欠陥だらけ 政府方針
「消えた年金」小池議員の追及
「消えた年金記録」問題を審議した五日の参院厚生労働委員会で、政府の責任で解決せよと迫った日本共産党の小池晃議員。だれが国民の不安にこたえて徹底した解決をはかる立場にたっているのかが浮き彫りになりました。
一年で照合はムリ
政府は五千万件にのぼる「消えた年金記録」について、「一年内に受給者・加入者の記録と突き合わせを行う」と表明しています。
小池氏が「一年以内に終わるには一日十九万件、千人の職員が一件を二分で処理しないといけない。人手も増やさないというのに信用できるか」とただすと、柳沢伯夫厚労相は「プログラムを開発して時間を確保して何とか実施したい」としか答えられず、実際には突き合わせに一年もないことが分かりました。
調査対象者はどうか。政府が対象にしているのは、氏名、性別、生年月日の三条件が一致する者だけです。これでは姓が変わったり名前の読み方を間違えた場合などは対象になりません。
青柳親房運営部長は「ヒット(該当)しないものも出てくるが、三条件でやるのが効率的だ」と答弁。まったく同じ「名寄せ」は一九九七年の基礎年金番号導入時にすでに行っていると指摘されても、「今度は加入者から返事がくる可能性がある」と正当化しました。
国民が悪いといわんばかりの答弁に小池氏は、「実行済みの作業しかやらないとはばかにした話だ。これでどうして五千万件の記録を解消できるのか」と指摘しました。
記録公開すべきだ
調査のやり方も問題です。政府は、該当者に記録は見せず、未統合記録があるという「その旨」を通知するだけです。
「記憶を呼び起こしていただき、ぴったり合えば照会する」(青柳氏)との答弁に小池氏は「思い出す努力を被害者にさせるのは本末転倒だ。中身を原則公開でやるべきだ」と求めました。
物証がない場合はどうするのか。政府は状況証拠で判断するとしていますが、証拠がないとして却下された人がすでに二万人にのぼっています。
小池氏は「国民に落ち度がないのに、何十年前の領収書を持って来いというのは許されない」として二万人の再調査を求めましたが、柳沢厚労相は「申し出があれば第三者委員会が対処する」と拒否。職場の同僚の証言など状況証拠についても青柳氏は「さまざまな材料を集めないといけない」と、すぐには認める考えがないとのべました。
国に立証責任ある
小池氏は「今までのやり方を見直そうということではないのか」と批判。「国の責任で起こったのに、国民に立証責任を押し付けるべきでない。少しでも手がかりがあれば解決するのでなければ国民は納得しない」とのべました。
欠陥だらけの「救済策」に小池氏は「これでは失われた記録がみつからない。台帳との照合は何十年もかかる。そういうなかで社会保険庁を解体・民営化するのは無責任だ。立ち止まって徹底的に解決すべきだ」と求めました。
柳沢厚労相が「同時並行的に行う。組織を温存するのは適切さを欠く」と解体・民営化に固執する態度を示したことに対して、小池氏は「最悪の責任逃れだ。一人たりとも不利益にならないようにすべきだ」とのべました。
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