じたものでありますが、この子育てに関する負担は経済的なものだけでなくて、御指摘のように様々な要因も考えられまして、児童手当などの経済的支援のみならず、地域の子育て支援策の拡充や働き方に係る施策などを含め、総合的な取組を進める必要があるというふうに考えております。

小池晃君

 しかし、三歳になったらまた元どおり元に戻るということでは、やはり子育て世代の願いにこたえることはできないというふうに思うんです。

 諸外国見ますと、アメリカを除く先進国のほとんどで手当制度があって、フランスが一番手厚いわけですが、そのほかスウェーデンは十六歳まで支給、第一子、第二子は一万六千円、第三子一万九千円、第四子二万七千円、第五子以降は三万円と。それからイギリスは第一子から支給で十六歳未満まで、第一子一万六千円、第二子一万円。ドイツは第一子から第三子までは約二万三千円、第四子からは二万七千円、十八歳未満までですが、学生の場合は二十七歳まで出ると。

 こうした、大臣にお伺いしたいんですが、外国の支給水準に照らして、私は決して十分とは言えない、かなり不十分だと。しかも、今挙げた国はどこもやはり財源の中心は国庫負担、公費負担なんですね。少子化対策が政府の最優先課題だというのであれば、やはり国が財源にもっと責任を持つ。全部国が責任を持つとは言いません。企業負担もやはりあってしかるべきだと思いますが、でもやっぱり国がもっと責任を持つ仕組みにしていく必要があるんではないかと思うんですが、その点、大臣いかがですか。

国務大臣(柳澤伯夫君)

 御指摘の子育てに関する給付につきましては、我が国より相当高い国民負担率となっていることを背景として、諸外国においてかなり手厚い給付が行われているということも事実でございます。

 いずれにせよ、子育てに関する負担は、私どもとしては経済的なものだけではなくて様々な要因が考えられるという考え方でございます。児童手当などの経済的支援にとどまらず、地域の子育て支援策の拡充やらあるいは働き方にかかわる施策などを含めて総合的な取組を国、地方、企業が一体となって進めていく必要があると考えているわけです。

 このような観点から、今回、内閣に重点戦略検討会議が置かれましたので、そこでこの子育て支援に関して議論を行って、制度、施策、意識改革などあらゆる観点からの効果的な対策の再構築、実行を図っていきたいと、このように考えているところでございます。

小池晃君

 ほかの制度も充実していて、だけど児童手当が少ないというのであればともかく、ほかもやはり子供に対する支援全体に少ないわけですから、やっぱり見直す必要があると。

 我が党は、衆議院で予算の抜本組替え案、提案しましたが、児童手当については第一子、第二子、月額一万円に倍増すると。〇七年度は国庫負担七百億、児童手当交付金千四百億、計二千百億円で、不要不急の無駄遣いあるいは大企業向けの設備投資減税や、あるいは大金持ち優先の証券優遇税制を改めるということで提案をしております。暮らしを守る予算に転換すべきだということを申し上げたいと思います。

 少子化対策として大事な施策として乳幼児医療の無料化がありますが、私どもかねてから国の制度として実現せよと言ってまいりました。〇二年、〇四年には参議院に無料化法案も提出をしました。国がなかなか重い腰を上げない中で、すべての自治体において何らかの形での軽減がやられていますが、局長にお聞きしたいんですが、六歳未満の医療費の自己負担分、これは現在幾らになっているでしょうか。

政府参考人(水田邦雄君)

 お答えいたします。

 六歳未満と申しますか、制度的には未就学児に係る医療保険の自己負担の総額になろうかと思いますけれども、平成十九年度におきまして約二千四百億円と見込んでございます。

小池晃君

 六歳未満の未就学児の医療費の無料化を行うとすれば、国の負担というのは一体いかほどになるんでしょうか。

政府参考人(水田邦雄君)

 この未就学児の自己負担を無料化した場合でございますけれども、医療保険の給付費につきましては給付改善に伴ってその波及増がございますので、平成十九年度におきましては三千八百億円程度増加すると見込まれるわけであります。

小池晃君

 そうすると、国庫負担二分の一というようなことにすれば千九百億円程度の国の負担になるかと思うんですが、そういうことでよろしいですね。

政府参考人(水田邦雄君)

 仮にその二分の一を国庫負担とした場合には、必要となる額は千九百億円程度と見込まれるわけであります。

小池晃君

 少子化に歯止めを掛け、子育てを支援する、その上でやはり国の制度として乳幼児医療費の無料化を実施していくべきだというふうに思います。

 続いて、今日、原爆症の認定訴訟で、東京地裁で二十一名については原爆症の認定申請却下処分を取り消すという原告勝利の判決が出されました。一昨日の仙台地裁に続くものであります。

 今日、資料二枚目にお示しをしましたが、これ九〇年代以降の原爆症の認定訴訟について、まあ十二連敗とよく言いますが、十二回の判決すべてが国の認定行政について違法を認めて、国側敗訴であります。ところが、今までの判決についてはすべて国は上訴している。

 裁判期間短縮しているとはいえ、国側が徹底的に争っていることがあって時間掛かっております。

松谷訴訟では提訴から確定まで十二年、小西訴訟は十三年、東訴訟は五年。で、その結果見ずに東さんは亡くなられた。現在進行中の集団訴訟は第一次提訴から三年経過をしているんですね。被爆者の皆さんは高齢化が進んで、一番若い方でもこれは六十二歳、平均七十五歳。

 これ、先日から与党の議員からもこの問題は指摘があるわけですが、大臣、実際、集団訴訟に加わっていた方の中でも相当の方が亡くなっているわけですよ。私、これ、大臣、率直な思いとして、こういう形でその判決が出て上訴繰り返すと、いたずらにね、司法の場で争い続けるようなやり方をいつまでも続けていていいのかと、このことについてはどうお考えですか。

国務大臣(柳澤伯夫君)

 私も原爆の原爆症を患う方々、こういうような方々が高齢化しているという現実は、本当によく胸を痛める現実として受け止めております。

 ただ、この訴訟ですけれども、これは放射線と疾病の関係に関する科学的な知見が争点になっているということでございまして、この各地裁の判決が医学放射線学の上で一般的な理解と異なる議論の下で行われてきているということでございますので、国としてはやはり上級審の判決を、判断を仰いでいかざるを得ないというところでございます。

 なお、今日、今回の仙台地裁判決、東京地裁判決につきましては、現在判決内容を精査中でございまして、今後の対応につきましては、判決を精査した上で関係省庁とも協議した上で決定することといたしたいと、これが私どもの態度でございます。

小池晃君

 一般的な知見と異なると言うけれども、負け続けて負け続けて、しかし司法で争い続けるという方が私は一般的な理解と懸け離れた態度だと思いますよ。こういうやり方はやっぱりやめるべきだと、到底国民の理解は得られないと思うんです。

 しかも、具体的に実態見てみると、これ専門家による審査会で意見を聴いてやっているからいいんだと、認定行政正当なんだというふうに国がおっしゃるわけですが、しかしこの審査が一体どうなのか。局長、実際にこの原子爆弾被爆者医療分科会の審査対象者の資料というのは、これは事前配付ではなくて当日配付だと聞いていますが、それはそういうことですか。

政府参考人(外口崇君)

 申請者から提出される情報でございますけれども、これは当日配付でございます。

小池晃君

 このやり方自体も、小西訴訟の東京地裁判決でも違法だというふうに言われたわけです。これ実態見ますと、一件当たりの審査時間はおおむね三分から八分だと、平均四分だというんです。

 広島県の医師会長で二年間にわたって委員を務めた碓井静照さん、この方が読売新聞のインタビューでこう言っている。数式の中に入らないものは除外される、結局は放射線の被爆の距離で機械的に処理されていますと、絵をかいて被爆の状況を説明したり、仲間とのやり取りを記したり、中には不自由な手で書かれているものもあります、しかし審査員は基準を満たして認定されると分かればほとんど読みませんし、認定されていない人のものを見ることはありませんと、被爆者の真の訴えにはほとんど目を通していません、実際には読む時間がないんですと、こういうふうに実際にその審査員やられた先生はおっしゃっている。

 資料は当日配付ですから、ほとんど目を通す時間だってないわけですよ。きちんと資料を読むことできない。これでは結局、幾ら専門家集めても、私は審査基準の機械的な適用にならざるを得ないんじゃないかというふうに思うんですが、いかがですか。

政府参考人(外口崇君)

 原爆症の認定審査は、原子爆弾被爆者医療分科会におきまして申請者から提出された認定申請書や医師の意見書などを委員に当日配付し、これは当日配付というのは個人情報が含まれておることからでございます。そして、審査の方針に基づきまして個々の状況を総合的に勘案して審査が行われているところであります。

 審査は、原則午前十時から午後五時まで丸一日の時間を掛けております。審査をするに当たりましては、事務局において事前に書類の確認を行い、十分な審査が効率的に行われるよう努めているところであります。また、案件によりましては次回以降の分科会に繰り越して議論を続けているケースもありますし、また審査の方針の中でも、原因確率等を機械的に適用するものではなく、当該申請者の既往歴、環境因子、生活歴等も総合的に勘案して個別に判断するということとされております。

小池晃君

 いや、そういうふうにちゃんとやっているんだったらいいんですよ。しかし、やられていないって現に二年間委員やった先生が言っているわけですよね。個人情報と言うけれども、名前のところ隠せばいいじゃないですか、そういう事前配付のものは。そんなことは幾らでもできるはずなんですよ。

 私、司法ではこの間こういう結論が出続けている、しかし国が上告していると、司法判断と違う認定基準になっていながらその見直しを行わないと、こういうことでは認定行政が信頼されるはずがないと思うんですね。

 大臣、もうこれは私だけが言っているんじゃない、与党からもそういう指摘があるわけですね。恐らくこれからもまたどんどんどんどん出てくると思いますよ。これは正に超党派の声に今なってきている。やっぱり認定行政の在り方を見直す方向に一歩踏み出すべきじゃないですか、これだけの結論が出てきたんだから。是非、その検討をするということを言っていただきたい。

国務大臣(柳澤伯夫君)

 今、小池委員の御指摘にもございましたけれども、与党の一部にもこのままでいいのかというような考え方の下でいろいろ解決案の模索をしていらっしゃる方がいることは私も承知をいたしております。しかし、その方々も、当然といえば当然なんですけれども、つまり政治的解決というようなことの観点からのいろんなお話のようでございまして、現在私どもが依拠している科学的な考え方、これに基づいた審査に対して、別にそれに対してまた理論的ないろんな違う考え方を提示していただくというようなことでは全くないわけでございまして、我々としては、これまで随分先生方にも専門的なことをお願いして、御検討をお願いして、そうしてこの審査基準というものを確立してきた立場からすると、やはりそういったものに安易、いや、すっと乗っていくというような考え方はなかなか取りにくいと私自身は思っているわけでございます。

小池晃君

 安易に乗っていくという話じゃないでしょう。十二回の司法判断ですよ。そういう発言は非常に問題だと私は思いますね。

 やっぱり冒頭申し上げたとおり、この仙台地裁判決、東京地裁判決とも、これ以上司法の場で争い続けるということはやめるべきだと。これは、控訴は絶対にしないでいただきたい。あわせて、やはり科学科学とおっしゃるけれども、その科学が司法の場では断罪され続けてきているんですよ、科学の名によって行われていることが。科学でないというふうに司法の判断が下っているんですよ。だから、やはり本当にこれは見直し、踏み出すべきだということを申し上げておきたいと思います。

 それから、おとといタミフルの問題を質問いたしました。局長は、おととい、異常行動や突然死とタミフルの関係は否定的だとおっしゃいました。しかし、その数時間後に十代への使用制限を深夜の記者会見で発表されました。これは、厚労省としてもタミフルの服用と異常行動ないし突然死、これに何らかの関係があるという疑いを持ったということですね。

政府参考人(高橋直人君)

 私どもの手元に、それぞれの症例について情報がきちんと集まっているものというのは昨年のシーズンまでのものでございます。

 ですから、二月の二つの転落事例、それから今回の事例は情報としては少のうございますけれども、そういった意味ではきちっとした証拠なり情報に基づいた因果関係の判断というのは特に変わっておりません。

 ただ、やはりこういったインフルエンザ脳症とかそういったものについては、実際のお医者さんでの診療時間というのは大変短うございます。そういった意味で、元々情報が制約されている中での情報ですから、私どもこれまでの、過去のこれまでのいろんな事例も含めまして、再度もう一回精査をしたいと、その上でもう一回審議会にかけまして、そういった判断についてもまた改めて審議をいたしたいと、かように考えております。

小池晃君

 おかしい。何も変わっていないんだったら何で十代使用制限したんですか。十代使用制限したということは、何らかのこれ問題があると思ったから使用制限したんでしょう。しかも、昨日タミフルの異常行動が〇四年以降十五件報告されていることが分かったんですよ。九件については今回初めて明らかにしたんですよ。何でこれ今回報告、今まで報告しなかったんですか。隠ぺいじゃないですか。

政府参考人(高橋直人君)

 死亡事例はこれまでも折々きちっと出しています。それから、審議会の方には、異常行動とか譫妄とか、そういったもので、それらについての副作用があったということで報告されております。

 ですから、今回のものの中で、私どもとして公にしていなかったのは、三月以降に四件のものがあったと思いますけれども、それを今回の事例と一緒に公表したということでございます。

小池晃君

 国民に対して正確な情報を流すというのは最低限の務めだと思うんですけれども、それを隠ぺいする。しかも、成人の異常行動も報告されているわけですよ。夜中の報告というのは、これは十代だけの使用制限なんですね、ところが。何でこれでいいんですか。九歳だったらいいんですか、二十歳だったらいいんですか、そのことに科学的根拠はあるんですか。

政府参考人(高橋直人君)

 ですから、今回の措置、二月のあれもそうですけれども、私ちょっと先ほどちょっと言葉足らずだったかもしれませんが、手元にある情報では因果関係についての判断は変えていませんけれども、もう一回これまでの事例を精査してみて見直したいということを今申し上げているわけです。

 それから、成人ほかその他の事例につきましては、これまでも、昨年までの分については死亡症例とかそういったものは全部出しておりますし、それから、そのほかのものについても審議会でそういった異常行動とか譫妄というか、そういうものは出ております。

小池晃君

 私の質問に答えていない。何で十代に限ったんですか。それには何か根拠があるんですか。十代に限ったということは、じゃ九歳の子はもういいわけですか。二十歳の子はいいんですか。科学的根拠があって十代に限定したんですか。

政府参考人(高橋直人君)

 今回の措置は、ですから、手元にあるそういった情報とか証拠とか、そういうものに基づいた措置を少し、それこそ予防的に考えて必要な措置をとったと。二月の末にそういった措置を一回とっておりますけれども、今回はその警告のレベルを上げたということであります。

 ですから、それについて、十代までに限るということは、これまでの転落事例が大体十二歳から十七歳に集中していると、それから、十代の方は元々は丈夫な体ですから、家でゆっくりお休みになっていれば自然にはインフルエンザは回復するということでありますので、そこは使用を最低限のものにしてほしいという要請であるということでございます。

小池晃君

 だから、予防的にとおっしゃるけれども、予防的に処理しなければいけないようになったのには何か根拠があるんですかと、今回そういうことに踏み切った根拠は一体、じゃ何なんですかと。だって、今までの知見は変わっていないとさっきからおっしゃるじゃないですか。それにもかかわらず変えたのはなぜなんですかと言っているんです。

政府参考人(高橋直人君)

 ですから、インフルエンザの発熱を見てからタミフルの投与は四十八時間以内ということになっております。インフルエンザ脳症の発生というのはいろんな時間にわたりますけれども、これまでのものを見ていますと、発症のころ、これは人間の体の中はどうなっているか分かりませんから分かりませんけれども、そういったインフルエンザウイルスが中枢神経系で何かの作用を起こしていると、その結果ともう一つはタミフルによる副作用、この二つが、いずれかどちらかが因果関係の原因としては考えられている。結果は異常行動、こういうふうになっているわけであります。

 ですから、原因について、どっちかという議論を続けていても結果というものを招いてはいけませんので、とにかくそこは予防措置として、原因はまだはっきりしませんけれども、結果の回避のために予防的にこういう措置をとったということでございます。

小池晃君

 原因究明を待たずに予防的措置をやるということ自体は否定いたしません。そのことは大事だと思います。しかし、どういう根拠でやったのかと。十代なら十代を制限した根拠というのは一体何なのかと、それが極めてあいまいなんですよ。実際、十代以外の被害者だって出ているわけですよ。にもかかわらず、十代に限る。現場ではやっぱりこういう本当にその場しのぎのやり方やるからいろんな不信が生まれたり混乱が生じたりしているんだと思うんです。

 私は一昨日、提起いたしましたけれども、これ考え方を明確にすべきだと。要するに、インフルエンザというのは、もちろん脳症の危険はありますが、基本的にはこれ自然治癒する疾患なわけですから、やっぱり基礎体力のある人は除いて、やっぱりハイリスクグループに限定して使う。そういうやっぱり考え方を国として、厚生労働省として示さないと、十代は制限するという根拠もないようなやり方をすればますます混乱するんじゃないですか。それ、どうですか。

政府参考人(高橋直人君)

 ですから、これ経験的にということで申し上げれば、十代での転落の例というのは、ほとんどは十代に集中しています。それから、それ以外の転落の例はこれまでには十八年に二つの死亡例ございますが、これいずれも自殺のようなケースということで昨年見られておりまして、そういった意味では、そういった経験的なデータから見て十代にまず集中して考えようと。

 ただ、もう一つは、過去のこれまでのデータをもう一回精査しますんで、その上でもう一回判断はしたいということでございます。

小池晃君

 私は、その何か経験とか本当にさじ加減みたいな形で行政をやっていくというのは、本当に国民の行政に対する信頼を揺るがせると思いますよ。

 加えて、やっぱり、おととい取り上げた中外製薬に天下りした安倍道治氏のことについてまたお聞きしたいんですが、安倍さんは一九八四年十月から当時の薬務局生物製剤課課長補佐務めていた、間違いないですね。

政府参考人(高橋直人君)

 安倍道治氏は、一九八四年の十月から八七年九月まで、三年弱、生物製剤課に在職しております。

小池晃君

 その当時の上司、生物製剤課の課長は一体だれですか。

政府参考人(高橋直人君)

 安倍氏は三年ほど生物製剤課におりますが、その前半の二年間の上司は松村明仁氏であります。

小池晃君

 松村明仁氏というのは、正に薬害エイズ事件に深くかかわった、刑事裁判の被告になった方であります。

 松村被告に対する検察の冒頭陳述、私、見てみましたが、ここに八か所、安倍道治氏の名前が出てくるんですね。かなり深くこの問題にかかわった人物であるということがこの検察冒頭陳述を見ても分かるわけです。

 一昨日、問題にいたしましたが、厚生労働省を退官した後、二年一か月だけ薬事行政にかかわる財団法人に一時避難してから中外製薬に天下って、今は執行役員になっているわけですよ。一昨日、大臣はこれは法律違反でないんだということで開き直りの答弁をしましたが、しかし、天下りに対する国民の批判というのは今物すごく強いんですよ。しかも、ましてや政官業の癒着の構造が常に薬害の温床、背景になってきたというふうに言われてきたわけでしょう。しかも、この安倍道治という人物は、正に薬害エイズ事件に深く関わってきた松村明仁氏の下でやってきたと、そういう人物ですよ。

 私ね、こうした構造を一掃することが本当に必要ではないかというふうに思うんですが、こういう事態でもやはり法律にのっとって天下りしたからいいとおっしゃる、そういうことなんですか。

国務大臣(柳澤伯夫君)

 いや、私はその中外製薬に入ったこと自体を小池委員が問題にされたというふうに質問をとらえましたので、それは法律に照らす、あるいは国家公務員のそうした転職へのルールは守っているんではないですかと、こういうことを申し上げたわけでございます。

 私は、いずれの薬剤でありましても、これはもう本当に国民の健康、安全に直結する問題でありますから、一切そういう、何というか、まあ何という言葉を使ってよろしいでしょうか、その利害関係が判断をゆがめるような、そうした事態というのはもう断固避けなければならないと、私はそのように考えております。

小池晃君

 断固避けなければいけないと言いながらですよ、実際に研究者には、厚生労働省の研究班の主任研究者には製薬企業から何百万円も寄附金行っているわけじゃないですか。これでどうして公正なんですか。そして、中外製薬には、正に薬害に深くかかわってきたような人物が天下りしているんですよ。これ、国民から見たらどう見えますか。正に政官業の癒着、政の問題、自民党に対して、国民政治協会に対して中外製薬からの政治献金も多額なものがあるんですよ。それはまた引き続き問題にしたいと思いますが、しかし、そういう癒着の構造の中で起こっているんだと。正に大臣おっしゃるように、そういったことで行政がゆがめられているんじゃないかと見られても仕方がないじゃないですか。そういう構造にメス入れなければ駄目だというふうに思います。大変、非常に今の政府の姿勢は問題が余りにも大きいというふうに申し上げたいと思います。

 質問を終わります。

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