労働基準法四条は、同一価値労働同一賃金があるのかないのかと、こういうような最高裁の問題もありますけれども、これは労働基準法の立法当初、これは労働局が出しております。寺本広作という方が当時携わった中ではっきりと言っているのは、労基法四条は同一価値労働同一賃金、すなわちILO百号条約を批准しているということで、はっきりこれは言っております。
この場合に、男女の賃金差別でもって、労基法四条はストレートに、例えば、直接差別であれば、一九七五年に判決が出されました秋田総合銀行のように、表みたいな形で男子、女子と分かれていれば、A表、B表であっても、それは労基法四条ずばりいけると思うんです。しかし、現在のように非常に複雑な職務・職能給のときに、同一労働と言った場合と同一価値労働と言った場合の問題が当然出てきます。その価値の判断が非常に難しいとは言われますけれども、やはり一定程度の価値、それを言ったときに、私はやっぱり今の労基法四条でどこまで行けるのかという問題があるとは思いますけれども、労基法四条をきちっと同一価値労働、同一賃金というふうに改正しないと、先ほども申し上げたように、日弁連としては、やっぱり今の非正規と正規を比べた場合の同一価値労働、同一賃金に働く非正規の労働者とそれから正規の女性労働者と、その比較は労基法四条を使えないことになるんです。
だから、均等法に賃金差別、少なくとも最も大きい賃金についての差別禁止をきちっと入れるべきだと、性による差別、それによれば、男女の性差別というのはそこできちっと救えるではないかと。そして、労基法四条に同一価値労働、同一賃金まで持ってきたときには、これは正規、非正規を含まないと。同性であっても、例えば男性同士であってもあるいは女性同士であってもそれは救える道になるんだという形で、やはり平等への道になるような法律の改正というのが私どもの意見として出しております。