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日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008] 日本共産党参議院議員・医師 小池晃 アーカイブ[〜2008]

164通常国会 参議院厚生労働委員会(男女雇用機会均等法改正案参考人質疑)

  • 間接差別禁止に実効性を/均等法「改正」案 限定列挙に批判次々/参考人質疑(関連記事
2006年4月26日(水)

小池晃君

 日本共産党の小池晃です。

 私どもの基本的なスタンス、最初に申し上げますと、本法案、前進面もあるとは思いますが、非常に重大な問題点があると思っております。修正が必要だと思っておりまして、やはりその二条の基本的理念に仕事と生活の調和を加えること、間接差別については賃金を加え、指針にし、書くのであれば例示列挙にすること、それからポジティブアクションを義務化すべしと、さらに、実効ある差別禁止の常設機関を設置すると、こういう中身での修正が必要であるというふうに考えているというのが基本的なスタンスです。

 その上でお聞きしたいんですが、最大の問題がこの委員会でも間接差別の問題になっております。

 西村参考人に最初にお伺いしたいんですけれども、限定列挙ということで本当に実効性あるのかどうかということに対してはもうみんなから疑問の声が上がっているわけですが、参考人は、様々な差別例、闘っておられる女性たちのことを御存じだと思いますので、今回の法案では救えないケースというのはこんなのがあるんだということを是非御紹介いただければと思います。

参考人(西村かつみ君)

 先ほどの発言で商社の問題一つ挙げましたけれども、ほかにも、例えば建設業界なんですけれども、一応、総合職、一般職というコース別区分をなくしたんですね。で、男女関係なく全社員の呼称を総合職というふうにしました。ただし、その給与は変更前の給与をそのまま引き継いだんですね。で、同じ給与なんだけれども総合職だと。だから、総合職なので転勤はしないといけない、そこで転勤を断れば解雇になるという。賃金は一緒なのに総合職と同じように扱われるという、そういうこともあります。ですから、形を変えた間接差別という、そういうことが起こっています。

 それからもう一つは、有期雇用という制度なんですけれども、大学を卒業して、いろいろ就職したけれども、結局ある外郭団体、神戸国際協力交流センターというところなんですけれども、そこしか就職がなくて、そこに入ったと。これ、若年嘱託として採用されて、勤務時間は普通の社員と同じフルタイムだったと。忙しい月には八十時間を超える時間外労働を命ぜられた。仕事の内容は途上国の行政官を招いて行う研修事業の企画運営。一週間にわたる海外出張さえもやったと。しかし、年収は、いわゆる職員の平均が四百五十万程度だったのに、彼女たちは三百五十万弱。で、ほとんどが女性だと。もう九九%女性ですということです、その有期雇用の社員は。で、三年後に、契約更新がありますね、契約更新のときに、採用試験を受けなさいと言われて、それはおかしいということで労働組合に加入したところ、契約更新を拒否されて解雇されたというのがあります。彼女は裁判に訴えましたけれども、一審、二審ともに敗訴だったんですね。そういう状況があります。

 ほかにもたくさんありまして、この間接差別については、議員の方に是非知っていただきたいということで、こういうDVDも作っておりますので是非また見ていただけたらと思っております。

小池晃君

 DVD、昨日、ゆうべ見さしていただいて、大変分かりやすくて説得力のあるものだったと思います。是非皆さん、見た方がいいと私も思います。

 引き続き、西村参考人に、国連の社会権規約委員会やCEDAWなどで日本の差別の実態を告発されてきて、こういう国際会議で日本の実態について話されて、改めて海外でこういうお話しすると見えてくることってたくさんあると思うんですね。そういうエピソードといいますか、感じられたことをお聞かせ願いたいのと、参考人が配付された資料の中に、ショップシリング委員の日経新聞のインタビューの記事があるんですが、その中で、日本政府から均等法の指針の英訳が提出されなかったので、コース別人事についてはNGO情報に頼るしかなかったという記載があるんですが、この辺の事情をお知りでしたら是非お話しいただきたいと思います。

参考人(西村かつみ君)

 本当に日本の中で男女差別をなくすというのは非常に大変ということもありましたし、一審の判決がもう本当に矛盾したものでしたので、もう是非とも国際機関に訴えたいということで、いろいろ話はしたんですけれども、日本の労働実態というのはなかなか分かっていただけないんですね。特にコース別などについてはよく分かってくださらないということと、それからパートの問題についても、海外、特にヨーロッパなんかですと、時間が違うだけでほとんど条件は一緒だと、日本のこのひどい格差というのはなかなか理解していただけないというのがあったんです。で、ILOとかいろんなところで訴えたんですけれども、その辺のところはきっちりと資料も示してお話しして、やっと、あの先進国日本でこういう構造の中でこれだけの男女差別だったのかということを分かっていただけたという、これは非常に苦労してロビー活動をしました。

 ここにあります、特にコース別のところは、均等法の指針の雇用管理区分のところがネックになっているんだというところを分かっていただくために、政府から渡されてなかったんですけれども、私たちワーキング・ウィメンズ・ネットワークで英訳をいたしまして、それを見せました。それと、ILOから出されている勧告と、両方見ていただいて、それらを中心にいろいろ研究してくださった結果でああいうCEDAWの勧告が出されたということだと思います。

 済みません、それで、労働省の方は、この辺についてはっきり、これじゃないとか、いろいろ言われたんですけれども、それに対してこのショップシリング委員が日経の取材に対してこういうふうに答えられたということです。

小池晃君

 今度の法律案というのは、CEDAWの勧告にこたえたものだと思われますか。

参考人(西村かつみ君)

 いえいえ、もう全然、これで間接差別の定義を、特に一番、こういうこともおっしゃったんですね。住友裁判、一審で本当にひどい敗訴だったと。でも、その間接差別の禁止がきっちり法律で定められていたら、あなたたちは救われたんでしょうというふうにおっしゃったんですね。そうなんですというふうに言うたんですけれども。

 そういういろいろな状況を見た中で、間接差別の定義を法律に取り込みなさいと、定義しなさいということをもう最初に言われているわけです。ところが、今回のその法案ではどこが間接差別の定義なのという、もう私なんか読んでも本当に分からないという状況ですので、これを英訳して出されたときにCEDAWの委員たちが納得されるのでしょうかというふうに感じています。

小池晃君

 ありがとうございました。

 続いて坂本参考人にお伺いしたいんですけれども、先ほど限定する害悪といいますか、問題点お話しいただきまして、これ、非正規雇用なんかの問題でもこの限定列挙という形は非常に問題が大きいのではないかというふうに思うんですが、参考人が取り組んでこられた様々な事例と照らして、こういう点で非常に問題があるということがあればお話しいただきたいと思うんですけれども。

参考人(坂本福子君)

 まず、非正規の場合に、今雇用管理区分というような感じがありますけれども、非正規と正規、この関係においての賃金差別、それをどうやって争うのか、あるいはその同一労働同一賃金、その問題も含めて、やはり大変法律的には争いづらい問題がある。しかも、圧倒的には非正規はこれ女性が多いです。先ほども申し上げたように、今の非正規は女性の正規職員よりも半数以上なんですね。

 その場合に、やっぱり間接差別でもって禁止していくときに、定義からいえば、やっぱり一方的に女性が多い、一方の性が非常に多いといった場合に、それがその理由、合理的な理由は経営者の側で説明して、そしてその合理的な理由があるかないかの問題が一つありますけれども、それが果たして合理的理由がないということになってくれば、これは間接差別の禁止がきちっと定義で規定されていれば、間接差別になるということは言えると思います。既にEUとしては判例なんかも出しております。

小池晃君

 さらに、私ども、この間接差別の対象に賃金も入れるべきだという立場で昨日も質問しまして、大臣の答弁としては、労基法四条で対応するんだという、そういうお話なんですが、これではほとんど男女差別に伴う賃金問題解決にはつながらないというふうに我々考えているんですけれども、労基法四条で救えるんだという政府の議論に対してどういうふうにお答えになりますでしょうか。

参考人(坂本福子君)

 労働基準法四条は、同一価値労働同一賃金があるのかないのかと、こういうような最高裁の問題もありますけれども、これは労働基準法の立法当初、これは労働局が出しております。寺本広作という方が当時携わった中ではっきりと言っているのは、労基法四条は同一価値労働同一賃金、すなわちILO百号条約を批准しているということで、はっきりこれは言っております。

 この場合に、男女の賃金差別でもって、労基法四条はストレートに、例えば、直接差別であれば、一九七五年に判決が出されました秋田総合銀行のように、表みたいな形で男子、女子と分かれていれば、A表、B表であっても、それは労基法四条ずばりいけると思うんです。しかし、現在のように非常に複雑な職務・職能給のときに、同一労働と言った場合と同一価値労働と言った場合の問題が当然出てきます。その価値の判断が非常に難しいとは言われますけれども、やはり一定程度の価値、それを言ったときに、私はやっぱり今の労基法四条でどこまで行けるのかという問題があるとは思いますけれども、労基法四条をきちっと同一価値労働、同一賃金というふうに改正しないと、先ほども申し上げたように、日弁連としては、やっぱり今の非正規と正規を比べた場合の同一価値労働、同一賃金に働く非正規の労働者とそれから正規の女性労働者と、その比較は労基法四条を使えないことになるんです。

 だから、均等法に賃金差別、少なくとも最も大きい賃金についての差別禁止をきちっと入れるべきだと、性による差別、それによれば、男女の性差別というのはそこできちっと救えるではないかと。そして、労基法四条に同一価値労働、同一賃金まで持ってきたときには、これは正規、非正規を含まないと。同性であっても、例えば男性同士であってもあるいは女性同士であってもそれは救える道になるんだという形で、やはり平等への道になるような法律の改正というのが私どもの意見として出しております。

小池晃君

 ありがとうございました。

 龍井参考人にお伺いしたいんですが、仕事と生活の調和という目的を入れるというのは、どういう働き方をするのか、何のための機会均等なのかということを明確にする基本的、根本的問題だという提起は非常によく分かりました。

 その点ちょっとお伺いしたいのは、昨日の審議の中でも政府側が何を言っているかといいますと、一つは、なじまない、切り口が違うということを言っていまして、大臣などは、私の質問に対して、労働時間というものに着目した法律の中にきちっとうたう方がいいのかなというふうなことを答えました。それから、もう一つの論拠として言っているのは、条文がない、具体的な条文がない、担保措置がないと。大体この二つを反論としているようなんですが、この二つに対して、龍井参考人としてはどのようにお考えでしょうか。

参考人(龍井葉二君)

 一点目は、先ほどの坂本さんの御指摘とも重なるんですが、さっきの時間の二極化のチャートをお示しをしました。多分、労働時間法制ができるのは、この一番右側の異常な残業時間の規制はできるかもしれません。しかし、このバランスを回復することは私は労働法制では無理だと思っています。ですから、そういう意味で、労働法制でできる範囲とこの法律できちんと規範を示すべきと、両方の意味があると申し上げました。

 それから二点目は、そうは言いながら、昨日の答弁の中で、じゃ仕事と生活の両立はどこで書くんですかと、どの法律でやるんですか、いや、いろんな法律ににじませますと言いました。じゃ、だったら、今いろんな条文ににじませてくれればいいのであって、別にそれは、恐らく法制局の方に伺っても、それがないから入れられないという根拠にはならないのではないかと私は思っております。

小池晃君

 ありがとうございました。

 最後に、この国会審議の問題について御意見をお伺いしたいと思っているんですが、私ども、冒頭申し上げましたように、非常に問題の多い法案だと思っていますので、しっかり時間を掛けて、昨日の審議でようやくスタートで、問題点が提起をされ、今それをじっくり深めていく時期ではないかと思っておりますし、時間を掛けて審議していくことが必要であるというふうに思っておりますし、冒頭申し上げましたように、やはり内容上の修正が必要ではないかというふうに思っておるんですが、お伺いしたいのは、龍井参考人、西村参考人、坂本参考人にちょっと絞らせていただいて失礼ですけれども、国会審議に対してどういうことをお望みになるか、その点について最後にお伺いをしたいというふうに思います。

参考人(龍井葉二君)

 さっき私は、失礼を省みず、この十年間の問題、私どもも含めた反省というのを言ってまいりました。やっぱり十年ぶりあるいは二十年来の改正となると、やっぱりその当時にできていたコンセンサスというのがきちんと、その後も法案論議は法案審議であったとしても、もっといろんな場でそれが共有される、あるいはCEDAWが指摘しているように、きちんとそれを普及、啓蒙していくというその発信の機能、それから、そうしたことについてきちんとフォローアップをし、報告を求めてチェックしていくと。私は、論議だけではなくて、是非そういう機能も併せ持っていただきたい、次につなげていただきたい、修正は当然ですけど、そう思います。

参考人(西村かつみ君)

 私は、やはり現場の実態というのをもっと反映した形での審議をしていただきたいと。やっと私の方からそういう今の差別の実態を出させていただきましたけれども、それを抜きの審議だけでは本当に実のある法律にならないと思うんですね。

 だから、その辺でもっと徹底して審議を是非していただきたいですし、どんどん差別というのは変わっていくものなんですね。限定できるものでは絶対ないのです。ですから、もうどんどん見直しもしながら、本当に現場に見合った差別是正にしていただきたいというふうに思っています。

参考人(坂本福子君)

 私も、先ほど申し上げたように、やはり現場の差別をなくすというためには、やっぱりきっちり審議していただきたいということと、それなりにやはりこの法案ではやっぱり本当に救えるのかということを問いたいんですね。少なくとも今の差別をなくしていけるような、その点だけに絞ってもいいから、もうやっぱり修正案、それを出していただきたいなという感じがします。

 そして、そのためにやっぱりポジティブアクションの義務化というのは、これは職場全体に及びます。使用者の方もそれは反対してなかったようですし、その辺りも是非お考えいただいて、少なくとも前に進めるような、平等が進むような法案に是非修正していただきたいと思います。

小池晃君

 ありがとうございました。

 非常に、今日の参考人のお話を聞いて問題点も浮き彫りになったのではないかというふうに思っております。全員に質問できなくて申し訳ありませんでした。

 以上で終わります。

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