大臣、私、限定列挙というのは正にこういう問題を生んでいくんだというふうに思うんですね。本当に、細かく決めれば決めるほど、そこから漏れたものが堂々と合法的な行為としてまかり通っていくということになりかねない危険性を持っているというふうに思うんです。
こういう事態は支払基金の場合に何もとどまりません。これ転勤要件でなくても、出張できるかどうか、このことをわざわざ昇進の要件というふうに考える企業も出てきているというふうに聞いています。これも結果として男女間の大きな差別を生むことは明白であるというふうに思うんです。
こうして見ますと、私は、研究会で論議された七項目、それでもあったのがわずか三項目に絞り込まれていること、しかもそれが例示列挙ではなくて限定列挙にしている。その部分にしか違反とならずに、明らかにだれが見ても、常識的に考えてこれは間接差別だと思われるようなものについても対応できないし、いろんな複雑なケースについては全くお手上げになってしまうことになりかねない。これで間接差別の禁止だと言えるのかどうかということすら私は疑わしくなるような規定になっているというふうに言わざるを得ないんです。
そもそも、国連女子差別撤廃委員会の勧告というのは、これは法律による間接差別規定がないために、裁判一生懸命闘ってもその主張が認められずに来たと、多くの日本女性の訴えがこれ反映した結果なわけです。今回、間接差別限定列挙という規定では極めて狭い部分的なものになってしまう。私はこの勧告の、間接差別を含む女性に対する差別の定義が国内法に取り込まれることを勧告する、この国連の要請にこたえるものとはなっていないというふうに言わざるを得ない。だからこそ、労政審でも例示列挙にすべきであるという、言わば異例の意見も付いたんだろうというふうに思うんですね。
大臣、限定したことによって立証しやすくなるんだという議論が先ほどありましたけれども、それはそれとして、じゃ、それは例示列挙という形にして、それ以外にも広げ得るという枠を作っておかなければ行政としての発展が今後保障できないではないかと。しかも、これだけ、ほとんどもうコンセンサスと思われるものですら、もう一つでも反対意見が出れば入らないという現状を見ると、私はここで三つに決めたらば、これは、かなりこれがそのまま行ってしまうんではないかという不安を持つ。そういう不安を皆さん持っているのは私当然だというふうに思うんですね。
ですから、少なくとも、私は研究会で検討された項目を対象にして、限定列挙ではなくて例示列挙とすると。そして、やっぱりこれからの行政の中で、間接差別について広く救済していく。これは間接差別なくすというのが目標なんですから、できるだけなくさないための法律作るんじゃなくて、できるだけなくすための法律作るんですから、私は例示列挙とするというのが法の正しい趣旨に沿ったやり方ではないかというふうに思うんですが、大臣、いかがですか。