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166通常国会 参議院厚生労働委員会 予算委員会からの委嘱質疑(2007年度政府予算案について)

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2007年3月20日(火)

小池晃君

 日本共産党の小池晃です。

 二十三日に東京地裁で薬害C型肝炎訴訟の判決が出されます。フィブリノゲン製剤あるいは第IX因子製剤といった血液製剤によるC型肝炎蔓延の責任を国と製薬企業に問う裁判であります。これらの血液製剤は止血剤として使用されました。とりわけフィブリノゲン製剤は出産や手術の際に大量に使用されています。しかし、この中にC型肝炎ウイルスが混入しており、その結果多くの母親あるいは手術を受けた方がC型肝炎になった。肝硬変あるいは肝がんにまで行った方がたくさんいらっしゃいます。

 今日は、こうした被害がなぜ拡大したのか、国はもっと早くこの危険性を見抜けなかったのかという点についてお伺いしたい。

 フィブリノゲン製剤が製造承認されるのは一九六四年の六月のことであります。この日時は後でまた出てくるので覚えておいていただきたいんですが、その後一九六七年の十月から医薬品の審査、承認審査が厳格化されます。そして、七一年の十二月から第一次再評価が始まるわけです。

 局長、これは、第一次再評価の目的は一体何だったんでしょうか。

政府参考人(高橋直人君)

 医薬品の再評価とは、厚生大臣、当時の厚生大臣が医薬品として既に承認したものにつきまして、承認後の医学、薬学の進歩などに応じまして、その有効性、安全性などの再確認を行うものでございます。

 第一次再評価は昭和四十年代前半、戦後の大衆保健薬の隆盛とともに当時販売されておりました活性ビタミン剤や強肝剤について、その標榜する効能効果に疑義があるとの意見が発表されたことなどに伴い、昭和四十六年の薬効問題懇談会の答申を踏まえまして、行政指導として行われたものでございます。

 第一次再評価の対象は、医薬品製造承認について基本方針が明確化された昭和四十二年十月以前に承認された医薬品でございまして、昭和四十六年十二月から昭和五十二年度末までの指定及び昭和五十三年の追加指定により対象品目が定められております。

小池晃君

 そうすると、本来ならば昭和三十九年、一九六四年に承認されたフィブリノーゲンはこの第一次再評価の対象となるべきものだと思うんですが、これは最後までならなかった。なぜでしょうか。

政府参考人(高橋直人君)

 第一次再評価は昭和四十二年十月以前に承認された医薬品を対象として行われたものでございますけれども、五十一年三月の段階でフィブリノゲン製剤を含む血液製剤はすべて有用性に問題がないと判断されまして、再評価の必要性はないと認められております。

 その後、昭和五十三年に血液製剤も再評価の指定対象とすることとされたところでございますけれども、昭和五十一年四月に名称変更のため新規承認された形となっておりましたフィブリノーゲン製剤につきましては、昭和四十二年十月以前に承認された医薬品という範疇から外れていたことから再評価の対象外とされたものでございます。

小池晃君

 配付資料を配らせていただいております。そこの最初にあるんですが、フィブリノーゲンのこの名称変更の資料なんですね。一ページ目と二ページ目にございます。これは、今御説明あったように、一九七六年にフィブリノーゲンの製造、販売名の変更が承認されたその当時の書類なんです。これ見ますと、要するにフィブリノーゲン―ミドリからフィブリノゲン―ミドリに名称が変更されたということなんですね。この結果、第一次再評価の対象から外れたということで間違いないんでしょうか。

政府参考人(高橋直人君)

 ちょっと詳細申し上げますと、これは生物学的製剤基準を変更した際に、これが、国の元々の生物製剤関係の基準がございますけれども、その中でフィブリノーゲンという言葉がフィブリノゲンに変わったと、これに伴って医薬品のそういった製品についてのその名称変更が行われたということでございます。

小池晃君

 要するに、薬は何も変わってないんですよ。フィブリノーゲンという名前がフィブリノゲンに変わった。その結果、昭和三十九年に承認された薬が昭和五十一年に新薬として登録されたことになって、その結果、再評価の対象から外れたということなわけですね。一文字というか、伸ばしたところだけなくなっただけなんです。

 この当時、政府は一体その薬害の問題で何と言っていたかというと、サリドマイドの和解で一九七四年に国はこう言っています。医薬品安全性強化の実効を上げるんだ、国民の健康保持のため必要な場合、承認許可の取消し、販売の中止、市場からの回収等の措置を速やかに講じ、サリドマイド事件に見られるごとき悲惨な薬害が再び生じないように最善の努力をするんだと、確約するんだと、こう言っているわけですね。

 大臣ね、こういう時期ですよ、ちょうど。こうした時期にたった一文字、フィブリノーゲンをフィブリノゲンに変えたというだけで、これ結果としてこれは再評価すり抜けたんですよ。それ結果として、この後大きな被害が広がったんですね。私、この点で厚生省の責任というのはあると思うんですが、大臣、この責任どう考えていますか。大臣、大臣に。もういいですよ。

政府参考人(高橋直人君)

 ちょっと、すり抜けたというお話がございましたが、これは昭和五十一年に名称変更のため新規承認されたという形になっております。

 これは、第一次再評価について、これは行政指導で行われておりますので、すべて強制的に全部やるというような時代ではなかったわけでございますけれども、その対象となる医薬品を特定するに当たりまして、その承認日をもって、まあこういった行政指導の下ですから、対象医薬品について特定するに当たりまして機械的、画一的に処理をすると、その承認日をもってそういうことになったという扱いだったというふうに聞いております。

小池晃君

 そんなこと聞いてないじゃない。

 大臣ね、これおかしいと思いませんか。だって、薬はそのままなんですよ。本来であればこれは非常にその審査がずさんだった、ある意味で。そういう時期に承認されているからもう一回再評価しましょうという対象になるべきものだったのが、一文字変えただけで新しい薬の扱いになって、再評価されなかったんですよ。これおかしいと思いませんか、大臣。大臣、答えられないの。

委員長(鶴保庸介君)

 高橋医薬食品局長。

小池晃君

 いいです、もう。じゃ、いいです、はい。

委員長(鶴保庸介君)

 一言言ってください、何か。いいですか。

小池晃君

 私ね、これは本当に一つの、いろんな局面でこのフィブリノゲンの拡大については国の責任があると思っておりますが、ただ、このたった一文字の名称変更で第一次再評価の対象から外れた。この当時、有効性を証明するデータってなかったわけですよ、当時も、今もですけれどもね。しかも、有効性が確認されなかったからこそ、八七年の第二次再評価のときに先天性の疾患に限定されている。安全性についても、当時既に血液製剤による非A非B型の肝炎というのは症例報告あります。やはりこのときに名称変更によるすり抜けというのを許さずにきちっと再評価の対象にしていれば有効性も安全性も問い直されていた可能性あるわけで、私は厚労省の責任はこの点でも重大だと思っております。

 もう一つのこの問題の背景についてお伺いしたいんですが、フィブリノゲンという薬がどういう経過で世に出てきたのかということです。ミドリ十字の前身というのは一九五一年に創立された日本ブラッドバンク社です。これは売血を集めて輸血用に販売する血液銀行であります。一九六四年にライシャワー事件が起きた。輸血によって肝炎になった。そのとき、黄色い血ということが大問題になりました。輸血後肝炎による黄疸、あるいは売血を繰り返すために血液自体が赤血球が少なくなって黄色く見えるということから付けられた名前であります。で、非常に社会的な批判を浴びた。その結果、ミドリ十字は、当時日本ブラッドバンクですが、生き残りのために方向転換を図るわけです。その経過が、今日持ってまいりましたが、ミドリ十字の三十年史という本や、あるいはこのミドリ十字の創始者である内藤良一氏のこれは個人の出している本です。「老SLの騒音」という文集です。ここに出てまいります。

 今日お配りしておりますが、四ページの二百八十一ページの下の方にこう書いてあるんです。昭和三十九年の保存血液の採血供給は日赤の献血でやるという閣議決定を導いて、我々民営血液銀行は後退のやむなきに至りました。法律上の理論はともあれ、法律よりも幅を利かす行政指導が強く、許認可権が握られているお役所からの要請に対して、当時生まれたばかりの血漿分画製剤の維持を交換条件的な約束事として従わざるを得ませんでした。こう言っている。

 それから次のページ見ていただいて、三百三十四ページの上の方ですが、こう言っているんです。我々に対して好意のあった厚生省の課長や献血事業団の山口専務理事から、声静かに、保存血から手を引きなさい、そうすれば血漿分画製剤の事業は生き残れるという忠告がありましたと、こう言っているんですね。

 正にここにあるように、一九六四年の八月二十一日に保存血の献血化が閣議決定されます。しかし、そのときに血液製剤は献血化の対象から外された。

 そして、内藤氏は、ここに書いているように、国と血液銀行が保存血を献血化することと、一方で血液製剤の材料として売血を温存することについて、交換条件と言っておりますが、取引したんだ、厚生省の方からそういう働き掛けがあったんだということを個人文集の中で書いてある。

 局長、お伺いしたいんですが、当時、厚生省から当時の日本ブラッドバンク社に対してそうした働き掛けを行ったという事実はあるんでしょうか。

政府参考人(高橋直人君)

 今御指摘の件、私どもの内部では、血漿分画製剤の維持を交換条件として行政指導したという事実は私どもでは承知をいたしておりません。

小池晃君

 ここのところでもやはり国の責任を私問われると思うんです。

 血液製剤の材料をもうこのとき献血にしておけば被害は広がらなかったわけですね。ところが、売血が温存され、日本ブラッドバンクはミドリ十字と社名を変えます。沈没し掛かっていた状態から脱出する。

 その次六ページ、七ページにミドリ十字の三十年史を資料で入れておりますが、ミドリ十字の三十年史で何と言っているかというと、アンダーライン引いた部分ですが、血漿たんぱく分画の分野においては既に積極的な製品化が行われ、他社の追随を許さぬものがあった。そこで、血液製剤を中心として医薬品メーカーとして大きく脱皮し、この当面の苦難を乗り切ることになったと、こう言っているわけです。正にミドリ十字の命運を握ったのが血液製剤、その最大の目玉が、先ほど御紹介したように、一九六四年の六月に承認、認可されたフィブリノゲンだったわけですね。

 大臣、以上のことについて私指摘をさせていただいた上で、二十三日には判決も出るわけです。私は、被害者というのは本当に闘病生活の苦しみ、それだけじゃなくて、やっぱり医療費の負担、社会的差別に苦しめられてきた。国がやっぱり控訴を繰り返してこうした方々の苦しみを長引かせる、争いを長引かせるということは私はすべきではないというふうに思うんです。

 やはり今求められているのは、感染の経緯の立証ということを抜きにして、やはりすべてのウイルス性肝炎患者に対する救済をこの際行うことだと。具体的にはやはり医療費や生活費の支援が必要でしょう。インターフェロン治療あるいは肝硬変、肝がんに対する治療について特定疾病制度の対象にしていく、月々の窓口負担上限を一万円にしていく、あるいは呼吸器、心臓、腎臓病などと同じように、肝機能障害も身体障害者福祉法の対象としていく、それから障害年金の認定基準も緩和していくということが必要ではないかと思っています。あるいは、薬害肝炎の被害者についてはきちっと国として謝罪をし、補償していくということも必要でしょう。再発防止のために、この間何が起こったのかということについて、やはりきちっと検証していくことも必要だと思う。

 大臣、具体的なそれぞれについてお答えいただきたいとは申しませんが、しかし、やはりこうしたC型肝炎、まあB型肝炎の最高裁の判決もありましたが、ウイルス性肝炎の患者の願いにこたえるという姿勢で臨んでいくべきだというふうに考えますが、大臣の所見をお聞かせ願いたいと思います。

国務大臣(柳澤伯夫君)

 肝炎を病んでいらっしゃる患者の方々に対しては本当に心からお気の毒と思いまして、お見舞いを申し上げたいと、こう思いますけれども、国の立場としては、やはりフィブリノーゲン製剤は出血、出産時の大量出血の際の救命のための医薬品として当時大変有効であったというふうに承知をいたしております。

 患者を救うための医薬品において生じた問題についての裁判におきましては、やっぱりその時代その時代の医学的知見に照らして厳正な司法判断を求めざるを得ないというふうに考えます。

 ただ、この訴訟の問題とは別に、肝炎対策を推進することは極めて重要であると私どもも認識をいたしておりまして、前から言うことの繰り返しですけれども、具体的には早期発見、早期治療の促進、治療水準の向上という観点から、検査体制の強化、診療体制の整備、それから治療方法等の研究開発等、総合的な取組を推進しているところでございまして、今後ともこのような取組を一層強力に推進してまいる所存でございます。

小池晃君

 あのね、大臣、やっぱり原爆の先ほどの議論もありましたけれども、大臣の周りの官僚の言っていることだけ聞いていたら解決しないと思いますよ。やっぱりそれは責任問われるわけですから、実際に現場でやっている官僚は。だからそういう説明するんでしょう、大臣に。しかし、やはり政治的に判断するべきなんですよ。そうすることによって逆に厚生行政だっていろんなくびきから解き放たれていくと私は思うんです。だって、こういうやり方でずっと失敗続けているわけじゃないですか、あらゆる問題で。様々な裁判が今係って。

 私、この問題、まあ先ほど原爆の問題もありましたけれども、科学的にこうなんですとか、過去こうだったんですといろいろ説明されるかもしれないけれども、大臣はやはり政治家としてしっかりと見て判断していくと。やっぱり一番苦しんでいる国民をどうするのかという視点で政治的な判断をする、それが行政を変えていくわけですから、私そのことを求めたいというふうに思います。ちょっとこの間大臣は余りにもその点で御自分の言葉でもっと語っていただきたいというふうに思うんですね。それがなさ過ぎるんじゃないかというふうに言いたいと思います。

 それに重ねて、ちょっとイレッサの問題についても、以前私は何度かこの委員会で取り上げたんですが、取り上げたいと思います。

 大きな副作用被害を出したわけですが、イレッサ承認の際に承認条件というのが付されております。今日資料の八ページに載せておりますが、こういう試験をやるということを条件に承認されたわけです。その一の方にあるように、有効性、安全性の更なる明確化を目的とした十分なサンプルサイズを持つ無作為化比較試験を国内で実施すると、これが条件だと。イレッサの延命効果については既にISEL試験で否定をされております。その問題、私指摘をしましたが、この間、厚労省は、いや、それは欧米の試験だから日本人とは違うんだと、東洋人では結果違うんだと言って、日本人患者における生存期間に対するイレッサの有効性判断することはできないということで、この承認条件であるここにある第三相試験を継続してきたわけです。

 ところが、その次の九ページ目を見ていただきたいんですが、先日の薬食審の安全対策調査会にアストラゼネカからこの第三相試験の概要が示されました。その結果は、ゲフィチニブ、イレッサですが、イレッサのドセタキセルに対する非劣性を示すという主要目的は達成されなかったと。すなわち、ほかの薬に比べてイレッサが有効であるということが証明できなかったという結論が出ているわけです。

 局長ね、承認条件である第三相試験によって有効性が証明されなかった、否定されたにもかかわらず、その後、イレッサがこれまでと同様に承認されているのはなぜなんでしょうか。

政府参考人(高橋直人君)

 今、ただいま委員御指摘のその資料の九ページの正にその下の方に、有効性のまとめでございますけれども、最初に、試験実施計画書で事前に決められた全生存期間におけるゲフィチニブのドセタキセルに対する非劣性と、こういうことでございます。これは全生存期間ということでございましたが、これを、このアストラゼネカ社からのそのデータに基づきまして、二月一日の薬事・食品衛生審議会でこの報告書について、アストラ社の報告書について検討いたしました。

 この中で、そのデータから見ますと、ドセタキセルとそれからイレッサ、二つの薬を、これは二百四十五名と二百四十四名の患者さん二群に分けまして投与をしていくわけですけれども……

小池晃君

 簡単に。

政府参考人(高橋直人君)

 済みません。それで、投与の当初一年ぐらいは確かにドセタキセルの方がイレッサよりも優れていると。これは間違いないわけです。それから、ただ、投与二十四か月時点前後からの生存率についてはイレッサの方が優れている、こういうデータ、見掛け上のデータになっております。ただ、二十四か月ぐらいになりますと、逆に残っていらっしゃる方が少ないんで、サンプル数の制約からイレッサの方がドセタキセルよりも優れているということは統計的には、確定的には言い難いということでございます。

 そういうことで、全生存期間について両方比べるとちょっと非常に判断は付きにくいと。ただ、それを比べて最初の一年、当初、初期における生存率についてはドセタキセルがいいけれども、長い方はイレッサの方が優れているようにも見えるということで、その辺はもう少し検討してみなければならないと、こういうことになりました。

 それからもう一つは、これは二つの、最初にドセタキセルとイレッサの薬をそれぞれ投与を開始しますが、がんが増悪した場合、あるいは患者さんが副作用がひどくて薬を替えてほしいと言った場合には、例えばゲフィチニブでもドセタキセルに替える、あるいはドセタキセルを投与された患者の方についてもイレッサの方に移行するということは認めております。これが実際には、これは例えばドセタキセルから、最初ドセタキセルから入った方が途中からゲフィチニブ、イレッサの方に替えた、イレッサを含む化学療法に替えたケースが五三%ございます。それから、ゲフィチニブの方から入ったケースも、ドセタキセルの方に替えたケースが約三分の一ぐらいということで、その辺の後治療の方の効果もあるということで、その辺はまだイレッサについて承認は、その完全に根拠がないというわけではないということでございます。

小池晃君

 いろいろと、いろいろとおっしゃったけれども、ほとんど聞いていて分からないと思いますけれども、いずれにしても結論としては有効性証明されていないんですよ、ここは有意な差はないわけですからね。

 二〇〇五年一月以降の新規処方患者数は今までで何人なのか。昨年九月以降、直近までの副作用の発生数、死者数は何人でしょうか。

政府参考人(高橋直人君)

 使用数の方は、二〇〇五年の一月以降、三か月ごとに集計いたしましたそのイレッサの新規処方患者数について、これは、二〇〇五年及び二〇〇六年におけるイレッサの新規処方患者数は、それぞれ約七千六百人及び約九千三百人でございます。

 それから、イレッサについての間質性肺炎などの副作用に関する報告件数とそれから死亡件数の数字でございますが、販売開始の平成十四年七月十五日から平成十八年九月三十日までに報告されたイレッサの急性肺障害、間質性肺炎などに関する副作用の報告件数は一千七百八件、このうち死亡につながった件数が六百七十六件ということでございます。

小池晃君

 この間、承認の迅速化ということを背景にして条件付の承認という薬が増えているんですよ。医薬品工業協会、医薬産業政策研究所の研究によりますと、大体四割ぐらいの薬が承認条件を付けて承認されている。サンプル数がそもそも少ないオーファンドラッグ以外の新承認薬だけ見ても三五%。これ、二〇〇三年から二〇〇五年の数字ですが、二〇〇〇年から二〇〇二年に承認された状況と比べると二倍以上になっている。要するに、迅速に承認するものだから、完全に検証できないので条件付で承認するという仕組みになっている。

 ところが、今回のように、しかも一般的な薬じゃなくて副作用の被害があれだけ社会問題になった薬であるにもかかわらず、条件付の審査の結果、有効性を承認するためにやるための結果が有効性が証明されないということで出たわけですね。にもかかわらず、そのまま承認され続けるというのは、私はこれは納得できないし、こういうやり方では、正に何のための条件なのかということになってしまうではないかというふうに思います。やはり承認条件に対しては厳格な対応が必要だということを申し上げたいと思います。

 最後、タミフルの問題についてお伺いしたいんですが、タミフルの異常行動や突然死が報道されています。厚労省としてこの間、医療関係者に情報提供するということをやっているようですが、厚労省の文書を見てもタミフルと死亡との関係は否定的だというふうに言っていますし、先ほど西島議員の質問に対して局長は、異常行動などの原因はタミフルでないというふうに答弁されました。これ断定できないんじゃないですか。根拠はあるんですか。簡単にね。

政府参考人(高橋直人君)

 タミフルの服用と異常行動との関係では、それは個別症例の検討では専門家の検討では否定的、それから疫学調査の結果では、タミフルを飲んだ方々と飲んでいない方々の、インフルエンザかかった方々の異常行動の発現率は統計的に有意な差はないということを申し上げております。

小池晃君

 だからといって、そうではないって断定ができるんですかと。しかも、その研究自体が非常に問題があるということがこの間報道もされているわけですね。

 私は、そういう意味では、きちっと安全性担保するための添付文書の改定は必要だと思っていますし、やはりその因果関係証明されない限りいくんだというのはこれはやはり問題で、インフルエンザというのは本来自然治癒する病気なんですから、やっぱりハイリスクグループに限定するようなことも必要だというふうに思っています。

 それから、医薬品医療機器総合機構でタミフル服用後に亡くなられた方の救済も必要だし、中外製薬から多額の寄附を受けていたそういう研究者というのはこれは厚労省の研究班からは外すべきだというふうに思います。

 ところで、お伺いしたいんですが、安倍道治氏という方、厚生省在職時の直近の役職名を言ってください。

政府参考人(高橋直人君)

 お尋ねのその安倍道治氏の退官前の、課長職就任以降の経歴といたしましては、平成九年七月より厚生省医薬安全局安全対策課長、平成十一年八月より医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構審議役、平成十四年八月より厚生労働省医薬局審査管理課長を歴任いたしまして、平成十五年八月に退職いたしております。

小池晃君

 この人、今何やっていますか。

政府参考人(高橋直人君)

 現時点でございますか。

小池晃君

 退官後。

政府参考人(高橋直人君)

 退官後。退官後はこれは、この方は国家公務員法百三条の規定に基づきまして、人事院の承認を得ての就職だったと思いますけれども、財団法人日本公定書協会に平成十五年八月の三十日にいらっしゃっております。

小池晃君

 その後、どうしていますか。

政府参考人(高橋直人君)

 この公定書協会には平成十七年の九月十二日まで在籍をしていらっしゃるというふうに聞いております。

小池晃君

 その後、どこにいるんですか。

政府参考人(高橋直人君)

 これは私は個人的に単に知っているというふうに申し上げるしかありませんが、現在は中外製薬にいらっしゃるというふうに聞いております。

小池晃君

 要するに、安全対策課長、安全審査課長、被害、副作用の担当にいた、そういう人が今中外製薬にいるわけですね。しかも、二年間と一月ぐらい公益法人にいて、すぐ中外製薬に行っているんですよ。

 大臣ね、これ薬害エイズのときもそうだった、それからフィブリノーゲンもそうですよ、ミドリ十字に薬務局長天下りして社長までなっている。それで、今このタミフルの問題が問われているときに、厚生省の正に担当の課長が中外製薬に天下りしているわけですよ。しかも、本当わずか二年間だけいて、法の網かいくぐって天下りをする。私、こういう形で薬事行政が公正中立に行われているというふうに国民から見てとても見えないんじゃないかと思いますが、大臣いかがですか。どういう御所見ですか。

国務大臣(柳澤伯夫君)

 この方も、国家公務員の在職時と関係のあるところに就職するに当たっては、公務員法の定めるクーリングオフの時期をしっかり確保した後にこういうところに行っていらっしゃるということで、これはこれとして法律的に何か問題があるということではないというふうに私は見ておりますけれども、この方がいらっしゃって、私どもの薬事行政がこの方だけのために何かゆがめられるというようなことは私はないというふうに考えます。

小池晃君

 法律違反でないからといって許されるのかと。

 やっぱり、研究者には製薬企業からもうそれこそ一千万単位で金が行っている。で、厚生労働省の担当者が正に製薬企業にね、もう二年間のクーリングオフったって、その後すぐ行っているわけですよ。こんな在り方で薬事行政に対する私は信頼得られない。やはり厚生行政で薬務行政に携わった人はもう製薬企業には絶対行かないと、このくらいの決意でやらないと、薬害エイズだってHIVだってみんな、フィブリノーゲンだって、ミドリ十字の問題だって、あるいは様々なこの間の問題だって、こういう天下りの癒着あるいは補助金でのつながり、政治献金、こういった構造の中で生まれてきた問題が何にも解決されないでまだ温存されているということじゃないですか。

 私は、こういう天下りの構造はもう断じて認められないし、特に薬害の問題で厚生労働省というのは様々な指弾を受けてきたわけですから、やっぱり担当した人はこれは製薬企業には行かないというぐらいの決意を持って臨まなければ駄目だというふうに思います。

 以上で質問を終わります。

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