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論戦ハイライト
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小池 この問題は国民の側にひとかけらの責任もない。責任はひとえに政府にある。このことを認めるのか。
安倍 すべて政府に責任があると認識している。
「社会保険庁の責任は重大」と人ごとの姿勢だった安倍首相が、政府の責任を明言しました。
五千万件もの記録が所在不明になっている発端は、一九九七年の基礎年金番号の導入にあります。
それまでは国民は一人でいくつも年金番号を持っていました。これを統合するには周到な準備をして統合する仕組みをつくらなければならないことを政府は知っていました。
ところが実際には国民から申請があって初めて統合する「申請主義」でのぞみ、国民には知らせてきませんでした。
小池氏は、そのことを厚生省(当時)が全加入者に送った文書「基礎年金番号に関する問と答」で示しました。文書は「将来の年金額などには、何ら影響はありません」「手続きの必要はありません」と明記していたのです。小池氏がパネルで示すと、安倍首相らの視線がくぎ付けになりました。
小池 これじゃ多くの人は大丈夫だと思う。こんな最悪の周知のやり方が今日の事態を生んだ大きな原因だ。しかもその後十年間も放置して傷口を広げた。
安倍 導入前に十分検討されたのか、進ちょく状況の管理が十分に行われたのか。十分に反省しなければならない。
動かしがたい事実を示され、謝罪と反省を表明する安倍首相に対し小池氏は、「すでに亡くなった人もいる。責任は重大だ」とのべました。
基礎年金番号に未統合の五千万件を超える記録について政府は、名前を照合する「名寄せ」作業を行い、記録の該当者と思われる人に文書で連絡するとしています。小池氏は「国民の不安に応える立場でお話ししたい」とのべ、具体的な提案を示しながら解決策をただしました。
第一は、調査対象者を氏名、性別、生年月日の三条件で一致したものに限定している対応を変えることです。
小池 結婚で姓が変わった場合などは調査対象にもならない。「名寄せ」は加入者にはすでに一回やっており、その結果残ったのが五千万件です。同じ作業では意味がない。もっと工夫して広い調査対象にすべきだ。
安倍 (生年月日が)特定できない約三十万件について、氏名と性別の二情報により突き合わせを行うなど、さまざまな可能性を考慮に入れて具体的方策を検討する。
第二は、該当者に記録の中身は見せずに、「同一人物と思われる記録があるという旨」を伝えるだけだという対応を改めることです。政府は、「記憶を呼び起こしていただく」と被害者に思い出す努力を強いる姿勢です。
小池 記録はその人のものなんだから、工夫して、記録の中身を基本的に示すのが筋だ。
安倍 事業所名等を含む詳細な加入履歴をお知らせし、その方法にも工夫をはかるなど、前回と比較して記憶を呼び起こしやすいものにする。
「手がかりに資するよう検討する」としていた政府答弁より踏み込んだ答弁をしました。
第三は、五千万件のほかにコンピューターに入力されていないことが分かった千四百三十万件の記録を入力することです。基礎年金番号に統合できていない記録が含まれているからです。
小池 名寄せのコンピューターソフトの完成が(来年)三月といわれる。それまでに総力をあげて入力し、できあがったデータを名寄せすることが必要ではないか。不完全なデータでやっても合理性がない。
安倍 オンライン記録とのチェックはすぐに行い、進ちょく状況を公表させながら、計画的かつ徹底的に行いたい。千四百万件は(該当者がいれば)、お年をめされているでしょうから、優先して対応していきたい。
さらに、小池氏は、記録がない文字通りの「消えた年金」について、物証がなくても、厚生年金なら当時の同僚の証言などが得られれば認めること、国民年金でも、本人の記憶に一貫性のある場合は支給対象にすべきだとのべました。
小池 証拠をなくしたのは国なんだから、被害者に証拠を持ってこいというのは本末転倒だ。被害者は国民なんだから、何らかの手がかりがあれば支給するという考え方でのぞむべきだ。
安倍 国民の側にたって対応していく。第三者委員会をつくって、領収書等の証拠がなくても、オンラインに記録がなくても、申し立てた方の気持ちに立ち、公正に判断する仕組みを設けたい。
証拠がない場合でも救済に積極的に取り組む姿勢を示す答弁です。
最後に小池氏は、「こういう時期に社会保険庁を解体するのはあまりに無責任だ。国の責任も分割・民営化して、『消えた年金』のように消すのか。断じて許されない」と強調しました。
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